魔法の数はステータス!? 転移した先は女性ばかりが魔法を使う世界!

三原みぱぱ

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第二章

混じり者

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 タマラに案内されて村を見て回ることにした。

「どこから案内いたしましょうか?」
「害獣と魔獣の被害の状況を見たいのだが、その後でこの村の蓄えなども確認したい」
「承知しました」

 タマラは軽く会釈をすると俺を連れ立って外に出る。
 ネコのような細長い白い尻尾がスカートから生え、振り振りと揺らしながら俺の前を歩く。
 そのきれいな尻尾を思わずじっと見てしまう。

「どうかいたしましたか?」
「何でもないです」

 女性の尻尾をじっと見るということは許されるべきことなのか判断できず、思わず何でもないふりをした。

「混じり者を見るのは、はじめてですか? お見苦しいでしょうか?」
「いや、申し訳ない。女性の体をじろじろ見るのは失礼とは思いつつ、きれいな尻尾だったのでついつい見てしまった」
「……そうですか。タマラは気にしませんのでどうぞお好きなだけ見てください」

 その赤い瞳でじっと見た後、タマラは先を歩き始めた。

「こちらが畑になります。他にもいくつか点在しておりますし、見られたと思いますが村に入られるところにもございます。ただし主要な農作物はこちらで栽培しておりました」

 タマラが過去形で言ったように、その畑はまともに農作物が植えられていなかった。
 根菜類が植えられていたであろう地面は掘り起こされ、果菜類や葉菜類も食い荒らされていた。

「今の状況で村はどのくらい次の冬を乗り切れる?」
「……節制して、種イモも使っておよそ半数と親方様は見ています」
「害獣を捕まえたり、森で狩をしても駄目か?」

 タマラは表情を変えずに首を横に振る。

「肉はその場限りで保存がきかないため、計算できません。街で売れれば良いのですが、タマラたち混じり者は安く買い叩かれてしまいます」
「なんでそんなに混じり者が嫌われるんだ? 俺は遠くの国から来たのでよくわからないだが」

 タマラはまたじっとこちらを見る。

「タマラたちがいつ狂獣化するかわからないからだと思います」
「狂獣化? なんだそれは?」
「獣人族をご存知ですよね。純粋な獣人族は自分の意思で、獣の力と人の知性を持った獣化を行います。タマラたち混じり者はその獣化時に、自分がわからなくなる狂獣化になってしまう事が多いのです」

 要はバーサークモードになるのか。そいつは怖いな。仲間が急に襲って来られると対応が難しい。

「しかし、獣人も混ざり者も見た目でわからないのでは?」

 タマラの頭にどこに隠していたのか、猫耳がニョッと出てきた。

「獣人は普段、完全な人の姿になれますが、混じり者はタマラの尻尾や耳のように獣の一部がどこか残ってしまいます。獣の部分をコントロールできないから獣化の時に人の心を失うのだと言われてしまうのです。服や靴で隠せるところが獣の部分の人もいますけど」
「ちなみに君の親は何の獣人なんだ?」
「母がワーキャット、猫の獣人です」

 猫か。獣化してもなんかかわいいだけのような気もするが。
 そうするとこの村の人間が商売は難しいのか。

「……俺たちが仲買として村と街を行商すればいいんじゃないか? 村で他に売れるものはあるか? 宝石やマナ石なんかはないか?」
「そのような物があれば親方も盗賊をしようとは考えません」

 それもそうか。
 俺はふと空を見上げる。
 青い空に煙が立ち上っていた。

「なあ、タマラ。あの煙はなんだ?」
「あれは炭を作っております」

 炭か。昔はバーベキューやキャンプは楽しみだったが、街を出てから毎日キャンプなんだよな。
 煙……キャンプ……。
 燻製!

「ちょっと聞きたいんだが、燻製は作らないのか?」
「くんせい……ですか? それはどういったものなのでしょうか?」

 旅の保存食として干し肉は食べるが、硬くて味気なく決して美味いものではない。村で生き延びるために食べるのはそれでもいいかもしれないが、それで商売しようとすると価格が安くなかなか厳しい。
 燻製ならどうだろうか? 塩気と木の香りで商品価値は上がるのではないか? 保存もきくので、たまに俺が来て街に売りに行くときも便利がいい。

「近くに桜の木はあるか?」
「桜ですか? 少し山へ行けばいくらでもあります」

 塩は俺たちの積み荷だ。
 あとは肉があれば燻製がつくれる。
 ほかに何かないか?
 俺は考えながら歩いていると、村の入り口の畑に来ていた。
 涼しげな風が吹いてくる。

 臭い! 糞の匂いだ。確か入口にそんな匂いのする花が大量に咲いていたのを思い出し、村に戻ろうと踵を返す。

 ふと先ほどの夢の言葉が頭をよぎる。

「ちょっと家に戻ろう」

 俺は慌ててみんなのいる家へ戻った。
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