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第48話 俺が与えた選択肢

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「な、何! 兵よ!」

 安心しきっていた、王は俺のCBS姿を見て、その豪華な椅子から転げ落ちそうな勢いで、兵に命じた。
 俺は、ノアールとメイの縄をほどきながら、向かってくる兵を蹴散らすと、二人をクリスに預けた。

「二人を任せた、いや、アイレを含めて三人を」
「わかった。これって、高得点だよね!」
「ああ、そうだな」

 俺は、兵に囲まれているとは思えないほどのんきなクリスを見て、なんだか気が抜けた。
 CBSを身につけた俺は、王に向けてレーザーブレードをビシッと向けた。

「王様よ。最後の譲歩案をあっさりと蹴ってくれて、ありがとう。さあ、あんたらはどちらに付く? 先には滅びしかない王か、平和と友好の世界を作る女王か!」

 俺は、脂汗を流している王から目を離さず、他の貴族たちに問いかける。
 個人的には、ここにいる奴らも皆殺しにしたいのだが、そんなことをすれば後からノアールが苦労をするかも知れない。とりあえずは、表面だけでも忠誠を誓わせなければいけない。それなのに……。

「ふざけるな! なんで貴様らなんぞに!」
「そうだ、魔族なんぞに従う気はない!」

 俺を殺そうとした時と同じように、自分勝手気に騒ぎ始めた。
 さあ、これで心置きなく、あの時の復讐をさせてもらおうか。

「そうですか、そうですか、じゃあ、まあ、王様の首が落ちるところを見てから決めても、遅くないですよ~」
「き、貴様! 我は王ぞ!」
「そんなの知るか! 俺の首を落とそうとしたこと、ノアールとメイさんの首を落とそうとした亊、お前の首で償え!」

 俺はレーザーブレードを構えて、王の首を切り落とそうとした。
 しかし、俺の必殺の一撃は受け止められた。

「相変わらず、不意打ちだけは得意だな。他の連中もその不意打ちにやられたのか?」
「お、お前は! ……誰だったっけ?」

 スキンヘッドの男がいた。身体は痩せ細っていたが、手足が石で出来ており、その腕で俺のレーザーブレードを受け止めていた。
 なんとなく見覚えがある顔だが、いまいち思い出せなかった。
 ただ、なんとなく、嫌な奴というイメージだけは先行していた。

「おお、土の勇者よ。助けに来てくれたのか?」

 スキンヘッドの男の後ろで庇われた王は、嬉しそうな声を上げた。
 土の勇者!?
 ボティービルダーみたいな、筋肉隆々なアホな勇者じゃなかったっけ?
 しかし、その手足はなんだ? 確か、俺の一撃で腕も足も粉砕骨折で、寝たきり生活だったのでは?

「忘れたのか? お前の不意打ちで戦線を離脱したマイクだ。これまで、ずっと養生していたが、その分、他の誰にも負けない力を手に入れたのだ」
「他の誰にも負けない力? その、土塊の手足のことか?」
「これはその一部だ。もう、油断はしない。来たれ! 我が身体!」

 部屋にあった家具類だけでなく、壁や天井の建築材が吸い寄せられるようにマイクの身体に集まってきた。
 当然王宮は崩れ始めた。

「何じゃ、これは!」

 その言葉が、俺が最後に聞いた王の言葉だった。 
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