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第2話 異世界勇者は一人じゃない
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「姫様、勇者の召喚が成功いたしました」
それが、俺が異世界ナーロッパに来て、初めて聞いた言葉だった。
薄暗い部屋の中には俺以外、二人しかいなかった。
始めに声を上げた女性。年の頃は二十代半ばだろう。黒い髪を後ろでひとつ団子にしてメガネをかけている。
メイド服の上からでもわかる巨乳。身長はそれほど高くなく百六十センチまでないだろう。
あれ? 俺ってメイド喫茶に来たんだっけ? まあいいや。このお姉さん、俺の好みだから、指名しようかな。
そんなことをぼんやりと考えていると、俺を抱きしめている少女に気が付く。
素っ裸で俺を抱きしめていた。
大きくはないが柔らかな胸の感触が伝わる。
「え!? あ? なんで?」
俺は慌てて体を離して、その少女を見た。
年のころは十才にも、なっていないのかもしれない。
黒く長い髪に可愛らしい顔。真珠のような白い肌。か弱そうな体つきにささやかな胸。
その姿はまるでお人形のようだ。
その少女から目をそらすように、部屋を見回す。どうやら俺はお約束通り、魔法陣の中央に俺は召喚されたようだった。素っ裸で。
「きゃっ」
可愛らしい女の子の悲鳴に、俺は思わず股間を隠して後ろを向く。
お! 身体が若返っている。
「なにか着るものをください。お願いします」
俺が勇者として最初に命令した瞬間だ。
「勇者様、こちらを」
メイドが用意していた服を俺に渡す。下着などなく、上からすっぽりと着るタイプのワンピース。腰のところを紐で縛る。股がスースーするが、とりあえず大事なところは隠せたはずだ。
俺が服を着ている間、少女はメイドの手で真っ黒なゴスロリ服に袖を通した。
「あなたが……勇者なの? お名前は?」
「君が勇者として俺を召喚したんだろう。名前は伊江守だ。勇者マモルと呼んでくれ」
「そうですか、では勇者マモル。これから王の御前へ行きましょう。他の勇者も召喚されていることでしょう」
「ちょっと待って」
そう言って、部屋を出ようとする女の子を俺は呼び止めた。
「君の名前は? 他の勇者ってどういうことだ?」
「時間がありません、王の間へ行きながら説明します」
メイドが先頭に歩き、俺の隣を女の子が歩く。
「わたくしの名はノアール、このローヤル王国の第五王女です。今日、私を含めて五人の王女が、魔王討伐のため勇者を召喚したのです」
多人数召喚タイプか。必ず一人は嫌味な奴がいるパターンだな。
「一人の勇者では魔王にかないません。どうか五人、力を合わせてこの王国をお守りください。さあ、着きました。ここが王の間です。あなたが勇者様だとしても、決して国王陛下に対して無礼のないようにお願いします」
「姫様」
メイドが、急かすように声をかける。
大きな扉を開けるとそこは大広間だった。左右に衛兵、二階席には貴族らしい身なりのいい男女がいた。
真正面の豪華絢爛な椅子には太った、いかにも王様と言った容姿の男が座っていた。当然、頭には王冠が載っていた。
「闇の勇者様のご入場!!」
どっかのおっさんが叫ぶ。闇の勇者って言うのもいるのか、なんか禍々しいな。
「ほら、行きますよ」
ノアールが俺の腕を突っついて、部屋の中央に移動する。
闇の勇者って俺のことか? なんかもっとかっこいいのが良かったな。なんか悪役みたいじゃないか。
そこにはすでに四人の男が片膝をついていた。召喚された勇者だろう。切れにな身なりに防具をつけて、各々の脇には剣、槍、弓そして斧が置かれていた。
なんだ? 好きな武器を王様からもらえるのか? 出遅れちゃったか?
俺も倣って、片膝をついて周りの様子を見る。
四人の勇者の隣には、美しい女性が一人ずつ立っていた。
ノアールが言っていた他の王女たちだろう。年は十代後半から二十代半ばの女性たち。
各々、青、赤、緑、茶色い髪の色をしている。王女というからには姉妹のはずなのに、なんだかえらいカラフルだな。まあ、しかしそれでもその髪の色が似合うほどの美人揃いだ。
ちびっ子のノアールとは大違いだ。どうせなら、俺もあっちのほうが良かったな。
「五人の召喚されし勇者たちよ。面をあげい。これからお主たちには、悪名高い魔王と魔王軍を討伐してもらう」
おいおい、俺たちの意思はガン無視か? まあ、王様だ。俺の言うことに逆らったら、勇者といえども容赦しないってか。まあ、とりあえず話を聞きましょう。
「そのためには勇者五人の能力と協力が不可欠だ。各々、勇者としての能力を見せてもらう。鑑定士バッカジャネー、こちらに」
これってステータスオープンとかあるのか? まあいいや、ただで鑑定してくれるなら鑑定してもらいましょう。
水色の髪をもつ王女の隣に立つ、剣を持った男からだ。同じように水色の髪をして、背が高い、そして鍛え上げられた細マッチョな身体が服の上からでも見て取れる。キリリとした瞳、高い鼻、まるで王子様を絵に描いたようなイケメンだった。
「水の勇者 レベル三十五 武具、剣 スキル、流水双覇剣」
レベルの時点で貴族たちから驚きの声が上がる。
「なあ、ノアール。レベルってなんだ?」
「レベルっていうの普通の成人男性人が一年間訓練すると一上がる能力よ」
水の勇者を見ると二十代だ。十八才を成人とすると五十三才まで訓練を積んだ技量か。かなり技量が高いな。
「火の勇者 レベル三十二 武具、槍 スキル、爆炎牙突槍」
火の勇者は真っ赤な髪を炎のように立たせ、ずる賢そうな顔をしている。体つきは先ほどの水の勇者ほど戦士らしくはない。どちらかというと細身の男だった。
水の勇者よりレベルが少し低い、しかし先ほどからスキル名の意味がさっぱり分からん。
「風の勇者 レベル三十九 武具、弓 スキル、必中枝垂れ桜」
風の勇者は緑の長い髪をポニーテールにまとめて、女性と見間違うほど中性的な顔をしていた。しかし、その瞳は気の強さを表すように、すこしつり上がっていた。
レベル四十近い。普通に考えると達人クラス。弓という強力な長距離の上に、必中ってスパロボか! それだけでチート級じゃないか?
「土の勇者 レベル四十 武具、斧 スキル、ブーメラン」
土の勇者、体つきならば一人、抜きんでいた。ボディービルダーのような筋肉隆々の体つき、身長も二メートル近いだろう。スキンヘッドにしているためか、余計厳つい印象を受ける。
どんどん、レベルが上がってるじゃねえか。ガタイが良いからレベルも高いのか?
ちなみに魔王討伐推奨レベルってなんぼよ。もう、この四人で魔王を倒せるんじゃないか? まあ、それならそれでいいや。楽ができる。
「闇の勇者」
とうとう俺の番か。この流れだとレベル五十か? 悪くても三十台だろう。武具はコンバットスーツだろう。そうするとスキルはカウンターあたりかな? 装備をつけないほうが能力が上がるモンク系。やっぱり、元気玉とかめはめ波が相性が良かったのかもな。
「レベル……い、一 武具、不明 スキル、なし!!!!」
それが、俺が異世界ナーロッパに来て、初めて聞いた言葉だった。
薄暗い部屋の中には俺以外、二人しかいなかった。
始めに声を上げた女性。年の頃は二十代半ばだろう。黒い髪を後ろでひとつ団子にしてメガネをかけている。
メイド服の上からでもわかる巨乳。身長はそれほど高くなく百六十センチまでないだろう。
あれ? 俺ってメイド喫茶に来たんだっけ? まあいいや。このお姉さん、俺の好みだから、指名しようかな。
そんなことをぼんやりと考えていると、俺を抱きしめている少女に気が付く。
素っ裸で俺を抱きしめていた。
大きくはないが柔らかな胸の感触が伝わる。
「え!? あ? なんで?」
俺は慌てて体を離して、その少女を見た。
年のころは十才にも、なっていないのかもしれない。
黒く長い髪に可愛らしい顔。真珠のような白い肌。か弱そうな体つきにささやかな胸。
その姿はまるでお人形のようだ。
その少女から目をそらすように、部屋を見回す。どうやら俺はお約束通り、魔法陣の中央に俺は召喚されたようだった。素っ裸で。
「きゃっ」
可愛らしい女の子の悲鳴に、俺は思わず股間を隠して後ろを向く。
お! 身体が若返っている。
「なにか着るものをください。お願いします」
俺が勇者として最初に命令した瞬間だ。
「勇者様、こちらを」
メイドが用意していた服を俺に渡す。下着などなく、上からすっぽりと着るタイプのワンピース。腰のところを紐で縛る。股がスースーするが、とりあえず大事なところは隠せたはずだ。
俺が服を着ている間、少女はメイドの手で真っ黒なゴスロリ服に袖を通した。
「あなたが……勇者なの? お名前は?」
「君が勇者として俺を召喚したんだろう。名前は伊江守だ。勇者マモルと呼んでくれ」
「そうですか、では勇者マモル。これから王の御前へ行きましょう。他の勇者も召喚されていることでしょう」
「ちょっと待って」
そう言って、部屋を出ようとする女の子を俺は呼び止めた。
「君の名前は? 他の勇者ってどういうことだ?」
「時間がありません、王の間へ行きながら説明します」
メイドが先頭に歩き、俺の隣を女の子が歩く。
「わたくしの名はノアール、このローヤル王国の第五王女です。今日、私を含めて五人の王女が、魔王討伐のため勇者を召喚したのです」
多人数召喚タイプか。必ず一人は嫌味な奴がいるパターンだな。
「一人の勇者では魔王にかないません。どうか五人、力を合わせてこの王国をお守りください。さあ、着きました。ここが王の間です。あなたが勇者様だとしても、決して国王陛下に対して無礼のないようにお願いします」
「姫様」
メイドが、急かすように声をかける。
大きな扉を開けるとそこは大広間だった。左右に衛兵、二階席には貴族らしい身なりのいい男女がいた。
真正面の豪華絢爛な椅子には太った、いかにも王様と言った容姿の男が座っていた。当然、頭には王冠が載っていた。
「闇の勇者様のご入場!!」
どっかのおっさんが叫ぶ。闇の勇者って言うのもいるのか、なんか禍々しいな。
「ほら、行きますよ」
ノアールが俺の腕を突っついて、部屋の中央に移動する。
闇の勇者って俺のことか? なんかもっとかっこいいのが良かったな。なんか悪役みたいじゃないか。
そこにはすでに四人の男が片膝をついていた。召喚された勇者だろう。切れにな身なりに防具をつけて、各々の脇には剣、槍、弓そして斧が置かれていた。
なんだ? 好きな武器を王様からもらえるのか? 出遅れちゃったか?
俺も倣って、片膝をついて周りの様子を見る。
四人の勇者の隣には、美しい女性が一人ずつ立っていた。
ノアールが言っていた他の王女たちだろう。年は十代後半から二十代半ばの女性たち。
各々、青、赤、緑、茶色い髪の色をしている。王女というからには姉妹のはずなのに、なんだかえらいカラフルだな。まあ、しかしそれでもその髪の色が似合うほどの美人揃いだ。
ちびっ子のノアールとは大違いだ。どうせなら、俺もあっちのほうが良かったな。
「五人の召喚されし勇者たちよ。面をあげい。これからお主たちには、悪名高い魔王と魔王軍を討伐してもらう」
おいおい、俺たちの意思はガン無視か? まあ、王様だ。俺の言うことに逆らったら、勇者といえども容赦しないってか。まあ、とりあえず話を聞きましょう。
「そのためには勇者五人の能力と協力が不可欠だ。各々、勇者としての能力を見せてもらう。鑑定士バッカジャネー、こちらに」
これってステータスオープンとかあるのか? まあいいや、ただで鑑定してくれるなら鑑定してもらいましょう。
水色の髪をもつ王女の隣に立つ、剣を持った男からだ。同じように水色の髪をして、背が高い、そして鍛え上げられた細マッチョな身体が服の上からでも見て取れる。キリリとした瞳、高い鼻、まるで王子様を絵に描いたようなイケメンだった。
「水の勇者 レベル三十五 武具、剣 スキル、流水双覇剣」
レベルの時点で貴族たちから驚きの声が上がる。
「なあ、ノアール。レベルってなんだ?」
「レベルっていうの普通の成人男性人が一年間訓練すると一上がる能力よ」
水の勇者を見ると二十代だ。十八才を成人とすると五十三才まで訓練を積んだ技量か。かなり技量が高いな。
「火の勇者 レベル三十二 武具、槍 スキル、爆炎牙突槍」
火の勇者は真っ赤な髪を炎のように立たせ、ずる賢そうな顔をしている。体つきは先ほどの水の勇者ほど戦士らしくはない。どちらかというと細身の男だった。
水の勇者よりレベルが少し低い、しかし先ほどからスキル名の意味がさっぱり分からん。
「風の勇者 レベル三十九 武具、弓 スキル、必中枝垂れ桜」
風の勇者は緑の長い髪をポニーテールにまとめて、女性と見間違うほど中性的な顔をしていた。しかし、その瞳は気の強さを表すように、すこしつり上がっていた。
レベル四十近い。普通に考えると達人クラス。弓という強力な長距離の上に、必中ってスパロボか! それだけでチート級じゃないか?
「土の勇者 レベル四十 武具、斧 スキル、ブーメラン」
土の勇者、体つきならば一人、抜きんでいた。ボディービルダーのような筋肉隆々の体つき、身長も二メートル近いだろう。スキンヘッドにしているためか、余計厳つい印象を受ける。
どんどん、レベルが上がってるじゃねえか。ガタイが良いからレベルも高いのか?
ちなみに魔王討伐推奨レベルってなんぼよ。もう、この四人で魔王を倒せるんじゃないか? まあ、それならそれでいいや。楽ができる。
「闇の勇者」
とうとう俺の番か。この流れだとレベル五十か? 悪くても三十台だろう。武具はコンバットスーツだろう。そうするとスキルはカウンターあたりかな? 装備をつけないほうが能力が上がるモンク系。やっぱり、元気玉とかめはめ波が相性が良かったのかもな。
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