48 / 52
第48話 俺が与えた選択肢
しおりを挟む
「な、何! 兵よ!」
安心しきっていた、王は俺のCBS姿を見て、その豪華な椅子から転げ落ちそうな勢いで、兵に命じた。
俺は、ノアールとメイの縄をほどきながら、向かってくる兵を蹴散らすと、二人をクリスに預けた。
「二人を任せた、いや、アイレを含めて三人を」
「わかった。これって、高得点だよね!」
「ああ、そうだな」
俺は、兵に囲まれているとは思えないほどのんきなクリスを見て、なんだか気が抜けた。
CBSを身につけた俺は、王に向けてレーザーブレードをビシッと向けた。
「王様よ。最後の譲歩案をあっさりと蹴ってくれて、ありがとう。さあ、あんたらはどちらに付く? 先には滅びしかない王か、平和と友好の世界を作る女王か!」
俺は、脂汗を流している王から目を離さず、他の貴族たちに問いかける。
個人的には、ここにいる奴らも皆殺しにしたいのだが、そんなことをすれば後からノアールが苦労をするかも知れない。とりあえずは、表面だけでも忠誠を誓わせなければいけない。それなのに……。
「ふざけるな! なんで貴様らなんぞに!」
「そうだ、魔族なんぞに従う気はない!」
俺を殺そうとした時と同じように、自分勝手気に騒ぎ始めた。
さあ、これで心置きなく、あの時の復讐をさせてもらおうか。
「そうですか、そうですか、じゃあ、まあ、王様の首が落ちるところを見てから決めても、遅くないですよ~」
「き、貴様! 我は王ぞ!」
「そんなの知るか! 俺の首を落とそうとしたこと、ノアールとメイさんの首を落とそうとした亊、お前の首で償え!」
俺はレーザーブレードを構えて、王の首を切り落とそうとした。
しかし、俺の必殺の一撃は受け止められた。
「相変わらず、不意打ちだけは得意だな。他の連中もその不意打ちにやられたのか?」
「お、お前は! ……誰だったっけ?」
スキンヘッドの男がいた。身体は痩せ細っていたが、手足が石で出来ており、その腕で俺のレーザーブレードを受け止めていた。
なんとなく見覚えがある顔だが、いまいち思い出せなかった。
ただ、なんとなく、嫌な奴というイメージだけは先行していた。
「おお、土の勇者よ。助けに来てくれたのか?」
スキンヘッドの男の後ろで庇われた王は、嬉しそうな声を上げた。
土の勇者!?
ボティービルダーみたいな、筋肉隆々なアホな勇者じゃなかったっけ?
しかし、その手足はなんだ? 確か、俺の一撃で腕も足も粉砕骨折で、寝たきり生活だったのでは?
「忘れたのか? お前の不意打ちで戦線を離脱したマイクだ。これまで、ずっと養生していたが、その分、他の誰にも負けない力を手に入れたのだ」
「他の誰にも負けない力? その、土塊の手足のことか?」
「これはその一部だ。もう、油断はしない。来たれ! 我が身体!」
部屋にあった家具類だけでなく、壁や天井の建築材が吸い寄せられるようにマイクの身体に集まってきた。
当然王宮は崩れ始めた。
「何じゃ、これは!」
その言葉が、俺が最後に聞いた王の言葉だった。
安心しきっていた、王は俺のCBS姿を見て、その豪華な椅子から転げ落ちそうな勢いで、兵に命じた。
俺は、ノアールとメイの縄をほどきながら、向かってくる兵を蹴散らすと、二人をクリスに預けた。
「二人を任せた、いや、アイレを含めて三人を」
「わかった。これって、高得点だよね!」
「ああ、そうだな」
俺は、兵に囲まれているとは思えないほどのんきなクリスを見て、なんだか気が抜けた。
CBSを身につけた俺は、王に向けてレーザーブレードをビシッと向けた。
「王様よ。最後の譲歩案をあっさりと蹴ってくれて、ありがとう。さあ、あんたらはどちらに付く? 先には滅びしかない王か、平和と友好の世界を作る女王か!」
俺は、脂汗を流している王から目を離さず、他の貴族たちに問いかける。
個人的には、ここにいる奴らも皆殺しにしたいのだが、そんなことをすれば後からノアールが苦労をするかも知れない。とりあえずは、表面だけでも忠誠を誓わせなければいけない。それなのに……。
「ふざけるな! なんで貴様らなんぞに!」
「そうだ、魔族なんぞに従う気はない!」
俺を殺そうとした時と同じように、自分勝手気に騒ぎ始めた。
さあ、これで心置きなく、あの時の復讐をさせてもらおうか。
「そうですか、そうですか、じゃあ、まあ、王様の首が落ちるところを見てから決めても、遅くないですよ~」
「き、貴様! 我は王ぞ!」
「そんなの知るか! 俺の首を落とそうとしたこと、ノアールとメイさんの首を落とそうとした亊、お前の首で償え!」
俺はレーザーブレードを構えて、王の首を切り落とそうとした。
しかし、俺の必殺の一撃は受け止められた。
「相変わらず、不意打ちだけは得意だな。他の連中もその不意打ちにやられたのか?」
「お、お前は! ……誰だったっけ?」
スキンヘッドの男がいた。身体は痩せ細っていたが、手足が石で出来ており、その腕で俺のレーザーブレードを受け止めていた。
なんとなく見覚えがある顔だが、いまいち思い出せなかった。
ただ、なんとなく、嫌な奴というイメージだけは先行していた。
「おお、土の勇者よ。助けに来てくれたのか?」
スキンヘッドの男の後ろで庇われた王は、嬉しそうな声を上げた。
土の勇者!?
ボティービルダーみたいな、筋肉隆々なアホな勇者じゃなかったっけ?
しかし、その手足はなんだ? 確か、俺の一撃で腕も足も粉砕骨折で、寝たきり生活だったのでは?
「忘れたのか? お前の不意打ちで戦線を離脱したマイクだ。これまで、ずっと養生していたが、その分、他の誰にも負けない力を手に入れたのだ」
「他の誰にも負けない力? その、土塊の手足のことか?」
「これはその一部だ。もう、油断はしない。来たれ! 我が身体!」
部屋にあった家具類だけでなく、壁や天井の建築材が吸い寄せられるようにマイクの身体に集まってきた。
当然王宮は崩れ始めた。
「何じゃ、これは!」
その言葉が、俺が最後に聞いた王の言葉だった。
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる