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第一章
ソフィアとの帰り道
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その後、同じ対象物で振動の大きさを変化させてみたり、複数の対象物に関してどのくらいまで可能なのか試してみた。
一時間もテストを行っただろうか、さすがにこんなに魔法を使うのは初めてのようでソフィアに疲れが見えてきた。
「今日はこれで切り上げて、明日にしよう。明日は何か予定はあるか?」
俺は袋に木切れやら兜を片付けた。
「朝、お弁当作って掃除と洗濯を済ませましたら、特に用事はありません」
それ、自分の部屋の事じゃないよな。おそらく。
「一日くらい掃除と洗濯はさぼって大丈夫だろう。明日は一緒に狩に出て実際の動物に対して魔法を使ってみてほしいんだ」
「わかりました。郊外デートですね」
いや違うけど。指摘するとまた面倒なことになるので流すことにした。
「それでは明日の朝、俺たちの部屋に来てくれ」
「わかりました。ご主人様」
そう言って俺はソフィアと別れて宿へ向かった。
別れたたよな。なんで後ろからソフィアが付いてきてるの?
「何か言いたいことでもあるのか?」
俺はソフィアに振りむいて尋ねた。
「そうですね……愛してます」
「いやそうじゃなくて、なんで後をついてきてるんだ?」
「え! だってご主人様の夕食の準備がまだじゃないですか」
キョトンとした顔で俺を見た。そういえば、食材を買ってきてたな。
「もしかしてあれ俺たちのためか?」
「ええ、当然、そうですが?」
ソフィアはいつも俺たちが酒場で夕飯を食べているのを知らないんだった。
「そうか、ありがとう。ただ、いつもは俺たちは酒場で夕食を食べているんだ。今後はそんなところまで気を使わないでくれ」
「わかりました」
寂しそうにしたソフィアを見て心が痛んだが、あまり深入りされても困るしな。
「食材ももったいないし、今日はありがたくいただくよ。それとかかったお金は言ってくれ」
「お金なんていりません。それよりも一緒に食事をしてもいいですか?」
まあ、ムサシマルは酒を飲みに行くだろうし、一人で食べる食事も味気ない。今日だけだろうし、まあいいか。
「ああ、いいよ」
ソフィアの顔がパッと明るくなった。
ソフィアが宿の共同キッチンに行っている間に俺はムサシマルに状況を話した。
今日の夜は酒場に行けないこと、明日の狩りにはソフィアを連れていくことの了承を得た。
今日の鹿でしばらくは狩に行かなくてもよいのだけれどもリーとの約束もある。だから獲物が取れなくてもよかったので、ソフィアの魔法を試すのにもちょうど良かった。
「おまたせしました。ご主人様」
ソフィアは料理をもって部屋に入ってきた。お盆の上には兎のシチューに鳥のチーズ焼き、サラダにワインだ。
うまそうな匂い、そして食欲を誘う香り。
ここはお約束で塩辛いとか変な味とかなのか? 見た目通り美味いか、普通もあり得る?
さあ、勝負!
「それではいただきます」
俺はシチューを一口食べた。
天使のラッパが鳴り響いた。
「美味い!!」
そのまま、鳥肉を食べてみた。チーズと鳥肉がマッチしてこれも美味い。
「お口に合ったようで嬉しいです。なかなか、人に食べて頂くことがないので心配だったんです」
「両親はいたよな」
「ええ、この街にいるのですが、一緒に住んでないのです」
聞いたらマズイ話か? ゼロが親子の関係に影響を及ぼしていることは、ソフィアの話から感じていたのでそれ以上、深く聞くことはしなかった。
それから俺たちはたわいもない話しをしながら、食事を終えた。
一時間もテストを行っただろうか、さすがにこんなに魔法を使うのは初めてのようでソフィアに疲れが見えてきた。
「今日はこれで切り上げて、明日にしよう。明日は何か予定はあるか?」
俺は袋に木切れやら兜を片付けた。
「朝、お弁当作って掃除と洗濯を済ませましたら、特に用事はありません」
それ、自分の部屋の事じゃないよな。おそらく。
「一日くらい掃除と洗濯はさぼって大丈夫だろう。明日は一緒に狩に出て実際の動物に対して魔法を使ってみてほしいんだ」
「わかりました。郊外デートですね」
いや違うけど。指摘するとまた面倒なことになるので流すことにした。
「それでは明日の朝、俺たちの部屋に来てくれ」
「わかりました。ご主人様」
そう言って俺はソフィアと別れて宿へ向かった。
別れたたよな。なんで後ろからソフィアが付いてきてるの?
「何か言いたいことでもあるのか?」
俺はソフィアに振りむいて尋ねた。
「そうですね……愛してます」
「いやそうじゃなくて、なんで後をついてきてるんだ?」
「え! だってご主人様の夕食の準備がまだじゃないですか」
キョトンとした顔で俺を見た。そういえば、食材を買ってきてたな。
「もしかしてあれ俺たちのためか?」
「ええ、当然、そうですが?」
ソフィアはいつも俺たちが酒場で夕飯を食べているのを知らないんだった。
「そうか、ありがとう。ただ、いつもは俺たちは酒場で夕食を食べているんだ。今後はそんなところまで気を使わないでくれ」
「わかりました」
寂しそうにしたソフィアを見て心が痛んだが、あまり深入りされても困るしな。
「食材ももったいないし、今日はありがたくいただくよ。それとかかったお金は言ってくれ」
「お金なんていりません。それよりも一緒に食事をしてもいいですか?」
まあ、ムサシマルは酒を飲みに行くだろうし、一人で食べる食事も味気ない。今日だけだろうし、まあいいか。
「ああ、いいよ」
ソフィアの顔がパッと明るくなった。
ソフィアが宿の共同キッチンに行っている間に俺はムサシマルに状況を話した。
今日の夜は酒場に行けないこと、明日の狩りにはソフィアを連れていくことの了承を得た。
今日の鹿でしばらくは狩に行かなくてもよいのだけれどもリーとの約束もある。だから獲物が取れなくてもよかったので、ソフィアの魔法を試すのにもちょうど良かった。
「おまたせしました。ご主人様」
ソフィアは料理をもって部屋に入ってきた。お盆の上には兎のシチューに鳥のチーズ焼き、サラダにワインだ。
うまそうな匂い、そして食欲を誘う香り。
ここはお約束で塩辛いとか変な味とかなのか? 見た目通り美味いか、普通もあり得る?
さあ、勝負!
「それではいただきます」
俺はシチューを一口食べた。
天使のラッパが鳴り響いた。
「美味い!!」
そのまま、鳥肉を食べてみた。チーズと鳥肉がマッチしてこれも美味い。
「お口に合ったようで嬉しいです。なかなか、人に食べて頂くことがないので心配だったんです」
「両親はいたよな」
「ええ、この街にいるのですが、一緒に住んでないのです」
聞いたらマズイ話か? ゼロが親子の関係に影響を及ぼしていることは、ソフィアの話から感じていたのでそれ以上、深く聞くことはしなかった。
それから俺たちはたわいもない話しをしながら、食事を終えた。
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