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第一章
警備隊本部
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一千万マル? 大金じゃないか。
「どうしたんだこんな大金?」
「たまたま家にあったんです」
ソフィアが涼しい顔で答える。
「わたし、こんな大金返せないわ」
「あたしはご主人様にあきらめかけていた夢をいただきました。それはあたしだけでなく両親の夢でもありました。その代価としてこれでも足りないくらいです。ですのでご主人様、遠慮なく受け取ってください。まだ必要であればまだ用意いたします。それに奥様の御姉様の命がかかっているのですよね。お金は無くなってもまた稼げばいいだけです」
そうだ。今そんなことを言っている場合じゃない。
「ソフィア、このお金は俺が借りる。返すあては今は無いが、少額づつでも必ず返すから!」
「わたしも返す。ありがとうございます」
「さあ、警備隊本部に行くぞ」
俺たちはアリシアの救出依頼と情報収集のために警備隊本部へ行くことにした。
移動の途中で俺はアレックスに状況を確認する。
今、警備隊本部は本部長を中心にゴブリン対策を組み上げている。
戻った精鋭部隊は二名を残して病院に入院中ということだ。
依頼は窓口で受け付けているが、本部がそのような状態のためすぐに受理されるかわからない。
警備隊本部の扉を開けると受付らしい女性が一人いた。
「アレックス隊隊長アレックスとマリー隊のレイティアが本部長にお話があります。取り次ぎ願いたい」
警備隊本部には三人のみで来た。リタとムサシマルには今日、準備出来ることをお願いした。ソフィアについてはもう帰るように話をしておいた。
しばらくすると、女性が現れた。年は四十代、鍛えられ引き締まった体が服の上からも見て取れた。眉間のシワの深さに本部長の苦労が見て取れる。
「なんだ、アレックス。この忙しい時に……まあいい、座れ!」
入室と同時に最敬礼していた二人に女性は話しかけた。
「それで、この男性は誰だね」
「この男性は依頼人です」
「依頼?」
俺はギロリと睨まれた。
「まずお忙しい中、面会いただきありがとうございます。私の名前は竜ヶ峰清人(りゅうがみねきよと)と申します。至急に受けていただきたい依頼があって、無理を承知でアレックスさんに本部長殿との面会をお願いいたしました」
「そうですか。ただ、警備隊はいま非常に急を要する案件を抱えておりまして、ご期待にそえるかどうか分かりませんよ」
「私の家族の命を助けて欲しいのです。そのために警備隊の派遣をお願いに上がりました」
警備隊の第一目的は街の住人の安全を守る事だ。
それを無下に出来ないはず。
「急を要するのですね。それでは担当の者を呼びますのでその者に詳しいことをお話し願いますか?」
そう言って他の者を呼ぼうとした本部長の言葉をあえて無視した。
「保護対象者の名前はアリシア・シアン及びその仲間。報酬は八百万マル。市民からの依頼、お願いできますよね」
俺はソフィアから預かった鞄を開けて見せた。
「ア、アレックス! これはどういう事だ。アリシアにはレイティアしか身内はいない筈だ。この男に今回の事を話したのか?」
「隊員の安否について身内に連絡は部隊規律に違反しておりません。私はレイティアに報告をした時、その配偶者であるその男も聞いていただけのことです」
「お願いします。本部長、お姉ちゃんを助けてください」
「無理だ。今、アリシア達の救出にさける戦力はない」
本部長は首を横に振った。
「本部長殿、ゴブリンはいつこの街に攻め込み、奴らはどの程度の戦力を持っているんですか? 現在、ゴブリンどもは精鋭部隊によりダメージを受け、戦力を立て直していると思われる。ただ、その戦力を把握しない状況では対策の立てようがないのではないでしょうか?」
「ああ、逃げ帰った者達も混乱していて今ひとつ奴らの全容がつかめない」
「では、依頼を一部変更します。ゴブリン達の情報収集メインとし、可能であればアリシア・シアン達の救出を依頼とします。戦力が不足な場合は私及び冒険者より補充します。これでお受けしてもらえますか?」
本部長は黙って考えていた。
「わかりました。市民からの依頼を理由なく断ることは出来ません。ただし、条件があります」
「どうしたんだこんな大金?」
「たまたま家にあったんです」
ソフィアが涼しい顔で答える。
「わたし、こんな大金返せないわ」
「あたしはご主人様にあきらめかけていた夢をいただきました。それはあたしだけでなく両親の夢でもありました。その代価としてこれでも足りないくらいです。ですのでご主人様、遠慮なく受け取ってください。まだ必要であればまだ用意いたします。それに奥様の御姉様の命がかかっているのですよね。お金は無くなってもまた稼げばいいだけです」
そうだ。今そんなことを言っている場合じゃない。
「ソフィア、このお金は俺が借りる。返すあては今は無いが、少額づつでも必ず返すから!」
「わたしも返す。ありがとうございます」
「さあ、警備隊本部に行くぞ」
俺たちはアリシアの救出依頼と情報収集のために警備隊本部へ行くことにした。
移動の途中で俺はアレックスに状況を確認する。
今、警備隊本部は本部長を中心にゴブリン対策を組み上げている。
戻った精鋭部隊は二名を残して病院に入院中ということだ。
依頼は窓口で受け付けているが、本部がそのような状態のためすぐに受理されるかわからない。
警備隊本部の扉を開けると受付らしい女性が一人いた。
「アレックス隊隊長アレックスとマリー隊のレイティアが本部長にお話があります。取り次ぎ願いたい」
警備隊本部には三人のみで来た。リタとムサシマルには今日、準備出来ることをお願いした。ソフィアについてはもう帰るように話をしておいた。
しばらくすると、女性が現れた。年は四十代、鍛えられ引き締まった体が服の上からも見て取れた。眉間のシワの深さに本部長の苦労が見て取れる。
「なんだ、アレックス。この忙しい時に……まあいい、座れ!」
入室と同時に最敬礼していた二人に女性は話しかけた。
「それで、この男性は誰だね」
「この男性は依頼人です」
「依頼?」
俺はギロリと睨まれた。
「まずお忙しい中、面会いただきありがとうございます。私の名前は竜ヶ峰清人(りゅうがみねきよと)と申します。至急に受けていただきたい依頼があって、無理を承知でアレックスさんに本部長殿との面会をお願いいたしました」
「そうですか。ただ、警備隊はいま非常に急を要する案件を抱えておりまして、ご期待にそえるかどうか分かりませんよ」
「私の家族の命を助けて欲しいのです。そのために警備隊の派遣をお願いに上がりました」
警備隊の第一目的は街の住人の安全を守る事だ。
それを無下に出来ないはず。
「急を要するのですね。それでは担当の者を呼びますのでその者に詳しいことをお話し願いますか?」
そう言って他の者を呼ぼうとした本部長の言葉をあえて無視した。
「保護対象者の名前はアリシア・シアン及びその仲間。報酬は八百万マル。市民からの依頼、お願いできますよね」
俺はソフィアから預かった鞄を開けて見せた。
「ア、アレックス! これはどういう事だ。アリシアにはレイティアしか身内はいない筈だ。この男に今回の事を話したのか?」
「隊員の安否について身内に連絡は部隊規律に違反しておりません。私はレイティアに報告をした時、その配偶者であるその男も聞いていただけのことです」
「お願いします。本部長、お姉ちゃんを助けてください」
「無理だ。今、アリシア達の救出にさける戦力はない」
本部長は首を横に振った。
「本部長殿、ゴブリンはいつこの街に攻め込み、奴らはどの程度の戦力を持っているんですか? 現在、ゴブリンどもは精鋭部隊によりダメージを受け、戦力を立て直していると思われる。ただ、その戦力を把握しない状況では対策の立てようがないのではないでしょうか?」
「ああ、逃げ帰った者達も混乱していて今ひとつ奴らの全容がつかめない」
「では、依頼を一部変更します。ゴブリン達の情報収集メインとし、可能であればアリシア・シアン達の救出を依頼とします。戦力が不足な場合は私及び冒険者より補充します。これでお受けしてもらえますか?」
本部長は黙って考えていた。
「わかりました。市民からの依頼を理由なく断ることは出来ません。ただし、条件があります」
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