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フィジー 1回目 前編

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 フィジー
 太平洋の島国。ラグビーで有名です。モルジブと同じアイランドリゾート。

~*~*~

「なあ、みぱぱ。南十字星(サザンクロス)を見たことあるか?」
「正直、あまり見たことないんですよ。超時空要塞マクロスと超時空世紀オーガスは見てたんですが……」
「アレはロボットのデザインが悪かったのが敗因だと思うんだ……って誰が超時空騎団の話をしてるんだ!?」
「確かにそう思いますが、マクロスもオーガスもキャラデザが美樹本晴彦先生だった、っていうのも大きいと思うんですよ」
「え~三人娘は可愛いと思うけどな。いやいや、そうじゃなくて星座の南十字星だよ」
「日本だと沖縄あたりじゃないと見えないでしょう……沖縄に出張ですか? はいさい、上司~」
「残念だが、もっと南だ。フィジーに行ってくれ」

 そんな感じでみぱぱはフィジーに出張に行くことになりました。
 成田空港からフィジーの空港に着くとそこは南国。空港からバスで水上飛行機乗り場へ向かいます。
 飛行機が青い空を駆けて行きます。
 しばらく飛ぶと、島が見えてきました。
 近くの海に着水します。
 そこからゆっくりと砂浜へ移動すると、ホテルのスタッフが出迎えてくれました。
 波が引くタイミングで砂浜に降りて、慌てて波から逃げます。
 他のお客と一緒にチェックインをすると、案内されたのは丘の中腹の客室。
 一部屋が一つの建物のヴィラタイプです。
 荷物を置くと早速、装置がある機械室に行きます。

「こんにちは、みぱぱと申します」
「こんにちは、アユビです」

 アユビさん、浅黒い肌でちょっと細長の顔つきで口ひげを生やしているインド系フィジー人です。
 フィジーはインド系の人が非常に多く、半数近くになります。そのため、政治の世界もインド系が政権がとることもありますが、それに対抗してフィジー系がクーデターを起こすこともあります。
 そんな背景はさておき、アユビさんは非常に働き者です。
 初めての装置のことを熱心に聞いてくれます。
 そのため、装置は順調に立ち上がります。
 仕事の合間の休憩時間、アユビさんと世間話をします。
 
「みぱぱさんは結婚してますか?」
「まだですね」
「そうなんだ、付き合っている人は?」
「彼女もいないですね」
「そうなんですね。ボクの妹を紹介しましょうか?」

 アユビさん、冗談でもなく普通に提案してきた。
 紹介して貰っても、コミュニケーションは英語だし、一週間もすれば日本に帰るんだから困るなあ。と思ったみぱぱは話をそらすことにしました。

「いや~大丈夫です。それよりもアユビさんは結婚しているんですか?」
「結婚してますよ。娘が二人いますよ。(日本で言うところの)小学生と中学生です。今、日本語の勉強をしてますよ」

 観光が盛んなフィジーは英語以外にも日本語が出来れば就職には有利です。

「じゃあ、日本に帰ったら日本の本を送りましょうか?」
「本当ですか? 女の子なんで、ファッションの雑誌を送ってもらえますか?」
「良いですよ」

 ファッション雑誌など男性用でさえ買ったこと無いみぱぱは安請け合いをしてしまいます。
 そんな世間話をしながら仕事をしているある日、天気は悪く、南国フィジーでも寒い日がありました。
 雨が降り、冷たい風も吹きます。
 みぱぱは寒さに弱いです。暖かなフィジーに行けると喜んで薄着しか持ってきていません。
 部屋のエアコンを暖房にしようとコントローラーを探すみぱぱ。冷房しかありません。
 ベッドにはシーツしかありません。毛布を探すみぱぱ。ありませんでした。
 しょうがないので、シャワーでは無くお湯を溜めて湯船につかり、暖をとって、綺麗な作業服を着て眠ることにしました。
 次の日から気温も上がり、みぱぱはほっとしました。
 この経験から、暑い地方に行くときも念のため長袖や薄手のダウンを一着入れるようになったみぱぱでした。
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