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帝国暗躍編
1.迷宮都市からの旅立ち。そして、王都へ
しおりを挟む俺がシューニャに迷い込んで六年半が経ち、俺は十五歳となった。
俺は今レノス王国の王都に向かっている途中だ。
俺とニルファさんが約束した、二年後の再会の為だ。
まだ、一年半しか経っていないけど、迷宮はもう十分楽しんだので、少し早いが王都に向かうことにした。
シリルさん達と別れるのはちょっぴり寂しかったが、シリルさん達にもやる事があるのだ。俺のわがままで王都までついて行ってもらうわけにもいかない。
まあ、今生の別れってわけでもないしな。
俺は王都に向かっている途中、王都で何をするかという考えで胸がいっぱいだった。
王都にはどんな事が待ってるんだろうか!!めっちゃくっちゃ楽しみだ!
王都には教会があるらしいのだ。
ついに!ついに俺の持っているスキルがわかるかもしれない!ひゃっほぅ!!
「早く王都に行こうぜ!シシオウ!!」
「グゥ!!」
俺はシシオウにまたがりシシオウが王都に向かって走っていった。
・
・
・
・
・
「お、おぉぉ!!こ、ここが王都!!!の門!!!」
俺は王都に入る検問を受ける為に、並んでいた。
所謂、入国審査の様なものだ。
ここは王都。王の住む都なのだ。
危険なものを持ち込ませて、何か王都に被害があったら困る。
一人一人丁寧に、長めのチェックがされていて、並んでいる人は少しイライラしていたが、仕方がない事なのでみんな我慢している様だ。
三十分ほどして俺の番が来た。
門の前で審査するのは王都の兵士のようだ。
「長い間待たせてしまい申し訳ない。最近、帝国が荒れているのでな。厳重に審査する必要があるんだ。貴方は見たところ商人のように見える、荷物はどこに?」
安定の服装で商人に間違えられたので、俺は銀色のギルドカードを見せた。
「冒険者だったのか。すまない。では都入りするに当たっていくつか質問がある…」
そう言って真実石を用いていくつかの質問に答えて、やっと王都に入れるようになった。
厳重だなぁ。
なんて思いながら俺は門をくぐると、王都の街並みが目の前に飛び込んで来た。
綺麗に整備された石畳の道路、規則性に則っられたように綺麗に立ち並ぶ建物、そして、奥にそびえ立つ大きなお城。
「おおおぉ!!王都やべぇ!!」
思わず叫んでしまった。色んな人の視線を感じたがそれを気にする余裕がないくらい俺の心は昂ぶっていた。
城!城!!城だ!!!かっけぇ!!それに何だろうか、この王都の煌びやかさは!!眩しい!!
今まで行ってきた村や街とは一線を画している。
王都に住んでいる人達はみんな、時代の最先端を行っているような感じがする。
最先端の麻の服を着ていたり、植木に水をあげていたりと、今までと違ってなんか優雅に過ごしている気がする。
都会って、まじやべぇ!!
俺はもう、興奮が止まらずに、王都の街並みをキョロキョロして見ていた。
完全なる田舎者である。
それは仕方がないことだと思う。俺今までシューニャに来て、森、開拓村、死にかけていた村、迷宮都市にしか行った事がないんだぜ?
たしかに迷宮都市も栄えていたけど、ほとんど冒険者か、商人にしか会わないし、迷宮にこもったりしていたので、この王都の雰囲気は新鮮でなんかやばいと思った。
王都探索もそこそこにして、俺は王都の冒険者ギルドを探していた。
ニルファさん元気にしてるかな!!
そんなことを思いながら肉の串焼き片手に、王都を歩いていた。
十五分ほど王都を適当に歩いていると、すぐにギルドは見つかった。
正直ギルドは簡単に見つけられる。なぜなら、冒険者っぽい服装の人についていけばいいだけだから。
迷宮都市とは違い、王都の冒険者ギルドは一つだけなので、一瞬だった。
そして今俺は、冒険者ギルドの前に立っている。
ギルドの見た目は大きめのすごい綺麗な建物という感じだった。セントラルほどの大きさと綺麗さはないが、イーストよりも5段階くらい上の清潔さであり、建物の看板にはしっかりと『冒険者ギルド・パラティヌス支部』と書かれていた。
ちなみに、パラティヌスって言うのは王都の名前だが、長いので王都と呼んでいる。
ギルドに入ると中はまあまあ混んでいた。
見た感じ、ギルドの中の作りとしてはあまり変わらないみたいで、依頼を貼る黒板、正面に受付、そして併設された酒場と普通の作りだった。
ニルファさんに会いたい俺はギルドの受付のところまで行って、受付に尋ねてみることにした。
「あの、すみません」
受付をしている人の元へ行き話をかけた。
「…あ、イケメンだ」
受付をしている女性が何か小さく呟いた。
「はい?」
よく聞こえなかったので聞き直すと女性は慌てたようにして答えた。
「あ、え!あ!冒険者ギルドへようこそ!!私!カナーニって言います!よろしくお願いします!」
「え、はい、よろしくお願いします。ゆうたです。」
勢いにつられて俺も自己紹介をしてしまった。
「商人さんとお見受けしますが依頼の申請でしょうか!?」
受付の女性、カナーニさんがそう聞いてきた。
「依頼というか、知り合いを探してて…このギルドにニルファという女性はいませんか?」
俺がニルファさんを探していると言うことを聞いた瞬間、カナーニさんのテンションがみるみる下がっていった。
「あぁ、あなたもニルファ目当てなんですね…」
え?何?どう言うこと??
「も?」
俺はカナーニさんの言っている意味がよくわからず困惑した。
「ニルファは今、出払っていますので、また別の日に来てください」
カナーニさんはそう言って、俺をまるで汚物でも見るような冷たい目で見る。
「え?」
いや、わけがわからない。ニルファさんに会いに行って、受付に話しかけたら睨まれるって、急にどうしたの?俺が悪いの?
「今日はニルファはいないので、別の日にしてください」
早く帰れ。と視線で言われている気がする。
「いや、でも」
俺がそう呟くと。
「お引き取りください!」
と、怒気をこめて言われてしまった。
「ちょっと待ってください!落ち着いて!」
若干困惑気味な俺はなんとかそう言ってカナーニさんを落ち着かせようとしたのだが…
「もう!なんですか!衛兵呼びますよ!!」
なんでそんなに怒ってるんだ!この人は!都会の女性はこんな感じなのか!?
それに俺は帰るわけにはいかない。だってニルファさんは…
ダッダッダッ
カナーニさんが叫ぶと、受付の奥の方から足音が聞こえて、こちらに向かって来た。
「何騒いでるの!?カナーニちゃん大丈夫?何かあった!?」
走ってきた女性はカナーニさんの元へ来て、心配するように聞いていた。
「あの人が!ニルファを出せって言って聞かないの!!」
カナーニさんは女性にそう告げた。
「私を出せ?」
カナーニさんの話を聞いてこちらに女性がこちらに振り向いた。
「久しぶり、姉さん」
にこりと笑う俺。
「え!ゆうた!?」
俺の顔をみて驚くニルファさん。
「え。」
そして何がなんだかわからない顔をしているカナーニさん。
こうして、俺とニルファさんは再会を果たした。
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