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第51話 異世界の女王の誕生
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巨大ロボ戦でボロボロになった王都の中で比較的、無事な大広場に俺たちはいた。
戦いの後、マモルロボのまま、王国幹部達に呼びかける。
「国王は倒された。新女王ノアールに従うものは広場に来るように。もしも来ない者は反逆者として容赦ない制裁を行う。また、ノアール女王の元、王国は魔王軍と対等な友好条約を結び、長い間大なわれていた両国間の戦争は終結する」
俺が土の勇者と戦っている間に、クリスは二人の王女を守っただけでなく、前国王により幽閉されていた穏健派の貴族達を、ノアールの名の下に救出していたのだった。
この日のために用意した光沢のある美しい漆黒のドレスに身を包み、輝くティアラと儀仗を手にしたノアールは、あの日親子で首を切られようとした広場に立っていた。
その姿は見る者を魅了する神々しい姿だった。流石、メイさんの娘だ。自信に満ちたその姿はサキュバスの能力魅了も上乗せされて、混乱の中にいる王国民の心を捉えた。
国民だけでなく、地下に閉じ込められていた、薄汚れた貴族達の心を掴み、次々とノアールに忠誠を誓い始めた。
「そろそろ良いかね?」
そんな、新しい女王に声をかけたのはノアールの二倍はあろうかと思えるほど、大きなライオンの獣人。その身体に美しく仕立て上げられたスーツ姿に眼鏡をかけた、魔王軍No2のプルーゾンだった。
ミノタウロスのバララムが予想したとおりの人選に、俺はほっとした。
この人が魔王軍代表と来てくれたなら、一安心だった。何かの間違いでベレートでも来た日には、大変なことになっていただろう。
まあ、プルーゾンのその威風堂々とした姿だけでも、十分王国の人々には畏怖の対象なのだが。
プルートの姿を見て、距離を取り始めて、魔王が来たと噂し始めた。
「プルーゾンさん、本日はありがとうございます。こちらにどうぞ」
俺は調停式のために用意したテーブルに案内した。
大広場の真ん中についたてをして、その前に用意した長テーブル。そこにノアールとプルーゾンを並べて、友好条約にサインをした後、握手の一つでもして、この戦争が終結する。
すでにテープルに付いているノアールの隣の椅子を見て、プルーゾンはその隣に立った。
「あの~、プルーゾンさん、席に着かないというのは、平和条約締結の席に着かないと言うことですか?」
俺はおそるおそる、尋ねた。理由は分からないが、ここまで来て、プルーゾンがへそを曲げて、手を組まないと言う選択肢を選ぶと、王国は一気に壊滅に向かうだろう。すでに王都近くの国境にはベレート、バララムを含んだ魔王軍の主力部隊が集結している。
対して、純粋な王国軍は負傷している水の勇者のみ。
俺とクリスの二人で、ここにいるプルーゾンを含めて魔王軍を相手に戦い切れるはずもない。
もしかして、その状況を読んで、千載一遇のチャンスと方向転換したのか、そもそも、俺が今回の計画を持ちかけたときからそうするつもりだったのか。ならば、先手でプルーゾンだけでも討たなければ。
俺がCBSを装着しようとした瞬間、ノアールが立ち上がった。
「お待ちしておりました」
その言葉に、俺はプルーゾンから目を離した。
そこには美しく端正な顔つきの男性が、ゆっくりと歩いてきていた。
見る者を引きつけて、その笑顔を向けられるだけで、男女問わず恋に落ちてしまいそうな容姿。
ただし、人ではない。その頭には真っ黒で立派な角が生えていた。
それでも、人々は彼の一挙手一動足に目を奪われていた。
「ま、魔王! あなたが、自ら……」
「やあ、マモル。お久しぶり。それはそうだろう。こんな面白いことの締めくくりに、僕が出てこないわけがないだろう。まあ、せっかくなんで三日ほど前から、王都見物させてもらってたんだけどね」
魔王は俺の計画が、成功すると疑わなかったのだろう。しかし、魔王が三日も王都にいて、何一つ騒ぎにならないなんて、そもそもこの人が一人で王都に乗り込んで、王族をぶち殺せばそこで全て終わったのではないだろうか?
まあいい、魔王の気が変わらないうちに、さっさと終わらせてしまおう。
魔王は、素直にテーブルに着くと、にこやかに民衆に笑いかけると、平和条約にサインをして、ノアールと握手をすると、それまで怯えていたのが嘘のように大歓声が上がった。
その大歓声に紛れて、魔王はノアールにささやいた。
「気をつけてくださいね。海の向こうの連中がやってきているという報告が上がっています。彼らは、我々と違って国に帰るという選択肢を捨ててやってきている決死隊のようです。今は、我々のアスデウスが食い止めていますが、どれだけ持つか分かりませんよ」
「……分かりました。至急、王国としても対処を考えます」
「よろしくお願いしますよ。同盟国さん」
こうして、一抹の不穏な空気を残して、魔王軍と王国の長い戦いは終わりを迎えたのだった。
アイレとクリスはノアールの後援者として、王国へと残り、俺とネーラはアイリーンが待つ元アルパカ領へ戻り、魔王、国王両方から認められる形で独立国アルパカの王国、国王となったのだった。
「さ~これから本当の、楽しい異世界生活だ~~!!!」
俺はやっと復讐から解放された。そして世界も血を血で洗う抗争が無くなった。俺はこれから迎える楽しい異世界生活を思い浮かべて、心躍る日々を思い浮かべたのだった。
しかし、そう簡単に理想は達成されるものではないが、ひとときの平和が訪れたのは間違いなかった。
戦いの後、マモルロボのまま、王国幹部達に呼びかける。
「国王は倒された。新女王ノアールに従うものは広場に来るように。もしも来ない者は反逆者として容赦ない制裁を行う。また、ノアール女王の元、王国は魔王軍と対等な友好条約を結び、長い間大なわれていた両国間の戦争は終結する」
俺が土の勇者と戦っている間に、クリスは二人の王女を守っただけでなく、前国王により幽閉されていた穏健派の貴族達を、ノアールの名の下に救出していたのだった。
この日のために用意した光沢のある美しい漆黒のドレスに身を包み、輝くティアラと儀仗を手にしたノアールは、あの日親子で首を切られようとした広場に立っていた。
その姿は見る者を魅了する神々しい姿だった。流石、メイさんの娘だ。自信に満ちたその姿はサキュバスの能力魅了も上乗せされて、混乱の中にいる王国民の心を捉えた。
国民だけでなく、地下に閉じ込められていた、薄汚れた貴族達の心を掴み、次々とノアールに忠誠を誓い始めた。
「そろそろ良いかね?」
そんな、新しい女王に声をかけたのはノアールの二倍はあろうかと思えるほど、大きなライオンの獣人。その身体に美しく仕立て上げられたスーツ姿に眼鏡をかけた、魔王軍No2のプルーゾンだった。
ミノタウロスのバララムが予想したとおりの人選に、俺はほっとした。
この人が魔王軍代表と来てくれたなら、一安心だった。何かの間違いでベレートでも来た日には、大変なことになっていただろう。
まあ、プルーゾンのその威風堂々とした姿だけでも、十分王国の人々には畏怖の対象なのだが。
プルートの姿を見て、距離を取り始めて、魔王が来たと噂し始めた。
「プルーゾンさん、本日はありがとうございます。こちらにどうぞ」
俺は調停式のために用意したテーブルに案内した。
大広場の真ん中についたてをして、その前に用意した長テーブル。そこにノアールとプルーゾンを並べて、友好条約にサインをした後、握手の一つでもして、この戦争が終結する。
すでにテープルに付いているノアールの隣の椅子を見て、プルーゾンはその隣に立った。
「あの~、プルーゾンさん、席に着かないというのは、平和条約締結の席に着かないと言うことですか?」
俺はおそるおそる、尋ねた。理由は分からないが、ここまで来て、プルーゾンがへそを曲げて、手を組まないと言う選択肢を選ぶと、王国は一気に壊滅に向かうだろう。すでに王都近くの国境にはベレート、バララムを含んだ魔王軍の主力部隊が集結している。
対して、純粋な王国軍は負傷している水の勇者のみ。
俺とクリスの二人で、ここにいるプルーゾンを含めて魔王軍を相手に戦い切れるはずもない。
もしかして、その状況を読んで、千載一遇のチャンスと方向転換したのか、そもそも、俺が今回の計画を持ちかけたときからそうするつもりだったのか。ならば、先手でプルーゾンだけでも討たなければ。
俺がCBSを装着しようとした瞬間、ノアールが立ち上がった。
「お待ちしておりました」
その言葉に、俺はプルーゾンから目を離した。
そこには美しく端正な顔つきの男性が、ゆっくりと歩いてきていた。
見る者を引きつけて、その笑顔を向けられるだけで、男女問わず恋に落ちてしまいそうな容姿。
ただし、人ではない。その頭には真っ黒で立派な角が生えていた。
それでも、人々は彼の一挙手一動足に目を奪われていた。
「ま、魔王! あなたが、自ら……」
「やあ、マモル。お久しぶり。それはそうだろう。こんな面白いことの締めくくりに、僕が出てこないわけがないだろう。まあ、せっかくなんで三日ほど前から、王都見物させてもらってたんだけどね」
魔王は俺の計画が、成功すると疑わなかったのだろう。しかし、魔王が三日も王都にいて、何一つ騒ぎにならないなんて、そもそもこの人が一人で王都に乗り込んで、王族をぶち殺せばそこで全て終わったのではないだろうか?
まあいい、魔王の気が変わらないうちに、さっさと終わらせてしまおう。
魔王は、素直にテーブルに着くと、にこやかに民衆に笑いかけると、平和条約にサインをして、ノアールと握手をすると、それまで怯えていたのが嘘のように大歓声が上がった。
その大歓声に紛れて、魔王はノアールにささやいた。
「気をつけてくださいね。海の向こうの連中がやってきているという報告が上がっています。彼らは、我々と違って国に帰るという選択肢を捨ててやってきている決死隊のようです。今は、我々のアスデウスが食い止めていますが、どれだけ持つか分かりませんよ」
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