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戻ってきた元悪役令嬢
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しおりを挟む「……いたい?」
眉を寄せた私を見上げて聞かれたので、違和感だけだと答えた。実際そんなに痛くない。
「せっま…両手は両手でやりにくそうだし……んー、蹴んないでな?」
押し広げるように膝を割ってくっついてきたダートが、舌を這わせて胸から下の方へ顔を下げていく。
下腹あたりまで舐めていかれたときにやっとダートが何をしようとしてるのかに気付いて、体が硬直した。
「ここ舐められるのやだ?」
一旦止まって顔を上げて、じっと私の目を見て聞いてくる。
やだって言ったらダートは速攻でやめる。分かってるから逆に言えない、けど素直に受け入れるのも相当な葛藤があるぞこれ。
「恥ずかしい?」
顔から火が出そうになりながらその言葉に頷いたら、そのまま頭が目の前に戻ってきた。
想定外のダートの行動にものっすごい恥ずかしくて拒否したようになっちゃった。恥ずかしいから言わないのも、行動しないのも駄目なのは転入初日に身に染みたから、せめて二人の時はそれを理由にはしたくなかったのに。
気持ち良くなってきちゃったら恥が頭からすっぽ抜けるし、どうにかなる気がする。ここは自分からお願いするべきか。
「今までにないくらい体まで赤くなったなー。段々恥ずかしいのハードル下がってきたろ?そのうち大丈夫になるんじゃん」
「そ、そか…」
心臓壊れそうになりながら口を開こうとしたら先に言われたので、それに甘えて段階的にいこうと思い直した。
「終わった感出してるけど、舐めるのやめただけよ?指も嫌?」
「や、やじゃない……」
面倒くさくてごめんねの気持ちも込めて、ダートの肩に両手を置いて、初めて私からキスをした。
嬉しそうに頬を赤らめたダートが可愛くて痛いとかもうどうでもいいなって思ったけど、口は塞がってるしどんどん気持ち良くなってくしで言う暇はやってこなかった。
息も絶え絶えで、好きって言葉だけ絞り出して、過去最長の夜のお勉強は幕を閉じた。
***
「え、近付くなって言われた?」
放課後、試験勉強のためグランさんに拉致されたダートを待つ間リアとお喋りしてたら結構な言葉を吐かれてたことが判明した。
「ええ…委員会でも無理をさせたし、もう無理して近付かないで下さいねって。これ振られたのかしら?」
「ええーどうかな~、反省してるだけな気もするけど。あの人絶対リアのこと好きだと思うんだけどなあ」
「私も手応えは感じていたのよ、でも怒られちゃったししばらくは様子見ね。押して駄目なら引いてみろって言うじゃない?タイミング良く公務もあるし、しばらく学園はお休みするわね。三日後にまたお話聞いて欲しいわ」
「転移でおくってこーか?」
「転移門の申請をしているから大丈夫よ、ありがとう」
あんまり落ち込んでる様子はないけど、やっぱり色々思うところはあるんだろうな。いつもの綻ぶような笑顔じゃない。
「……うん、三日後ね。いっぱいはなそーね、ダートはどうにかするから」
「楽しみにしてるわ♡」
そうして三日が過ぎ、四日目になってもリアは帰ってこなかった。
「––––––––おかしくない?」
昼休み、中庭でダートに話しかける。
「んー、たった一日だしなぁ…公務が伸びたとか」
「そういうのちゃんと連絡くれるタイプっぽいけどなー。まぁでも忙しいのかもね」
会話をしながらダラダラしていると、はあはあ言いながら汗ダラダラでグランさんが走ってきた。
「は、っあの、ディー様!」
「はーい?」
「コーデリア様が四日も学園に来てないと!何かご存知ですか?!」
へー、公務で休むの聞いてなかった感じ。リア、引く作戦やる気満々だな。グランさんは何かある度走ってくるんならもう認めちゃえばいいのに。
「公務で三日間居ないってのは聞いたよ?さっきダートと一日伸びたのかね~って話してたとこ」
「……公務?」
胸を押さえてぜーはー言ってたグランさんがどうにかこうにか息を整えて、なんかブツブツ言ってる。
「学園に提出された申請書をチェックしてからきたんです。そこには無期限の休学だと」
「は、休学?そんなん一言も聞いてない」
リアが知らなかっただけで最初から休学の予定だった?
「うーん…スルド国行く?リア騙してこのまま去られるのはちょっと納得行かないなあ」
「僕も連れていってください」
そういうわけで、三人でスルド国へ行くことにした。午後の授業?あとでグランさんに教えてもらう。
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