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第二章
冒険者ギルドの依頼
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俺たちは馬車の準備、商業ギルド、冒険者ギルドで南の鉱山へのルート及び情報を得て、いつもの酒場に向かう。
「それで今回は師匠はどうする?」
酒を飲みながらこれまでのことを説明した俺は、ムサシマルに問いかけた。
「噂のドワーフ族かのう。ドワーフ族の打った武器は総じて名刀だと聞くんじゃが、一本打ってくれるなら一緒に行ってもいいんじゃがな」
「儲けが出ればそこから報酬を出すことも出来るし、商談のためにドワーフ族との信頼は得なければいけない。信頼さえ得られれば剣の一本くらいお願い出来ると思うけどね。どうする?」
「……出発までまだ時間はあるんじゃろ。ちょっと一仕事終わらせたら行けるかのう」
「仕事って?」
「畑の害獣退治を受けとるんじゃ。それが終われば一緒に行くのもやぶさかではないんじゃがな」
そう言えば冒険者ギルドにそんなのが出ていたな?
「なあ、リタ。害獣退治って警備隊の仕事じゃないのか?」
香ばしいかおりのするポークソテーを頬張っているリタに話しかけた。
「ぞでばね」
「……飲み込んでからでいいよ」
リタはビールを流し込み、グリーンアイをこっちに向けた。
「それはね。害獣退治って基本夜間巡回で人手がいるし、畑を荒らす害獣程度なら一般の冒険者で問題ないって判断からギルド依頼にしてるのよ。それをムサシマルが受けたの?」
「ジョージ爺さんから頼まれたんじゃ。おそらく猪じゃろうから、その肉ももらっていい約束したんじゃ」
「じゃあそれは俺も手伝うよ。二、三日あれば片付くだろう?」
「それならかまわんぞ。お、レイティアが来たぞ」
いつも綺麗な金色の髪がぼさぼさで、疲れた顔のレイティアが俺の隣の席に座った。
「づがれだ~。辞める方が時間がかかる~」
テーブルに頭をのせて嫌そうに言った。
引き続き、支給品の返還、私物の整理、退職の書類の手続きなど慣れない作業で疲れ果てたようだ。
「お疲れさま。それであと何日くらいで終わりそうだ?」
レイティアはぶどうジュースで喉を潤す。
「今日までのペースでいけばあと二日ね。どうかした?」
俺はシルビアから受けた依頼を話すとその金色に輝く瞳を大きく見開いた。
「それって前に話してた南のマナ石鉱山のこと? 一攫千金を狙った冒険者が集まってるんじゃないの?」
俺はビールを飲みながら初めてマナ石のことを知った時にレイティア達がそんな話をしていたのを思い出した。
「今回は商売だから危険な場所に行くつもりはないけどね。ドワーフの集落に行って帰るだけの予定だよ」
「まあ、それなら大丈夫そうね。そうするとわたしにキヨ、ソフィアさんとムサシマルの四人旅かな?」
「レイティアと師匠の用事が終わり次第、出発しようと思っている」
「了解。じゃあ頑張って残りの片付け終わらせる」
「お土産たのしみにしてるよ」
リタは気楽に言った。
冒険者もいると言うことは多めに食料や回復薬を持っていくとうまく商売ができるかもな。
「そういえば、この街にもドワーフはいるのか?」
俺の質問にレイティアとリタは顔を見合わせる。
「ご主人様、ドワーフ族は基本的に自分たちの集落に引きこもっております。よほどの変わり者でないと集落からは出てきませんよ」
「そうか。そうすると事前にドワーフの情報や知り合いを作るのは難しいか」
「ドワーフってそういうものよ」
ドワーフの集落の場所はだいたいわかっていたが、ちょくちょく移動するらしく現在の詳細な場所はわかっていないらしい。そのためできる限りの情報が欲しかったのだが難しそうだ。
「そうか。じゃあ途中で他の行商人と情報交換をしながら行くか」
その後、他の行商人と情報交換することが難しくなること、この時の俺は予想できなかった。
「それで今回は師匠はどうする?」
酒を飲みながらこれまでのことを説明した俺は、ムサシマルに問いかけた。
「噂のドワーフ族かのう。ドワーフ族の打った武器は総じて名刀だと聞くんじゃが、一本打ってくれるなら一緒に行ってもいいんじゃがな」
「儲けが出ればそこから報酬を出すことも出来るし、商談のためにドワーフ族との信頼は得なければいけない。信頼さえ得られれば剣の一本くらいお願い出来ると思うけどね。どうする?」
「……出発までまだ時間はあるんじゃろ。ちょっと一仕事終わらせたら行けるかのう」
「仕事って?」
「畑の害獣退治を受けとるんじゃ。それが終われば一緒に行くのもやぶさかではないんじゃがな」
そう言えば冒険者ギルドにそんなのが出ていたな?
「なあ、リタ。害獣退治って警備隊の仕事じゃないのか?」
香ばしいかおりのするポークソテーを頬張っているリタに話しかけた。
「ぞでばね」
「……飲み込んでからでいいよ」
リタはビールを流し込み、グリーンアイをこっちに向けた。
「それはね。害獣退治って基本夜間巡回で人手がいるし、畑を荒らす害獣程度なら一般の冒険者で問題ないって判断からギルド依頼にしてるのよ。それをムサシマルが受けたの?」
「ジョージ爺さんから頼まれたんじゃ。おそらく猪じゃろうから、その肉ももらっていい約束したんじゃ」
「じゃあそれは俺も手伝うよ。二、三日あれば片付くだろう?」
「それならかまわんぞ。お、レイティアが来たぞ」
いつも綺麗な金色の髪がぼさぼさで、疲れた顔のレイティアが俺の隣の席に座った。
「づがれだ~。辞める方が時間がかかる~」
テーブルに頭をのせて嫌そうに言った。
引き続き、支給品の返還、私物の整理、退職の書類の手続きなど慣れない作業で疲れ果てたようだ。
「お疲れさま。それであと何日くらいで終わりそうだ?」
レイティアはぶどうジュースで喉を潤す。
「今日までのペースでいけばあと二日ね。どうかした?」
俺はシルビアから受けた依頼を話すとその金色に輝く瞳を大きく見開いた。
「それって前に話してた南のマナ石鉱山のこと? 一攫千金を狙った冒険者が集まってるんじゃないの?」
俺はビールを飲みながら初めてマナ石のことを知った時にレイティア達がそんな話をしていたのを思い出した。
「今回は商売だから危険な場所に行くつもりはないけどね。ドワーフの集落に行って帰るだけの予定だよ」
「まあ、それなら大丈夫そうね。そうするとわたしにキヨ、ソフィアさんとムサシマルの四人旅かな?」
「レイティアと師匠の用事が終わり次第、出発しようと思っている」
「了解。じゃあ頑張って残りの片付け終わらせる」
「お土産たのしみにしてるよ」
リタは気楽に言った。
冒険者もいると言うことは多めに食料や回復薬を持っていくとうまく商売ができるかもな。
「そういえば、この街にもドワーフはいるのか?」
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「ご主人様、ドワーフ族は基本的に自分たちの集落に引きこもっております。よほどの変わり者でないと集落からは出てきませんよ」
「そうか。そうすると事前にドワーフの情報や知り合いを作るのは難しいか」
「ドワーフってそういうものよ」
ドワーフの集落の場所はだいたいわかっていたが、ちょくちょく移動するらしく現在の詳細な場所はわかっていないらしい。そのためできる限りの情報が欲しかったのだが難しそうだ。
「そうか。じゃあ途中で他の行商人と情報交換をしながら行くか」
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