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第一章
合流
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俺が先頭で通路を急ぐ。
「この先に大広間があって、その奥に王の間につながってるの。レイちゃんたちとは王の間で別れたの。ミノタウロスも王の間にいるわ」
金属同士がぶつかり合う音と叫び声が聞こえる。
どうやらすでに戦闘が始まっているみたいだ。
みんな無事でいてくれ。
俺たちが大広間に飛び込んだ。
体育館ほどある自然にできた大広間にところどころ、明りのため松明がともされている。
しっとりとした土を足に感じながら、俺は仲間の姿を確認する。
全員いる。
しかしリタが横たわり、双子の片割れが何やら治療をしている。
前線で戦っているほかのメンバーも傷だらけだ。
相手を見るとゴブリンが十匹以上、しかしそれと同じくらいの数のゴブリンが傷つき倒れている。
入口で見たゴブリンたちとは違い、全員きっちりと防具をつけて武器も錆くれていない。
「あいつらゴブリンナイトよ。なぜかわからないけど訓練を受けてるわ。油断しないで。それにこの部屋には罠も仕掛けられてるわ」
俺は参戦すべく槍を構えて距離を詰めようとしたとき、どこからともなく矢がアレックスに向かって飛んでくるのが見えた。
「危ない!」
俺は飛び込み、腕につけていた丸盾ではじく。
「援軍かゴブ?」
ゴブリンがしゃべった!
奥にいる体格のでかいゴブリンが驚きの声を上げるのを俺ははっきりと聞いた。
「にっくき人間どもめ、次々と湧いてくるゴブ。あの方からいただいた力を見せてやるゴブ」
そう言って、赤と白の二色の球を地面にたたきつけた。
煙があたりに広がりその煙の中から牛の頭を持った大男が出てきた。
オークよりふた回りほど大きく、何より筋肉質だ。
そしてその手には体に見合った大きなハンマーを持っている。
「グゴゥウウウウー!」
ミノタウロスが叫ぶ!
その声に敵も味方もすくみ上がり体が硬直する恐怖の轟音。
ミノタウロスが身近な双子の片割れに襲いかかる。
「おーーー!」
俺は恐怖の轟音に打ち勝つように叫び声をあげながら、二人の間に走りこむ。
ゴギッキン!
丸盾でガードするがミノタウロスの筋肉は見掛け倒しではなかった。俺は体ごと吹き飛ばされ、その勢いで槍がどこかに飛んで行った。盾ごと腕を粉砕されたかと心配したが、盾は傷一つついていなかった。腕も幸いなことに折れている感じはなかった。しかし、体ごと床に打ちつけられ、あっちこっちが痛い。
「キヨ!」
レイティアの声が聞こえる。
「ファイアボム!」
俺は痛みに耐え、ミノタウロスを見る。
みんな体勢を立て直すために奴から距離を取っていた。
拳くらいの火の玉がミノタウロスに向かっているのが見える。
ミノタウロスにも火の玉に気が付いていた。それを手で払いのけた瞬間!
炎は轟音とともに部屋の三分のニほど爆発的に広がリ、ミノタウロスだけでなくゴブリンナイト達も巻き込み燃え上がる。危うく仲間まで巻き込みそうになほどの炎の塊だ。
俺もあわてて盾で自分の身を守りながら様子をうかがる。
その炎はさながら地獄の炎のようだった。
ファイアボムってこんなに威力があるのか?
「え! なに? この威力?」
レイティアが一番、魔法の威力に驚いている。
苦しみのダンスと叫び声をあげるゴブリン達。
唖然としているレイティアに近づく炎の塊。
ミノタウロスはまだ生きている。
「危ない! レイティア」
今度は足を踏ん張ってミノタウロスの一撃を受ける。
さすがのミノタウロスも炎に包まれては本来の力が出せないようだ。
「レイティア! ソフィア!」
俺の叫び声に二人は反応する。
「ストップ!」
「バイブレーション!」
ミノタウロスは頭を抱え、緩慢な動きになり片膝をつく。
俺は腰の剣を抜いた。ソフィアの両親から借り受けた剣だ。
「いちの太刀じゃ!」
いちの太刀とは二の太刀いらずと言われた殺魔次元流の初撃。達人の剣速は音を超え、真の達人は光を超えると言われる。
俺は柄の石のふれたまま、右肩から天に高く剣をつくトンボの構えでミノタウロスに突進する。
俺に力を!
体中の生命の水が剣に吸い込まれていく感覚!
刀が光った!
「チェスト!!!」
俺の突進に気が付いたミノタウロスはそのハンマーで受けようとする。
俺は構わず、上段より剣を振り下ろす。達人には程遠い。しかし今の俺の全身全霊をかけた一撃!
剣は俺の胴ほどあるハンマーの柄に当たる。
ミノタウロスが一瞬、笑ったように見えた。
「ウォーーー!!!!」
俺は気迫を吐き、体重と魂を剣に乗せる。
剣はハンマーの柄を切り裂き、ミノタウロスの頭から股へと真っすぐ突き進み、地面に突き刺さり止まる。
一拍置いて吹き出すミノタウロスの血が俺の頭から降りそそぎ、どさりと肉が倒れ落ちる音が左右に聞こえる。
やった!
そう思った瞬間、俺の体から全ての力が抜け落ち、膝から崩れ落ち、血の海の地面に横たわる。
意識が薄れかけた俺の目に一匹の体格の良いゴブリンが見えた。
「ソフィア! 生け捕り!」
最後の力を振り絞りゴブリンに指差して叫んだ。
「バイブレー……」
ブラックアウト!
「この先に大広間があって、その奥に王の間につながってるの。レイちゃんたちとは王の間で別れたの。ミノタウロスも王の間にいるわ」
金属同士がぶつかり合う音と叫び声が聞こえる。
どうやらすでに戦闘が始まっているみたいだ。
みんな無事でいてくれ。
俺たちが大広間に飛び込んだ。
体育館ほどある自然にできた大広間にところどころ、明りのため松明がともされている。
しっとりとした土を足に感じながら、俺は仲間の姿を確認する。
全員いる。
しかしリタが横たわり、双子の片割れが何やら治療をしている。
前線で戦っているほかのメンバーも傷だらけだ。
相手を見るとゴブリンが十匹以上、しかしそれと同じくらいの数のゴブリンが傷つき倒れている。
入口で見たゴブリンたちとは違い、全員きっちりと防具をつけて武器も錆くれていない。
「あいつらゴブリンナイトよ。なぜかわからないけど訓練を受けてるわ。油断しないで。それにこの部屋には罠も仕掛けられてるわ」
俺は参戦すべく槍を構えて距離を詰めようとしたとき、どこからともなく矢がアレックスに向かって飛んでくるのが見えた。
「危ない!」
俺は飛び込み、腕につけていた丸盾ではじく。
「援軍かゴブ?」
ゴブリンがしゃべった!
奥にいる体格のでかいゴブリンが驚きの声を上げるのを俺ははっきりと聞いた。
「にっくき人間どもめ、次々と湧いてくるゴブ。あの方からいただいた力を見せてやるゴブ」
そう言って、赤と白の二色の球を地面にたたきつけた。
煙があたりに広がりその煙の中から牛の頭を持った大男が出てきた。
オークよりふた回りほど大きく、何より筋肉質だ。
そしてその手には体に見合った大きなハンマーを持っている。
「グゴゥウウウウー!」
ミノタウロスが叫ぶ!
その声に敵も味方もすくみ上がり体が硬直する恐怖の轟音。
ミノタウロスが身近な双子の片割れに襲いかかる。
「おーーー!」
俺は恐怖の轟音に打ち勝つように叫び声をあげながら、二人の間に走りこむ。
ゴギッキン!
丸盾でガードするがミノタウロスの筋肉は見掛け倒しではなかった。俺は体ごと吹き飛ばされ、その勢いで槍がどこかに飛んで行った。盾ごと腕を粉砕されたかと心配したが、盾は傷一つついていなかった。腕も幸いなことに折れている感じはなかった。しかし、体ごと床に打ちつけられ、あっちこっちが痛い。
「キヨ!」
レイティアの声が聞こえる。
「ファイアボム!」
俺は痛みに耐え、ミノタウロスを見る。
みんな体勢を立て直すために奴から距離を取っていた。
拳くらいの火の玉がミノタウロスに向かっているのが見える。
ミノタウロスにも火の玉に気が付いていた。それを手で払いのけた瞬間!
炎は轟音とともに部屋の三分のニほど爆発的に広がリ、ミノタウロスだけでなくゴブリンナイト達も巻き込み燃え上がる。危うく仲間まで巻き込みそうになほどの炎の塊だ。
俺もあわてて盾で自分の身を守りながら様子をうかがる。
その炎はさながら地獄の炎のようだった。
ファイアボムってこんなに威力があるのか?
「え! なに? この威力?」
レイティアが一番、魔法の威力に驚いている。
苦しみのダンスと叫び声をあげるゴブリン達。
唖然としているレイティアに近づく炎の塊。
ミノタウロスはまだ生きている。
「危ない! レイティア」
今度は足を踏ん張ってミノタウロスの一撃を受ける。
さすがのミノタウロスも炎に包まれては本来の力が出せないようだ。
「レイティア! ソフィア!」
俺の叫び声に二人は反応する。
「ストップ!」
「バイブレーション!」
ミノタウロスは頭を抱え、緩慢な動きになり片膝をつく。
俺は腰の剣を抜いた。ソフィアの両親から借り受けた剣だ。
「いちの太刀じゃ!」
いちの太刀とは二の太刀いらずと言われた殺魔次元流の初撃。達人の剣速は音を超え、真の達人は光を超えると言われる。
俺は柄の石のふれたまま、右肩から天に高く剣をつくトンボの構えでミノタウロスに突進する。
俺に力を!
体中の生命の水が剣に吸い込まれていく感覚!
刀が光った!
「チェスト!!!」
俺の突進に気が付いたミノタウロスはそのハンマーで受けようとする。
俺は構わず、上段より剣を振り下ろす。達人には程遠い。しかし今の俺の全身全霊をかけた一撃!
剣は俺の胴ほどあるハンマーの柄に当たる。
ミノタウロスが一瞬、笑ったように見えた。
「ウォーーー!!!!」
俺は気迫を吐き、体重と魂を剣に乗せる。
剣はハンマーの柄を切り裂き、ミノタウロスの頭から股へと真っすぐ突き進み、地面に突き刺さり止まる。
一拍置いて吹き出すミノタウロスの血が俺の頭から降りそそぎ、どさりと肉が倒れ落ちる音が左右に聞こえる。
やった!
そう思った瞬間、俺の体から全ての力が抜け落ち、膝から崩れ落ち、血の海の地面に横たわる。
意識が薄れかけた俺の目に一匹の体格の良いゴブリンが見えた。
「ソフィア! 生け捕り!」
最後の力を振り絞りゴブリンに指差して叫んだ。
「バイブレー……」
ブラックアウト!
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