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第24話 決戦への誓い
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「みか、あとはわたしがなんとかするからあなたは家で待ってなさい」
そう母に言われ、みかとけいこは家でテレビを見ていた。リヴァイアサンのことはどのチャンネルでも結構大きなニュースになっていた。
リヴァイアサンは今では海の上で静止していた。あそこで浄化の儀式を行うつもりなのだろう。
みかがそうしようと思っていたように、今度は魔道士達がそれを行おうとしているのだ。
宇宙警察はみんなに避難を呼びかけている。本来なら地球人とは関わらないところだが、魔道士が絡んでいてはそうもいかないのだろう。
けいこの母がみかとけいこの面倒を見てくれた。
「みかちゃん、これでも飲んで落ち着きなさい」
部屋に入ってきてホットミルクを渡してくれる。みかはけいこの母が入れてくれるホットミルクが大好きだったが、今日ばかりはそうとも言えなかった。
悲しみが、深い感情が、味を辛くする。みかはじっとテレビを見たままホットミルクをすすった。
「お母さん、みかちゃんのことはわたしに任せてくれればいいから」
「そう?」
けいこの母が所在なげに立っていると、けいこが振り返ってそう言った。
「それじゃ、わたしは向こうに行ってるから何かあったら呼んでね」
けいこの母は仕方なく立ち去った。
しばらくして、みかが小さく呟く。
「駄目だよ、こうしちゃいられないよ」
たったそれだけの言葉だったが、けいこにはみかのことはよく分かっていた。
「みかちゃん、ゆうなちゃんのことが心配なんだよね」
世界や何のことよりも友達を大切に思う彼女だから。
「うん……」
「じゃあ、行こう! ゆうなちゃんを取り返しに!」
「でも、どうやって」
あの杖を手放してからというもの、みかは思うように魔法が使えなくなっていた。
まったく使えないというわけではないが、あの杖に宿る魔道士の意思が何か補助的な役割を果たしていたのだろう。今の自分の力ではとても海には飛んでいけないと思った。
これも大師の恩情というものだったのだろうか。大師に逆らったことはやはり間違いだったのだろうか。
みかがまた考えこんでいると、けいこが腕を引っ張ってきた。
「とにかく外へ行ってみようよ。海まで行けば何か方法が見つかるかもしれないよ」
「うん」
それで何とか出来るとは思えなかったが、みかはけいこの言う通りにしようと思った。彼女が自分のことを元気付けようとしてやってくれていることは痛いほど分かっていたから。
けいこがみかの手を引いて玄関を出ようと扉を開くと、その玄関先にジョーが立っていた。申し訳なさそうな顔をして突っ立っていたが、けいこはつっけんどんに言い放った。
「何しに来たの? もうこれ以上わたし達を苦しめないで!」
けいこが素早く横を通り過ぎようとすると、ジョーはいきなり地面に手をついて土下座した。
「すまない! 俺が間違っていた! どうかしていたんだ。許してくれ!」
彼は彼なりに思うことがあったのだろう。だが、けいこはどうしていいか分からず困惑するばかりだった。
「今頃そんなこと言われても……みかちゃん?」
けいこが戸惑っていると、横でみかが彼を見下ろして声をかけた。
「お兄ちゃんのUFO飛べる?」
「あ……ああ。随分と不恰好になっちまったが飛ぶぐらいなら」
「みかちゃん、こんな奴に頼むことないって」
彼女の思惑を察したけいこがそっと囁く。だが、みかは決意を秘めた目で首を横に振った。
「この人が悪いんじゃないよ。みんな悪いのは大師なんだ」
「みかちゃん……」
「ヒーローになろうよ。これから頑張ってさ」
ジョーに手を差し伸べながら、みかはぎこちなくにっこりと微笑んだ。
「あ、ああ。そうするよ。それでどうすればいいんだ?」
手をとってジョーが答える。
「えっとね……」
みかが言いかけるのを聞きながらけいこは呆れる思いだった。この人達はどこまで世話をかけるのだろう。みかとジョーで握り合った手を横から取って思いっきり引っ張る。
二人は驚いてけいこを見つめる。
「けいこちゃん?」
けいこは泣き笑いの笑顔で二人を見返した。
「二人とも! そうと決めたんだったら、こんな暗い顔してられないでしょ。楽しく笑ってなきゃ、ゆうなちゃんだって来るのを嫌がるよ」
「けいこちゃん……」
言いかけるのを目で制して、けいこは取った二人の手を固く合わせて力強く訴えた。
「いい? みかちゃん! ジョーさん! わたしたちはこれから海へ飛んで行ってゆうなちゃんを取り返すのよ!」
「うん」
「あ……ああ」
「ジョーさん、声が小さいよ! 本当にヒーローになる気あるの!?」
「あ、ああ! もちろんだぜ!」
「魔道士の野望を阻止するのよ!」
「うん!」
「おう!」
「シャリュウ大師をぶっ倒すのよ!」
「う……うん」
「おお! 魔道士の親玉だな? まかせとけ!」
「みかちゃん! 声が小さいよ! シャリュウ大師なんて片手でぶっ倒せるのよ!」
「う……うん! わたし、片手でシャリュウ大師をぶっ倒すよ!」
「じゃあ、俺は指先一つだ!」
「それで明日はみかちゃんとゆうなちゃんはわたしと一緒に学校へ行って、ジョーさんは宇宙のヒーローになるの! それでこの事件はおしまいです!」
「おしまいです!」
「じゃあ、行こう!」
合わせた手をパチンと叩いて、けいこは先に立って歩いていく。
「あの子は強いな……いや、負けてる場合じゃないな。ヒーローになるのはこの俺だ!」
「けいこちゃん……ありがとう」
それぞれに思いを抱えながら三人は歩いていく。
海上でリヴァイアサンと向かいあいながら、みかの母は苦戦を強いられていた。彼女の背後では宇宙警察のUFOが遠巻きに包囲するように飛んでいる。
「いったいどうすれば」
みかの母は迷っていた。リヴァイアサンはゆうななのだ。うかつに攻撃は仕掛けられない。
リヴァイアサンは悠然と海上のその場に留まり、はばたき続けている。こちらが近づかない限り攻撃は仕掛けてこない。相手にもされていないということなのだろう。
宇宙警察には攻撃を待ってもらっている。なんとか説得しないと。
だが、魔道士は聞く耳を持たない。ゆうなも答えてくれない。
「みかのやっと出来た新しい友達なのに」
あの仲の良かった近所のお兄ちゃんが死んだ日から、みかは新しい友達を作ろうとしなかった。
虫や動物とは相変わらず仲が良かったし、けいことは仲の良い付き合いが続いていたけど、それだけだった。
封印した記憶と彼女の中に眠らせた魔道士の力が知らず知らずのうちにみかを孤独に追いやっていたのかもしれない。
嬉しそうにゆうなと過ごしていたあの朝の光景を忘れられない。
「ゆうなちゃん、答えてよ! 大師の仕掛けた運命なんかに屈しないで!」
リヴァイアサンを中心として海が黒く染まっていく。海に膨大な魔力が注ぎこまれていくのを感じる。
何をする気かは知らないが、急がなければならないのは確かだろう。
リヴァイアサンにへこまされて不恰好になったUFOに乗って、みかとけいことジョーは街の上空へと飛び上がった。
高い空へと上がり視界が開けたことで遥か地平の向こうに広がる海が邪悪の色に染まっていくのが見えた。そしてうっすらと不気味なリヴァイアサンの姿も。
UFOは進んでいく。海へ向かって。友の待つ海へと。
やがて雨が降ってきた。スクリーンに映るその色を見てけいこは嫌悪に顔をしかめた。
「なんなの、これ。気持ち悪い」
「ひどいもんだな」
その雨の色は黒だった。一切の透明感も粘着感も示さない純然たる黒の色。染まっていく、黒の海に。流れていく、黒の雨が。街に降り注いでいく。
魔道士の意思とつながっていたことで事情を知っているみかはぽつりと呟いた。
「魔道士達はダイダルウエイブを起こすつもりなの」
「ダイダルウエイブ?」
「世界に終末をもたらす大波だよ。この地上の大部分を海が占めているのは知っているよね? その海に膨大な魔力を注ぎこみ、爆発させる。地上は全て黒い海に呑み込まれて消える」
「そんなことって……!」
「地上が消えるって言うのか?」
「絶対にさせないよ。ゆうなちゃんにそんなこと」
「ああ! 正義の力で阻止してみせるぜ!」
UFOはやがて海上へとたどり着いた。うっすらと見えていたリヴァイアサンの姿を今では視界にはっきりと捉えている。
そこでは多くの宇宙警察のUFOとみかの母もいた。
「ジョー!」
「みか! どうして来たの!?」
署長とみかの母からそれぞれに声が掛かって来る。みかは答える。
「ゆうなちゃんはわたしの友達だから。だから、助けに来たんだよ!」
「みか、あなたって子は……さっきから呼びかけてるんだけど答えてくれないの!」
みかの母が事情を説明する。
みかはマイクをとって呼びかけた。UFOの外にみかの声が拡大されて響いていく。
「ゆうなちゃん、聞いて!」
『平口みか、お前は大師様の多大な期待を受けながら裏切った。絶対に許されない行為だ』
魔道士の意思が答えてくる。相手が大師の認めたみかだからなのだろう。
「こんなことやめて! ゆうなちゃんを返して!」
『みか、我々は元々このためにここへ来たのだ。誰も宿命から逃れることは出来ない』
「そんなの大師の決めた勝手な理屈じゃない!」
みかの横からけいこが叫ぶ。魔道士のことはよく知らないが、誰にもみかとゆうなの友情を裂く権利などないはずだ。
みかは友達に勇気付けられ、強い意思を持って魔道士の意思に向かい合った。
『お前に大師様の何が分かる? 大師様の深い愛も理解しないお前らに』
「そんなの分からないよ! でも、ゆうなちゃんはわたしにとって大切な友達なの!」
『この娘は大師様の物なのだ。大師様に従うのが当然なのだ。そして、我らは大師様の偉大な御心に触れ、従うことを決めたのだ』
「そんなのって……そんなのってないよ! ゆうなちゃんの気持ちはどうなるの!」
「みかちゃん、もうやめて」
「ゆうなちゃん?」
みかがさらに言い募ろうとすると、ゆうなの声が響いてきた。テレパシーのように耳に直接届いてくる。
「みかちゃんの気持ちは嬉しい。でも、わたしは大師様から離れて生きていくことは出来ないの」
「あきらめたら駄目だよ、わたし達友達になったじゃない」
「みかちゃん、わたしには分からない。この世界のこと、自分が何者なのかということすらつい最近まで知らなかった。ただ黒い雨を降らせとしか……みかちゃん……」
ゆうなは溢れくる感情を抑えつけようとするかのように一呼吸置いたあと言葉を続けた。苦しそうな、辛そうな声だった。それでも可能な限り明るく話そうとしてくれる声。
「こんなわたしと友達になってくれてありがとう。でも、どうして大師様を裏切ったの? みかちゃんと一緒ならわたし心強かったのに」
「ゆうなちゃん……」
みかは自分が街で魔術を使って行った行為を思い起こして胸が苦しかった。でも、もう迷うことはないと思った。
間違っていたのは大師と自分達の方だったのだから。
「みんなが大切だから、この世界を消すわけにはいかないよ。ゆうなちゃんもそうでしょ!」
「みかちゃん、わたしには分からない」
「それじゃあさ。一緒に探そうよ! わたし達分からないことを勉強するために学校に行くんだよ!」
「みかちゃん……わたしにはやらなきゃいけないことがあるの。絶対にやらなきゃいけないことなの」
『おお、魔力が上がっていくぞ。もうまもなくダイダルウエイブが起こせるぞ』
「ダイダルウエイブ? なんだ、それは」
耳慣れない不穏な言葉を耳にして署長が声をあげる。ジョーが説明する。
「署長! 魔力の大波です! 奴ら魔法の大洪水で地上を滅ぼすつもりなんですよ!」
「なんだと! 早くみんなを避難させるのだ!」
署長の命令でいくつかのUFOが街へ向かっていく。
「もう間に合わない。この世界はみんな滅びるの」
『そうだ。滅びるのだ』
「みかちゃん、もしわたしのことを思うなら、どうかこのわたしを……」
リヴァイアサンが吠える。水柱が立ち昇る。
「どうか倒してください」
言い終わるとともに水柱は激しく渦を巻き、天へと伸び上がった。リヴァイアサンを中心に激しく回転を始めていく。
いよいよダイダルウエイブの時が来ようとしているのだ。この世の終末を告げる大津波が世界の全てを呑み込む時が。
もう止められないのだろうか。全ては手遅れなのだろうか。
「ゆうなちゃん……ゆうなちゃん! うわあああああああ!!」
みかが吠える。どうしうようもない自分の無力さに絶望して。抑制の効かないありったけの魔力が狭いUFOの中で荒れ狂う。
「みかちゃん! 落ち着いて! 落ち着いて!」
けいこは必死にみかをなだめようとする。だが、みかの剣幕は収まらない。
「けいこちゃん。わたし、わたし、どうしたらいいの!? 分かんないよーー!」
「みか!!」
けいこはみかの頬をひっぱたいた。みかが我に返るとともに暴走した魔力が静まっていく。
「けいこちゃん?」
「約束したでしょ? わたし達がちゃんとしないとゆうなちゃんだって帰ってきてくれないって。ここで我を失ったりしたら、それこそ大師の思う壷だよ」
「うん、そうだよね。ごめん」
二人落ち着いてスクリーンの向こうのリヴァイアサンを眺めやる。けいこが呟く。
「ゆうなちゃん、寂しそうだね」
「わたしにはけいこちゃんやみんながいてくれるのに、ゆうなちゃんには誰もいないのかな」
「何言ってるんだ。あいつはお前らの友達なんだろ」
ジョーが振り返って優しく言った。
「うん、そうだよ。ゆうなちゃんにはわたし達がいるんだ」
「頑張らないと、ね」
みかとけいこは決意を新たにする。そう、ここで負けてはいられないのだ。
二人に向かってジョーが訊ねる。
「それでどうするんだ?」
「ダイダルウエイブを……撃たせるよ」
「え!?」
けいこは驚いて友達の方を振り返った。みかの突拍子の無さに驚かされるのはいつものことだが、今回も驚かされてしまった。
「でも、ダイダルウエイブを撃たせてしまったら世界が滅びてしまうんだろ?」
絶句しているけいこの代わりにジョーが疑問を口にする。みかは何かの決意をしているかのように毅然として言った。
「ダイダルウエイブは確かに恐ろしいよ。世界を滅ぼすほどの力がある。でも、それがゆうなちゃんの気持ちというのなら、わたしがきっと受け止める」
「でも、みかちゃんの魔力は」
「そうだぜ、あの杖が無いと自由に使えないんだろ?」
「大丈夫だよ。わたしにはみんながついてるから。ここまで一緒にいてくれてありがとう。あともう少しだけ付き合ってね」
みかは魔力を集中させるとUFOの上へとワープした。簡単な魔法を成功させることで自分やみんなを安心させようともしたのだろう。
「子供のくせにかっこつけやがって。俺も負けてはいられないな」
「みかちゃん、本当に大丈夫なのかな?」
「あいつはあいつに出来ることをするんだろう。俺たちは俺たちに出来ることをするぜ」
ジョーは操縦席に向き直るとボタンを押してミサイルを発射した。
ミサイルはリヴァイアサンの近くで爆発した。ミサイルの爆風が晴れていく。
まるで通用していない。リヴァイアサンは何事もなかったかのように悠然と飛び続けている。
ジョーが続いてミサイルを発射しようとすると、けいこが彼の腕に飛びついて阻止した。
「ジョーさん、何するの! あの竜はゆうなちゃんなのよ!」
「あいつの気をひきつけるんだ。どうせ撃たれるにしても少しでもダイダルウエイブの威力を下げさせてやるんだ。その方がみかも楽が出来るだろ?」
「ジョーさん……」
そうだ。いくらみかの魔力が強くても相手の力は半端ではないのだ。
世界を滅ぼすほどのダイダルウエイブ。その威力は想像を絶するものだろう。
確かにみかはダイダルウエイブを受け止めると約束した。ゆうなはダイダルウエイブは必ずやらなきゃいけないと断言した。
みかもゆうなも二人ともどうしようもなく不器用でそそっかしいというのに。そんなことは今までのことから分かっていたはずなのに、こんな二人にこれからの全てをゆだねようとしてしまっていた。
自分が一番しっかりしなきゃいけないのに。けいこは覚悟を決めてジョーの隣で操縦席についた。
「みかちゃんとゆうなちゃんにこの世界の全部なんてまかせてられないよ! わたしもやるよ!」
「おお、撃て撃て!」
二人の決意をこめてミサイルが矢継ぎ早に飛んでいく。
「ジョーに続け!」
署長の号令の元、宇宙警察のUFO達もミサイルを発射していく。
「ゆうなちゃん……みか……わたしもなんとしても止めてみせる!」
みかの母も魔法の炎で攻撃する。
リヴァイアサンの周囲で様々な色が轟音とともに彩られていく。
だが、リヴァイアサンの力はまるで衰えるところを見せない。ダイダルウエイブに向かってぐんぐん魔力を上げていく。
「みんな、どうして……」
みかは面食らっていたが、やがて気が付いた。
「そうか。みんな、ゆうなちゃんを止めようとしてくれているんだ。わたしも頑張るよ!」
来たるべき時に向けてみかは精神を集中していく。あの杖が無いとどうもうまく魔力が扱えなかったが、贅沢を言っている場合では無かった。
自分の力を信じるんだ。大師の呪縛からゆうなを助けるために。
ささやかな攻撃を受け流しながら、魔道士の意思が周囲に向けて語りかけてくる。
『無駄だ、その程度の攻撃ではリヴァイアサンには傷一つつきはしないぞ。ダイダルウエイブを止めることなど出来はしないのだ』
「分かってるさ。分かってるからやってるんだぜ、この大馬鹿野郎が!」
魔道士の意思に向かってジョーが言い返す。けいこは不安に押しつぶされそうな気持ちに必死に耐えている。
「ゆうなちゃん……今からでも遅くないから馬鹿な真似はやめて。でないとわたし達だって辛いよ」
そう母に言われ、みかとけいこは家でテレビを見ていた。リヴァイアサンのことはどのチャンネルでも結構大きなニュースになっていた。
リヴァイアサンは今では海の上で静止していた。あそこで浄化の儀式を行うつもりなのだろう。
みかがそうしようと思っていたように、今度は魔道士達がそれを行おうとしているのだ。
宇宙警察はみんなに避難を呼びかけている。本来なら地球人とは関わらないところだが、魔道士が絡んでいてはそうもいかないのだろう。
けいこの母がみかとけいこの面倒を見てくれた。
「みかちゃん、これでも飲んで落ち着きなさい」
部屋に入ってきてホットミルクを渡してくれる。みかはけいこの母が入れてくれるホットミルクが大好きだったが、今日ばかりはそうとも言えなかった。
悲しみが、深い感情が、味を辛くする。みかはじっとテレビを見たままホットミルクをすすった。
「お母さん、みかちゃんのことはわたしに任せてくれればいいから」
「そう?」
けいこの母が所在なげに立っていると、けいこが振り返ってそう言った。
「それじゃ、わたしは向こうに行ってるから何かあったら呼んでね」
けいこの母は仕方なく立ち去った。
しばらくして、みかが小さく呟く。
「駄目だよ、こうしちゃいられないよ」
たったそれだけの言葉だったが、けいこにはみかのことはよく分かっていた。
「みかちゃん、ゆうなちゃんのことが心配なんだよね」
世界や何のことよりも友達を大切に思う彼女だから。
「うん……」
「じゃあ、行こう! ゆうなちゃんを取り返しに!」
「でも、どうやって」
あの杖を手放してからというもの、みかは思うように魔法が使えなくなっていた。
まったく使えないというわけではないが、あの杖に宿る魔道士の意思が何か補助的な役割を果たしていたのだろう。今の自分の力ではとても海には飛んでいけないと思った。
これも大師の恩情というものだったのだろうか。大師に逆らったことはやはり間違いだったのだろうか。
みかがまた考えこんでいると、けいこが腕を引っ張ってきた。
「とにかく外へ行ってみようよ。海まで行けば何か方法が見つかるかもしれないよ」
「うん」
それで何とか出来るとは思えなかったが、みかはけいこの言う通りにしようと思った。彼女が自分のことを元気付けようとしてやってくれていることは痛いほど分かっていたから。
けいこがみかの手を引いて玄関を出ようと扉を開くと、その玄関先にジョーが立っていた。申し訳なさそうな顔をして突っ立っていたが、けいこはつっけんどんに言い放った。
「何しに来たの? もうこれ以上わたし達を苦しめないで!」
けいこが素早く横を通り過ぎようとすると、ジョーはいきなり地面に手をついて土下座した。
「すまない! 俺が間違っていた! どうかしていたんだ。許してくれ!」
彼は彼なりに思うことがあったのだろう。だが、けいこはどうしていいか分からず困惑するばかりだった。
「今頃そんなこと言われても……みかちゃん?」
けいこが戸惑っていると、横でみかが彼を見下ろして声をかけた。
「お兄ちゃんのUFO飛べる?」
「あ……ああ。随分と不恰好になっちまったが飛ぶぐらいなら」
「みかちゃん、こんな奴に頼むことないって」
彼女の思惑を察したけいこがそっと囁く。だが、みかは決意を秘めた目で首を横に振った。
「この人が悪いんじゃないよ。みんな悪いのは大師なんだ」
「みかちゃん……」
「ヒーローになろうよ。これから頑張ってさ」
ジョーに手を差し伸べながら、みかはぎこちなくにっこりと微笑んだ。
「あ、ああ。そうするよ。それでどうすればいいんだ?」
手をとってジョーが答える。
「えっとね……」
みかが言いかけるのを聞きながらけいこは呆れる思いだった。この人達はどこまで世話をかけるのだろう。みかとジョーで握り合った手を横から取って思いっきり引っ張る。
二人は驚いてけいこを見つめる。
「けいこちゃん?」
けいこは泣き笑いの笑顔で二人を見返した。
「二人とも! そうと決めたんだったら、こんな暗い顔してられないでしょ。楽しく笑ってなきゃ、ゆうなちゃんだって来るのを嫌がるよ」
「けいこちゃん……」
言いかけるのを目で制して、けいこは取った二人の手を固く合わせて力強く訴えた。
「いい? みかちゃん! ジョーさん! わたしたちはこれから海へ飛んで行ってゆうなちゃんを取り返すのよ!」
「うん」
「あ……ああ」
「ジョーさん、声が小さいよ! 本当にヒーローになる気あるの!?」
「あ、ああ! もちろんだぜ!」
「魔道士の野望を阻止するのよ!」
「うん!」
「おう!」
「シャリュウ大師をぶっ倒すのよ!」
「う……うん」
「おお! 魔道士の親玉だな? まかせとけ!」
「みかちゃん! 声が小さいよ! シャリュウ大師なんて片手でぶっ倒せるのよ!」
「う……うん! わたし、片手でシャリュウ大師をぶっ倒すよ!」
「じゃあ、俺は指先一つだ!」
「それで明日はみかちゃんとゆうなちゃんはわたしと一緒に学校へ行って、ジョーさんは宇宙のヒーローになるの! それでこの事件はおしまいです!」
「おしまいです!」
「じゃあ、行こう!」
合わせた手をパチンと叩いて、けいこは先に立って歩いていく。
「あの子は強いな……いや、負けてる場合じゃないな。ヒーローになるのはこの俺だ!」
「けいこちゃん……ありがとう」
それぞれに思いを抱えながら三人は歩いていく。
海上でリヴァイアサンと向かいあいながら、みかの母は苦戦を強いられていた。彼女の背後では宇宙警察のUFOが遠巻きに包囲するように飛んでいる。
「いったいどうすれば」
みかの母は迷っていた。リヴァイアサンはゆうななのだ。うかつに攻撃は仕掛けられない。
リヴァイアサンは悠然と海上のその場に留まり、はばたき続けている。こちらが近づかない限り攻撃は仕掛けてこない。相手にもされていないということなのだろう。
宇宙警察には攻撃を待ってもらっている。なんとか説得しないと。
だが、魔道士は聞く耳を持たない。ゆうなも答えてくれない。
「みかのやっと出来た新しい友達なのに」
あの仲の良かった近所のお兄ちゃんが死んだ日から、みかは新しい友達を作ろうとしなかった。
虫や動物とは相変わらず仲が良かったし、けいことは仲の良い付き合いが続いていたけど、それだけだった。
封印した記憶と彼女の中に眠らせた魔道士の力が知らず知らずのうちにみかを孤独に追いやっていたのかもしれない。
嬉しそうにゆうなと過ごしていたあの朝の光景を忘れられない。
「ゆうなちゃん、答えてよ! 大師の仕掛けた運命なんかに屈しないで!」
リヴァイアサンを中心として海が黒く染まっていく。海に膨大な魔力が注ぎこまれていくのを感じる。
何をする気かは知らないが、急がなければならないのは確かだろう。
リヴァイアサンにへこまされて不恰好になったUFOに乗って、みかとけいことジョーは街の上空へと飛び上がった。
高い空へと上がり視界が開けたことで遥か地平の向こうに広がる海が邪悪の色に染まっていくのが見えた。そしてうっすらと不気味なリヴァイアサンの姿も。
UFOは進んでいく。海へ向かって。友の待つ海へと。
やがて雨が降ってきた。スクリーンに映るその色を見てけいこは嫌悪に顔をしかめた。
「なんなの、これ。気持ち悪い」
「ひどいもんだな」
その雨の色は黒だった。一切の透明感も粘着感も示さない純然たる黒の色。染まっていく、黒の海に。流れていく、黒の雨が。街に降り注いでいく。
魔道士の意思とつながっていたことで事情を知っているみかはぽつりと呟いた。
「魔道士達はダイダルウエイブを起こすつもりなの」
「ダイダルウエイブ?」
「世界に終末をもたらす大波だよ。この地上の大部分を海が占めているのは知っているよね? その海に膨大な魔力を注ぎこみ、爆発させる。地上は全て黒い海に呑み込まれて消える」
「そんなことって……!」
「地上が消えるって言うのか?」
「絶対にさせないよ。ゆうなちゃんにそんなこと」
「ああ! 正義の力で阻止してみせるぜ!」
UFOはやがて海上へとたどり着いた。うっすらと見えていたリヴァイアサンの姿を今では視界にはっきりと捉えている。
そこでは多くの宇宙警察のUFOとみかの母もいた。
「ジョー!」
「みか! どうして来たの!?」
署長とみかの母からそれぞれに声が掛かって来る。みかは答える。
「ゆうなちゃんはわたしの友達だから。だから、助けに来たんだよ!」
「みか、あなたって子は……さっきから呼びかけてるんだけど答えてくれないの!」
みかの母が事情を説明する。
みかはマイクをとって呼びかけた。UFOの外にみかの声が拡大されて響いていく。
「ゆうなちゃん、聞いて!」
『平口みか、お前は大師様の多大な期待を受けながら裏切った。絶対に許されない行為だ』
魔道士の意思が答えてくる。相手が大師の認めたみかだからなのだろう。
「こんなことやめて! ゆうなちゃんを返して!」
『みか、我々は元々このためにここへ来たのだ。誰も宿命から逃れることは出来ない』
「そんなの大師の決めた勝手な理屈じゃない!」
みかの横からけいこが叫ぶ。魔道士のことはよく知らないが、誰にもみかとゆうなの友情を裂く権利などないはずだ。
みかは友達に勇気付けられ、強い意思を持って魔道士の意思に向かい合った。
『お前に大師様の何が分かる? 大師様の深い愛も理解しないお前らに』
「そんなの分からないよ! でも、ゆうなちゃんはわたしにとって大切な友達なの!」
『この娘は大師様の物なのだ。大師様に従うのが当然なのだ。そして、我らは大師様の偉大な御心に触れ、従うことを決めたのだ』
「そんなのって……そんなのってないよ! ゆうなちゃんの気持ちはどうなるの!」
「みかちゃん、もうやめて」
「ゆうなちゃん?」
みかがさらに言い募ろうとすると、ゆうなの声が響いてきた。テレパシーのように耳に直接届いてくる。
「みかちゃんの気持ちは嬉しい。でも、わたしは大師様から離れて生きていくことは出来ないの」
「あきらめたら駄目だよ、わたし達友達になったじゃない」
「みかちゃん、わたしには分からない。この世界のこと、自分が何者なのかということすらつい最近まで知らなかった。ただ黒い雨を降らせとしか……みかちゃん……」
ゆうなは溢れくる感情を抑えつけようとするかのように一呼吸置いたあと言葉を続けた。苦しそうな、辛そうな声だった。それでも可能な限り明るく話そうとしてくれる声。
「こんなわたしと友達になってくれてありがとう。でも、どうして大師様を裏切ったの? みかちゃんと一緒ならわたし心強かったのに」
「ゆうなちゃん……」
みかは自分が街で魔術を使って行った行為を思い起こして胸が苦しかった。でも、もう迷うことはないと思った。
間違っていたのは大師と自分達の方だったのだから。
「みんなが大切だから、この世界を消すわけにはいかないよ。ゆうなちゃんもそうでしょ!」
「みかちゃん、わたしには分からない」
「それじゃあさ。一緒に探そうよ! わたし達分からないことを勉強するために学校に行くんだよ!」
「みかちゃん……わたしにはやらなきゃいけないことがあるの。絶対にやらなきゃいけないことなの」
『おお、魔力が上がっていくぞ。もうまもなくダイダルウエイブが起こせるぞ』
「ダイダルウエイブ? なんだ、それは」
耳慣れない不穏な言葉を耳にして署長が声をあげる。ジョーが説明する。
「署長! 魔力の大波です! 奴ら魔法の大洪水で地上を滅ぼすつもりなんですよ!」
「なんだと! 早くみんなを避難させるのだ!」
署長の命令でいくつかのUFOが街へ向かっていく。
「もう間に合わない。この世界はみんな滅びるの」
『そうだ。滅びるのだ』
「みかちゃん、もしわたしのことを思うなら、どうかこのわたしを……」
リヴァイアサンが吠える。水柱が立ち昇る。
「どうか倒してください」
言い終わるとともに水柱は激しく渦を巻き、天へと伸び上がった。リヴァイアサンを中心に激しく回転を始めていく。
いよいよダイダルウエイブの時が来ようとしているのだ。この世の終末を告げる大津波が世界の全てを呑み込む時が。
もう止められないのだろうか。全ては手遅れなのだろうか。
「ゆうなちゃん……ゆうなちゃん! うわあああああああ!!」
みかが吠える。どうしうようもない自分の無力さに絶望して。抑制の効かないありったけの魔力が狭いUFOの中で荒れ狂う。
「みかちゃん! 落ち着いて! 落ち着いて!」
けいこは必死にみかをなだめようとする。だが、みかの剣幕は収まらない。
「けいこちゃん。わたし、わたし、どうしたらいいの!? 分かんないよーー!」
「みか!!」
けいこはみかの頬をひっぱたいた。みかが我に返るとともに暴走した魔力が静まっていく。
「けいこちゃん?」
「約束したでしょ? わたし達がちゃんとしないとゆうなちゃんだって帰ってきてくれないって。ここで我を失ったりしたら、それこそ大師の思う壷だよ」
「うん、そうだよね。ごめん」
二人落ち着いてスクリーンの向こうのリヴァイアサンを眺めやる。けいこが呟く。
「ゆうなちゃん、寂しそうだね」
「わたしにはけいこちゃんやみんながいてくれるのに、ゆうなちゃんには誰もいないのかな」
「何言ってるんだ。あいつはお前らの友達なんだろ」
ジョーが振り返って優しく言った。
「うん、そうだよ。ゆうなちゃんにはわたし達がいるんだ」
「頑張らないと、ね」
みかとけいこは決意を新たにする。そう、ここで負けてはいられないのだ。
二人に向かってジョーが訊ねる。
「それでどうするんだ?」
「ダイダルウエイブを……撃たせるよ」
「え!?」
けいこは驚いて友達の方を振り返った。みかの突拍子の無さに驚かされるのはいつものことだが、今回も驚かされてしまった。
「でも、ダイダルウエイブを撃たせてしまったら世界が滅びてしまうんだろ?」
絶句しているけいこの代わりにジョーが疑問を口にする。みかは何かの決意をしているかのように毅然として言った。
「ダイダルウエイブは確かに恐ろしいよ。世界を滅ぼすほどの力がある。でも、それがゆうなちゃんの気持ちというのなら、わたしがきっと受け止める」
「でも、みかちゃんの魔力は」
「そうだぜ、あの杖が無いと自由に使えないんだろ?」
「大丈夫だよ。わたしにはみんながついてるから。ここまで一緒にいてくれてありがとう。あともう少しだけ付き合ってね」
みかは魔力を集中させるとUFOの上へとワープした。簡単な魔法を成功させることで自分やみんなを安心させようともしたのだろう。
「子供のくせにかっこつけやがって。俺も負けてはいられないな」
「みかちゃん、本当に大丈夫なのかな?」
「あいつはあいつに出来ることをするんだろう。俺たちは俺たちに出来ることをするぜ」
ジョーは操縦席に向き直るとボタンを押してミサイルを発射した。
ミサイルはリヴァイアサンの近くで爆発した。ミサイルの爆風が晴れていく。
まるで通用していない。リヴァイアサンは何事もなかったかのように悠然と飛び続けている。
ジョーが続いてミサイルを発射しようとすると、けいこが彼の腕に飛びついて阻止した。
「ジョーさん、何するの! あの竜はゆうなちゃんなのよ!」
「あいつの気をひきつけるんだ。どうせ撃たれるにしても少しでもダイダルウエイブの威力を下げさせてやるんだ。その方がみかも楽が出来るだろ?」
「ジョーさん……」
そうだ。いくらみかの魔力が強くても相手の力は半端ではないのだ。
世界を滅ぼすほどのダイダルウエイブ。その威力は想像を絶するものだろう。
確かにみかはダイダルウエイブを受け止めると約束した。ゆうなはダイダルウエイブは必ずやらなきゃいけないと断言した。
みかもゆうなも二人ともどうしようもなく不器用でそそっかしいというのに。そんなことは今までのことから分かっていたはずなのに、こんな二人にこれからの全てをゆだねようとしてしまっていた。
自分が一番しっかりしなきゃいけないのに。けいこは覚悟を決めてジョーの隣で操縦席についた。
「みかちゃんとゆうなちゃんにこの世界の全部なんてまかせてられないよ! わたしもやるよ!」
「おお、撃て撃て!」
二人の決意をこめてミサイルが矢継ぎ早に飛んでいく。
「ジョーに続け!」
署長の号令の元、宇宙警察のUFO達もミサイルを発射していく。
「ゆうなちゃん……みか……わたしもなんとしても止めてみせる!」
みかの母も魔法の炎で攻撃する。
リヴァイアサンの周囲で様々な色が轟音とともに彩られていく。
だが、リヴァイアサンの力はまるで衰えるところを見せない。ダイダルウエイブに向かってぐんぐん魔力を上げていく。
「みんな、どうして……」
みかは面食らっていたが、やがて気が付いた。
「そうか。みんな、ゆうなちゃんを止めようとしてくれているんだ。わたしも頑張るよ!」
来たるべき時に向けてみかは精神を集中していく。あの杖が無いとどうもうまく魔力が扱えなかったが、贅沢を言っている場合では無かった。
自分の力を信じるんだ。大師の呪縛からゆうなを助けるために。
ささやかな攻撃を受け流しながら、魔道士の意思が周囲に向けて語りかけてくる。
『無駄だ、その程度の攻撃ではリヴァイアサンには傷一つつきはしないぞ。ダイダルウエイブを止めることなど出来はしないのだ』
「分かってるさ。分かってるからやってるんだぜ、この大馬鹿野郎が!」
魔道士の意思に向かってジョーが言い返す。けいこは不安に押しつぶされそうな気持ちに必死に耐えている。
「ゆうなちゃん……今からでも遅くないから馬鹿な真似はやめて。でないとわたし達だって辛いよ」
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