【完結】煌花の花嫁

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夜千与の花(2)

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披露宴が終わり、夜千与は疲れ果ててフラフラしていた。
花婿である琥牙に先にホテルのスイートに行くように言われ、夜千与は素直に従った。
夜千与が結婚が決まり、兄と琥牙に会った日を入れて、琥牙に会ったのは今日で二回目だ。

けれど琥牙の事はとても良く知っていた。

自分が四条に襲われた日以来。
夜千与は四条と名乗っていた琥牙にいつか喰われるのではとずっと思っていた。


あの日、四条と言う名で鬼藤家に入り込んでいた琥牙は、誰から見ても鬼族の青年だった。

そんな四条は兄である志信の教育係として夜千与の前に現れた。
黒髪に金の瞳。見目が良い事もあり、鬼族の女達は彼を射止めようと躍起になったが、四条は綺麗に躱していた。

けれど、夜千与は四条から常に観察されている様な奇妙な違和感を覚え、四条を避ける様になっていた。

全寮制の女学校に入学したのだって、四条の視線から逃れられるならと思っての事だった。

けれど、いつまでも学生では居られず、夜千与は二十歳になり、女学校を卒業し、四条と再会した。
その晩、四条は目をギラつかせ夜千与の部屋にやって来ていきなり口付けをして来たのだ。
「くそっ!お前、一体なんだんだ!」などと悪態をつきながら。
流石に恐ろしさから夜千与は悲鳴をあげて琥牙の夜這いはあえなく失敗に終わり四条と名乗っていた琥牙は夜千与の前から姿を消した。

あの日、借金のカタに夜千与を白狼地の当主が待つマンションに連れて行った兄、志信がきっと一番驚いていたと思うが。
そう、四条と名乗り兄の教育係を経て側近としてその手腕を奮っていたやり手の男の正体は白狼地琥牙だったのだ。

そして夜千与は琥牙に言われるがまま、琥牙の妻となった。

カチャリと中に入り、世話係の加代さんにあれやこれやと世話を焼かれて夜千与はふかふかのベッドに寝かされた。

「どうぞ、お休み下さい」

「……あの、わたくし。先に眠てしまって良いのかしら?」

戸惑いながら夜千与が聞けば、加代は冷たく一瞥し「まさか、琥牙様が貴女を抱くと思っているのですか?」と不快そうに言って部屋を出ていってしまった。

加代は琥牙の幼なじみらしく、この度、配置換えで夜千与の世話係になったのだとか。

彼女は夜千与の世話係になった初日から夜千与を睨みつけていた。

琥牙の事が好きで、花嫁の世話係が嫌だったのかもしれないし、単に、出来損ないの鬼の娘の世話係が嫌なのかもしれない。
そう思っていたけれど、先程の台詞と、あの目付きで前者であると当たりをつけた。

けれど夜千与の世話は手を抜く事無くテキパキとやってくれている。だったら夜千与はそれが続く限りは放置する事にしていた。

しばらくすると夜千与はウトウトとしだし、どうせ自分はお飾りの妻にでもなるのだろうと、心地よい眠りの気配に誘われて、そっと目を閉じた。

「おい。ふざけてるのか?」
「あ、うっ………」
深夜、髪を鷲掴みにされた痛みと恐怖に夜千与は目を見開き。
いきなり塞がれた。

唇を貪るように舐められ、口内に入り込んだ太い舌に蹂躙する様に絡め吸われて恐怖も戸惑いもかき消された。

自分に口付けをする可能性のある、恐ろしい男の存在を思い出したのだ。
琥牙の荒々しい口付けは、お飾りの妻では無く、本当に抱くつもりなのだと感じさせる性的な口付けだった。

夜千与の夫となった琥牙は、馬鹿みたいに綺麗な顔をした男だ。

四条として鬼藤に居た時から彼は女に言い寄られていた。

たぶん、普通に出会っていれば自分に興味すら持たなかっただろうと思える程に女達は琥牙に夢中で。女に不自由する事も無い狼族のトップに立つ男だ。

借金のカタに買った女である夜千与を、この男がどう扱おうが許される。

だから、夜千与は自分が乱暴に抱かれるのだろうと、一応は覚悟をしていた。

「……ひっ」
「濡れてるな。悪くない」

ぬるりと男の指が夜千与の跨ぐらを撫でた。
早急に夜着と下着が剥ぎ取り、夜千与の足を開くとその間に陣取り、いやらしく笑って夜千与に触れてくる。

胸が揉まれ、座れ、夜千与が鳴くと琥牙は夜千与の唇を嬉しそうに舐めた。

それは長い愛撫の始まりだった。

余すこと無く琥牙は夜千与の身体を舐める。秘めた場所もいつの間にか舐めて吸われて、くちゅくちゅと音がして、滑りが良くなった箇所を、長く太い指が入り込み、夜千与の中を暴いて行く。

夜の営みとは、果たしてこれほど舐めるものなのか。

夜千与は答えの出ない疑問に意識を向けていた。そうしなければ、余所に向けていなければ、狂いそうだったのだ。

夜千与は今、初めて感じる快感に狼狽え、戸惑っていた。

けれど、ふと感じた痛みに顔を歪める。

それに気付いた男が獰猛に笑って「夜千与お嬢様。痛かったか?だか、直ぐに良くなる。お前の身体は快楽に弱いらしいな。」と四条の時の呼び方で夜千与を呼びからかってくる。

そして壮絶な色気を滲ませ、夜千与の耳に毒を流すのだ。
「ゆっくり、俺がお前に快楽を覚え込ませてやるよ」

「あっ、……っふぁ………んんっ」
はぁはぁと荒い息使いをしては琥牙に口を塞がれ舌を絡め、口内を舐め吸われる。
口付けに気を取られている隙に彼の手が夜千与に快楽を植え付けて行く。
ふっ、と琥牙の身体が下に下がり、夜千与は目を見開いた。
脚を開かれ、その間に琥牙の顔が埋まった。
食いつくように激しく舐めて噛まれて、夜千与は気を遣っては艶やかな声を震えながら上げ続けた。

「びしょびしょだな。どうだ?気持ちいいか?」
「ひっ、や………もぅ、やだぁ…ぁあん!ひぃあああ!?許して、も、や」
髪を振り乱しながら嫌々をする夜千与に琥牙はにんまりと人の悪い笑みを浮かべてじわじわと夜千与を追い詰める。
「ここ、クリトリスってとこ。お前、好きだろ?たっぷり可愛がってやるから。安心して果てろ」
ぐちゅ、と芽を潰し舐めしゃぶると指を中に挿入して、夜千与が快楽に震えて泣くのを琥牙は眺めていた。

「最高にエロいなお前」
琥牙は身を起こし、滾った自身を夜千与の芽を弄りながらゆっくり挿入して行く。
途中、つっかえながらも深く中に入れた途端に中が痙攣して、夜千与がまた果てたのだと理解して琥牙はくつくつと上機嫌で笑った。

けれど、琥牙が余裕だったのは、ここまでだった。
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