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4日目つづき
埋め立て場
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バルトジャンside
ゴミ置き場から走って10分ほどか……
人目につかない、街から離れた場所にある埋め立て場だったが、思ったより早く着くことができた。
ガキの頃は、この距離に苦労したのにな……
俺も成長したってことか。
体格も体力もあの頃とは違うのだと改めて実感し、ニヤリと笑う。
アネスは2、3時間の依頼だと言っていたが、この調子なら半分の時間で終わらせられそうだ。
収納袋から先ほど入れたゴミを取り出し、穴に投げ捨てる。
ゴトン……ガシャン、ガタンと、盛大にゴミの音が響く。
「おい! ワシが確認してねえゴミを捨てるんじゃねえ」
気配を感じさせず、突然背後から声がかけられ、驚いて振り向く。
「うおっ⁈」
見覚えのある人物の登場に、思わず変な声が漏れる。
「爺さん、まだ生きてたのかよ」
18年前と変わらぬ姿のガン爺に、安堵しながらも憎まれ口を叩いてしまう。
「なんじゃ、最近見かけんと思っとったら、偉く生意気な口を利くようになったじゃねえか。あ~? バル坊よ」
「変な呼び方するなよ。もうガキじゃねえぞ!」
「見た目が多少変わっても、中身は変わっとらんようじゃから、バル坊で十分じゃわい」
子供の頃、少し(?)世話になったガン爺に「カッカッカッ」と笑われ、居心地が悪くなる。
「ここにいるってことは、もしかして、まだゴミを漁ってるのか?」
「おお、ワシの趣味じゃから止められんわ。今じゃ、ここに住んどるからな。昔みたいに、いちいち連れて来てもらわんでもいいんで楽じゃぞ」
「はあ~? 住んでるって……まさか、あそこに見えるボロい小屋が、ガン爺の家だとか言わねえよな?」
「おお、そうじゃ、あれがワシのマイホームじゃぞ」
「マイホームって……」
いつ壊れてもおかしくないような建物を前に、何を言っているんだ?
「久しぶりだし、茶~でも飲んでくか? ワシのマイホームで!」
「……いや、遠慮しとくわ。まだ依頼が終わってねえからな」
「おおっ! そうじゃった。さっきのゴミを確認せんといかんのじゃ。お宝が混ざっておるかもしれんでな」
「おいおい、危ないだろ? 何ゴミの穴に降りようとしてんだよ。次のゴミを持って来てやるから、捨てたゴミは諦めろって」
「いやいや、そうはいかんのじゃ」
俺の制止を振り切って、埋め立ての穴へ向かおうとするガン爺を無理やり止める。
「仕方ねえな。俺が取ってきてやるわ」
ガン爺の代わりにゴミの穴に下り、自分が捨てたであろうゴミをもう一度収納袋に収めた。
……何をやってんだか。
自分で自分の行動に呆れながら、ガン爺に指定された場所へそのゴミを並べる。
「ほどほどにしてくれよ。もう年なんだから、怪我でもしたら寝たきりになっちまうぞ」
ため息とともに、ガン爺に注意を促したのだが、軽く手で押しやられてしまう。
「馬鹿言うでない。ワシはまだ老いぼれてなぞおらんぞい。現役じゃ」
そう豪語し、いそいそとゴミを検分しはじめる。
昔と変わらないガン爺の姿に懐かしさが込み上げ、言葉を吞む。
――ガン爺はゴミの中から使えそうな物や部品を回収し、修理をすることで生計を立てていた。
修理して使えるようになっても、新品として売れるわけじゃないから、大して金にならなかったはずなのだが。
俺の子供の頃にはもう、そうやって生きていた。だから何十年もこの仕事を続けていることになる。
ガン爺にとって修理は、仕事というより趣味のようなものらしく全く苦ではないようだ。
もっとも、周りは好意的ではなかったようだが……
苛立たしげに『他人にとやかく言われる筋合いはないぞい』と、吐き捨てるように漏らしていたガン爺の姿が思い出された。
♢
――その後2回、ゴミの置き場と埋め立て場を行き来し、依頼を完了させる。
ガン爺は相変わらずゴミを検分するのに夢中のようだ。
こんな調子で食事がちゃんととれているのだろうか?
心配になりどうにか聞き出したところによると、定期的に食料が届くように冒険者ギルドへ依頼しているとわかりホッとする。
雨漏りがしそうな小屋には不安があるが、とりあえず最低限の食事は確保できているようだ。
ゴミ置き場から走って10分ほどか……
人目につかない、街から離れた場所にある埋め立て場だったが、思ったより早く着くことができた。
ガキの頃は、この距離に苦労したのにな……
俺も成長したってことか。
体格も体力もあの頃とは違うのだと改めて実感し、ニヤリと笑う。
アネスは2、3時間の依頼だと言っていたが、この調子なら半分の時間で終わらせられそうだ。
収納袋から先ほど入れたゴミを取り出し、穴に投げ捨てる。
ゴトン……ガシャン、ガタンと、盛大にゴミの音が響く。
「おい! ワシが確認してねえゴミを捨てるんじゃねえ」
気配を感じさせず、突然背後から声がかけられ、驚いて振り向く。
「うおっ⁈」
見覚えのある人物の登場に、思わず変な声が漏れる。
「爺さん、まだ生きてたのかよ」
18年前と変わらぬ姿のガン爺に、安堵しながらも憎まれ口を叩いてしまう。
「なんじゃ、最近見かけんと思っとったら、偉く生意気な口を利くようになったじゃねえか。あ~? バル坊よ」
「変な呼び方するなよ。もうガキじゃねえぞ!」
「見た目が多少変わっても、中身は変わっとらんようじゃから、バル坊で十分じゃわい」
子供の頃、少し(?)世話になったガン爺に「カッカッカッ」と笑われ、居心地が悪くなる。
「ここにいるってことは、もしかして、まだゴミを漁ってるのか?」
「おお、ワシの趣味じゃから止められんわ。今じゃ、ここに住んどるからな。昔みたいに、いちいち連れて来てもらわんでもいいんで楽じゃぞ」
「はあ~? 住んでるって……まさか、あそこに見えるボロい小屋が、ガン爺の家だとか言わねえよな?」
「おお、そうじゃ、あれがワシのマイホームじゃぞ」
「マイホームって……」
いつ壊れてもおかしくないような建物を前に、何を言っているんだ?
「久しぶりだし、茶~でも飲んでくか? ワシのマイホームで!」
「……いや、遠慮しとくわ。まだ依頼が終わってねえからな」
「おおっ! そうじゃった。さっきのゴミを確認せんといかんのじゃ。お宝が混ざっておるかもしれんでな」
「おいおい、危ないだろ? 何ゴミの穴に降りようとしてんだよ。次のゴミを持って来てやるから、捨てたゴミは諦めろって」
「いやいや、そうはいかんのじゃ」
俺の制止を振り切って、埋め立ての穴へ向かおうとするガン爺を無理やり止める。
「仕方ねえな。俺が取ってきてやるわ」
ガン爺の代わりにゴミの穴に下り、自分が捨てたであろうゴミをもう一度収納袋に収めた。
……何をやってんだか。
自分で自分の行動に呆れながら、ガン爺に指定された場所へそのゴミを並べる。
「ほどほどにしてくれよ。もう年なんだから、怪我でもしたら寝たきりになっちまうぞ」
ため息とともに、ガン爺に注意を促したのだが、軽く手で押しやられてしまう。
「馬鹿言うでない。ワシはまだ老いぼれてなぞおらんぞい。現役じゃ」
そう豪語し、いそいそとゴミを検分しはじめる。
昔と変わらないガン爺の姿に懐かしさが込み上げ、言葉を吞む。
――ガン爺はゴミの中から使えそうな物や部品を回収し、修理をすることで生計を立てていた。
修理して使えるようになっても、新品として売れるわけじゃないから、大して金にならなかったはずなのだが。
俺の子供の頃にはもう、そうやって生きていた。だから何十年もこの仕事を続けていることになる。
ガン爺にとって修理は、仕事というより趣味のようなものらしく全く苦ではないようだ。
もっとも、周りは好意的ではなかったようだが……
苛立たしげに『他人にとやかく言われる筋合いはないぞい』と、吐き捨てるように漏らしていたガン爺の姿が思い出された。
♢
――その後2回、ゴミの置き場と埋め立て場を行き来し、依頼を完了させる。
ガン爺は相変わらずゴミを検分するのに夢中のようだ。
こんな調子で食事がちゃんととれているのだろうか?
心配になりどうにか聞き出したところによると、定期的に食料が届くように冒険者ギルドへ依頼しているとわかりホッとする。
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