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冒険道中編

閑話.乙女の銅級冒険者への道。想像してたのとなんか違う

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「いらっしゃいませ!冒険者様っ!」

 時刻は夕方6時。

 空は夏が近づき、まだ少し明るさが残る。

 ここアムリス帝国の国境沿いの町バウンドでは依頼を終えた冒険者がこの町に帰って来る時間であった。


 帰ってきた冒険者達は依頼で得たメダで町にある酒場や宿で食事や宴を繰り広げ始める。

 酒場や宿ではすでにあかりがともり、冒険者達が今日したであろう冒険の話に花を咲かせる。

 混みに備えていた酒場や宿の料理人は腕を振るい、接客人は忙しなく注文を取るのだ。

 この時間はそう言う時間だ。

 そんな時間に一際騒がしく並ぶほど混む店があった。

 名を『ヤーミーズ-2号店』といった。



 …今、私はメイド服まがいの服を着てキャピキャピと接客をしている。

 
「うほ!…あぁ、ただ今ナツちゃん」


 今入ってきた男の人は私の挨拶で泥酔したように顔を赤くして、顔の筋肉が蕩けるようにぐにゃりと表情を変えていた。

 皮の胸当てを着けていて腰には一振りの剣を差している。

 見た目からして冒険者なのだろう。

 私はその人へ向け再び話をかける。

「冒険者様は何名様ですかぁ?」

 甘ったるいような声を鳴らして、唇にあざとく人差し指を当てる。

 何でこんな事をしてるのか??

 私が聞きたい!!

 気づいたら夕日に『夏目が勇者だってバレない為には名前だけでなく演技も必要だよ!!』とか言われて、丸め込まれ気づけばこんなになっていた。

 本当に恥ずかしい。恥ずか死ぬ。

 もしこんな姿をゆうたに見られたら私はこの世界ごと私を消滅させてしまうかも知れない。

 こんなキャラを辞めたいと思うけど、子役根性も働いて引くに引けなくなってしまったのだ。

 あぁ、悲しきかな…

 と、一瞬のうちにそんな事を考えていると冒険者の男が私の問いに答える。

「今日は一人で来たんだ」

「お一人様ですねぇ!お席にご案内しまぁす」

 胃に穴が空きそうだ。

 チクチクと痛む胃の痛みを無視して今しがた空いて綺麗に拭かれた机に男を案内して一旦私の役目は終了する。

 少し落ち着いてあたりを見回すとお店のテーブルは全て埋まっており、他の従業員達が忙しなく動いている。

 夕日や伊織も例外なく働いており、沢山のお客様の注目を集めていた。

「はぁ…」

 その姿を見て私は小さくため息をついてしまった。

 私は何をしているんだろう。

 いや、わかる。これは完全にメイド喫茶のメイドをやらされている。

 前の世界と違うのはご主人様ではなく冒険者様と呼ぶところぐらいなのかな?

 メイド喫茶は行った事がないのでわからないがこのお店ではどんなお客様でもこの町に名を轟かす超凄腕冒険者という設定で接客をするのだ。

 このお店に来るお客様はその珍しい接客が大変気に入ったらしく毎度大繁盛なのである。


 はぁ…何で異世界に来てメイド喫茶なんてやってるんだろ。


 無論これは冒険者ギルドに公式で通された依頼である。

 つまりこれも言ってしまえば冒険なのだが、理屈じゃあないんです。

 じゃあ受けれなければ良いのだが、給料がとても良いのだ。

 更にこの店の店主のヌーノさんは私達に指名までして依頼をしているので断るに断れない。

 断るのもなんだか可哀想だし、この依頼だけでものすごくメダを貰えるのでやらせてもらっているのだ。


「ナツちゃん、注文取ってきて」

「はぁい」

 と、これまでのことを考えていると、同じメイド服を着た従業員さんにそう言われて指を指されたテーブルへ向かう。


 テーブルには先程の冒険者とは違い、鉄製の軽い目の鎧をつけたちょっとイケイケな感じのお兄さんが座っていた。

「冒険者様っ!ご注文をお伺いしまぁす!」

 そう言って私はお兄さんの前に立つと、お兄さんは私の顔を見るなり目を大きく見開き、嫌な笑みを浮かべて私の身体を上から下、下から上へと舐め回すように見る。


 そして、目線はピタリと私の顔よりも下。私の胸で止まり、嫌らしい笑みが更に酷くなり、気味の悪い笑みになった。


 キモっ。


 わかってるからね?どこ見てるのかくらい。

「冒険者様ぁ?」

 視線がロックが掛かったように動かない変態に注文を急かすように声をかける。

 実際に、胸を見て話す男は幾らか存在するものなので視線には慣れている。
 ここまで凝視されれば気持ち悪いとは思うけど。


「あ、あぁ。じゃあ注文を取ろう…んんぅ」
 
 そう言って男はテーブルに置かれた本日のお品書きを手に取り悩ましげな声をあげた。
 目線は品書きではなく私に向いているが。

 私は外面で必死に笑顔を振りまき、心の中では溜まりに溜まったストレスが爆散しかけていた。

 注文は決めてから呼べやぁぁ!!

 どこ見とんのじゃわれぇぇー!


 変態はしばらく私を見て楽しんだのか、料理名を言い始めた。


「『君を守るのは俺の盾だけオムライス』それと『愛のポーションミックスジュース』」

 変態はそう言って言葉を切った。

 この仰々しい名前のオムライスは盾の形をしたただの美味しいオムライスだ。
 ミックスジュースもただの新鮮な果実で絞られた美味しいミックスジュースで、別にポーションのように体が元気になるとかそう言った効果は全くない。

「はぁい!『君を守るのは俺の盾だけオムライス』と『愛のポーションミックスジュース』ですねぇ!ただいまお持ちしま「あぁ、それと!」すので…」

 私が喋るのを切り、変態が何か思い出したように男は人差し指を天井へ向けてこちらを見つめた。

 何か頼み忘れた物でもあったのだろう。
 私は首を横に傾け頭に『?』を浮かべた。

「一つ頼み忘れていたものがあった」

 やっぱり。

「追加で頼むのは、君の」

 ファサッ

「スマイル」


 ピキッ!
 おっと、危ない危ない私の[演技:Lv.7]が取れるかと思った。

 なんだ!ファサッって!髪の毛をなびかせないでよ!

 そのキザっぽい笑顔を私に負けないで!チラチラと目線がズレてるのもわかってるし!!

「おいおい、どうした、そんな顔を赤くして照れて。参ったな、そんなつもりじゃなかったんだが」

 ぽりぽりと頭をかいて下卑た笑みを浮かべる変態。

 変態には今の私は顔を赤くして照れているように見えているようだ。

 実際私は顔を赤くしているようだ。

 だが断じて照れているわけではない。どちらかといえばその反対。キレている。

 これ以上会話をすると手が出そうなので何も言わずにギギギと笑ってその場を後にする。


 私は怒りでドキドキしていた。


 私はあの変態に次は配膳しなければ行けないと考えると気が狂ってしまいそうになる。

 ただでさえ色々なストレスがたまっているのだ。
 召喚されたり殺されかけたりしていて溜まりに溜まったストレスは行き場をなくしてどんな小さな衝撃でも吹き出しそうなほど水風船のように大きく広がっているのだ。

 そんな事を考えながら他のお客様の接客や配膳をしたりしていると、トレーに乗ったオムライスとミックスジュースを渡された。


 配膳する時が来た。


 私は覚悟を決めてトレーを持ち男の前に立つ。

「お待たせしましたぁ!『君を守るのは俺の盾だけオムライス』と『愛のポーションミックスジュース』でぇす!」

「あぁ、まってたぞ」

 そう言ってテーブルに二つ置くと私は手に持っていたトレーにおいてあるケチャップを持って変態に尋ねる。

「冒険者様、何か書いて欲しい言葉はございますかぁ?」

 このオムライスにケチャップで書ける範囲で何か書く決まりとなっているのだ。

「あぁ、じゃあ『愛しのローティン』と書いてくれ」

 ニンマリと笑顔を浮かべてそんな事を言った。

 文字数が多いだろがーい!!

「ちょっとわたしにはむずかしぃなぁ」

 と言うと

「じゃあ、『ローティン♡』でいい」

「はぁい」

 私はムカムカする胃の痛みを無視しながら要望通りにオムライスにケチャップで書く。

「お前は字も上手いのか、よくできた女だ。やはり俺に相応しいな」

 よくわからない事を小さな声で呟いていた。

 変態は役になりきる感じの人なのかもしれない。
 お客様は凄腕冒険者設定なのでそう言ったセリフが出るのだろう。

 と、その言葉を無理矢理正当化させる。

「次は『愛のポーションミックスジュース』に愛のおまじないを掛けさせていただきまぁす!」


「らぶちゅーにゅー!」


 ムカムカムカ!


 わたしは手でハートを作ってジュースに向けて呪文を唱える。

 これで愛のポーションミックスジュースの完成だ。

 ミッション達成だ。後は変態が帰ってくれればもう大丈夫だ。

 そう思い、心の中でほっと肩を撫で下ろした。

 だがそんな簡単に終わってくれないのが世の常である。

 私は挨拶をして下がろうとすると変態は私の腕をぐっと掴んでニヤリと笑った。


「俺が食べ終わったらさっさと俺の拠点へ向かうぞ」


 ??

 何を言っているんだろうかこの変態は。

 意味が分からずぽかんとしていると、変態は私から何かを察したのかふっと澄ました顔になった。

「フッ、安心しろ俺は見ての通り銀級の冒険者だ。お前ぐらい養ってやるし、拠点もそこらの冒険者よりも上等なものだ。お前が心配するものでもない」

 どこでどうしてどうなってどんな順序でそうなったの!?

 というかこの人が銀級!?

 私は鉄なのに!?!?!?

 あぁ、、


 ピキッ

「冒険者様…そういうのはちょっと…」

「こんなところで働いていなくても良いし周りのやつらも気にしなくてもいいぞ。俺は銀級だからな」


 カラリとミックスジュースの中に入った氷が音を鳴らした。

 そこで気づいた。
 辺りは静まり返り私たちの様子をお店中の全員が見ていた。

 今まで接客をしていた夕日と伊織は冷たいオーラを出している。
 店主のヌーノさんは射殺さんばかりに変態を見ているし、他の冒険者や、従業員も顔をしかめてこちらの様子を見ていた。

 変態は気付かずに私の腕を握ってニマニマとこちらを除くばかりだった。

「そういうのは…ちょっと…」

「わかってるさ…」

「!!では、この手を…」

「俺以外にはこんな事させない」

 変態は気が高ぶったのか料理に手をつけぬまま私の腕を握り立ち上がった。


「行くぞ」


 一言そう言って私の腕を引いて外へ引っ張っていく。

 そこで夕日と伊織が動き出すが、私は掴まれていない方の手でそれを制した。

 
 変態はずんずんと出口まで進んでいきいよいよ外へ出てくれた。


 外へ出て道に立ったところで私は変態の手を振りほどく。


「??どうした?あぁ、手か。ほら握ってやるから」

 そう言って手を差し出す変態。


 
 もう、良いよね。

 ごめんね、ゆうた。

 私がこんな依頼受けたばっかりに。

 きっとゆうたが怒って罰を与えたんだ。


 私は手を差し出す変態に体を近づける。

 変態はニヤリと笑みを強くしてこちらを眺める。

 また一歩体近づける。

 変態もジリジリと私に近づくようにしているので私は二歩体を近づけた。

 変態と私の体が触れ合いそうになるその瞬間。


「ふんっ!!!」


「ゴフゥァァッ!!」


 変態は声にならぬ声をあげ体をくの字によじらせ5メートルほど飛ぶ。


 私が変態の腹に掌底を打ったからだ。


 変態はピクリとだけ動いた後全く動かなくなった。


 大丈夫。生きている。


 手加減をしたし、鎧も来ているので死んでいないはずだ。

 私は動かない男を一瞥して踵を返した。











「みんな本当にごめんなさい!!」


 営業時間が過ぎて関係者以外居なくなったヤーミーズで私はみんなに謝罪をしていた。

 迷惑なお客様だったとはいえ従業員が、手を上げてしまったのだ。
 依頼された冒険者だとしても今日は従業員だったのでお店にとってはいい迷惑だろう。

「いやいや!気にしないでくれよ!指名して依頼したのは俺だ!お前が悪いわけじゃない!それにあそこでお前が殴らなくとも俺たちの誰かがあいつを殺してた!気にしなくていい!」

 ヌーノさんがそう言って励ましてくれる。

「ヌーノさんもこう言ってるし頭あげよ?ナツナツ」

 優しくそう言ってくれる夕日。

「ユウの言う通りだよ。頭上げてナツ」

 同調してくれる伊織。

「…みんな…!」

 私はゆっくりと頭をあげるとヌーノさんが喋り始める。

「店のことなら安心しろ。たとえあいつがクレームに来たとしてもあそこに居た奴がアイツを逆に許しちゃおかねぇだろう。それに明後日からお前たちは銅級冒険者だろ??この店に来ることもほとんどなくなるじゃねぇか」

 鉄級冒険者は依頼を規定以上達成すれば軽いテストを受けて銅級に上がることができる。
 私たちはこの依頼をもってついに規定を達成したのだ。

 この依頼のお陰でお金も割とある。そうなるとこの店に来ることはもうないと言っても過言ではないのだ。

 私はヤーミーズのみんなに深く感謝をした。




 今日の依頼報酬にはメイド服2着と執事服1着が付いてきた。


 理由は

「お前ら3人が着た服を保管してたら誰かに盗まれちまう」

 とのことだった。


 そして貰った報酬の金額はいつもの倍以上であった。


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