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第13話
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俺が『黒猫団』の拠点に戻ると、そこには大勢の人達が集まっていた。俺はその光景を見て唖然としていた。……一体何があったんだ? 俺がそのことに困惑していると、こちらに近づいてくる人物がいた。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
「……ん? ……えっと、君は誰だい?」
「申し遅れました。私の名前はクロと言います」
「そうか……。それで、どうして君がここにいるんだい?」
「はい、実は皆様にお願いがありまして」
「お願い?」
俺は首を傾げた。
「はい、そうです。実は私と一緒に王を倒してほしいと思っているんです」
「王を倒す?」
俺は予想外の発言に驚いてしまう。……王を倒すだって? そんなことがこんな戦いも知らなげな少女にできるはずないだろう。一体何を考えているんだ?
俺は彼女の意図を探るべく質問をすることにした。
「王を倒すというのは本気で言っているのか?」
「はい、本気ですよ」
……なるほど。どうやら冗談ではないようだな。だとしたら、何か目的があるはずだよな。とりあえず、詳しく話を聞かせてもらおうか。
「……一応確認しておくが、王を倒すということは国と戦うということか?」
「はい、そうです」
「それは無謀な挑戦だと思うが?」
「そうかもしれません。……しかし、それでも私たちは戦わなくてはならないんです」
「なぜそこまでして戦いたいと思うんだ?」
「この国の民を救う為です」
「この国に住む人々を助けることが戦う理由になるのか?」
「ええ、そうです」
「そうか……。だが、それでも俺は国を相手にするのは反対だ」
「そうですか……。残念ですが、仕方ありませんね」
彼女はそう言うと、ゆっくりと立ち上がった。そして、「それでは失礼します」と言って去っていった。
……それにしても意外だな。まさか、あんな少女まで国に逆らおうとするなんて……。
正直に言えば、とても驚いた。だが、それと同時に嬉しくもあった。なぜなら、俺と同じことを考えていた人物が他にもいたのだから……。
さて、これから忙しくなりそうだな。俺は覚悟を決めると、他のメンバー達と合流する為に歩き出した。
俺が仲間達の元に向かうと、彼らは既に集まっていた。そして、何故か全員が俺のことを見つめてきていた。
……えっ!? なにこれ怖いんですけど。俺は内心ビクビクしながらも、平静を装って口を開いた。
「皆さん、こんにちは」
「ああ、シン。戻ってきたんだな」
「おかえり!」
「お疲れさん!」
などという声が上がった後、俺達は話し合いを始めた。まず最初に決めたのは作戦の内容だった。
俺達が立てた計画はこうだ。まず初めに俺が単独で行動し、敵の注意を引きつける。そして、敵が俺に集中している間に他のメンバーが城内に侵入し、一気に制圧するというものだ。
「という訳で、俺が囮になって敵をひきつけます。その間に皆さんは侵入を試みてください」
「ちょっと待ってくれ。それなら俺も一緒に戦った方がいいんじゃないか?」
「いえ、それは危険です。今回は隠密性を重視していきたいと思っています」
「そうか……」
「はい。なので、皆さんにはサポートに徹してもらいます」
「……わかった。それで、いつ決行するんだ?」
「できれば早い方が良いと思います。……ただ、あまり急ぐと敵に感づかれる可能性がありますので慎重に動きたいですね」
「なら、明日の朝にしようぜ」
「そうですね。それがいいでしょう」
「よしっ! 決まりだな! それじゃあ、今日はゆっくり休んでくれ」
「わかりました。ありがとうございます」
俺はそう言うと、仲間たちに別れを告げて部屋へと戻った。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
「……ん? ……えっと、君は誰だい?」
「申し遅れました。私の名前はクロと言います」
「そうか……。それで、どうして君がここにいるんだい?」
「はい、実は皆様にお願いがありまして」
「お願い?」
俺は首を傾げた。
「はい、そうです。実は私と一緒に王を倒してほしいと思っているんです」
「王を倒す?」
俺は予想外の発言に驚いてしまう。……王を倒すだって? そんなことがこんな戦いも知らなげな少女にできるはずないだろう。一体何を考えているんだ?
俺は彼女の意図を探るべく質問をすることにした。
「王を倒すというのは本気で言っているのか?」
「はい、本気ですよ」
……なるほど。どうやら冗談ではないようだな。だとしたら、何か目的があるはずだよな。とりあえず、詳しく話を聞かせてもらおうか。
「……一応確認しておくが、王を倒すということは国と戦うということか?」
「はい、そうです」
「それは無謀な挑戦だと思うが?」
「そうかもしれません。……しかし、それでも私たちは戦わなくてはならないんです」
「なぜそこまでして戦いたいと思うんだ?」
「この国の民を救う為です」
「この国に住む人々を助けることが戦う理由になるのか?」
「ええ、そうです」
「そうか……。だが、それでも俺は国を相手にするのは反対だ」
「そうですか……。残念ですが、仕方ありませんね」
彼女はそう言うと、ゆっくりと立ち上がった。そして、「それでは失礼します」と言って去っていった。
……それにしても意外だな。まさか、あんな少女まで国に逆らおうとするなんて……。
正直に言えば、とても驚いた。だが、それと同時に嬉しくもあった。なぜなら、俺と同じことを考えていた人物が他にもいたのだから……。
さて、これから忙しくなりそうだな。俺は覚悟を決めると、他のメンバー達と合流する為に歩き出した。
俺が仲間達の元に向かうと、彼らは既に集まっていた。そして、何故か全員が俺のことを見つめてきていた。
……えっ!? なにこれ怖いんですけど。俺は内心ビクビクしながらも、平静を装って口を開いた。
「皆さん、こんにちは」
「ああ、シン。戻ってきたんだな」
「おかえり!」
「お疲れさん!」
などという声が上がった後、俺達は話し合いを始めた。まず最初に決めたのは作戦の内容だった。
俺達が立てた計画はこうだ。まず初めに俺が単独で行動し、敵の注意を引きつける。そして、敵が俺に集中している間に他のメンバーが城内に侵入し、一気に制圧するというものだ。
「という訳で、俺が囮になって敵をひきつけます。その間に皆さんは侵入を試みてください」
「ちょっと待ってくれ。それなら俺も一緒に戦った方がいいんじゃないか?」
「いえ、それは危険です。今回は隠密性を重視していきたいと思っています」
「そうか……」
「はい。なので、皆さんにはサポートに徹してもらいます」
「……わかった。それで、いつ決行するんだ?」
「できれば早い方が良いと思います。……ただ、あまり急ぐと敵に感づかれる可能性がありますので慎重に動きたいですね」
「なら、明日の朝にしようぜ」
「そうですね。それがいいでしょう」
「よしっ! 決まりだな! それじゃあ、今日はゆっくり休んでくれ」
「わかりました。ありがとうございます」
俺はそう言うと、仲間たちに別れを告げて部屋へと戻った。
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