魔法の数はステータス!? 転移した先は女性ばかりが魔法を使う世界!

三原みぱぱ

文字の大きさ
上 下
6 / 186
第一章

第六話 嫁取りの儀・女性

しおりを挟む
「ごめんなさいね」

 レイティアを二階の部屋に寝かせてから、リタが帰って来た。

「レイティア殿は大丈夫か?」
「大丈夫よ。あの子お酒弱いのに、アリシアさんが変に絡むとああなっちゃうの。お酒の量も大したことないから大丈夫でしょう。

 リタはレイティアに飲まれた酒を注文し直しながら答えた。

「あの子の姉アリシアさんはいい人なんだけど、出来の良すぎる姉といつも比べられる妹って、はたから見ててもちょっと可哀想でね」

 それで、姉と間違えられてカッとなったのか。生まれた時から比べられてたのだろうな。
 出来の良い身内がコンプレックスになる人は多い。

「なあ、リタさん」
「リタで良いわよ。キヨ」
「じゃあ、リタ。一つ聞きたいんだが、女性にとって嫁取りの儀ってどう言う意味合いなの?」

 再度、運ばれて来た酒を一口飲み、リタは少し考えて口を開いた。

「嫁取りの儀ってね。要は男からの告白でしょう。それも命懸けの。魔法無しが魔法持ちに勝てるわけがないのに。それでもお前が欲しい! と挑んでくれる訳よ。嫌な気持ちはしないわ。嫌な相手だと勝っちゃえば良いだけだし、好きな相手から挑まれたらもう、心の中では小躍りものよ。気に入った相手なら、面子を潰さない程度に戦って、最後は負けてあげるのが女側の作法よ。まあ、嫁取りの儀自体、一生挑まれ無い人がほとんどだからね」

 と言うことは、初めから女の手のひらで踊らされていると。勝つためにはもともと女性にその気が無いと無理だという事か。

「でも、レイティアぐらい可愛いとこれまでも挑まれたことがあるだろう」
「……うーん。レイティアは可愛いし、世話焼きの良い子よ。でもさっき言ってたようにあの子一つ持ちなのよ。やっぱり男だって、一つ持ちより二つ、三つ持ちが良いでしょう?」

 この世界では性格や姿よりも魔法の数で決めるのか?

「ちなみに、初対面で挑んでしもうた儂はレイティア殿にとってどうだったんじゃろう?」

 ムサシマル。無頓着の風体でその実、気になってたのか。

「まあ、初対面でいきなり嫁取りの儀とか、普通なら全力でお断りね」

 やっぱりそうだろうよ。逆で考えて見ろよ、ムサシマル。知らない女性がいきなり結婚してくださいって来ても困るだろう。

「まあ、それでも一目惚れでそのまま嫁取りの儀になった例もあるし、決闘自体お互いを知るって意味もあるのよ」
「えっと、成り行きで私が嫁取りの儀に勝ってしまったことはどうなります?」

 リタは木の皿の上で湯気を上げている鳥の唐揚げを頬張りながら、少し考えた。

「わかんない!」

 ちょっと待て! 見届け人!

「嫁取りの儀って一般的な風習だけど、法的拘束力って無いのよね。過去にも負けた女の子が逃げちゃったケースもあるし。最終的にはお互いの気持ちだからね。それでキヨはどうしたい?」
 
 俺の気持ち? レイティアの顔を思い浮かべて見る。心配そうにこちらを見たレイティア。超可愛い! 正直、見た目はどストライクだ! だけどレイティアの事はほとんど何も知らない。

「知りたい。俺、レイティアの事をもっと知りたい」

 思わず俺はリタの手を握り、大きな声を出していた。

「分かったわ。キヨ。じゃあ、一つ大事な事を教えてあげる。レイティアはけっこう嫉妬深いからこういうことはちょっとね」

 俺は慌ててすぐにリタの手を離した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

真☆中二病ハーレムブローカー、俺は異世界を駆け巡る

東導 号
ファンタジー
ラノベ作家志望の俺、トオル・ユウキ17歳。ある日、夢の中に謎の金髪の美少年神スパイラルが登場し、俺を強引に神の使徒とした。それどころか俺の顔が不細工で能力が低いと一方的に断言されて、昔のヒーローのように不完全な人体改造までされてしまったのだ。神の使徒となった俺に与えられた使命とは転生先の異世界において神スパイラルの信仰心を上げる事……しかし改造が中途半端な俺は、身体こそ丈夫だが飲み水を出したり、火を起こす生活魔法しか使えない。そんな無理ゲーの最中、俺はゴブリンに襲われている少女に出会う……これが竜神、悪魔、人間、エルフ……様々な種族の嫁を貰い、人間の国、古代魔法帝国の深き迷宮、謎めいた魔界、そして美男美女ばかりなエルフの国と異世界をまたにかけ、駆け巡る冒険の始まりであった。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

異世界を服従して征く俺の物語!!

ネコのうた
ファンタジー
日本のとある高校生たちが異世界に召喚されました。 高1で15歳の主人公は弱キャラだったものの、ある存在と融合して力を得ます。 様々なスキルや魔法を用いて、人族や魔族を時に服従させ時に殲滅していく、といったストーリーです。 なかには一筋縄ではいかない強敵たちもいて・・・・?

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...