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茶会と占い
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僕たちは付き合い始めた事をコウに報告した。
「やっと付き合い始めたのか? おめでとう」
僕たちは付き合い始めた事を茶道部のみんなに報告した。
「やっと付き合い始めたの?」
みんな、なぜ驚かない?
「たっくん、何ボーっとしてるんですか? 真剣にやってください。たっくんのせいで最近、手を抜かれると腹が立つんです」
そしてなぜいつも通り、唯はうちでゲームをしてる?
「たっくん、文化祭は一緒に回りましょうね」
「ああ、楽しみだな。唯の着物姿も楽しみだな」
「たっくんの着物姿も楽しみ!」
「最後に帯を引っ張るやつお願いな」
「あれ~って。アホですか? ……みんな居なくなってからですよ」
僕たちは顔を見合わせて笑った。
「おい、そこのバカップル! 俺が居ること忘れてるだろう。帰れって意味か?」
コウはコントローラーを持ったまま、呆れ果ててた。
「いいじゃないか。そういえば袴田さんも文化祭来るんだろう?」
「ああ、俺のライブのある日は休みを取るって言ってたよ」
「じゃあ、茶会にも来てくれるように言っておいてください」
「ぜひ行きたいって言ってたよ」
秋晴れの文化祭。
「唯ちゃん~可愛いわね。その着物よく似合ってるわよ」
袴田さんは着物の唯を見つけた途端、黄色い声を出した。
「竹中、誰だ? あのライダースジャケットのお姉様は?」
風祭さんが僕に耳打ちする。
「唯の美容の師匠ですよ。姐御」
袴田さんのしっかりメイクをした大人っぽい容姿を見てほ~うと納得したようだ。
「つまり竹中はあのお姉様の手ほどきを受けた田所にコロッと落とされたと言うことか?」
なんちゅう言い方をするんだこの人は。
「否定はしませんが、黙秘します」
「沈黙は金とは限らんぞ。有る事無い事妄想しておいてやるからな」
「すみません。姐御」
「わかったらさっさとあの客人を案内して来い!」
僕は風祭さんに背中を押されて二人の所に行く。
「本日は私どもの茶会へようこそいらっしゃいました。ご案内いたしますので、こちらへどうぞ」
「あら~誰かと思ったら、凛々しいわね」
僕はあくまでよそ行きの顔を崩さず案内する。なぜなら風祭部長の視線が痛いからだ。
「どうでしたか?」
「お茶菓子が美味しかったけど、なんか緊張しちゃうわね」
「コウが出る時間まで少し時間がありますが、どうします?」
「私は一人でぶらぶらしてるわよ。お二人さんの邪魔しちゃ悪いし」
そう言うと袴田さんはどこかに行ってしまった。
袴田さんと一緒に回ろうと早めの休憩をもらった僕たちは二人っきりになってしまった。
「行くか?」
「はい。あたし行きたいところがあるんですよ」
そう言って田所は僕の手を引いて歩き出す。
着物のカップルはお祭り騒ぎの中でもそこそこ目立つ。目立つのを利用して休憩がてら客寄せをして来いと風祭部長の命令だ。
適当に茶道を宣伝しながら、出し物を回る。
「ここです」
そう言って連れて来られたのは、恋愛占いだった。
唯も女の子だったか。
どう言う結果になっても僕は気にしないと心に誓った。
「さなえちゃん、来たよ」
窓を閉め切った薄暗い教室の中をいくつかのブースに仕切っていた。その一角に座っている上から下まで真っ黒の魔女ルックの背の低い女の子に、唯は親しげに話しかけた。
「ようこそフランチェスカの占い館へ。本日は恋占いですね。どうぞお座りください」
僕たちは進められるままに椅子に座った。
「男性の方、お名前を漢字でここにお書きください。生年月日と血液型も教えてください」
帽子を深くかぶったフランチェスカ・さなえは僕にそう言った。
その後、学部、出身地、趣味、家族構成、将来の夢も聞いて来た。
「ちょっと待った。それって本当に占いに必要か?」
「必要です。人それぞれ違うのですから、違う占い結果が出るのではないですか。そのためには多くの情報が必要なのです」
確かに星座と血液型だけでは同じ人間はごまんといる。その人々がみんな同じ運命はたどらない。
「続けてよろしいですか?」
「お願いします」
好きな食べ物、嫌いな食べ物、好きなタイプの映画など、どんどんと質問が飛んでくる。
そろそろいい加減にしろと思っていると質問が終わった。
「占いの結果が出ました」
「ちょっとまて、唯に質問は無いのか?」
「お静かにお願いします」
僕の質問は完全に無視された。
「今は非常に相性が良く仲睦まじいですが、このままではお二人の仲は良くない関係になる恐れがあります」
「「え!」」
僕と唯の声が重なる。
「それを回避する方法はございます。心してお聞きください」
僕たちは息をのむ。
「彼女の方が女性の友人との時間を積極的に作ることです」
「どういうことですか?」
「あなたたちが付き合い始めてからというか、唯ちゃんが茶道部に入ってからわたしと遊ぶ時間が減ったのよ! ラブラブなのはわかるけど、たまには唯ちゃんと遊ぶ時間をわたしにちょうだい! 以上。はいはいお幸せに~」
なんだよそれ~占いじゃないじゃないか~。
「やっと付き合い始めたのか? おめでとう」
僕たちは付き合い始めた事を茶道部のみんなに報告した。
「やっと付き合い始めたの?」
みんな、なぜ驚かない?
「たっくん、何ボーっとしてるんですか? 真剣にやってください。たっくんのせいで最近、手を抜かれると腹が立つんです」
そしてなぜいつも通り、唯はうちでゲームをしてる?
「たっくん、文化祭は一緒に回りましょうね」
「ああ、楽しみだな。唯の着物姿も楽しみだな」
「たっくんの着物姿も楽しみ!」
「最後に帯を引っ張るやつお願いな」
「あれ~って。アホですか? ……みんな居なくなってからですよ」
僕たちは顔を見合わせて笑った。
「おい、そこのバカップル! 俺が居ること忘れてるだろう。帰れって意味か?」
コウはコントローラーを持ったまま、呆れ果ててた。
「いいじゃないか。そういえば袴田さんも文化祭来るんだろう?」
「ああ、俺のライブのある日は休みを取るって言ってたよ」
「じゃあ、茶会にも来てくれるように言っておいてください」
「ぜひ行きたいって言ってたよ」
秋晴れの文化祭。
「唯ちゃん~可愛いわね。その着物よく似合ってるわよ」
袴田さんは着物の唯を見つけた途端、黄色い声を出した。
「竹中、誰だ? あのライダースジャケットのお姉様は?」
風祭さんが僕に耳打ちする。
「唯の美容の師匠ですよ。姐御」
袴田さんのしっかりメイクをした大人っぽい容姿を見てほ~うと納得したようだ。
「つまり竹中はあのお姉様の手ほどきを受けた田所にコロッと落とされたと言うことか?」
なんちゅう言い方をするんだこの人は。
「否定はしませんが、黙秘します」
「沈黙は金とは限らんぞ。有る事無い事妄想しておいてやるからな」
「すみません。姐御」
「わかったらさっさとあの客人を案内して来い!」
僕は風祭さんに背中を押されて二人の所に行く。
「本日は私どもの茶会へようこそいらっしゃいました。ご案内いたしますので、こちらへどうぞ」
「あら~誰かと思ったら、凛々しいわね」
僕はあくまでよそ行きの顔を崩さず案内する。なぜなら風祭部長の視線が痛いからだ。
「どうでしたか?」
「お茶菓子が美味しかったけど、なんか緊張しちゃうわね」
「コウが出る時間まで少し時間がありますが、どうします?」
「私は一人でぶらぶらしてるわよ。お二人さんの邪魔しちゃ悪いし」
そう言うと袴田さんはどこかに行ってしまった。
袴田さんと一緒に回ろうと早めの休憩をもらった僕たちは二人っきりになってしまった。
「行くか?」
「はい。あたし行きたいところがあるんですよ」
そう言って田所は僕の手を引いて歩き出す。
着物のカップルはお祭り騒ぎの中でもそこそこ目立つ。目立つのを利用して休憩がてら客寄せをして来いと風祭部長の命令だ。
適当に茶道を宣伝しながら、出し物を回る。
「ここです」
そう言って連れて来られたのは、恋愛占いだった。
唯も女の子だったか。
どう言う結果になっても僕は気にしないと心に誓った。
「さなえちゃん、来たよ」
窓を閉め切った薄暗い教室の中をいくつかのブースに仕切っていた。その一角に座っている上から下まで真っ黒の魔女ルックの背の低い女の子に、唯は親しげに話しかけた。
「ようこそフランチェスカの占い館へ。本日は恋占いですね。どうぞお座りください」
僕たちは進められるままに椅子に座った。
「男性の方、お名前を漢字でここにお書きください。生年月日と血液型も教えてください」
帽子を深くかぶったフランチェスカ・さなえは僕にそう言った。
その後、学部、出身地、趣味、家族構成、将来の夢も聞いて来た。
「ちょっと待った。それって本当に占いに必要か?」
「必要です。人それぞれ違うのですから、違う占い結果が出るのではないですか。そのためには多くの情報が必要なのです」
確かに星座と血液型だけでは同じ人間はごまんといる。その人々がみんな同じ運命はたどらない。
「続けてよろしいですか?」
「お願いします」
好きな食べ物、嫌いな食べ物、好きなタイプの映画など、どんどんと質問が飛んでくる。
そろそろいい加減にしろと思っていると質問が終わった。
「占いの結果が出ました」
「ちょっとまて、唯に質問は無いのか?」
「お静かにお願いします」
僕の質問は完全に無視された。
「今は非常に相性が良く仲睦まじいですが、このままではお二人の仲は良くない関係になる恐れがあります」
「「え!」」
僕と唯の声が重なる。
「それを回避する方法はございます。心してお聞きください」
僕たちは息をのむ。
「彼女の方が女性の友人との時間を積極的に作ることです」
「どういうことですか?」
「あなたたちが付き合い始めてからというか、唯ちゃんが茶道部に入ってからわたしと遊ぶ時間が減ったのよ! ラブラブなのはわかるけど、たまには唯ちゃんと遊ぶ時間をわたしにちょうだい! 以上。はいはいお幸せに~」
なんだよそれ~占いじゃないじゃないか~。
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