魔法の数はステータス!? 転移した先は女性ばかりが魔法を使う世界!

三原みぱぱ

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第一章

肉屋

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 その日は十五時ごろ街に帰り着いた。
 レイティア達も一緒に森を出たのだが、あちらは馬。
 俺たちが街に着いた頃には獲物を下ろして、肉屋まで呼んでくれていた。

「こっちよ!」

 リタとレイティアが待っていてくれていた。

「マリーとサラは?」

 二人の姿が見えず、何の気なしに聞く。

「な~に、キヨは私達よりあの二人がいいの? 二人は警備隊本部に報告に行ったわよ」

 リタがからかってくる。

「いや、いや。そうじゃなくて」

 俺はあらたまった。

「ごめんなさい。俺の軽率な行動で君達を危険な目に合わせてしまった。今後は気をつけます」
「わかれば、いいのよ。マリー達には私から伝えとくわ」

 晴れやかな笑顔のレイティアに俺は改めて向かいなおす。

「レイティアさん。次の休みはいつ?」
「は? へ。あ、明日よ。明日だけどなに?」
「予定がなければ、街を案内して欲しいだけど」

 慌てた顔のレイティアも可愛い。

「予定はないけど。私じゃなくて、リタでもいいんじゃないにょ」

 噛んだ!?

「レイティアがいいんだ。レイティアが明日、俺に付き合ってくれ無ければ、今度は一人で森に行ってくる」

 冗談と分かるようにおどけて言った。

「なんて脅迫するのよ。わかったわよ。朝、十時に街の東地区中央の猫像の前集合ね。リタ、私も警備隊本部に行ってくるわ」

 よっしゃ! デートの約束取り付けた!

「行ってらっしゃい。こっちは任せて!」

 リタはレイティアが姿が見えなくなるのを確認して俺に話しかける。

「ありがとうね。ムサシマルにキヨ。警備隊の建前上、みんなああ言ってたけど……。実は私達、討伐したの初めてなのよ。今回も調査が第一目的で、可能ならオークを追い払う撃退までだったのよ。弱っているオークなら討伐できるかもって、みんなの意見が一致したんだけど、やっぱり訓練みたいにはみんな冷静になれなくてね。ムサシマルが声をかけてくれたからわたしもサラも何とか動けたし、キヨが居たからレイティアもマリーも冷静になれたのよ」
「ムサシマルは分かるけど、俺は足引っ張っただけで何もしてないけど?」
「キヨはね。保護対象者だったのよ。私達警備隊はね、訓練でまず保護対象者を守り、保護する事を第一目的とするように教えられるの。だから、保護対象者がいる時、冷静になるスイッチが入るのよ。私達がパニックになったら保護対象者もパニックになるでしょう」

 リタの言うことは分かる。分かるが、それでいいのか? 俺!

「おーい。熊一頭、兎四羽、鳥三羽で六十五万マルでいいか?」

 肉屋の親父が声をかけて来た。
 宿が二人部屋で一日、一万マルだった。
 一月は生活出来る。が、

「安すぎるよ、おやっさん」

 そのまま言い値で売りそうになったムサシマルを押さえながら俺が交渉を始める。

「兎や鳥だけだったらまだしも、熊だよ。滅多に手に入らない食材でしょう」

 昨日の酒場のメニューにも、今朝見た市場にも熊肉は無かった。と言うことは貴重な食材のはず。親父がじっくり目方を計ってた様子から見ても間違いない。

「この大きさ、毛皮も使える。熊だけで百五十万マル。子育て中の母親熊だ。乳出すために丸々太ってる。子育て期間の母親熊なんて恐ろしくて誰が手を出す。こんな熊肉どこにも出てないでしょう。親父の店で熊肉を大々的に売り出したら、熊肉目当ての客が他の物まで一緒に買ってくれる筈だろう」

 おそらく、そんな事は肉屋の親父も言われなくてもわかっている筈だ。

「お~。そう言う考えもあるな。お前、頭いいな。じゃあ、八十万マルでどうだ。全部込みで」

 交渉のためにあえてすっとぼけたな。

「肉屋は親父さん所だけじゃないんだよ。熊だけで百二十万マル」

 もうすぐかな?

「いや~。これだけだと八十万マルが限界だよ。こいつは顔がねえ。顔があれば、百万マルまで出せたがな。店先飾って客寄せにすりゃ、うちも大繁盛間違い無しだ。惜しかったな~という事で、八十万マルでいいか?」
「分かったよ。親父」

 俺はここで手を打った。

「百万マルで契約成立だ!」

 ムサシマルが袋から熊の頭を取り出した。
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