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聖女もどき
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勇者軍の援軍に加わって半月。
この頃になると初恋に盲目的なっていたベラの前で勇者に対する愚痴を口にしても、ベラが口煩く注意して来る事は無くなった。
むしろ…
「……まただわ…」
ベラの蔑む眼差しを辿れば、焚き火する野営地の片隅で聖女と呼ばれている女性、カトリーヌと抱き合う勇者ヴァランタンの姿があった。
そんな聖女カトリーヌはほくそ笑んでベラを見ている。ちょっと乳をはみ出させているのがポイントだろう。勇者辛抱たまらん!って顔がやばい事になっている。
よく見て聖女さん、それ(勇者)たんなるすけべ野郎にしか見えませんよ?と言ってやりたい。
この聖女、冒険者パーティの女性をいつも嘲る様に見ては聖女は大変なのだと嘯くのだ。最近は美しいベラの評判が耳に入ったのか、気に食わないと言わんばかりの顔でわざわざCランク冒険者が雑魚寝する様な場所にまで足を延ばす。
「あなた達、女のくせに冒険者なんてやってますの?まぁ、やだわ、野蛮ね」
なんていつも言ってくる聖女は毎回違うドレスを着ており、侍女から聞き出した所、この勇者軍の中で一時期『この荷馬車ってなんの為にあるんだろうね』なんて話題になった一度も荷降ろしする所を見たことが無い荷馬車があったのだが。
どうやらあの荷馬車の中身はカトリーヌの衣装だったようだ。いや、必要無いよね?と思ったのはアユミだけでは無いはずだ。
兵士の話から彼女がリュンソレイユ王国の王妃様の姪っ子であり、伯爵家の有名な我儘令嬢である事と、ヴァランタンを追いかけて来たらしい事は分かったけれど、なぜ聖女と呼ばれているかは不明だ。
彼女には治癒力を活性化する魔法の才能があって、更に体力を回復する魔法の才能も持っているとは聞いたが、その位の魔法なら、ベラをはじめとした他の国から参加している冒険者の中にもチラホラ光属性を使える者が居て、彼ら曰く、訓練次第で誰でも使える、と言っていた。
(どうやらリュんなんちゃら王国には光属性持ちが極端に少ないみたいなんだよね)
そんな聖女様は、王侯貴族ではない者達には人権は無いと言う考えの方の様で、特に同姓に対してとても口煩いし、当たりがキツイ。
少しでも機嫌を損ねると本気で無礼討ちにされてしまうのだとか。
ベラに対しても何かとイチャモンを付けに来る。その度にベラに治癒を施して貰った騎士や兵士達が間に入ってくれる為、聖女の苛立ちは更に募っている事が窺える。
おかげで聖女が乗る馬車付近に配置された冒険者達は女性の冒険者を全て下方に避難させていた。
魔物と討伐中も移動中も聖女は、アユミ達が必死こいて魔獣や魔物達と戦い、倒しまくってる間に、勇者ヴァランタンとイチャイチャしまくって、気付けば二人で食っちゃ寝、イチャイチャ、食っちゃ寝、イチャイチャのルーティーン。
そんな訳で、なんだか勇者も聖女も、最近ちょっとぽっちゃりしてきている気がしないか?え?まさか妊娠させて無いよな?なんてひそひそ話もけっこう耳にする。
勇者だと言うヴァランタンは常に馬車に乗っているし、訓練も鍛錬も何にもしない。元々、彼に戦う為の筋肉なんて付いてなかったけど。
おかげで、彼のステータスは上がること無く、現在、必死に討伐して回っていた下っ端の兵士や、使い捨てにするつもりだった下っ端冒険者達のステータスが着実に上がっている。
そして、この勇者軍を実質的に指揮している指揮官補佐のディゲルって騎士に至っては目の下のクマと共に強い魔物とエンカウントする度、ステータスは爆上がりだ。
たぶんこの人はアユミを率いているでっかい集団のボスはコイツだと、アユミが無意識に認識してしまっているからだろう。
指揮官と言う名前だけの男、勇者ヴァランタンは指揮官補佐のバルディとやらに偉そうに指示を出してはいるが、どうなんだろう。アレだけ射殺しそうな眼差しを向けられて気付かないとか。
ディゲルの目の下のクマが険しさを増している。そのうちバルディに殺されるんじゃないかな?とアユミはウキウキしていつも注視していた。
だって、このまま突き進むと間違いなく、雑魚に軽く殴られ、大怪我を負う勇者の出来上がりだ。
補佐官の騎士に殴られでもしたら確実に首がもげること請け合いだ。直行でお陀仏になるだろう。
そんな勇者は現在、呑気に鼻の下を伸ばし、イチャイチャの真っ最中だった。
くすくす笑う聖女カトリーヌの声と、胸を揉み揉み、睦言を囁く勇者ヴァランタン。
戯れにヴァランタンがカトリーヌの首に口付け、お返しとばかりにヴァランタンの頬や首をほっそりとした聖女の手が這う。
(キャッキャウフフと楽しそうでなによりだな。けっ。)
「勇者さぁ、最近、阿呆面が更に悪化したな。」
モルの言葉にアランが苦笑いする。
「最近、僕は人に対しても鑑定を使える様になったんだけど。彼はリュンソレイユの王太子であって、勇者では無いのかもしれない。」
そう言ったアランの目がチラリとアユミを見た。
きっと彼の鑑定魔法をもってしてもアユミを視る事が出来なかったのだろう。
けれどアユミは素知らぬ顔で「勇者気取りの王太子様はなんだってこんな事やってんのかね」と疑問を口にする。
アランはまた苦笑いして「リュンソレイユの王太子殿下は確か側室のお妃様のお子だったかな?側室様は子爵家の出だったから、後ろ盾が無い。と言う事だから、王太子の座を揺るがすことの無い名声欲しさに、ってとこかな?」と答えた。
そして、いたたまれない顔でアランは続ける。「ついでに、彼にはおかしな称号が付いているんだ。『勇者気取り』って……」
モルがぷッ、と吹き出し、ベラは呆れた顔を勇者ヴァランタンに向け、アユミはアランの鑑定能力の高さに驚いてアランを見ていた。
「ついでに、勇者気取りの殿下のお隣は『聖女もどき』みたいだね」
「なんだって!?じゃあ、やっぱりあの聖女も偽物だったってことかぁ」
モルが楽しそうに笑いながら言う。
「もちろん偽物に決まってるわ!アレが聖女のはずがないもの!私は以前からアレは偽物で、所謂自称聖女なのだと、そう思ってましたから!」
ベラの方は、何を当たり前のことを!と言わんばかりの顔である。
(目がマジだよ、ベラ。よっぽどムカついてたんだね。って、まぁ、そりゃそうだよね。アレが聖女だったら光属性持ちの治癒師はみんな聖女か聖人になっちゃうもんね)
聖女様が同行していると言う噂を聞いた人々が勇者軍が街や村につくと、我先にと聖女の癒しを求めて殺到した。
けれど、聖女の癒しは一般人には施せない……と、どんな人であろうと、どれほど深刻な病であろうと、聖女が人々の前に姿を現すことは無かった。
聖女付きの護衛曰く
「魔物や魔獣との壮絶な戦いに傷ついた勇者軍の皆様を常に癒し続けている聖女カトリーヌ様には休息が必要なのです!皆様、何卒ご理解頂きたい!」
と言うことらしい。
『いや、誰のことだよ!』とアユミは脳内でツッコんだ。
その話を聞いていた兵士や冒険者達の心はあの瞬間、ひとつとなった。『嘘つけこの野郎!』と。
「でも、聖女もどきって、治癒能力はあるんだよね?」
モルが心底不思議そうに、首を傾げた。
なぜパフォーマンスが好きな貴族娘が人々の前で自分の力を隠すのか理解できないと言いたいのだろう。
「使える治癒能力はかなり低いと思うよ?初級くらいは辛うじて使えるようだけど。余り得意じゃ無いみたいだね。
高位貴族の子弟らしい騎士を治癒する時も補助だと言って光属性持ちの冒険者達を侍らせて一緒に治癒するって誤魔化してはいたけど。
彼女から魔力の放出は感じられなかった。
まぁ、使ってもあれじゃあ、うっすらしか治らないだろうし、体力が皆無ならMPも比例してかなり低いだろうから。
そんな貴族の令嬢が魔力を使えば、たぶん………」
「……あぁ、ゲロっちゃうって訳か」
言いずらそうに、尻すぼみになるアランに私は頷いて口を開いた。
きっとMPが初期から成長していないんだろう。
基準値は平民よりも貴族の方が高いかもしれないけど、HPと違ってMPは鍛えなければ伸びない。脳筋な神様が創ったこの世界の場合、魔法を使うと物凄く体力が必要になる。
ついでに魔力があまり無い初期段階で魔法の訓練をすると必ず、気持ち悪くなって吐く。これは避けて通れない魔法を使う為の通過儀礼なのだけど。
貴族の令嬢はあまり体力も無いし、履いてまで魔法を使おうとは思わないらしい。
だから、使える力、土台は有るけど使えない。使わないのが普通と言う。
それを聞いた時は、なんて勿体ない!とアユミは眉間に皺を寄せた。アユミなんて、ゲロゲロ吐きながら魔法だ、魔法だ!とかなり喜んでいたのに。
この世界は神様が脳筋過ぎる為、練習したり、訓練したりして、ちゃんと必死に鍛えて自らが頑張らなきゃ数値はピクリとも上がらない。
そんな訳で、あの聖女もどきは努力とかやらなそうだし、全くMP値が上がっていないんだろう。
その状態で結構なMPを消費する治癒魔法を使えば、即座にMPの枯渇に繋がり、気持ち悪くなるし、嘔吐もする。
そんな事になる(ゲロっちゃう)のがわかっていて他人を助けてあげようとか、自己犠牲の精神を持って居るようにはとても見えない。
アユミだって、知らない人の為に何かしてあげたいなんて全く思っていないからまぁ、人のことは言えないけど。
この頃になると初恋に盲目的なっていたベラの前で勇者に対する愚痴を口にしても、ベラが口煩く注意して来る事は無くなった。
むしろ…
「……まただわ…」
ベラの蔑む眼差しを辿れば、焚き火する野営地の片隅で聖女と呼ばれている女性、カトリーヌと抱き合う勇者ヴァランタンの姿があった。
そんな聖女カトリーヌはほくそ笑んでベラを見ている。ちょっと乳をはみ出させているのがポイントだろう。勇者辛抱たまらん!って顔がやばい事になっている。
よく見て聖女さん、それ(勇者)たんなるすけべ野郎にしか見えませんよ?と言ってやりたい。
この聖女、冒険者パーティの女性をいつも嘲る様に見ては聖女は大変なのだと嘯くのだ。最近は美しいベラの評判が耳に入ったのか、気に食わないと言わんばかりの顔でわざわざCランク冒険者が雑魚寝する様な場所にまで足を延ばす。
「あなた達、女のくせに冒険者なんてやってますの?まぁ、やだわ、野蛮ね」
なんていつも言ってくる聖女は毎回違うドレスを着ており、侍女から聞き出した所、この勇者軍の中で一時期『この荷馬車ってなんの為にあるんだろうね』なんて話題になった一度も荷降ろしする所を見たことが無い荷馬車があったのだが。
どうやらあの荷馬車の中身はカトリーヌの衣装だったようだ。いや、必要無いよね?と思ったのはアユミだけでは無いはずだ。
兵士の話から彼女がリュンソレイユ王国の王妃様の姪っ子であり、伯爵家の有名な我儘令嬢である事と、ヴァランタンを追いかけて来たらしい事は分かったけれど、なぜ聖女と呼ばれているかは不明だ。
彼女には治癒力を活性化する魔法の才能があって、更に体力を回復する魔法の才能も持っているとは聞いたが、その位の魔法なら、ベラをはじめとした他の国から参加している冒険者の中にもチラホラ光属性を使える者が居て、彼ら曰く、訓練次第で誰でも使える、と言っていた。
(どうやらリュんなんちゃら王国には光属性持ちが極端に少ないみたいなんだよね)
そんな聖女様は、王侯貴族ではない者達には人権は無いと言う考えの方の様で、特に同姓に対してとても口煩いし、当たりがキツイ。
少しでも機嫌を損ねると本気で無礼討ちにされてしまうのだとか。
ベラに対しても何かとイチャモンを付けに来る。その度にベラに治癒を施して貰った騎士や兵士達が間に入ってくれる為、聖女の苛立ちは更に募っている事が窺える。
おかげで聖女が乗る馬車付近に配置された冒険者達は女性の冒険者を全て下方に避難させていた。
魔物と討伐中も移動中も聖女は、アユミ達が必死こいて魔獣や魔物達と戦い、倒しまくってる間に、勇者ヴァランタンとイチャイチャしまくって、気付けば二人で食っちゃ寝、イチャイチャ、食っちゃ寝、イチャイチャのルーティーン。
そんな訳で、なんだか勇者も聖女も、最近ちょっとぽっちゃりしてきている気がしないか?え?まさか妊娠させて無いよな?なんてひそひそ話もけっこう耳にする。
勇者だと言うヴァランタンは常に馬車に乗っているし、訓練も鍛錬も何にもしない。元々、彼に戦う為の筋肉なんて付いてなかったけど。
おかげで、彼のステータスは上がること無く、現在、必死に討伐して回っていた下っ端の兵士や、使い捨てにするつもりだった下っ端冒険者達のステータスが着実に上がっている。
そして、この勇者軍を実質的に指揮している指揮官補佐のディゲルって騎士に至っては目の下のクマと共に強い魔物とエンカウントする度、ステータスは爆上がりだ。
たぶんこの人はアユミを率いているでっかい集団のボスはコイツだと、アユミが無意識に認識してしまっているからだろう。
指揮官と言う名前だけの男、勇者ヴァランタンは指揮官補佐のバルディとやらに偉そうに指示を出してはいるが、どうなんだろう。アレだけ射殺しそうな眼差しを向けられて気付かないとか。
ディゲルの目の下のクマが険しさを増している。そのうちバルディに殺されるんじゃないかな?とアユミはウキウキしていつも注視していた。
だって、このまま突き進むと間違いなく、雑魚に軽く殴られ、大怪我を負う勇者の出来上がりだ。
補佐官の騎士に殴られでもしたら確実に首がもげること請け合いだ。直行でお陀仏になるだろう。
そんな勇者は現在、呑気に鼻の下を伸ばし、イチャイチャの真っ最中だった。
くすくす笑う聖女カトリーヌの声と、胸を揉み揉み、睦言を囁く勇者ヴァランタン。
戯れにヴァランタンがカトリーヌの首に口付け、お返しとばかりにヴァランタンの頬や首をほっそりとした聖女の手が這う。
(キャッキャウフフと楽しそうでなによりだな。けっ。)
「勇者さぁ、最近、阿呆面が更に悪化したな。」
モルの言葉にアランが苦笑いする。
「最近、僕は人に対しても鑑定を使える様になったんだけど。彼はリュンソレイユの王太子であって、勇者では無いのかもしれない。」
そう言ったアランの目がチラリとアユミを見た。
きっと彼の鑑定魔法をもってしてもアユミを視る事が出来なかったのだろう。
けれどアユミは素知らぬ顔で「勇者気取りの王太子様はなんだってこんな事やってんのかね」と疑問を口にする。
アランはまた苦笑いして「リュンソレイユの王太子殿下は確か側室のお妃様のお子だったかな?側室様は子爵家の出だったから、後ろ盾が無い。と言う事だから、王太子の座を揺るがすことの無い名声欲しさに、ってとこかな?」と答えた。
そして、いたたまれない顔でアランは続ける。「ついでに、彼にはおかしな称号が付いているんだ。『勇者気取り』って……」
モルがぷッ、と吹き出し、ベラは呆れた顔を勇者ヴァランタンに向け、アユミはアランの鑑定能力の高さに驚いてアランを見ていた。
「ついでに、勇者気取りの殿下のお隣は『聖女もどき』みたいだね」
「なんだって!?じゃあ、やっぱりあの聖女も偽物だったってことかぁ」
モルが楽しそうに笑いながら言う。
「もちろん偽物に決まってるわ!アレが聖女のはずがないもの!私は以前からアレは偽物で、所謂自称聖女なのだと、そう思ってましたから!」
ベラの方は、何を当たり前のことを!と言わんばかりの顔である。
(目がマジだよ、ベラ。よっぽどムカついてたんだね。って、まぁ、そりゃそうだよね。アレが聖女だったら光属性持ちの治癒師はみんな聖女か聖人になっちゃうもんね)
聖女様が同行していると言う噂を聞いた人々が勇者軍が街や村につくと、我先にと聖女の癒しを求めて殺到した。
けれど、聖女の癒しは一般人には施せない……と、どんな人であろうと、どれほど深刻な病であろうと、聖女が人々の前に姿を現すことは無かった。
聖女付きの護衛曰く
「魔物や魔獣との壮絶な戦いに傷ついた勇者軍の皆様を常に癒し続けている聖女カトリーヌ様には休息が必要なのです!皆様、何卒ご理解頂きたい!」
と言うことらしい。
『いや、誰のことだよ!』とアユミは脳内でツッコんだ。
その話を聞いていた兵士や冒険者達の心はあの瞬間、ひとつとなった。『嘘つけこの野郎!』と。
「でも、聖女もどきって、治癒能力はあるんだよね?」
モルが心底不思議そうに、首を傾げた。
なぜパフォーマンスが好きな貴族娘が人々の前で自分の力を隠すのか理解できないと言いたいのだろう。
「使える治癒能力はかなり低いと思うよ?初級くらいは辛うじて使えるようだけど。余り得意じゃ無いみたいだね。
高位貴族の子弟らしい騎士を治癒する時も補助だと言って光属性持ちの冒険者達を侍らせて一緒に治癒するって誤魔化してはいたけど。
彼女から魔力の放出は感じられなかった。
まぁ、使ってもあれじゃあ、うっすらしか治らないだろうし、体力が皆無ならMPも比例してかなり低いだろうから。
そんな貴族の令嬢が魔力を使えば、たぶん………」
「……あぁ、ゲロっちゃうって訳か」
言いずらそうに、尻すぼみになるアランに私は頷いて口を開いた。
きっとMPが初期から成長していないんだろう。
基準値は平民よりも貴族の方が高いかもしれないけど、HPと違ってMPは鍛えなければ伸びない。脳筋な神様が創ったこの世界の場合、魔法を使うと物凄く体力が必要になる。
ついでに魔力があまり無い初期段階で魔法の訓練をすると必ず、気持ち悪くなって吐く。これは避けて通れない魔法を使う為の通過儀礼なのだけど。
貴族の令嬢はあまり体力も無いし、履いてまで魔法を使おうとは思わないらしい。
だから、使える力、土台は有るけど使えない。使わないのが普通と言う。
それを聞いた時は、なんて勿体ない!とアユミは眉間に皺を寄せた。アユミなんて、ゲロゲロ吐きながら魔法だ、魔法だ!とかなり喜んでいたのに。
この世界は神様が脳筋過ぎる為、練習したり、訓練したりして、ちゃんと必死に鍛えて自らが頑張らなきゃ数値はピクリとも上がらない。
そんな訳で、あの聖女もどきは努力とかやらなそうだし、全くMP値が上がっていないんだろう。
その状態で結構なMPを消費する治癒魔法を使えば、即座にMPの枯渇に繋がり、気持ち悪くなるし、嘔吐もする。
そんな事になる(ゲロっちゃう)のがわかっていて他人を助けてあげようとか、自己犠牲の精神を持って居るようにはとても見えない。
アユミだって、知らない人の為に何かしてあげたいなんて全く思っていないからまぁ、人のことは言えないけど。
応援ありがとうございます!
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