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第1章
第17話
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その後、一人残された私はこれからどうすればいいのか考えていたが何も思い浮かばなかったので途方に暮れていると、不意に扉が開いて誰かが入ってきたので視線を向けるとそこには見知った顔があった。それはアリスだった。彼女は心配そうな表情でこちらを見つめていたが、やがてため息をつくと言った。
「どうして帰しちゃったの? 手を伸ばせば幸せになれたのに。これじゃ物語の結末にはなれないよ」
「彼を……みんなを連れてきたのはあなたなの?」
「うん、そうだよ。だってそれが幸せというものじゃない」
「私の幸せは……こんな絵空事なんかじゃない! あなたには何も分かっていない!」
「ふーん、そっか。でも、まだ続けるよ。これでも1000年見守ってきたからね。あたしは人を見捨てないよ」
そう言われたものの素直に従う気にはなれなかったので黙っていると、アリスは再び溜息をついた後で言った。
「仕方ないなぁ、じゃあ別のやり方にするとしようかな」
そう言うと今度はエマの方を向いた後で手招きをした。それに応じた彼女はこちらに近づいてくると私の耳元で囁いた後で部屋から出て行ってしまった。それを見届けた後で視線を戻すと微笑んでいるアリスと目が合った。
「メイド長から何かアドバイスはもらえたのかな? あたしには聞こえなかったんだけど。きっといいアイデアを出してくれたんだろうね」
その言葉を聞いた私は嫌な予感を覚えずにはいられなかったが、それでも聞かないわけにはいかなかったので恐る恐る尋ねた。
「あなたが言わせたんじゃないの?」
「ううん、違うよ。あたしはそれほど人を知ってるわけじゃないからね」
「一体何をするつもりなの? ネーラ!」
すると、彼女はびっくりした表情をした後で答えた。
「あたしの正体を知ったんだ。びっくりした。それでこれからどうするの?」
「私は私の人生を生きる! もう誰にも惑わされない!」
それを聞いた彼女はクスクスと笑うと言った。
「やっぱり面白い子だね、君なら成功するかもしれないね。頑張ってね応援してる」
それだけ言うと踵を返して去っていってしまったのだった――。
(一体どういうことなの……?)
突然現れて去っていった彼女の後ろ姿を見つめながら私は呆然としていた。
それからしばらくして我に返った後で周囲を見渡すと、いつの間にかパーティー会場には誰もいなかったのでとりあえず外に出ることにした。
全てはネーラの用意した夢だったのだろうか。不思議の国の住人の名前を語ったりして、私を歓迎したつもりでいたのかもしれない。
しばらく歩いているうちに頭が冷えてきたことで冷静に考えられるようになってきたので今後のことについて考えることにした。まずは自分が置かれた状況について整理してみようと思う。
まず、ここが異世界であることは間違いないだろう。何故なら、街並みや人々の格好などが明らかに現代日本とは違っていたからだ。それに加えて、先程のアリスと名乗る少女ネーラの存在も大きな謎であった。
彼女はどう見ても人間ではなかったし、言動もおかしかった。それに、去り際に言っていた言葉も気になるところだ。『応援している』というのはどういう意味なのだろうか? 彼女は敵ではなかったのか。
考えても分からなかったので一旦保留にすることにして、次に考えなければならないことは今後どうするかということだ。元の世界に帰る方法を探すにしても手がかりが全くないので難しいだろうし、婚約を破棄された相手に助けを求めにもいけない。
ウィルはどうしているのだろう。戦地から帰ってきた彼はネーラの呼んだ幻だったのだろうか。考えても分からないことだらけだ。
となると、選択肢は一つしかないように思えた。
(こうなったら一人で生きていくしかないわね)
決意すると身が軽くなる思いだった。これからは気ままに生きていく。悩んでいた自分とは決別する時なのだと思った。そう考えると不思議と心が落ち着いてくるのを感じたので、早速行動に移すことにした。
「どうして帰しちゃったの? 手を伸ばせば幸せになれたのに。これじゃ物語の結末にはなれないよ」
「彼を……みんなを連れてきたのはあなたなの?」
「うん、そうだよ。だってそれが幸せというものじゃない」
「私の幸せは……こんな絵空事なんかじゃない! あなたには何も分かっていない!」
「ふーん、そっか。でも、まだ続けるよ。これでも1000年見守ってきたからね。あたしは人を見捨てないよ」
そう言われたものの素直に従う気にはなれなかったので黙っていると、アリスは再び溜息をついた後で言った。
「仕方ないなぁ、じゃあ別のやり方にするとしようかな」
そう言うと今度はエマの方を向いた後で手招きをした。それに応じた彼女はこちらに近づいてくると私の耳元で囁いた後で部屋から出て行ってしまった。それを見届けた後で視線を戻すと微笑んでいるアリスと目が合った。
「メイド長から何かアドバイスはもらえたのかな? あたしには聞こえなかったんだけど。きっといいアイデアを出してくれたんだろうね」
その言葉を聞いた私は嫌な予感を覚えずにはいられなかったが、それでも聞かないわけにはいかなかったので恐る恐る尋ねた。
「あなたが言わせたんじゃないの?」
「ううん、違うよ。あたしはそれほど人を知ってるわけじゃないからね」
「一体何をするつもりなの? ネーラ!」
すると、彼女はびっくりした表情をした後で答えた。
「あたしの正体を知ったんだ。びっくりした。それでこれからどうするの?」
「私は私の人生を生きる! もう誰にも惑わされない!」
それを聞いた彼女はクスクスと笑うと言った。
「やっぱり面白い子だね、君なら成功するかもしれないね。頑張ってね応援してる」
それだけ言うと踵を返して去っていってしまったのだった――。
(一体どういうことなの……?)
突然現れて去っていった彼女の後ろ姿を見つめながら私は呆然としていた。
それからしばらくして我に返った後で周囲を見渡すと、いつの間にかパーティー会場には誰もいなかったのでとりあえず外に出ることにした。
全てはネーラの用意した夢だったのだろうか。不思議の国の住人の名前を語ったりして、私を歓迎したつもりでいたのかもしれない。
しばらく歩いているうちに頭が冷えてきたことで冷静に考えられるようになってきたので今後のことについて考えることにした。まずは自分が置かれた状況について整理してみようと思う。
まず、ここが異世界であることは間違いないだろう。何故なら、街並みや人々の格好などが明らかに現代日本とは違っていたからだ。それに加えて、先程のアリスと名乗る少女ネーラの存在も大きな謎であった。
彼女はどう見ても人間ではなかったし、言動もおかしかった。それに、去り際に言っていた言葉も気になるところだ。『応援している』というのはどういう意味なのだろうか? 彼女は敵ではなかったのか。
考えても分からなかったので一旦保留にすることにして、次に考えなければならないことは今後どうするかということだ。元の世界に帰る方法を探すにしても手がかりが全くないので難しいだろうし、婚約を破棄された相手に助けを求めにもいけない。
ウィルはどうしているのだろう。戦地から帰ってきた彼はネーラの呼んだ幻だったのだろうか。考えても分からないことだらけだ。
となると、選択肢は一つしかないように思えた。
(こうなったら一人で生きていくしかないわね)
決意すると身が軽くなる思いだった。これからは気ままに生きていく。悩んでいた自分とは決別する時なのだと思った。そう考えると不思議と心が落ち着いてくるのを感じたので、早速行動に移すことにした。
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