上 下
67 / 133
迷宮都市編

23.スタンピード。生まれ変われ自分

しおりを挟む
 作戦を準備して、一週間が経った。

 そう、つまり、スタンピードの日だ。

 俺の予想した通り、スタンピードは今日起きるみたいだ。

 セントラルは一万の冒険者達を二日前からノース方面に待機させてあるみたいだ。

 俺も準備万端だ。

 お、魔物達が動き出した。最初は五万か。

 魔物の気配と冒険者の気配がお互い動き出した。

 五万くらいならば、セントラルが勝てるだろう。
 気配の強さ的にもよほどの馬鹿じゃない限り死ぬことはない。

 お、ぶつかり合ってるぞ。

 うん、大丈夫そうだな。一応、五万の魔物の軍勢は倒せそうだ。


一時間ほどして、魔物の五万の気配が消え、都市の中にいた俺達からでも聞こえる叫び声が聞こえた。

 スタンピードを乗り切ったから叫んでいるのだろう。

 まあ、あと、四十五万いるけどな。

 お、また五万の魔物だ。魔物達が強さを上げてきたな。

 んー、まぁ、一人当たり五体ちゃんと倒せば死ぬ事はないな。


 三十分経過。


 あ、ちょっとやばいな。さっきの五万で消耗してて危ない奴がちらほらいるな。

 でも、大丈夫そうだな。金級の冒険者が5体以上倒している奴がいる。



 二時間ほどして五万の軍勢を倒した。倒した途端先ほどの叫び声よりも大きく猛々しい声がこちらに響いた。

 予想されていた十万の魔物達を倒したからだろう。

 あと四十万の魔物がいるけどな。

 しばらくすると魔物達の気配が動き出した。

 お、ついに魔物が本気を出したきたぞ。二十万の軍隊だ。
 しかも、五万の魔物と比べ物にならないくらいに強いじゃねぇか。気配でしかわからないが、一体が銀級冒険者くらいの強さだな。

 これは死んだな。助けに行くか。

 俺達は作戦を開始して、セントラル冒険者一万のところへむかった。

 まず、一万対二十万の戦いを遠目から見た。

 二十万の相手は黒く大きいサソリに乗った黒い骨だった。骨十万サソリに十万だ。

 冒険者達にも強さがわかるのか前の方から逃げていって攻防戦が崩れた。

「ヘルストーカーだ!!逃げるぞ!お前ら!!あいつらはシャレにならん!しかもあの数はまずい!にげろ!!どこまでも逃げろ!」

 冒険者達は蜘蛛の子を散らすようにして逃げていったが。
 相手は二十万。こちらは一万。

 絶対に逃げられない。

 あ、しぬ!!
 ってところで俺が結界魔法で守った。

「レスキュー!!」
 俺はそう叫んだ。

「は!!」

 と言って、イーストのギルドメンバーが飛び出して気絶した冒険者達を運んでいった。

 まず、人命救助をした。

 これぞ作戦No.一『死亡すれすれの吊り橋効果作戦』だ。

 この一週間で、ウェスト、ノース、イーストのギルドマスター監修の元イーストギルドメンバーの心入れ替え教育を施し、無属性魔法の身体強化を叩き込んだ。

 そして、心を入れ替えたギルドメンバーは俺が守って気絶したり戦意を喪失した冒険者達の回収又は誘導をしてもらうのだ。

 そして俺が死亡ギリギリで守ったことにより、最大の絶望から評判が最低なイーストに助けてもらうことにより。
 案外イーストのギルドメンバーは悪い奴じゃないかもっと思わせるような計画だ。

 正直なことを言うと、セントラルに対して少しお仕置きが必要だと思ったからギリギリで結界を張っているだけだ。

 そして、戦意喪失した冒険者を逃したあと、
 作戦No.二『圧倒的強さに強い憧れを持つ作戦』を発動する。

 この作戦は簡単だ。

 俺が自然魔法を使い敵の足止めをする間、サニー、アシル、シリルさんでひたすらに倒してもらうって作戦だ。

 これにより、イーストの冒険者は強いという事を理解させられる。
 さらに、シリルさん達の戦闘は美しいので、その戦いに魅せられる者も出るだろう。
 つまり、イーストは心優しくて、強いギルドだという広告をするのだ。

「よし、やるか!」

 俺はそう呟いて、魔物達全員に自然魔法をかけた。

 俺の自然魔法は、サソリと骨の体をツタや木の根っこなどで雁字搦がんじがらめにして動きを止めた。

「はっはっは!!地面に足がついている時点でお前らに足場はない!!!」

 まるで、ここだけが時間が止まったかのように敵を止めた。その間にシリルさんは格闘術で。サニーは雷を落として、アシルは風を纏わせた短剣をつかい、高速で魔物の首を切り落としていった。


 三十分ほどすると、二十万の魔物は全て命を散らした。


「や、やった…」

 しばらくするとポツリポツリと声が聞こえてきて、それは大きな歓声となった。

「うぉぉぉおおおお!!」

 歓声が響く中、俺とイーストの冒険者とシリルさん達は警戒をしていた。

 残り二十万。

 まだ気配がする。
 しかも、さっきのサソリと骨とは比べ物にならない禍々しさを放っている。

 流石に、金級の奴らでも厳しいな。

 戦えそうな冒険者以外は避難させて、シリルさんを中心として戦うか。

 俺はそう判断して、今歓声を上げている冒険者達にも聞こえる様に音魔法を使って、近くに控えていたイーストのギルドマスターを呼び避難を促させた。

「お前ら!俺はイーストのギルドマスターだ!これからまた二十万の魔物が来る!!死にたくない奴は都市に戻れ!死にたい奴だけがここに残れ!!」

 そうギルドマスターが叫び、冒険者の整理がついた頃ちょうど、二十万がうっすらと目に見えるくらいに近付いてきた。

 さぁ、撲滅といきますか。

 
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー
ファンタジー
 第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)  転生前も、転生後も 俺は不幸だった。  生まれる前は弱視。  生まれ変わり後は盲目。  そんな人生をメルザは救ってくれた。  あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。  あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。  苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。  オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)

IXA
ファンタジー
凡そ三十年前、この世界は一変した。 世界各地に次々と現れた天を突く蒼の塔、それとほぼ同時期に発見されたのが、『ダンジョン』と呼ばれる奇妙な空間だ。 不気味で異質、しかしながらダンジョン内で手に入る資源は欲望を刺激し、ダンジョン内で戦い続ける『探索者』と呼ばれる職業すら生まれた。そしていつしか人類は拒否感を拭いきれずも、ダンジョンに依存する生活へ移行していく。 そんなある日、ちっぽけな少女が探索者協会の扉を叩いた。 諸事情により金欠な彼女が探索者となった時、世界の流れは大きく変わっていくこととなる…… 人との出会い、無数に折り重なる悪意、そして隠された真実と絶望。 夢見る少女の戦いの果て、ちっぽけな彼女は一体何を選ぶ? 絶望に、立ち向かえ。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗
ファンタジー
ただのサッカーマニアである青年ショーキチはひょんな事から異世界へ転移してしまう。 その世界では女性だけが行うサッカーに似た球技「サッカードウ」が普及しており、折りしもエルフ女子がミノタウロス女子に蹂躙されようとしているところであった。 更衣室に乱入してしまった縁からエルフ女子代表を率いる事になった青年は、秘策「Tバック」と「トップレス」戦術を授け戦いに挑む。 果たしてエルフチームはミノタウロスチームに打ち勝ち、敗者に課される謎の儀式「センシャ」を回避できるのか!? この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

最強聖女は追放されたので冒険者になります。なおパーティーメンバーは全員同じような境遇の各国の元最強聖女となった模様。

山外大河
ファンタジー
 とある王国の」最強の聖女、アンナ・ベルナールは国王の私利私欲の為の邪魔となり王国を追放されてしまう。  そして異国の地で冒険者になったアンナだが、偶然知り合った三人の同年代の少女達は全員同じような境遇で国を追放された各国の最強の元聖女達だった。  意気投合した四人はパーティーを結成。  最強の元聖女四人による冒険者生活が今始まる。  ……ついでに彼女たちを追放した各国は、全部滅びるようです。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。 最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。 更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。 「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」 様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは? ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

処理中です...