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クリスティナの魔力は一般的な魔法使いの三倍以上の量があった。
なので光属性を使って治癒をすると切り傷程度なら10人同時に治癒する事が可能だろう。
更に小さな精霊の力を借りれば、一度に倍、20人程の治癒が可能となる。
この時点でクリスティナは王宮医師団の上位治癒師に近い力を持っている事になる。
しかし、マーガレットの魔力量はクリスティナの半分の量しかない。けれど、中位の精霊の力を借りると言う偉業を成し遂げ、上位治癒士よりも多くの者を治癒する事が可能なのだ。
精霊は美しさや清廉なる心、前世の徳や血の盟約で人々にその力を借す事が出来る。
しかし精霊が力を貸すのはこの国では珍しい事だ。精霊の消えた国、などと言われる程、この国では中位は愚か下位の精霊すら滅多に見かけないのだから。
だからこそ、クリスティナはこの訓練所に通う様になって五年、ずっと人々からの称賛を受け、鼻高々に、下位にあたる小さな精霊から力を借りる許可を貰えた事を誇りに思っていた。
それなのに、なぜ。
あんな意地悪そうな女が、なぜ、中位の精霊から力を貸してもらってるのよ!
そう、マーガレットは多少高飛車な性格のクリスティナよりも更に高飛車で、かなり失礼な態度でクリスティナを馬鹿にする様な嫌な女だった。清廉な心など持ち合わせていない自覚のあるクリスティナだが、あのマーガレットよりはマシだろうと確信していた。マーガレットの笑顔は余りにも悪意に塗れている。
しかし、彼女が悪意を隠さないのはクリスティナにだけ。
彼女はその辺がかなり巧妙だった。
人前では、「クリスティナ様の患者様をわたくしが治癒した事、怒ってらっしゃるのですね。申し訳御座いません!でも、どうしても!クリスティナ様では治癒出来ずに帰される患者様達の事が気になってしまって…」と、しょんぼりと肩を落とし、悲しげな顔でクリスティナを見ていたが
「やはり、クリスティナ様よりも力の強いマーガレット様に仕事を取られるのが嫌だったんじゃないか?」「でも、だからって治癒もせずに患者を帰すなんて有り得ないわ。治癒出来なかったのならマーガレット様にお願いすれば良かったのに」
「ご自分の無能さを公にしたく無かったんじゃない?」
周囲がそう言うのを聞いてにんまり笑いそうになる唇を噛み締めて、マーガレットはクリスティナに一歩近づくとそっと耳打ちした。
「わたくしよりもたくさんの魔力量をお持ちだと豪語なさっていたのに。実際には、わたくしよりも劣る力しかお持ちでは無いなんて。
こんな方がマクシミリアン様の婚約者候補だなんて、彼が可哀想だわ」
そう言うと、さっと身を離した。そしてにっこり笑うその顔はまるで天使の様に可愛らしかった。
しかし、赤みの強い金髪と緑の瞳の天使の様に美しい女は、去り際に周囲には聞こえない小さな声で
「大したことないくせに、マクシミリアン様に近付かないで。近づいたら許さないから」
そう言うと闇魔法で攻撃を仕掛けて来た。
ジュっ、と不気味な音がした。見ればスカートの端が溶けている。
驚くことにマーガレットは酸を出す小さな魔物を自分の影から出したのだ。
有り得ない。いくら全良とはかけ離れたクリスティナでもやっていい事と悪い事の区別くらいはつく。
魔物を、しかも闇魔法を使い人を攻撃するなど言語道断。クリスティナはこの女は決して許すことの出来ない人種(敵)だと肌で感じていた。
「…マーガレット様!こんな事が許されると思ってるの?魔物をけしかけ、闇魔法で人を攻撃するなんて、あってはならない事よ。そもそも、闇魔法を使う事は魔法違反なのよ!」
「あらやだ。酷い言いがかりですわ。
わたくしが魔物をけしかけたり、闇魔法を使った証拠でもあるの?あぁ、そう言えば…わたくしがマクシミリアン様と、二人で、お茶をした事が許せないと前に仰ってましたよね?」
「今はそんな事関係無いわ!!」
「図星だからそんなに声を荒らげるのね?言い掛かりだわ。酷い」
そう言って涙を浮かべるマーガレットは頼りなげで、捨てられた子犬のようだ。
大人しそうな外見のマーガレットは、しかし、性格が悪い、誰かそれを知る、もしくは信じてくれる様な味方はいないかと周囲を見れば、マクシミリアンがクリスティナを睨んでいた。
それに気付いたマーガレットは、さも私怖いわとマクシミリアンをチラチラ見ている。
マクシミリアンがマーガレットの元へ行き、何やら2人で話をしている。
それを見たクリスティナは悔しがり、内心地団駄を踏んだ。
しかし、周囲の視線は明らかにクリスティナに対して厳しく、明らかな劣勢を物語っていた。
誰もマーガレットの本性に気付いてないのだ。
結局この日はマーガレットを保護する様にマクシミリアンが彼女を連れて何処かに行ってしまい。クリスティナは周囲からヒソヒソと非難がましい眼差しを受けクリスティナは悔しくて悲しくて半泣きで自室に戻った。
絶対にマーガレットが嘘八百をマクシミリアンに吹き込んだんだと、クリスティナはベッドでひとり、悔し涙を流しながらふて寝した。
この日以降、マクシミリアンがクリスティナを見る眼差しが日に日に鋭くなって行く事になり、クリスティナは焦っていた。
「…何をしている」
「マクシミリアン様!あっ、申し訳ございません。ヴィスカルディ様」
いきなり背後に現れたマクシミリアンにクリスティナは咄嗟にいつも脳内で呼んでいたファーストネームが出てしまい、以前それを不快に思われ馴れ馴れしいと言われた事を思い出し、慌てて謝罪し訂正した。
クリスティナの瞳が不安に揺れる。それを見たマクシミリアンは苦い顔をし、目を逸らした。
「…別に、呼びたいなら、名を呼んでも構わない」
渋々ではあるがマクシミリアンに名前呼びを許されたクリスティナは目をぱちくりと瞬いた。
次第に言われた言葉を理解し、マクシミリアンを怖々と見上げた。
「そんな事より、ソレだ。何があった」
マクシミリアンがソレと言って指差したのは弱った子ヤギの足だ。
「この子、水溜まりに滑ってしまって。そちらの柵に激突してしまいましたの」
きょとん、とした顔をしていたヤギ。
クリスティナはその光景を思い出した為堪えきれずに口元を緩めた。
「…まさか、お前がその子ヤギを治癒しているのか。しかも、ここは」
クリスティナは首を傾げマクシミリアンを見上げる。彼は訳が分からないと言いたげにクリスティナを見た。
「この孤児院はわたくしの母の持つ領地の孤児院なのです」
「…それくらい知っている」
えっ?とクリスティナは驚いたが、知っていると言うなら、なぜ不思議そうな顔をするのだろうと思った。
けれど、よく分からないが更になぜお前がここにいるのだと言いたげにマクシミリアンから睨まれ、話を続けた。
「この孤児院を訪問するのは今のわたくしが唯一出来る貴族の義務です。
母がいつも言うんです。貴族が持つ強大な力は、国の為に使うものなのだと。
国を、この国に暮らす民を守る事が貴族である者の務めだと。
でも、わたくしはまだまだ未熟者です。そんなわたくしが許される行動範囲はこの孤児院までなので」
「では、ここに初めて訪れた訳では無いと言うのか…」
マクシミリアンが眉を寄せると彼の後ろに居てこちらを心配そうに見守っていたシスターと院長がなぜか胸を張り、私を見て頷いた。そしてマクシミリアンに礼をとり、差し出口を謝罪しつつも口を挟んで来た。
「クリスティナ様の様にここまで親身になって子供達やわたくし共の力になろうとしてくださる方は珍しいんですよ」
「クリスティナ様は、ふふっ…あ、失礼致しました!クリスティナ様はなんでも一生懸命で、子供たちに対してもとてもお優しいですよ」
院長やシスターの言葉にマクシミリアンは盛大に眉を寄せる。
それを見てクリスティナは勿論、院長やシスターもなぜそんな反応をするのだろうと、不思議そうにマクシミリアンを見た。
「…優しい?そんな…いや、クリスティナ嬢はここでいつも何をしている?」
マクシミリアンが朗らかに笑うシスターを見た。
「そうですね。えっと、初めて訪れてくださったのは三年ほど前になります。決して子供達の前では偉ぶらず将来何になりたいかは置いて置いて、ひとまず計算の仕方文字の読み書きを覚えましょうって仰って。
それからは、みんなが勉強出来るようにと魔法板を山のように寄付して下さいまして。それ以降月に一度は来てくださいますし、子供たちに読み聞かせや計算方法を教えて下さったり。他にも、治癒や植物の成長促進をして下さったり…」
長い、シスターロラのクリスティナ語りが終わらない。
既にシスターロラに話しを聞いてしまった事に後悔しだしたのかマクシミリアンの顔色がすこぶる悪い。
クリスティナはハラハラしながらシスターロラに「も、もうその辺で、余りにもわたくしを褒めすぎだわ!」と真っ赤になって止めに入った。
その後マクシミリアンはヨロヨロと孤児院を出ていったが。
あれ以来、なぜか度々マクシミリアンに会う。そしてマクシミリアンがなぜかとても不自然なくらい優しい。
単純思考のクリスティナはそれ以降、マーガレットに会っても、わたくしよりも劣るくせにと聞こえよがしの陰口を浴びてもスルー出来るようになった。
周囲にも穏やかな笑顔で接する事が増えたからか、友人と呼べる者達に囲まれる様になった。
魔力も安定し、効果が上がって来た事に喜び、マクシミリアンからもぼそりと褒められる様になってきた頃。
それは起こった。
なので光属性を使って治癒をすると切り傷程度なら10人同時に治癒する事が可能だろう。
更に小さな精霊の力を借りれば、一度に倍、20人程の治癒が可能となる。
この時点でクリスティナは王宮医師団の上位治癒師に近い力を持っている事になる。
しかし、マーガレットの魔力量はクリスティナの半分の量しかない。けれど、中位の精霊の力を借りると言う偉業を成し遂げ、上位治癒士よりも多くの者を治癒する事が可能なのだ。
精霊は美しさや清廉なる心、前世の徳や血の盟約で人々にその力を借す事が出来る。
しかし精霊が力を貸すのはこの国では珍しい事だ。精霊の消えた国、などと言われる程、この国では中位は愚か下位の精霊すら滅多に見かけないのだから。
だからこそ、クリスティナはこの訓練所に通う様になって五年、ずっと人々からの称賛を受け、鼻高々に、下位にあたる小さな精霊から力を借りる許可を貰えた事を誇りに思っていた。
それなのに、なぜ。
あんな意地悪そうな女が、なぜ、中位の精霊から力を貸してもらってるのよ!
そう、マーガレットは多少高飛車な性格のクリスティナよりも更に高飛車で、かなり失礼な態度でクリスティナを馬鹿にする様な嫌な女だった。清廉な心など持ち合わせていない自覚のあるクリスティナだが、あのマーガレットよりはマシだろうと確信していた。マーガレットの笑顔は余りにも悪意に塗れている。
しかし、彼女が悪意を隠さないのはクリスティナにだけ。
彼女はその辺がかなり巧妙だった。
人前では、「クリスティナ様の患者様をわたくしが治癒した事、怒ってらっしゃるのですね。申し訳御座いません!でも、どうしても!クリスティナ様では治癒出来ずに帰される患者様達の事が気になってしまって…」と、しょんぼりと肩を落とし、悲しげな顔でクリスティナを見ていたが
「やはり、クリスティナ様よりも力の強いマーガレット様に仕事を取られるのが嫌だったんじゃないか?」「でも、だからって治癒もせずに患者を帰すなんて有り得ないわ。治癒出来なかったのならマーガレット様にお願いすれば良かったのに」
「ご自分の無能さを公にしたく無かったんじゃない?」
周囲がそう言うのを聞いてにんまり笑いそうになる唇を噛み締めて、マーガレットはクリスティナに一歩近づくとそっと耳打ちした。
「わたくしよりもたくさんの魔力量をお持ちだと豪語なさっていたのに。実際には、わたくしよりも劣る力しかお持ちでは無いなんて。
こんな方がマクシミリアン様の婚約者候補だなんて、彼が可哀想だわ」
そう言うと、さっと身を離した。そしてにっこり笑うその顔はまるで天使の様に可愛らしかった。
しかし、赤みの強い金髪と緑の瞳の天使の様に美しい女は、去り際に周囲には聞こえない小さな声で
「大したことないくせに、マクシミリアン様に近付かないで。近づいたら許さないから」
そう言うと闇魔法で攻撃を仕掛けて来た。
ジュっ、と不気味な音がした。見ればスカートの端が溶けている。
驚くことにマーガレットは酸を出す小さな魔物を自分の影から出したのだ。
有り得ない。いくら全良とはかけ離れたクリスティナでもやっていい事と悪い事の区別くらいはつく。
魔物を、しかも闇魔法を使い人を攻撃するなど言語道断。クリスティナはこの女は決して許すことの出来ない人種(敵)だと肌で感じていた。
「…マーガレット様!こんな事が許されると思ってるの?魔物をけしかけ、闇魔法で人を攻撃するなんて、あってはならない事よ。そもそも、闇魔法を使う事は魔法違反なのよ!」
「あらやだ。酷い言いがかりですわ。
わたくしが魔物をけしかけたり、闇魔法を使った証拠でもあるの?あぁ、そう言えば…わたくしがマクシミリアン様と、二人で、お茶をした事が許せないと前に仰ってましたよね?」
「今はそんな事関係無いわ!!」
「図星だからそんなに声を荒らげるのね?言い掛かりだわ。酷い」
そう言って涙を浮かべるマーガレットは頼りなげで、捨てられた子犬のようだ。
大人しそうな外見のマーガレットは、しかし、性格が悪い、誰かそれを知る、もしくは信じてくれる様な味方はいないかと周囲を見れば、マクシミリアンがクリスティナを睨んでいた。
それに気付いたマーガレットは、さも私怖いわとマクシミリアンをチラチラ見ている。
マクシミリアンがマーガレットの元へ行き、何やら2人で話をしている。
それを見たクリスティナは悔しがり、内心地団駄を踏んだ。
しかし、周囲の視線は明らかにクリスティナに対して厳しく、明らかな劣勢を物語っていた。
誰もマーガレットの本性に気付いてないのだ。
結局この日はマーガレットを保護する様にマクシミリアンが彼女を連れて何処かに行ってしまい。クリスティナは周囲からヒソヒソと非難がましい眼差しを受けクリスティナは悔しくて悲しくて半泣きで自室に戻った。
絶対にマーガレットが嘘八百をマクシミリアンに吹き込んだんだと、クリスティナはベッドでひとり、悔し涙を流しながらふて寝した。
この日以降、マクシミリアンがクリスティナを見る眼差しが日に日に鋭くなって行く事になり、クリスティナは焦っていた。
「…何をしている」
「マクシミリアン様!あっ、申し訳ございません。ヴィスカルディ様」
いきなり背後に現れたマクシミリアンにクリスティナは咄嗟にいつも脳内で呼んでいたファーストネームが出てしまい、以前それを不快に思われ馴れ馴れしいと言われた事を思い出し、慌てて謝罪し訂正した。
クリスティナの瞳が不安に揺れる。それを見たマクシミリアンは苦い顔をし、目を逸らした。
「…別に、呼びたいなら、名を呼んでも構わない」
渋々ではあるがマクシミリアンに名前呼びを許されたクリスティナは目をぱちくりと瞬いた。
次第に言われた言葉を理解し、マクシミリアンを怖々と見上げた。
「そんな事より、ソレだ。何があった」
マクシミリアンがソレと言って指差したのは弱った子ヤギの足だ。
「この子、水溜まりに滑ってしまって。そちらの柵に激突してしまいましたの」
きょとん、とした顔をしていたヤギ。
クリスティナはその光景を思い出した為堪えきれずに口元を緩めた。
「…まさか、お前がその子ヤギを治癒しているのか。しかも、ここは」
クリスティナは首を傾げマクシミリアンを見上げる。彼は訳が分からないと言いたげにクリスティナを見た。
「この孤児院はわたくしの母の持つ領地の孤児院なのです」
「…それくらい知っている」
えっ?とクリスティナは驚いたが、知っていると言うなら、なぜ不思議そうな顔をするのだろうと思った。
けれど、よく分からないが更になぜお前がここにいるのだと言いたげにマクシミリアンから睨まれ、話を続けた。
「この孤児院を訪問するのは今のわたくしが唯一出来る貴族の義務です。
母がいつも言うんです。貴族が持つ強大な力は、国の為に使うものなのだと。
国を、この国に暮らす民を守る事が貴族である者の務めだと。
でも、わたくしはまだまだ未熟者です。そんなわたくしが許される行動範囲はこの孤児院までなので」
「では、ここに初めて訪れた訳では無いと言うのか…」
マクシミリアンが眉を寄せると彼の後ろに居てこちらを心配そうに見守っていたシスターと院長がなぜか胸を張り、私を見て頷いた。そしてマクシミリアンに礼をとり、差し出口を謝罪しつつも口を挟んで来た。
「クリスティナ様の様にここまで親身になって子供達やわたくし共の力になろうとしてくださる方は珍しいんですよ」
「クリスティナ様は、ふふっ…あ、失礼致しました!クリスティナ様はなんでも一生懸命で、子供たちに対してもとてもお優しいですよ」
院長やシスターの言葉にマクシミリアンは盛大に眉を寄せる。
それを見てクリスティナは勿論、院長やシスターもなぜそんな反応をするのだろうと、不思議そうにマクシミリアンを見た。
「…優しい?そんな…いや、クリスティナ嬢はここでいつも何をしている?」
マクシミリアンが朗らかに笑うシスターを見た。
「そうですね。えっと、初めて訪れてくださったのは三年ほど前になります。決して子供達の前では偉ぶらず将来何になりたいかは置いて置いて、ひとまず計算の仕方文字の読み書きを覚えましょうって仰って。
それからは、みんなが勉強出来るようにと魔法板を山のように寄付して下さいまして。それ以降月に一度は来てくださいますし、子供たちに読み聞かせや計算方法を教えて下さったり。他にも、治癒や植物の成長促進をして下さったり…」
長い、シスターロラのクリスティナ語りが終わらない。
既にシスターロラに話しを聞いてしまった事に後悔しだしたのかマクシミリアンの顔色がすこぶる悪い。
クリスティナはハラハラしながらシスターロラに「も、もうその辺で、余りにもわたくしを褒めすぎだわ!」と真っ赤になって止めに入った。
その後マクシミリアンはヨロヨロと孤児院を出ていったが。
あれ以来、なぜか度々マクシミリアンに会う。そしてマクシミリアンがなぜかとても不自然なくらい優しい。
単純思考のクリスティナはそれ以降、マーガレットに会っても、わたくしよりも劣るくせにと聞こえよがしの陰口を浴びてもスルー出来るようになった。
周囲にも穏やかな笑顔で接する事が増えたからか、友人と呼べる者達に囲まれる様になった。
魔力も安定し、効果が上がって来た事に喜び、マクシミリアンからもぼそりと褒められる様になってきた頃。
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