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ゲームとお酒
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「せんぱい。そこだめ、あ~。あたしそこ弱いんです」
「ここだろ。弱いの。それ、もうひとつき」
「だめ! もう出ちゃう」
田所が使っているキャラが場外に飛んで行った。
「せんぱい~。可愛い後輩に手加減なしですか?」
「ハンデはやるが手抜きはしない。それが竹中家のポリシーだ」
弟とやってると言うだけあって、なかなかいい勝負をする。しかしゲームの持ち主としてはそう簡単に負けてはやれない。
「こんばんは。上がって大丈夫か? ちゃんと服着てるか~?」
コウが差し入れを持ってやってきた。
「「「乾杯!」」」
田所はコーラ、俺とコウはビールで乾杯。
コウが差し入れしてくれたスナック菓子をテーブルに開ける。
「先輩の家、大学から近くで良いですね」
「溜まり場にするなよ」
「それはしろって言う前フリですか?」
「やめてくれ。彼女と鉢合わせになったらどうするんだよ」
田所は驚いてコップを乱暴に置いた。
「先輩! 彼女いたんですか?」
田所は、やっちまった~と言う顔になる。
「いや、生まれてこのかた彼女は出来たことがないが。何か?」
「はぁ~!? 何ですか? さっきの発言は! バカですか? 死にますか?」
「将来的にだ」
「唯ちゃんもこの部屋見たら、女っ気があるかどうかくらいわかるだろう」
田所はゲームと漫画本しか入っていない本棚を見た。
「あたしが浅はかでした」
ぺこりと頭を下げる。
「わかればよろしい」
「ムカつく~。ゲームでも勝てないし~。コウさんも一緒にゲームやりましょうよ」
浅はかなだな田所よ。
コウは僕と同じくらいの腕だが僕より容赦がない。真剣でなければ面白くないだろう? がもっとモットーだ。
「き~! 先輩たちはもっとお酒飲んで酔っ払ってください」
田所は負けず嫌いらしい。
「飲めば飲むほど強くなる。これが酔拳だ」
「なんですか? それ? お酒飲むと強くなれるんだったらあたしも飲みますよ」
「唯ちゃんは未成年だろう。やめときな」
「そういえば先輩たちって普通にお酒飲んでますけど、大丈夫なんですか?」
「なにが大丈夫なんだ?」
「先輩たちってまだ二年生だからまだ十九才じゃないんですか?」
僕とコウは顔を見合わせた。
「そういえばたっくんってもうすぐ誕生日じゃないか?」
「ああ、三日後だな。コウは二日前だっけ?」
「先輩たち四月生まれ何ですか? それでもたっくん先輩はまだ未成年でしょう」
「まあ、俺たち浪人してるから」
田所さんよ。みんながみんなストレートで大学に入れるわけじゃないんだよ。それにたっくん先輩ってなんだよ。
まあいいや。
「……誕生会しましょう。二人分の」
いいアイデアが浮かんだ! と言うふうに手を叩いて言った。
田所よ。どこまで踏み込んでいいかわからなくて話題を変えやがったな。
「いいよ、今度の土曜日でどうだ?」
「あたし料理作ります。ケーキはちょっと作れないので手料理でお祝いさせてくだい」
「田所よ、料理でコウに挑むとはゲームで挑むより無謀だぞ」
「なんで勝ち負けになってるんですか! ってコウさん料理上手なんですか?」
「いや、人並みにできるだけ」
しれっとして酒を飲むコウ。
「まあ、楽しみにしてるぞ、田所。材料代は俺たちが出すからな。それとケーキは俺の手作りでいいか?」
「たっくん先輩、ケーキ作れるんですか?」
「作れない。嘘です」
「なんでそんなつまんないウソつくんですか? アホですか? 死にますか?」
「……すみません。まあ、飲み物は用意しとく。買い出しも一緒に行くか?」
「はい!」
こうして土曜日に僕とコウの誕生会をすることになった。
「ここだろ。弱いの。それ、もうひとつき」
「だめ! もう出ちゃう」
田所が使っているキャラが場外に飛んで行った。
「せんぱい~。可愛い後輩に手加減なしですか?」
「ハンデはやるが手抜きはしない。それが竹中家のポリシーだ」
弟とやってると言うだけあって、なかなかいい勝負をする。しかしゲームの持ち主としてはそう簡単に負けてはやれない。
「こんばんは。上がって大丈夫か? ちゃんと服着てるか~?」
コウが差し入れを持ってやってきた。
「「「乾杯!」」」
田所はコーラ、俺とコウはビールで乾杯。
コウが差し入れしてくれたスナック菓子をテーブルに開ける。
「先輩の家、大学から近くで良いですね」
「溜まり場にするなよ」
「それはしろって言う前フリですか?」
「やめてくれ。彼女と鉢合わせになったらどうするんだよ」
田所は驚いてコップを乱暴に置いた。
「先輩! 彼女いたんですか?」
田所は、やっちまった~と言う顔になる。
「いや、生まれてこのかた彼女は出来たことがないが。何か?」
「はぁ~!? 何ですか? さっきの発言は! バカですか? 死にますか?」
「将来的にだ」
「唯ちゃんもこの部屋見たら、女っ気があるかどうかくらいわかるだろう」
田所はゲームと漫画本しか入っていない本棚を見た。
「あたしが浅はかでした」
ぺこりと頭を下げる。
「わかればよろしい」
「ムカつく~。ゲームでも勝てないし~。コウさんも一緒にゲームやりましょうよ」
浅はかなだな田所よ。
コウは僕と同じくらいの腕だが僕より容赦がない。真剣でなければ面白くないだろう? がもっとモットーだ。
「き~! 先輩たちはもっとお酒飲んで酔っ払ってください」
田所は負けず嫌いらしい。
「飲めば飲むほど強くなる。これが酔拳だ」
「なんですか? それ? お酒飲むと強くなれるんだったらあたしも飲みますよ」
「唯ちゃんは未成年だろう。やめときな」
「そういえば先輩たちって普通にお酒飲んでますけど、大丈夫なんですか?」
「なにが大丈夫なんだ?」
「先輩たちってまだ二年生だからまだ十九才じゃないんですか?」
僕とコウは顔を見合わせた。
「そういえばたっくんってもうすぐ誕生日じゃないか?」
「ああ、三日後だな。コウは二日前だっけ?」
「先輩たち四月生まれ何ですか? それでもたっくん先輩はまだ未成年でしょう」
「まあ、俺たち浪人してるから」
田所さんよ。みんながみんなストレートで大学に入れるわけじゃないんだよ。それにたっくん先輩ってなんだよ。
まあいいや。
「……誕生会しましょう。二人分の」
いいアイデアが浮かんだ! と言うふうに手を叩いて言った。
田所よ。どこまで踏み込んでいいかわからなくて話題を変えやがったな。
「いいよ、今度の土曜日でどうだ?」
「あたし料理作ります。ケーキはちょっと作れないので手料理でお祝いさせてくだい」
「田所よ、料理でコウに挑むとはゲームで挑むより無謀だぞ」
「なんで勝ち負けになってるんですか! ってコウさん料理上手なんですか?」
「いや、人並みにできるだけ」
しれっとして酒を飲むコウ。
「まあ、楽しみにしてるぞ、田所。材料代は俺たちが出すからな。それとケーキは俺の手作りでいいか?」
「たっくん先輩、ケーキ作れるんですか?」
「作れない。嘘です」
「なんでそんなつまんないウソつくんですか? アホですか? 死にますか?」
「……すみません。まあ、飲み物は用意しとく。買い出しも一緒に行くか?」
「はい!」
こうして土曜日に僕とコウの誕生会をすることになった。
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