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第二章 真理亜と古の王サラマンディア
第30話 フェニックスの復活
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ひかりは夜の町の上空を飛んでいく。使い魔のクロに案内されるまでもなく騒ぎの音が近くなってくる。何か光っているのも見える。
騒ぎの元に向かって飛んで。そして、辿り着いた。
上空から地上の様子を見下ろす。
骨のトカゲが人型になったような、骨リザードマンみたいな魔物が複数体現れて、自動車をひっくり返したり、口から青い炎を吐いたりして暴れていた。
人間はもう避難したのか、霧が守って隔離したのか、姿は見えなかった。
ひとまずは人命に危機は無さそうで安心して、ひかりは隣を飛ぶクロに向かって訊ねた。
「あの魔物は何? 町の魔物じゃないみたいだけど」
町の魔物なら今までに何回か集まってもらった集会で見た。あんな柄が悪くうえーいするような魔物はいなかったと思う。クロの考えもひかりと同じようなものだった。
「分かりません。私もあのような魔物は見たことがありません」
「そっか。それじゃあ……」
ひかりの考えは決まった。町の魔物ではなく、町に害を為す魔物なら手加減する必要は何もない。
漆黒の翼を広げて地上に降り立つ。気が付いた魔物達が振り返る。骨の魔物達に注目されてひかりはちょっと身を震わせた。
「武者震いね、きっと。骨が怖いとかないから」
人体模型が動いてるのを見るとこんな感覚を抱くのだろうか。見たことが無いものを気にしてもしょうがなかった。
今は目の前の問題を処理する。覚悟を決めてひかりは両手に剣を出して構えた。
その場に狼牙に紫門、辰也までやってきて傍に並んだ。
「師匠!」
「なんだ、こいつらは!?」
「さあ? でも、どうやら仲良くしたいわけじゃないみたい」
「町を荒らしに来た者なら遠慮する必要はあるまい」
「うん。わたしもそう思ってたとこ。さあ、無双させてもらうよ!」
ひかり達は攻撃に構える。骨のトカゲ兵達は新たな獲物を見つけたかのように一斉に襲い掛かってきた。
口を開き、武器や爪を振るってくる。
だが、どちらが獲物かはすぐに理解することになるだろう。ひかり達はそれぞれに応戦する。
霧の立ち込める町の路上で戦いの音が鳴り響く。
骨のトカゲ兵達はあまり強くは無かったが、とにかく数が多かった。
ゲームの骨モンスターのように倒してもまた復活して立ち上がったら面倒だなと思ったが、幸いにも倒した骨モンスターは地面に吸収されるかのように消えていったので助かった。
骨トカゲ兵の放ってくる青い炎のブレスをひかりは剣を立てて防ぐ。
「これぐらいでわたしを倒そうなんて甘いんじゃないの?」
返す刀で敵を一刀両断にする。戦いに気分が乗ってきた。ひかりはさらに周囲から飛びかかってきた骨モンスターを蹴りを回してまとめて吹っ飛ばした。
「骨に囲まれても嬉しくないんだけど」
さて、みんなはどうしてるかなと周囲に目を向ける。
みんな危なげなく戦っていた。狼牙が爪と拳とキックで敵を粉砕し、紫門が鞭と道具で敵を倒していく。辰也も不機嫌そうにしながらも竜の炎で敵を焼き尽くした。
何の心配もいらなそうだった。
ひかりが動きを止めたのをチャンスと見たのか骨のモンスターが飛びかかってくる。ひかりはすぐに漆黒の双剣を走らせて骨をみじん切りにした。ばらばらになった骨が地面に落ちて沈むように消えていく。
戦いは長引いたが、多くいた敵も徐々に数を減らしていき、ついに最後の一匹を切り伏せた。
騒がしかった戦場が静かになった。ひかりは落ち着いて双剣を納めた。
「何だったのだ、あいつらは」
「さあ」
辰也の疑問に答えられる知識を誰も持ってはいなかった。戦場で密かに舞った火の粉以外には。
火の粉は地面を撫でるように低くを飛び、宙に舞い上がって集まった。
「下僕は王の元に戻ったようですね。あれぐらいの兵士如きではやはりあなた達は倒せませんか」
「!!」
ひかりはびっくりして声のした方向を見た。そこに立っていたのはボロを纏った人物。その顔はフードに隠れて見えなかったが、ひかりの知らない気配では無かった。
その背に広がる炎の翼。前に見た時よりもずっと小さくなっていたが、ひかりの知らない物では無かった。
あれほど苦戦した相手を忘れるはずがない。ひかりは声を押し殺して彼の名を呼んだ。
「お前は……フェニックス!!」
「ほう、まだ覚えていてくださったとは。あなたはもう私のことなんて忘れていたと思っていましたよ」
「あの時は宇宙にいて手出し出来なかったが、わざわざ俺に吹っ飛ばされるために降りてきてくれたんだな!」
狼牙が爪を光らせて飛びかかっていく。だが、フェニックスの姿は火の粉となって消滅し、狼牙の爪は空振ってしまった。火の粉が流れ、フェニックスの姿はまた別の場所に移動して出現した。
「勘違いしないでください。あの時のフルパワーだった私でも勝てなかった相手に、今やすっかりみすぼらしく弱体化させられてしまった私が敵うはずがないでしょう。戦う相手は別に用意させてもらいますよ」
「別に……?」
「そうです。この星の邪悪はこの星の邪悪に滅してもらいます。その時こそ私も星々の神々を満足させられる結果を出すことが出来るでしょう。どうかその時を楽しみに待っていてください」
フェニックスの姿が再び火の粉となって消える。今度は再び現れることは無かった。静かな夜風が吹く。
霧も戦いの終わりを感じ取ったのか、徐々に薄くなってきていた。人の活気も戻ってくる。いつまでもここにいるわけにはいかなかった。
「フェニックスは何をするつもりなのかしら」
「さあな。とりあえず学校の連中を野放しにしておくわけにはいくまい」
「俺も妹の面倒をみないとな。ひかり、また明日学校でな」
「うん、また」
辰也が飛び去り、紫門も去っていく。
「師匠かっこよかったです! あいつを倒せなかったのは残念ですが」
「狼牙君もかっこよかったよ。今日は手伝ってくれてありがとう」
「はい! お役に立てたなら光栄です!」
満面の笑みを残し、狼牙も走り去っていく。使い魔と二人残り、ひかりは足元の猫に声を掛けた。
「それじゃあ、クロ。わたし達も帰ろうか」
「ええ、ひかり様は明日も学校ですからね」
嫌な事を思い出させてくれる黒猫だった。
戦いは長引いたかのように感じられたが、幸いにもまだ12時は回っていなかった。
騒ぎの元に向かって飛んで。そして、辿り着いた。
上空から地上の様子を見下ろす。
骨のトカゲが人型になったような、骨リザードマンみたいな魔物が複数体現れて、自動車をひっくり返したり、口から青い炎を吐いたりして暴れていた。
人間はもう避難したのか、霧が守って隔離したのか、姿は見えなかった。
ひとまずは人命に危機は無さそうで安心して、ひかりは隣を飛ぶクロに向かって訊ねた。
「あの魔物は何? 町の魔物じゃないみたいだけど」
町の魔物なら今までに何回か集まってもらった集会で見た。あんな柄が悪くうえーいするような魔物はいなかったと思う。クロの考えもひかりと同じようなものだった。
「分かりません。私もあのような魔物は見たことがありません」
「そっか。それじゃあ……」
ひかりの考えは決まった。町の魔物ではなく、町に害を為す魔物なら手加減する必要は何もない。
漆黒の翼を広げて地上に降り立つ。気が付いた魔物達が振り返る。骨の魔物達に注目されてひかりはちょっと身を震わせた。
「武者震いね、きっと。骨が怖いとかないから」
人体模型が動いてるのを見るとこんな感覚を抱くのだろうか。見たことが無いものを気にしてもしょうがなかった。
今は目の前の問題を処理する。覚悟を決めてひかりは両手に剣を出して構えた。
その場に狼牙に紫門、辰也までやってきて傍に並んだ。
「師匠!」
「なんだ、こいつらは!?」
「さあ? でも、どうやら仲良くしたいわけじゃないみたい」
「町を荒らしに来た者なら遠慮する必要はあるまい」
「うん。わたしもそう思ってたとこ。さあ、無双させてもらうよ!」
ひかり達は攻撃に構える。骨のトカゲ兵達は新たな獲物を見つけたかのように一斉に襲い掛かってきた。
口を開き、武器や爪を振るってくる。
だが、どちらが獲物かはすぐに理解することになるだろう。ひかり達はそれぞれに応戦する。
霧の立ち込める町の路上で戦いの音が鳴り響く。
骨のトカゲ兵達はあまり強くは無かったが、とにかく数が多かった。
ゲームの骨モンスターのように倒してもまた復活して立ち上がったら面倒だなと思ったが、幸いにも倒した骨モンスターは地面に吸収されるかのように消えていったので助かった。
骨トカゲ兵の放ってくる青い炎のブレスをひかりは剣を立てて防ぐ。
「これぐらいでわたしを倒そうなんて甘いんじゃないの?」
返す刀で敵を一刀両断にする。戦いに気分が乗ってきた。ひかりはさらに周囲から飛びかかってきた骨モンスターを蹴りを回してまとめて吹っ飛ばした。
「骨に囲まれても嬉しくないんだけど」
さて、みんなはどうしてるかなと周囲に目を向ける。
みんな危なげなく戦っていた。狼牙が爪と拳とキックで敵を粉砕し、紫門が鞭と道具で敵を倒していく。辰也も不機嫌そうにしながらも竜の炎で敵を焼き尽くした。
何の心配もいらなそうだった。
ひかりが動きを止めたのをチャンスと見たのか骨のモンスターが飛びかかってくる。ひかりはすぐに漆黒の双剣を走らせて骨をみじん切りにした。ばらばらになった骨が地面に落ちて沈むように消えていく。
戦いは長引いたが、多くいた敵も徐々に数を減らしていき、ついに最後の一匹を切り伏せた。
騒がしかった戦場が静かになった。ひかりは落ち着いて双剣を納めた。
「何だったのだ、あいつらは」
「さあ」
辰也の疑問に答えられる知識を誰も持ってはいなかった。戦場で密かに舞った火の粉以外には。
火の粉は地面を撫でるように低くを飛び、宙に舞い上がって集まった。
「下僕は王の元に戻ったようですね。あれぐらいの兵士如きではやはりあなた達は倒せませんか」
「!!」
ひかりはびっくりして声のした方向を見た。そこに立っていたのはボロを纏った人物。その顔はフードに隠れて見えなかったが、ひかりの知らない気配では無かった。
その背に広がる炎の翼。前に見た時よりもずっと小さくなっていたが、ひかりの知らない物では無かった。
あれほど苦戦した相手を忘れるはずがない。ひかりは声を押し殺して彼の名を呼んだ。
「お前は……フェニックス!!」
「ほう、まだ覚えていてくださったとは。あなたはもう私のことなんて忘れていたと思っていましたよ」
「あの時は宇宙にいて手出し出来なかったが、わざわざ俺に吹っ飛ばされるために降りてきてくれたんだな!」
狼牙が爪を光らせて飛びかかっていく。だが、フェニックスの姿は火の粉となって消滅し、狼牙の爪は空振ってしまった。火の粉が流れ、フェニックスの姿はまた別の場所に移動して出現した。
「勘違いしないでください。あの時のフルパワーだった私でも勝てなかった相手に、今やすっかりみすぼらしく弱体化させられてしまった私が敵うはずがないでしょう。戦う相手は別に用意させてもらいますよ」
「別に……?」
「そうです。この星の邪悪はこの星の邪悪に滅してもらいます。その時こそ私も星々の神々を満足させられる結果を出すことが出来るでしょう。どうかその時を楽しみに待っていてください」
フェニックスの姿が再び火の粉となって消える。今度は再び現れることは無かった。静かな夜風が吹く。
霧も戦いの終わりを感じ取ったのか、徐々に薄くなってきていた。人の活気も戻ってくる。いつまでもここにいるわけにはいかなかった。
「フェニックスは何をするつもりなのかしら」
「さあな。とりあえず学校の連中を野放しにしておくわけにはいくまい」
「俺も妹の面倒をみないとな。ひかり、また明日学校でな」
「うん、また」
辰也が飛び去り、紫門も去っていく。
「師匠かっこよかったです! あいつを倒せなかったのは残念ですが」
「狼牙君もかっこよかったよ。今日は手伝ってくれてありがとう」
「はい! お役に立てたなら光栄です!」
満面の笑みを残し、狼牙も走り去っていく。使い魔と二人残り、ひかりは足元の猫に声を掛けた。
「それじゃあ、クロ。わたし達も帰ろうか」
「ええ、ひかり様は明日も学校ですからね」
嫌な事を思い出させてくれる黒猫だった。
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