AIの書いた婚約破棄

けろよん

文字の大きさ
上 下
6 / 28
第1章

第6話

しおりを挟む
 それからというもの、毎日のように彼と会うようになっていたのだが、その度に体を重ね合ったりしていたせいですっかり虜になってしまっていた。今ではもう彼から与えられる快楽なしでは生きていけないくらいだ。しかし、それを不快に思うことなど一切なく、むしろ幸せを感じていたほどだった。今日もいつものように愛し合っていたのだが、不意に彼に尋ねられた。

「ねえ、君は僕のこと好きかい?」

 その問いに私は迷わず答えた。

「うん、大好きだよ!」

 それを聞いた彼は満足げな笑みを浮かべた後、再び覆い被さってきた。そのまま行為に及ぼうとしたその時、突然扉が開いて誰かが入ってきた。
 驚いてそちらに目を向けると、そこには二人の人物が立っていた。一人は見覚えのある顔だったのですぐに誰なのかわかったが、もう一人は全く知らない人だった。
 その女性は私たちの姿を目にするや否や驚きの声を上げた。

「え!? ちょっと、あなた何をしているの!?」

 彼女は慌てた様子で近づいてきたかと思うと私と彼を引き離した。それを見てムッとした表情になった彼は抗議するように言った。

「何をするんだよ! せっかくいいところだったのに邪魔しないでくれるかな?」

 怒りを含んだ声で言うが、彼女は全く動じていないようだ。それどころか呆れたような表情で言った。

「あのね、ここどこだかわかってる? あなたの家じゃないでしょ? それに、この子は嫌がってるように見えるけど?」

 彼女に言われて我に返った私は慌てて否定した。

「ち、違います! 私が望んでしたことですから……」

 だが、それでも納得していない様子だった。そんな彼女に対して彼は苛立ったように言う。

「君には関係ないだろ? 早く出て行ってくれないかな?」

 それに対し、彼女も負けじと言い返した。

「いいえ、そういうわけにはいかないわ。だってこの子は私の妹なんだから」

 その言葉に衝撃を受けた私は思わず叫んでしまった。

「嘘です! 私、あなたのことなんて知りません!」

 必死に否定するも無駄だった。なぜなら彼女の言葉が真実だからだ。その証拠に、彼が笑いを堪えているのが見えたからである。
 その様子を見て確信に変わった。やはり間違いないようだ。目の前の女性が実の姉なのだと――。
 その事実を知ったことで絶望感に苛まれていると、いつの間にか彼女が近づいてきて耳元で囁いた。

「ごめんね、騙すつもりはなかったのよ」

 そう言って優しく頭を撫でてくれるその手つきに安心感を覚えると同時に疑問を抱いた。何故、こんなことをしたのだろうか?
 理由を尋ねようとしたところで先に彼女が口を開いた。

「実はね、前からあなたのことが気になっていたのよ。それで調べてみたらあなたがあの人の娘だとわかって、どうしても欲しくなっちゃったのよね……でも安心してちょうだい。これからはずっと一緒にいてあげるからね」

 そう言いながら抱きしめられる。その温もりはどこか懐かしい感じがした。まるで母親に抱かれているような心地良さを感じてしまい、自然と身を委ねていた。
 しばらくそうしていたが、ふと我に返って慌てて離れようとするも既に遅かったようでしっかりと抱きつかれてしまっていた。
 抜け出そうと藻掻いている間に、今度は背後から別の声が聞こえてきた。振り返るとそこにいたのはもう一人の男性だった。

「やあ、こんにちは」

 にこやかに話しかけてくるその人物に見覚えはなかった。戸惑っていると彼女から紹介があった。

「紹介するわね。この人は私たちの新しいご主人様よ」

 その言葉に愕然とするしかなかった。まさかこんなことになるなんて思いもしなかったのだ。ショックのあまり言葉を失っている私に向かって彼は言った。

「これからよろしくね」

 その言葉を聞いた瞬間、目の前が真っ暗になった気がした――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

「白い結婚の終幕:冷たい約束と偽りの愛」

ゆる
恋愛
「白い結婚――それは幸福ではなく、冷たく縛られた契約だった。」 美しい名門貴族リュミエール家の娘アスカは、公爵家の若き当主レイヴンと政略結婚することになる。しかし、それは夫婦の絆など存在しない“白い結婚”だった。 夫のレイヴンは冷たく、長く屋敷を不在にし、アスカは孤独の中で公爵家の実態を知る――それは、先代から続く莫大な負債と、怪しい商会との闇契約によって破綻寸前に追い込まれた家だったのだ。 さらに、公爵家には謎めいた愛人セシリアが入り込み、家中の権力を掌握しようと暗躍している。使用人たちの不安、アーヴィング商会の差し押さえ圧力、そして消えた夫レイヴンの意図……。次々と押し寄せる困難の中、アスカはただの「飾りの夫人」として終わる人生を拒絶し、自ら未来を切り拓こうと動き始める。 政略結婚の檻の中で、彼女は周囲の陰謀に立ち向かい、少しずつ真実を掴んでいく。そして冷たく突き放していた夫レイヴンとの関係も、思わぬ形で変化していき――。 「私はもう誰の人形にもならない。自分の意志で、この家も未来も守り抜いてみせる!」 果たしてアスカは“白い結婚”という名の冷たい鎖を断ち切り、全てをざまあと思わせる大逆転を成し遂げられるのか?

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

【完結】どうやら魔森に捨てられていた忌子は聖女だったようです

山葵
ファンタジー
昔、双子は不吉と言われ後に産まれた者は捨てられたり、殺されたり、こっそりと里子に出されていた。 今は、その考えも消えつつある。 けれど貴族の中には昔の迷信に捕らわれ、未だに双子は家系を滅ぼす忌子と信じる者もいる。 今年、ダーウィン侯爵家に双子が産まれた。 ダーウィン侯爵家は迷信を信じ、後から産まれたばかりの子を馭者に指示し魔森へと捨てた。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

処理中です...