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第8話 1000文字のチェックメイト
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突然のチェックメイトだった。
「……あ」
と、追い詰められた今になってふと思い出す。
そういえば、まだやらなきゃいけないことが一つ残っていたっけ……。
僕はゆっくりと立ち上がると、部屋の隅に置かれたベッドの方へと歩いていく。そしてそのままベッドに倒れ込むようにダイブすると、枕元に置いてあったスマホを手に取った。……そうだ。今日はまだ一度も確認していなかったんだっけ。
そう思いながら、ホーム画面からSNSアプリを起動させる。するとそこには、やはり予想通りの人物からのメッセージが届いていた。
『おはようございます! 昨日はお疲れさまでした! また機会があったら一緒にコラボしましょうね(*^_^*)』
……やっぱり、あの人は良い人だ。
そんなことをしみじみと考えながら、僕は返事を打ち込んでいく。
『はい! こちらこそありがとうございました!』
そして最後に、デフォルメされた猫の絵文字を添えて送信ボタンを押した。
……よし、これでオッケーかな?
これで最後かもしれないけど最後だからこそ挨拶はきちんとしておきたい。
僕は大きく伸びをして体をほぐすと、もう一度窓の外を見やった。
外には相変わらず、雨粒が激しく地面を叩きつけている光景が広がっている。
でも……さっきよりも少しだけマシになったような気がする。少なくともこの部屋の中にいる分には問題ない程度まで収まっていた。
「…………」
僕は再び視線を室内に戻すと、自分の机の上に置かれているノートパソコンに目を向けた。
それは昨日、僕の家にやってきた宅配便の送り状が入った封筒だった。送り主の名前は―――【株式会社FIN】とある。
この終わりは僕にとって幸せなのだろうか。それとも……。
「……本当に、これっきりなんだな……」
どのみちゲームオーバーである事には変わりない。
その瞬間、胸にこみ上げてくる寂しさを押し殺すように、僕はギュッと拳を強く握り締めた。
もう二度と会えないかもしれないという不安感が、今頃になって押し寄せてきたのだ。
正直言って、自分でも意外だった。こんなにもあっさりとした幕切れになるとは思っていなかったからだ。
だけど同時に納得している自分もいた。だって、それが一番正しい形だから。
きっとこれが運命だったんだろう。
もし神様なんてものが存在するなら、それは残酷すぎるくらいに優しい存在に違いない。だって僕に終わりの時を教えてくれたのだから。
「これでもう1000文字……か……」
「……あ」
と、追い詰められた今になってふと思い出す。
そういえば、まだやらなきゃいけないことが一つ残っていたっけ……。
僕はゆっくりと立ち上がると、部屋の隅に置かれたベッドの方へと歩いていく。そしてそのままベッドに倒れ込むようにダイブすると、枕元に置いてあったスマホを手に取った。……そうだ。今日はまだ一度も確認していなかったんだっけ。
そう思いながら、ホーム画面からSNSアプリを起動させる。するとそこには、やはり予想通りの人物からのメッセージが届いていた。
『おはようございます! 昨日はお疲れさまでした! また機会があったら一緒にコラボしましょうね(*^_^*)』
……やっぱり、あの人は良い人だ。
そんなことをしみじみと考えながら、僕は返事を打ち込んでいく。
『はい! こちらこそありがとうございました!』
そして最後に、デフォルメされた猫の絵文字を添えて送信ボタンを押した。
……よし、これでオッケーかな?
これで最後かもしれないけど最後だからこそ挨拶はきちんとしておきたい。
僕は大きく伸びをして体をほぐすと、もう一度窓の外を見やった。
外には相変わらず、雨粒が激しく地面を叩きつけている光景が広がっている。
でも……さっきよりも少しだけマシになったような気がする。少なくともこの部屋の中にいる分には問題ない程度まで収まっていた。
「…………」
僕は再び視線を室内に戻すと、自分の机の上に置かれているノートパソコンに目を向けた。
それは昨日、僕の家にやってきた宅配便の送り状が入った封筒だった。送り主の名前は―――【株式会社FIN】とある。
この終わりは僕にとって幸せなのだろうか。それとも……。
「……本当に、これっきりなんだな……」
どのみちゲームオーバーである事には変わりない。
その瞬間、胸にこみ上げてくる寂しさを押し殺すように、僕はギュッと拳を強く握り締めた。
もう二度と会えないかもしれないという不安感が、今頃になって押し寄せてきたのだ。
正直言って、自分でも意外だった。こんなにもあっさりとした幕切れになるとは思っていなかったからだ。
だけど同時に納得している自分もいた。だって、それが一番正しい形だから。
きっとこれが運命だったんだろう。
もし神様なんてものが存在するなら、それは残酷すぎるくらいに優しい存在に違いない。だって僕に終わりの時を教えてくれたのだから。
「これでもう1000文字……か……」
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