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第二章 漆黒の悪霊王
第52話 悪霊王 VS 上級悪霊
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ジーネスを中心に広がる闇がムササビンガーの腕を呑み込もうとする。
「ぐひゃひゃ! 何だこれは!」
ムササビンガーは慌てて手に握った黒衣の少女を投げ捨てた。
ドナルダの背に広がる翼が光を増し、闇に覆われようとする世界に対抗する。
ジーネスの背には黒い小さなコウモリの翼が広がって、彼女は夜空から有栖を見下ろしてきた。
「有栖、ありがとう、わらわを信頼してくれて」
その顔には邪悪な悪霊王ではなく、大切な友を見る者の優しい瞳があった。
「ネッチーは仲間だから。もっと早くにこうするべきだった」
「うわああ! 助けてくれ! 僕が闇に呑み込まれてしまう!」
ムササビンガーは黒い闇を増していく地面から抜け出そうと惨めに這いつくばって、光を放って浮かぶ天使のような上級悪霊の少女に救いを求めた。
彼女は善意も悪意も無く、ただ言葉を掛けた。
「あと20秒あるんですが。もう気は済んだのでしょうか」
「済んだ済んだ! 後はあんたに任せる! だからよお!」
ドナルダは哀れな中級悪霊に手を差し出そうとする。その動きをジーネスは待たなかった。
「わらわは行ってくる。あいつを倒しに!」
爆発するような瞬発とともにジーネスの闇の拳が上級悪霊の光を砕くべくその頬に殴りかかる。
ドナルダはその拳を手で受け止め、周囲に風が広がった。闇の空間の中で、光と闇が揺れて争った。
「うわあああ!」
ムササビンガーはその余波だけで吹っ飛んで、闇の彼方へと消えていった。
ドナルダの鋭さを増した視線がジーネスを見る。
「あなたとは神社で会いましたよね?」
「あの時は下級だと勘違いさせて済まなかったな。わらわは悪霊王じゃ!」
「悪霊王!」
「漆黒の悪霊王と人は呼んだ!」
「そうですか」
光と闇がぶつかり離れ、二人は距離を取って対峙した。
今まで常に微笑みを絶やさなかった少女の顔に不機嫌な感情が現れていた。
「王を名乗るのですか? わたし達の王と同じ!」
上級悪霊が発射する光のレーザーをジーネスは空間に浮かべた闇の靄で消し去った。
「そういうことじゃ。この町にはもう王がいる。だから、お前達の居場所は無い!」
ジーネスが腕を振るとともに闇の竜巻がドナルダに向かって襲いかかる。ドナルダはそれを両手で張った光の障壁で防御した。
有栖は心の中で応援しながらジーネスの戦いを見守っていた。
そこに仲間達が集まってきた。
「あいつ、やっぱりジーネスだったのね」
「舞火さんは気づいてたんですか?」
有栖はびっくりしてしまう。舞火は何でもないことのように落ち着いて答えた。
「怪しいと思うでしょ。この時期に有栖ちゃんに近づいてきたんだから。悪さを見せたらすぐにしばいてやるつもりでデコピンの練習もしてたんだけど、あいつ良い奴だし、エイミーにも気に入られているし、仕事もちゃんとしてたから、やる機会を失ってしまったわ」
「そうだったんですか」
舞火は何も意味も無く新人を脅すような態度を取ったり、仕事をチェックしたりしてたわけでは無かったのだ。
仲間として先輩として活動しながら、ジーネスの動きを監視していた。
そんな舞火の働きに、有栖は感心してしまった。
「舞火のそういう抜け目の無いところ、感心するわ」
天子も同じ気分のようだった。
「天子さんも気づいていたんですか?」
「え? え……ええ、まあ当然じゃない? 舞火が気づいてたんだし」
「そうだったんですか」
有栖達は闇の中で行われていく戦いを見守った。その様子をエイミーも見上げていた。
「ネッチーは悪霊だったんですか?」
「え……?」
有栖は言葉を失ってしまう。彼女を可愛がっていたエイミーにどう答えていいか分からなかった。
代わりに舞火と天子が答えていた。
「でも、良い悪霊よね」
「人間にも良い奴と悪い奴がいるように、悪霊にも良い奴っているのよね」
「それはもう守護霊ですね」
有栖も続けて言った。
みんなの言葉にエイミーの不安も和らいだ。
笑顔で煌めくように答えた。
「はい、ネッチーはとっても良い奴です」
「あいつにはこのことは黙っててやりなさい。気にされても嫌でしょ?」
「はいです、舞火先輩」
先輩の言葉に、エイミーは素直に頷いた。
ジーネスとドナルダ、二人の少女の戦いが続いていく。
闇の中で白と赤の光線が交差した。
一人は悪霊王、もう一人は上級悪霊だ。
その間には本来越えられないレベル差があるはずなのだが、有栖の砕いた封印石は六つのうちの一つに過ぎない。
六分の一の力ではさすがに上級悪霊を押し切れないようだった。
ジーネスの放つ竜巻をドナルダは華麗に回避していく。放たれる光のビームをジーネスは手で生み出した暗闇の中へ消し去った。
戦いはいつまでも互角では続かなかった。ジーネスが息を切らしてきた。対してドナルダは全く平然とした顔をしたまま光でその身を包み、闇の中を滞空していた。
先に勝負の終わりを宣言したのはドナルダの方だった。
「まだ七秒ありますが、お疲れの用ですし、ここで終わりにしませんか?」
「終わりじゃと!?」
「はい、悪霊同士が戦っても人間を喜ばせるだけですからね」
余裕を見せるドナルダを前に、ジーネスは必死に力をかき集めようとするが出来なかった。
ドナルダは静かに闇の中を舞い降りて、地面のある場所を光で照らして降り立ち、秒を数えた。
「5,4,3,2,1.終幕です」
告げるとともに闇が消えた。周囲には元の寂れた遊園地の光景が戻ってきた。
ジーネスの体は糸が切れるように地面に落下していった。それを受け止めたのは急いで駆けつけたエイミーだった。
ジーネスは力なく言葉を口にする。
「済まない先輩。わらわの力ではあいつを押し切れなかった……」
「よくやりましたよ、ネッチー。さすがはミーの自慢の後輩です! 後は頼りになる先輩達に任せてください!」
「……分かった」
ジーネスは長く沈黙した後にそう呟いた。寂れた遊園地の中を乾いた風が吹く。
有栖達は再び悪霊と向かい合った。
立ちはだかるのは天使のような姿をした上級悪霊。その横では闇に呑まれたはずのムササビンガーが見えない物を恐れるかのように怯えて蹲っていた。
「助けてくれ! 闇が僕を呑み込もうとしてくるんだ!」
「静かにしてください」
ドナルダは手を横に向けて無造作に光線を放った。顔のすぐ前で散った小さな火花を見て、ムササビンガーは驚いてひっくり返ってしまった。
ドナルダはそちらを見もせずに、有栖達に次の提案を行ってきた。
「さて、約束の時間は過ぎてしまいました。次は何をしましょうか。お互いを知るために、どこかに一緒に遊びにでも行きましょうか」
「ふざ……」
けるなと言いかける天子を有栖が手で制した。ドナルダは優美で上品なお嬢様の態度で微笑を浮かべた。
「良い判断です。わたしももう争いは結構です。傷つけないように手加減するのもこれで苦労するんですよ。うっかり当てるとあっさり死んじゃいますからね。あなた達人間は」
「くっ」
舞火が悔しく唇を噛む。その思いは有栖も同じだった。だが、打つ手が無かった。
圧倒的に実力で上回る澄ました顔をした上級悪霊を相手に、有栖達に打てる手はもう何も無かった。
ドナルダは深く息を吐いて、その手にノートを広げてペンを手に取った。
「では、もうくだらない争いは止めて、この町に王様を迎える準備をしましょうか。大丈夫ですよ。素晴らしいお方ですから、あなた達もきっとすぐに気に入ります。あなた達の名前を教えていただけますか? あなた達は特別にわたしの奴隷として使わせてもらえるよう、王様に進言することにします。気に入りましたから」
「わたしは……」
有栖は手を震わせた。破れかぶれでも戦いに出る決意をしようとする。
その時だった。暖かく、力強い手が頭に置かれたのは。
見上げると、そこには勇敢な父の顔。
「有栖、よく頑張ったな。後は父さんに任せておきなさい」
「父さん……!」
有栖は涙がこみあげてくるのを抑えられなかった。涙で揺れる視界の中で、勇敢な父が上級悪霊と対峙する。
「ぐひゃひゃ! 何だこれは!」
ムササビンガーは慌てて手に握った黒衣の少女を投げ捨てた。
ドナルダの背に広がる翼が光を増し、闇に覆われようとする世界に対抗する。
ジーネスの背には黒い小さなコウモリの翼が広がって、彼女は夜空から有栖を見下ろしてきた。
「有栖、ありがとう、わらわを信頼してくれて」
その顔には邪悪な悪霊王ではなく、大切な友を見る者の優しい瞳があった。
「ネッチーは仲間だから。もっと早くにこうするべきだった」
「うわああ! 助けてくれ! 僕が闇に呑み込まれてしまう!」
ムササビンガーは黒い闇を増していく地面から抜け出そうと惨めに這いつくばって、光を放って浮かぶ天使のような上級悪霊の少女に救いを求めた。
彼女は善意も悪意も無く、ただ言葉を掛けた。
「あと20秒あるんですが。もう気は済んだのでしょうか」
「済んだ済んだ! 後はあんたに任せる! だからよお!」
ドナルダは哀れな中級悪霊に手を差し出そうとする。その動きをジーネスは待たなかった。
「わらわは行ってくる。あいつを倒しに!」
爆発するような瞬発とともにジーネスの闇の拳が上級悪霊の光を砕くべくその頬に殴りかかる。
ドナルダはその拳を手で受け止め、周囲に風が広がった。闇の空間の中で、光と闇が揺れて争った。
「うわあああ!」
ムササビンガーはその余波だけで吹っ飛んで、闇の彼方へと消えていった。
ドナルダの鋭さを増した視線がジーネスを見る。
「あなたとは神社で会いましたよね?」
「あの時は下級だと勘違いさせて済まなかったな。わらわは悪霊王じゃ!」
「悪霊王!」
「漆黒の悪霊王と人は呼んだ!」
「そうですか」
光と闇がぶつかり離れ、二人は距離を取って対峙した。
今まで常に微笑みを絶やさなかった少女の顔に不機嫌な感情が現れていた。
「王を名乗るのですか? わたし達の王と同じ!」
上級悪霊が発射する光のレーザーをジーネスは空間に浮かべた闇の靄で消し去った。
「そういうことじゃ。この町にはもう王がいる。だから、お前達の居場所は無い!」
ジーネスが腕を振るとともに闇の竜巻がドナルダに向かって襲いかかる。ドナルダはそれを両手で張った光の障壁で防御した。
有栖は心の中で応援しながらジーネスの戦いを見守っていた。
そこに仲間達が集まってきた。
「あいつ、やっぱりジーネスだったのね」
「舞火さんは気づいてたんですか?」
有栖はびっくりしてしまう。舞火は何でもないことのように落ち着いて答えた。
「怪しいと思うでしょ。この時期に有栖ちゃんに近づいてきたんだから。悪さを見せたらすぐにしばいてやるつもりでデコピンの練習もしてたんだけど、あいつ良い奴だし、エイミーにも気に入られているし、仕事もちゃんとしてたから、やる機会を失ってしまったわ」
「そうだったんですか」
舞火は何も意味も無く新人を脅すような態度を取ったり、仕事をチェックしたりしてたわけでは無かったのだ。
仲間として先輩として活動しながら、ジーネスの動きを監視していた。
そんな舞火の働きに、有栖は感心してしまった。
「舞火のそういう抜け目の無いところ、感心するわ」
天子も同じ気分のようだった。
「天子さんも気づいていたんですか?」
「え? え……ええ、まあ当然じゃない? 舞火が気づいてたんだし」
「そうだったんですか」
有栖達は闇の中で行われていく戦いを見守った。その様子をエイミーも見上げていた。
「ネッチーは悪霊だったんですか?」
「え……?」
有栖は言葉を失ってしまう。彼女を可愛がっていたエイミーにどう答えていいか分からなかった。
代わりに舞火と天子が答えていた。
「でも、良い悪霊よね」
「人間にも良い奴と悪い奴がいるように、悪霊にも良い奴っているのよね」
「それはもう守護霊ですね」
有栖も続けて言った。
みんなの言葉にエイミーの不安も和らいだ。
笑顔で煌めくように答えた。
「はい、ネッチーはとっても良い奴です」
「あいつにはこのことは黙っててやりなさい。気にされても嫌でしょ?」
「はいです、舞火先輩」
先輩の言葉に、エイミーは素直に頷いた。
ジーネスとドナルダ、二人の少女の戦いが続いていく。
闇の中で白と赤の光線が交差した。
一人は悪霊王、もう一人は上級悪霊だ。
その間には本来越えられないレベル差があるはずなのだが、有栖の砕いた封印石は六つのうちの一つに過ぎない。
六分の一の力ではさすがに上級悪霊を押し切れないようだった。
ジーネスの放つ竜巻をドナルダは華麗に回避していく。放たれる光のビームをジーネスは手で生み出した暗闇の中へ消し去った。
戦いはいつまでも互角では続かなかった。ジーネスが息を切らしてきた。対してドナルダは全く平然とした顔をしたまま光でその身を包み、闇の中を滞空していた。
先に勝負の終わりを宣言したのはドナルダの方だった。
「まだ七秒ありますが、お疲れの用ですし、ここで終わりにしませんか?」
「終わりじゃと!?」
「はい、悪霊同士が戦っても人間を喜ばせるだけですからね」
余裕を見せるドナルダを前に、ジーネスは必死に力をかき集めようとするが出来なかった。
ドナルダは静かに闇の中を舞い降りて、地面のある場所を光で照らして降り立ち、秒を数えた。
「5,4,3,2,1.終幕です」
告げるとともに闇が消えた。周囲には元の寂れた遊園地の光景が戻ってきた。
ジーネスの体は糸が切れるように地面に落下していった。それを受け止めたのは急いで駆けつけたエイミーだった。
ジーネスは力なく言葉を口にする。
「済まない先輩。わらわの力ではあいつを押し切れなかった……」
「よくやりましたよ、ネッチー。さすがはミーの自慢の後輩です! 後は頼りになる先輩達に任せてください!」
「……分かった」
ジーネスは長く沈黙した後にそう呟いた。寂れた遊園地の中を乾いた風が吹く。
有栖達は再び悪霊と向かい合った。
立ちはだかるのは天使のような姿をした上級悪霊。その横では闇に呑まれたはずのムササビンガーが見えない物を恐れるかのように怯えて蹲っていた。
「助けてくれ! 闇が僕を呑み込もうとしてくるんだ!」
「静かにしてください」
ドナルダは手を横に向けて無造作に光線を放った。顔のすぐ前で散った小さな火花を見て、ムササビンガーは驚いてひっくり返ってしまった。
ドナルダはそちらを見もせずに、有栖達に次の提案を行ってきた。
「さて、約束の時間は過ぎてしまいました。次は何をしましょうか。お互いを知るために、どこかに一緒に遊びにでも行きましょうか」
「ふざ……」
けるなと言いかける天子を有栖が手で制した。ドナルダは優美で上品なお嬢様の態度で微笑を浮かべた。
「良い判断です。わたしももう争いは結構です。傷つけないように手加減するのもこれで苦労するんですよ。うっかり当てるとあっさり死んじゃいますからね。あなた達人間は」
「くっ」
舞火が悔しく唇を噛む。その思いは有栖も同じだった。だが、打つ手が無かった。
圧倒的に実力で上回る澄ました顔をした上級悪霊を相手に、有栖達に打てる手はもう何も無かった。
ドナルダは深く息を吐いて、その手にノートを広げてペンを手に取った。
「では、もうくだらない争いは止めて、この町に王様を迎える準備をしましょうか。大丈夫ですよ。素晴らしいお方ですから、あなた達もきっとすぐに気に入ります。あなた達の名前を教えていただけますか? あなた達は特別にわたしの奴隷として使わせてもらえるよう、王様に進言することにします。気に入りましたから」
「わたしは……」
有栖は手を震わせた。破れかぶれでも戦いに出る決意をしようとする。
その時だった。暖かく、力強い手が頭に置かれたのは。
見上げると、そこには勇敢な父の顔。
「有栖、よく頑張ったな。後は父さんに任せておきなさい」
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