地味に転生していた少女は冒険者になり旅に出た

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水獣

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四階層、五階層と順調に攻略して私達は着実に魔法の何たるかを理解しつつある……はずも無く、特にユージン君は回復と治癒魔法はちゃんと使えるのだけど。
攻撃魔法は、かなりしょぼい魔法ばかりだった。
これにはマッシモさんが頭を抱えていたりする。ユージン君の魔力量ならかなりの攻撃魔法が撃てるはずだもんね。

魔法とはイメージだ。それを如何に具現化するか。如何に役立てるかを考えると上手くいくと今なら理解できる。

私のアドバンテージが前世に起因するなら、エタンのアドバンテージもきっと先祖返りが持つと言う世界の知識だろう。

私のイメージが前世に基づくとするなら、前世を思い出す前から私の奥底には前世の知識が眠った状態であったのかもしれない。

エタンの覚えの無い知識を元にした魔法などの話を聞きながらそう思った。

まだ孤児院で辛いばかりの訓練をしていたあの頃、まるで知らないはずのこのスキル《マシンガン》に随分助けられた。このスキルは産まれ持った固有スキルだ。スキルはみんな何かしらのスキルを持って産まれる。けれど人それぞれにスキルがあって。スキルに詳しいギルドの職員すら見たことも無いスキルがこの世界にはたくさんあると言っていた。
スキルは便利なものから戦闘特化のもの、その人の本質に基づくもの、様々だと言う。

ただスキルを意識し、戦う意思を持つだけで私の右手はマシンガンに変化する。私は土魔法特化なのかもしれない。

弾を作らなきゃと無意識に地に手を着いた。それだけで私は化合物を集め土から弾丸を作れると理解していたのだ。

更に大砲も作れると気付いたけれど。試し撃ちした事は無い。
だって、あの弾。禍々しいったらありゃしないのだ。

「なんだこれ。なんでこんなもんがこんな浅い階層にあるんだ?」
「なぁに?どうしたの?」

至宝のグローリーのリーダーである鎌鼬のイチイさんが赤い頭をガシガシ掻きながら眠そうな目を、目の前の石に向けていた。
ひょろ長い長身のイチイさんの腹程の高さの石塔らしき物体。

「俺こっち系パス!おい、マッシモ、古代魔法文字が読めちゃう様な頭脳系のやついる?」
「うちにはいないものね」
夜の蝶みたいな姐さんが猫のお姉さんに同意を求めると猫のお姉さんがガハハと笑って頷いた。
「うちにゃー、無理無理。」

どうやら何か文字を見つけたらしい。そんな中ミューさんがひょこっと至宝のグローリーのリーダー、イチイさんの横からキリッとした顔を出した。
「ちょっと見せて」
と言ってうーん、うーん、と唸っている。

「馬と……盾?なんだろコレ、わからないわ」

ミューさんがキリッとした顔で再度石塔を見たが瞬時に匙を投げるとチラリと至宝のグローリーのうさぎ獣人、チピィーさんを挑発する様に見た。

「私が解いてあげるわ!」
「「「「無理だろ(でしょ)」」」」
「……だろ」

まさかの仲間全員からの否定にうさぎさんが酷いわ!と泣き真似をしだした。


そんなやり取りを見ていたら隣にいたエタンの元にマッシモさんがやって来た。

「なぁ、あれ、エタンならわかるだろ?」

「………保証は出来ないが」

エタンの言葉にマッシモさんが「かまわん」と言って連れて行かれ…エタンに手を握られていた私は引き摺られて一緒に石塔の前に来てしまった。

黒っぽいツルリとした五角形の石だ。

石塔を覗き込むと『水獣を倒せば宝《水盾》を入手出来る。この宝を持ち襲いくる魔物を撃て』これってヒントかな?

ふぅーん。水獣って言う位だしやっぱり水の中に居るの?

「エタン、水の中で戦える?」
「…………ん?クリスいきなりどうした?」

エタンが頭を撫でてくる。私は石塔を指さした。

エタン、もしかして、全く石塔見てなかった?じゃあ今まで何を見てたんだ?

「……一番古い古代魔法文字か。なるほどな。水獣はたぶん水属性の魔獣だ。撃てって言う事は魔法攻撃が有効ってことか」
ブツブツと言ってエタンはマッシモさんに内容を伝えている。マッシモさんの方は物言いたげに私を見ていた。

「なんで、お前はそんな古い古代魔法文字を読めたんだ?ん?」
「……なんで?え?普通、読めないものなの?」
「あ、た、り、前ダローが!!」

マッシモさんがご乱心です!ヘルプミー!?

グリグリ攻撃が地味に痛かった。理不尽だ。ぐすん。


「よし、クリス君。ユージン君にちょっと土魔法をおしえてやれ。水属性の魔獣の弱点属性と言えば、土魔法だろ?因みに、水獣は水の中にいる物も居るが、これに記されてる水獣は馬らしいから陸で戦える。」

魔獣は弱点属性がある。魔物にもその考え方は有効だけど魔物は魔素と瘴気から生まれたものだから生態は様々で複雑だ。弱点属性の無い魔物もいる。

けれど魔素と瘴気に侵された獣などが魔獣になった物は元の獣の属性を継いでいる為弱点属性がある。

水獣はどうやら馬らしい。
一見、水色の美しい幻獣に見えるが、よく見れば目が赤く黒く澱んでいるんだとマッシモさんが教えてくれた。

「クリス君!土魔法、ご指導宜しくお願いします!」

切羽詰まった顔をしたユージン君はたぶん自分が危険に晒される度、カルテイラちゃんに助けられてる現状が堪らなく不甲斐ないと感じているのだろう。
なりふり構わずな様子に、これを断る事なんて無理だなと苦笑いして頷いた。

土魔法は一番初心者(ユージン君)向けでは無い。
水は動くし、火は爆発までならイメージできるけど土って地面のイメージが強いらしい。
想像力豊かな子は土魔法の方が遊び感覚で使える様になるみたいだけど。

私はアイテムボックス(空間魔法)から弾丸を取り出して地面の土も手で集めてユージン君に水を出してもらって土を捏ねて泥団子を作った。

「これを脳内でイメージしながら地面に手を着いて。地面が、土が、形を変えて動くんだって思いながら攻撃に自分で名前を付けて、んで地面に亀裂を入れながら魔力を押し込んでみて?爆発させるような感じで。」

ユージン君はぐぬぬと唸りながら「難しすぎる!!」と唸っていたけど、私が「『地爆破』」と言ってお手本を見せていたら「何となく掴めたかもしれない!」と目を閉じて彼はちょっと興奮気味に「やってみる」と言った。

「『土魔法、魔烈爆破』」

かなりの威力の魔法だった。地は割れ、光を纏う程の爆破が起こった。


この魔法により、どうやら水獣が動き出したとエタンがマッシモさんに伝えていた。
「ユージン君連れて実戦、行ってこい!」
と言うマッシモさんの言葉にやっぱりか。と私は頷いた。

エタンも一緒にユージン君を連れて私と至宝のグローリーのリーダー、イチイさんと回復も治癒も上位を使えるらしい、かなりの有名ヒーラーだったらしい白き牙のミューさんの五人でエタンが気配を見つけたと言った方向に向かっていた。

「なぁ、もしかして、クリス君も先祖返りだったり……しないなー。先祖返りの持つ魔力の色じゃないもんなー。魔力は普通の色だし、うーん」

話しかけてきたのはイチイさん。何やらブツブツと言い出して私は首を傾げた。

「エタンの魔力の色って、そんなに人と違うんですか?」
「ん?まぁ、エタンさんのは、こう、強力な力を持った怪しげな黄金の水に、美形に誑かされた精霊が与えた祝福の白い光を纏ってるような感じかな?」

「なんだそれは」

エタンが呆れたようにイチイさんを見た。

私は、若干イチイさんの言った事になるほどーと納得していた。











────────☆

実戦あるのみ。

に、抜けていた部分を見つけました。先程貼り付けましたのでご報告させていただきます。おや?至宝のグローリーにうさぎ居た?と思われた方いらっしゃったと思います。ご迷惑をおかけしました。
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