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第37話 異世界の火の勇者はゲーマーだった
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「ゲームの世界?」
「ほら、やっぱり気がついていない。勇者召喚からの魔王討伐なんて、ゲーム以外であると思っているのか? それにログインしたときに自分の見た目も変わっただろう。この世界はフルダイブロールプレイングゲームに決まってるだろう」
確かに見た目も変わって若くなっているが、それは亀千年にもらったものでキャラメイキングなどしたからではない。
しかし、ここがゲームの世界でないとも言い切れない。俺は炎夏の話に少し興味が湧いた。
「じゃあ、お前も元々はそんな姿じゃないと言うことだな」
「ああ、そうだよ。リアルの僕は中学三年生だよ」
「……なあ、この世界。お前が言うところのこのゲームにログインしたときのことを覚えているか?」
「……それは、家のベッドで横になって……ログインしたけど」
それまで自信満々に話していた炎夏は少し言いよどんだ。
そんな様子を見ながら俺は続けて疑問をぶつけてみた。
「俺はログインした記憶が無いんだが、これって本当にゲームなのか?」
「絶対そうだ。魔族を倒してもNPCを倒しても経験値が入るんだぜ。それに極めつけはこのスキル。見てなよ。リライトコード!!」
その言葉と同時に炎夏の姿はRPGゲームに出てきそうな勇者の格好になった。
鎧兜に聖剣っぽい剣。先ほどまでの炎夏の姿とは全く違っていた。
「何だ、それは?」
「プログラムを書き換えて見た目を変えただけだよ。スキルとはいえこんなことが出来るって、どう考えてもゲームだろう」
ただの変身スキルじゃないのか? それよりも気になることを言っていたな。
「なあ、さっき、NPCって言わなかったか? どういう意味だ?」
「何だ、ゲームしない人? ノンプレーヤーキャラクター。オレたちのようなプレーヤーが操っているキャラクターじゃなくて、コンピューターが操っているキャラクターだよ」
「いや、それくらいは知っている。お前が言うNPCっていうのは普通の人間や非戦闘員の魔族の事を指しているのかって事だ」
「そうだけど? NPCを殺してもペナルティーがないどころか経験値が増えるって事はこのゲームってPK(プレーヤーキラー)も推奨しているって事だよね。キミもいきなり土の勇者を倒したくらいだし」
「お前達勇者は魔族に対するために召喚されたんだ。そしてこれは魔族と人間の戦争でもある。俺も王国騎士を殺したから、そこは文句を言うつもりはない。しかし、経験値を稼ぐために何の関係もない人間や魔族を手にかけたのか?」
俺は不意に腹の底から嫌悪感が湧き上がってきた。
俺もこれまで手が汚れていないわけではない。しかし、俺なりに理由があってのことだった。決して経験値や楽しみのためでは無かった。倒さなくて良いならば、それに越したことはなかった。
しかし、こいつは何の躊躇もなく、それこそゲームのように人や魔族を殺してきたのだろう。そう考えると、俺はこいつが好きになれなかった。
「ゲームキャラに人間も魔族も関係ないだろう。さすがに貴族や王族に手を出すとゲームオーバーやペナルティがある可能性があるから、手を出さなかったけどね。ねえ、ねえ、知っている? 意外と村人でも経験値高いんだよ」
「……それで、いきなり俺を刺して、何をしたいんだ?」
「そうそう、それだよ。その鎧の入手方法を聞こうと思ったんだ。ああ、さっきのナイフに毒を塗っていたから、解毒剤をネタにしようかと思ったんだった。あ! もしかしたら、ワンプレーヤーアイテムかもしれないから、キミが死んだら僕がもらえるかな?」
炎夏は本来の細身の成人男性に戻り、槍を手に構えた。
どうやら炎夏はこれ以上、俺から情報を引き出せないと判断したようだった。
『治療終了です。毒抜きは完了しました』
炎夏の言葉と同時にナビちゃんの力強い声が響く。
「ほら、やっぱり気がついていない。勇者召喚からの魔王討伐なんて、ゲーム以外であると思っているのか? それにログインしたときに自分の見た目も変わっただろう。この世界はフルダイブロールプレイングゲームに決まってるだろう」
確かに見た目も変わって若くなっているが、それは亀千年にもらったものでキャラメイキングなどしたからではない。
しかし、ここがゲームの世界でないとも言い切れない。俺は炎夏の話に少し興味が湧いた。
「じゃあ、お前も元々はそんな姿じゃないと言うことだな」
「ああ、そうだよ。リアルの僕は中学三年生だよ」
「……なあ、この世界。お前が言うところのこのゲームにログインしたときのことを覚えているか?」
「……それは、家のベッドで横になって……ログインしたけど」
それまで自信満々に話していた炎夏は少し言いよどんだ。
そんな様子を見ながら俺は続けて疑問をぶつけてみた。
「俺はログインした記憶が無いんだが、これって本当にゲームなのか?」
「絶対そうだ。魔族を倒してもNPCを倒しても経験値が入るんだぜ。それに極めつけはこのスキル。見てなよ。リライトコード!!」
その言葉と同時に炎夏の姿はRPGゲームに出てきそうな勇者の格好になった。
鎧兜に聖剣っぽい剣。先ほどまでの炎夏の姿とは全く違っていた。
「何だ、それは?」
「プログラムを書き換えて見た目を変えただけだよ。スキルとはいえこんなことが出来るって、どう考えてもゲームだろう」
ただの変身スキルじゃないのか? それよりも気になることを言っていたな。
「なあ、さっき、NPCって言わなかったか? どういう意味だ?」
「何だ、ゲームしない人? ノンプレーヤーキャラクター。オレたちのようなプレーヤーが操っているキャラクターじゃなくて、コンピューターが操っているキャラクターだよ」
「いや、それくらいは知っている。お前が言うNPCっていうのは普通の人間や非戦闘員の魔族の事を指しているのかって事だ」
「そうだけど? NPCを殺してもペナルティーがないどころか経験値が増えるって事はこのゲームってPK(プレーヤーキラー)も推奨しているって事だよね。キミもいきなり土の勇者を倒したくらいだし」
「お前達勇者は魔族に対するために召喚されたんだ。そしてこれは魔族と人間の戦争でもある。俺も王国騎士を殺したから、そこは文句を言うつもりはない。しかし、経験値を稼ぐために何の関係もない人間や魔族を手にかけたのか?」
俺は不意に腹の底から嫌悪感が湧き上がってきた。
俺もこれまで手が汚れていないわけではない。しかし、俺なりに理由があってのことだった。決して経験値や楽しみのためでは無かった。倒さなくて良いならば、それに越したことはなかった。
しかし、こいつは何の躊躇もなく、それこそゲームのように人や魔族を殺してきたのだろう。そう考えると、俺はこいつが好きになれなかった。
「ゲームキャラに人間も魔族も関係ないだろう。さすがに貴族や王族に手を出すとゲームオーバーやペナルティがある可能性があるから、手を出さなかったけどね。ねえ、ねえ、知っている? 意外と村人でも経験値高いんだよ」
「……それで、いきなり俺を刺して、何をしたいんだ?」
「そうそう、それだよ。その鎧の入手方法を聞こうと思ったんだ。ああ、さっきのナイフに毒を塗っていたから、解毒剤をネタにしようかと思ったんだった。あ! もしかしたら、ワンプレーヤーアイテムかもしれないから、キミが死んだら僕がもらえるかな?」
炎夏は本来の細身の成人男性に戻り、槍を手に構えた。
どうやら炎夏はこれ以上、俺から情報を引き出せないと判断したようだった。
『治療終了です。毒抜きは完了しました』
炎夏の言葉と同時にナビちゃんの力強い声が響く。
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