異世界に迷い込んだ俺は異世界召喚された幼馴染と再会した

たたたかし

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帝国暗躍編

11.英雄の帰還。全ては姉の言う通り

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 教会の清水事件から五日経った。

 事件は鎮圧したのかどうかは知らない。

 なぜなら俺は未だに王都から離れた森の中に建てたセンスの中にいるからだ。
 なぜ五日もセンスの中にいるのかというと、これにはわけがある。

 俺は真言マントラを使い、犯人たちを捕まえた。
 真言マントラは強大な力を解放して、俺の体に宿すことができるだ。
 例えば、五日前に使った恵比寿天。

 本来の恵比寿天の力は水流の力。
 その力は水を生み出すことは出来ないが、ある程度溜まった水を自在に操ることができる力だ。
 いや、水操るとか最強だと思うがこれには制限がある。

 まず、水の量はよく小学生が使うバケツぐらいの量からでなければ操れない。
 さらに、魔法で生み出した水は一時間以上立たなければ操ることができなかった。
 なので戦っている時に相手の水魔法を操るということはできない。
 普通の水と水魔法をの水の何が違うかさっぱりわからないが何かあるのかも知れない。

 そして、バケツの水くらいから操れるのでわかる通り細かく扱う事が出来ない。
 巨大なハンマーを扱っているような感じだ。大きいクレーターは作ることができるけど小さな穴は作れないみたいな?

 じゃあなんで犯人を追っかけていた時に色々できてたのか。というと。

 その疑問の答えが真言マントラだ。

 真言マントラを使い恵比寿天を解放することによって、制限が無くなる。
 水の量なんて気にしなくてもいいし、水のあるところならば、どこへでも転移できる。まるで自分が水そのものになったかのようになれるのだ。

 まあ、そういうわけで俺は犯罪者達をパッパッと捕まえたってわけだ。

 なぜ今この話をしたのかというと、五日も倒れていたわけはこの真言マントラのせいなのである。

 大いなる力には大いなる代償がともなう。

 これほど強大な力なのだ。何もなしに使えるわけがなかった。

 俺は真言マントラを使った後、極度の魔力欠乏により気絶。
 最後の最後に振り絞った力で、〈センス〉を出してぶっ倒れた俺をシシオウが中まで運んでくれた。

 そして気絶していること三日。俺は目を覚ました。

 目を覚ました俺だが、体が全く動かなかった。
 身体中が痛いとかではなく、脱力感と言うのか、力を入れても穴が空いた風船のように抜けていった。

 四日目にして体を動かすことが出来るようになったが、身体が重い。更に魔法が使えなくなっていた。
 いや、正確に言えば使えるのだが、筋肉痛のように魔力痛になっていて使うと痛いし威力も弱いのだ。
 更に更に試してみると、毘沙門天や大黒天の力が一ミリも使えなくなっていた。収納・抽出は使えたが、召喚もダメだった。

 そして五日経った今現在、力と魔法がかろうじて使えるようになったのだ。
 魔法を使うと未だにちょっと痛いが、まあ問題はないくらいには使えるし、俺の力も疲れるが使えるようになっていた。

 なので俺は五日も王都に戻れずに足止めを食らっていたわけだ。

 真言マントラは使う時間に比例して代償がでかくなる。

 今度からはちょこちょこ使うことにする。

 そんな事を考えている俺は王都に戻る準備が出来たのでシシオウを箱にしまってセンスを戻して。森を出た。



 俺のダッシュですぐに王都の門まで付いたので、パパッと並んでパッと王都に入った。





 まず俺が向かったのはギルドだ。
 
 目的はニルファさんだ。

 マードさんによろしく伝えておいたが、事件を追って五日も無言で帰ってこなかったのでニルファさんの心には鬼が住んでいると推察される。

 ボコボコに殴られても、剣で切り刻まれても土下座して謝るつもりだ。

 俺はギルドの受付に近づくたびに足がすくんでいっていたが気にしないでほしい。

 力が抜けていく足を必死に動かして受付にたどり着くと、ニルファさんではなくカナーニさんが受付をしていた。

 何故だかわからないが足が少し軽くなったので、カナーニさんの元へすぐに行った。

「こんにちは!カナーニさん!ニルファさんはいますか?」

「あ!ゆうたさん!ニルファは昨日から病欠よ?ゆうたさんは一緒に住んでるんじゃなかったの?」

「ちょっと依頼で出かけてたから、じゃあニルファさんは家かー。ありがと!カナーニさん」

 俺はそう言って、ギルドから駆け足で出ていった。





 ニルファさんのアパートまで人波をかき分けてすぐにむかった。

 俺は今アパートのドアの前に立っている。

 体調の心配と怒られる怖さという感情がぐるぐる回って混沌となった状態で俺はドアノブに手をかけて、ゆっくりとドアを開けた。

 ギィィ…

 中は真っ暗でニルファさんは寝ていると思われる。

 俺はニルファさんがいるであろう寝室へ向かい寝室のドアを開けた。


 寝室を開けると、目の前に布団にくるまったニルファさんがひどい顔をして下を向いていた。

 ドアを開いた音に気づいて、開けた張本人である俺を見て、ニルファさんと俺は目が合った。

 目があった瞬間、ニルファさんは俺に飛びかかりぎゅっと抱きしめてきた。
 俺は飛びかかる衝撃をニルファさんにぶつけないように体を動かして、お返しのように俺も優しく抱きしめた。

 ニルファさんは泣いていた。俺の左肩はビショビショになり、左耳からはズズッと鼻をすする音が聞こえた。

「姉を…姉をこんなにしんぱいさせるじゃないよぉ!ばかおとうとがぁ!!」

 ニルファさんが少し掠れたような声で叫び、泣いていた。

 ニルファさんをこんなに心配させて泣かせてしまったのは俺だ。怒られるだとか、そんなもんじゃないくらいに心配させてしまった。

 ただ、今は謝る言葉が必要なんじゃない。

 そう思った。


「ただいま。姉さん」

「うん…おかえりぃ…弟ぉ」


 俺たちはしばらく抱き合って泣いた。





 少し時間が経ち、落ち着いた頃に俺は拳骨をかまされてしっかりと怒られた。

 自分がどれだけ心配したのかをすごい聞かされた。

 心配のあまり、睡眠も食事もできずに体調を崩してしまったらしい。

 ごめんなさいニルファさん。

 それでも無事に戻ってこられて良かったと。おかえりと言ってくれた。

 そしてニルファさんに

「ゆうた冒険一ヶ月禁止!!」

「え!まって!まって!!無理無理無理!!」

「ダメです!姉に心配かけるような弟には姉の大切さを知る期間が必要ですー!それにゆうたはもう働かなくてもいいくらい金銀財宝もってるんでしょ!?一ヶ月くらい我慢しなさい!!」

 と言われてしまったのだ。

 心配をかけてしまった俺は何も言い訳ができず一ヶ月王都から出ちゃいけない令が出されてしまった。

 承諾するとニルファさんは笑顔になって、俺を撫でて、今日は一緒にご飯作る令と今日は一緒に寝る令を出され。

 この一日は可愛い弟として過ごす事になった。

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