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勇者召喚編
6.乙女の情報交換。みんなすごい力を持っているらしい
しおりを挟む私はベルに案内されて、食事をする大きな部屋に来ていた。
そこには召喚された39人が食事するために大きな机が3卓並べられて1卓の机に椅子が13脚並べられていた。
生徒たちもポロポロ来ていて、私が一番というわけでは無いみたいだった。
私は角っこに座りたかったので一番左の机の入り口側の角に座ることにした。
座る際にベルがさっと椅子を引いて私を座らせ、私が座ったのを確認すると私の背後の壁に立つ。
これが執事かー。
なんて思いながらあたりを見回す。
見たところによると、男子生徒にはメイドが、女子生徒には執事が侍っていた。
さらにメイドは美女で執事は俗に言うイケメンだった。
ちなみにだがベルも整った顔立ちをしていると思う。興味がないのでよくわからないが。
そんなくだらないようなことを考えていると横から声がかかった。
「ナツナツ!隣大丈夫?」
「夕日!全然大丈夫だよ」
声の正体は夕日だった。私がどうぞどうぞと促すと夕日は自分で椅子を引いて、必然的に私の左隣に座る。
夕日の執事も夕日の背後の壁に立っていた。
「ナツナツはまだメガネかけてるの?というかなんか朝より目腫れてない!?大丈夫??」
「やっぱり異世界に来たって考えると少し悲しくなっちゃってね」
「そっか。そうだよね…」
「夕日はなんか元気そうだね」
「ん~まあね!考えててもどうせ帰れないってわかってるし、これからどうするか考えてたら落ち込んでもいられないから!」
そう言って夕日は筋肉なんてない腕を「モリモリ!!」と言いながら力こぶをつくった。
「ふふっ、そうだね」
「そうだよ!それに見て、私以外にも結構割り切ってる人もいるよ?あそこにいる小川くんとか!」
夕日は真ん中にある机の奥を指を指す。
そこには小川くんと田村くんと倉本くんがニマニマと笑顔を浮かべながら話していた。
彼らは召喚される前から3人でよく集まって話していた人達だ。
前に休み時間に彼ら3人の話をちらっと聞いたのだが
『田村氏はエリスたん推しでござるかー』
とか
『昨日の体育で拙者の右腕の黒龍の封印が解けた!なので右腕を動かすことは不可能でござる!』
とか私には理解ができない話していたのを聞いたことがある。今回もそんな会話をしているのかもしれない。
「小川くんたちは異世界に来てもいつもと変わらなさそうだね。というか前見た時よりもテンションが高そうだよ…」
「たしかに!」
・
・
・
しばらく、夕日と会話をしていると、秋やまなみ、桜子、上村くん達も私達のいるところに座ってきた。
言わずもがな全員執事やメイドを連れていた。
座る際に秋だけ私の顔を見てギョッとして、ものすごく心配してきたけど「大丈夫」と答えると、心配しながらも私の向かい側の席に椅子を引いて座っていた。
クラス全員と先生が揃った頃に食事が一斉に運ばれてきた。
運ばれてきた豪勢なメニューに一瞬驚いたが腹ペコだったので料理をばくばくと口に運んでいった。
料理を食べながら上村くん達と情報交換をする事になった。背後には執事達がいるのでもちろん小声だ。
まず話したことは帝国について。
まあ、言わなくてもわかると思うが上村くん達は帝国の事を信用していない。
だがしかし、他に信用する者もいない。取り敢えず帝国のいいなりになるしかないという結論に至った。
その話の流れから次に話すのはスキルのことについてだった。
「俺の持っているスキルで使えそうなのは[聖剣召喚]と[聖剣術]それと[聖気]かな。あとは身体強化系のスキルが何個かあるくらい」
上村くんがそう言うと夕日が反応した。
「へぇ!そのスキルが兵士さんに驚かれてたやつかー!」
どうやら夕日は一番最後にスキル報告をして、私が居なくなった後の上村くんや近衛くん達のスキルがすごいみたいで、兵士がものすごく驚いていたのを見ていたらしい。
「悠人の次は私がスキル報告したよ!私のスキルで使えそうなのは[剣聖]と[超剣術]、[聖気]かな。あとは悠人と同じで身体強化系が何個かかなー」
まなみもすごそうなスキルを持っていて、[聖気]が使えるらしい。
「じゃあ、次は私の番。私は[賢者]と言うスキルと[超魔術]、[聖気]です。残りはまなみちゃんや悠人とは違って身体強化ではなく魔力強化系ですね」
えぇ、桜子も[聖気]持ってるの?いいなぁ。まあ、[聖気]が何に使えるのか知らないけど。
「桜子の次は俺の番。俺は[拳聖]と[超拳術]みんな同様[聖気]と身体強化系だな」
近衛くんとか、みんな超ナントカとか言ってるけど私のスキルなんだっけ?[瞬間記憶」とかなんですけど…
「近衛くんの次は私。私はみんなと違って戦い向きのスキルじゃなかったよ」
秋がそう言う。
仲間がいた!よかった。いや、良くないか。スキルが強くないとこの世界では生きていけなさそうだから。
「私のスキルは[薬聖]と[超鑑定]それとみんなと同じように[聖気]だよ」
うん。秋はあっち側だ。超ナントカが付いている人はあっち側だ。いいことだけど。私はさみしいよ。
そして最後は夕日ね。どうせ夕日もあっち側だ。
「最後に私ね!でも皆んなみたいに強いスキルがいっぱいあるわけじゃないんだよねー。私には[聖気]もその超ナントカみたいなスキルもないの。ただ身体強化系と魔力強化系があるって感じだよ!」
夕日は私と仲間!!
喜んではいけないけど少し安心してしまう。
「そういえば夏目はどんなスキルを持ってるんだ?」
上村くんが聞いてきた。うーんどう答えるべきか。
「私は[瞬間記憶]と[アイテムボックス]、後は[料理]だけだよ」
背後に執事がいる事だし、嘘をつくのは心苦しいが帝国に報告したスキルを3つ言った。
「…そっか。でも夏目に戦闘系スキルがないのなら戦わせられる事はないかもしれない。夏目が危ないところに行かないのは少し安心するよ」
「でも、いざという時に身を守れるか不安だから強くなりたいかな」
「確かに。それにしても[アイテムボックス]か。
物を入れる箱のスキル…多分なんでも物ならしまう事ができるスキルとか?部屋に行った時に試してみた?」
「ううん、部屋では少し考え事をしてたからスキルとかは試してないよ。上村くんは試したの?」
「[聖剣召喚]を部屋で試した。結果として俺が思い浮かべたところから聖剣を一本だけ出せるスキルみたいだ。こんな風に…」
と言って、上村くんは机に手を当てて何かを掴んだと思ったら、剣の柄の部分だけをチラッと見せた。
そして上村くんが手を離すとそこには何もないかのように剣の柄が消えた。
クリントンが魔法を最初に見せた時でも理解していたけど、こうやって身内が超次元的な事をすると改めてここが異世界だと思い知らされる。
「まあ、こんな感じにどこでも聖剣が出せる能力なんだ。夏目の[アイテムボックス]も、ものを出し入れするスキルだと思うしとりあえずなんかに使ってみようぜ」
上村くんにそう言われたので何か試しに使ってみようとお手軽なものを探す。
目に付いたのは今私が手に持っていたフォークだ。
私は恐る恐る心の中で消えろと念じる。
すると、フォークは手元からどこかへ消えてしまった。
「おぉ、フォークが消えた」
「ナツナツ、マジシャン見たい!」
どこかに消えたフォークが私の身体中探してもどこにもないはずなのに私は持っていると何となくわかる。
次に私は、フォーク出ろ!と念じるとフォークは私の手元に戻ってきた。
「フォークが出てきた」
「ナツナツは将来プロマジシャンだ!」
後で、部屋にあるものとか色々と入れてみよう。
そう思った。
他にも色々な情報を交換しあった。
例えば、秋の[超鑑定]というスキルは人や物のステータスを覗くことが出来るらしい。
だが条件がある。実物を5秒以上見つめる事だったりと様々な条件があるらしい。
後、たまに人でも鑑定スキルが発動しない人がいるみたい。おそらく何らかの条件が必要なのではと考えているらしい。
ちなみに、秋は私や夕日、後何人かの生徒の事が鑑定出来ないみたいで、その規則性は謎らしい。
そんな感じで、情報交換をして食事会はお開きになった。
その後女子で大浴場へ行って身体を洗い。
ベルのエスコートで部屋に戻った。
部屋は先程、私が出した液体もなく。新品かのように綺麗になっていた。
私はこれからの事を考えながらベッドにて眠りについた。
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