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第一章
双子
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綺麗にハモった声を投げかけられる。
そっくりな顔の双子が手をつないで近づいて来た。
「アレックス様は」
「どこに」
「「いるのかな~」」
アレックス同様芝居かかった動きと喋り方をする双子だな。
髪の色はレイティアと同じ金髪でさらりと長い。
お互い右と左で結んでいるところが違う以外、違いが判らない。
「アレックスなら、いないわよ」
レイティアは先程の上機嫌から一転、双子と目も合わせない。
「あら~」
「あれ~」
「「おかしいわね~」」
双子はお互い見合わせた。
「おかしいわね~。ラン」
「おかしいわね~。レン」
どうやら髪を右で束ねているのがラン、左がレンと言うらしい。
「「アレックス様は今日、あなたに会いに行くと言ってましたが~」」
そう言って目を合わせようとしないレイティアの顔を覗き込んだ。
「東の猫像で別れたわ」
レイティアはそれでも顔を背ける。
「そう」
「そうなのね」
「それで」
「あなたは」
「何を」
「してるの?」
「「アレックス様の誘いを断って!」」
双子が大きな声を出すとレイティアは怯えたようにビクッと震えた。双子とレイティアの関係が分からないが、レイティアはこの双子に好ましい感情は抱いていないことはわかった。
「ちょっと、おふたりさん。レイティアは今日、私と出かける約束をしてたんですよ。申し訳ないですが、お引き取り願えませんかね?」
俺はレイティアと双子の間に立った。
ランは下から、レンは上から銀色の目で俺を舐めるように見た。
「ばかですか?」
「バカでしょう」
「レイティア」
「あなた」
「「アレックス様の誘いを断って」」
「こんな」
「間抜けそうな」
「ゼロの男の誘いを」
「優先するなんて」
「「どうかしてるわ!」」
俺はレイティアの手を後ろ手に握った。
「間抜けな男って言うのは否定しないが、お前達は失礼な女だな。レイティア、行こう!」
俺はレイティアの手を引き双子から離れた。
「たかだか、一つ持ちのくせに」
「姉が四つ持ちだからって」
「「いい気になるんじゃないわよ!」」
後ろの方で双子の遠吠えを聞きながら、俺達は広場を後にした。
そっくりな顔の双子が手をつないで近づいて来た。
「アレックス様は」
「どこに」
「「いるのかな~」」
アレックス同様芝居かかった動きと喋り方をする双子だな。
髪の色はレイティアと同じ金髪でさらりと長い。
お互い右と左で結んでいるところが違う以外、違いが判らない。
「アレックスなら、いないわよ」
レイティアは先程の上機嫌から一転、双子と目も合わせない。
「あら~」
「あれ~」
「「おかしいわね~」」
双子はお互い見合わせた。
「おかしいわね~。ラン」
「おかしいわね~。レン」
どうやら髪を右で束ねているのがラン、左がレンと言うらしい。
「「アレックス様は今日、あなたに会いに行くと言ってましたが~」」
そう言って目を合わせようとしないレイティアの顔を覗き込んだ。
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レイティアはそれでも顔を背ける。
「そう」
「そうなのね」
「それで」
「あなたは」
「何を」
「してるの?」
「「アレックス様の誘いを断って!」」
双子が大きな声を出すとレイティアは怯えたようにビクッと震えた。双子とレイティアの関係が分からないが、レイティアはこの双子に好ましい感情は抱いていないことはわかった。
「ちょっと、おふたりさん。レイティアは今日、私と出かける約束をしてたんですよ。申し訳ないですが、お引き取り願えませんかね?」
俺はレイティアと双子の間に立った。
ランは下から、レンは上から銀色の目で俺を舐めるように見た。
「ばかですか?」
「バカでしょう」
「レイティア」
「あなた」
「「アレックス様の誘いを断って」」
「こんな」
「間抜けそうな」
「ゼロの男の誘いを」
「優先するなんて」
「「どうかしてるわ!」」
俺はレイティアの手を後ろ手に握った。
「間抜けな男って言うのは否定しないが、お前達は失礼な女だな。レイティア、行こう!」
俺はレイティアの手を引き双子から離れた。
「たかだか、一つ持ちのくせに」
「姉が四つ持ちだからって」
「「いい気になるんじゃないわよ!」」
後ろの方で双子の遠吠えを聞きながら、俺達は広場を後にした。
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