59 / 133
迷宮都市編
15.ギルドマスターと会う。思わぬところでつながった
しおりを挟む
俺はレイラさんから関所までの地図をもらい関所にたどり着いた。
俺が迷宮都市に来るときに通った関所だった。
俺はギルドマスターの心当たりがある。
俺が初めて迷宮都市に来た時に関所で検問をしている兵士によく笑うおじさんがいた。おそらくその人だろう。
そう思いながら関所を見渡すと、すぐに見つけた。
気配でわかっていたから簡単に見つけられた。
今は休憩中みたいで、関所の休憩所みたいなところに座っていたのでちょっと気配を消して、おじさんの元へ近づいて行った。
俺が休憩所へ入り込みおじさんに後ろから話をかけようとした時
「誰だ!」
とおじさんが叫んだ。
嘘だろだろ。気配完全に消してるぞ。なんで気づいたよ。
「すみません、スラップさんですか?」
「?スラップはたしかに俺だが?っておめぇは前に検問をした事がある冒険者だな。何の用だ?」
すげぇ、顔まで覚えてるのかよ。なんでだろうな。
「その前に、なんで俺に気づいたんだ?…それに俺のことをよく覚えてましたね」
「あぁ、なんだお前、俺を襲いに来た奴じゃねぇのか。
そりゃ、気づくだろ、気配は消えてても体温も感じるし、心臓の音も聞こえたぞ、あまいな!
なんで覚えているのかって言うのは、検問の時にちょっと不自然だったからな!」
警戒を解いたのか調子を戻して話し始めた。
「不自然?どこが?」
「不自然だったぞ。気配や服装は商人の様だし、見たことない細い棒を腰にぶら下げている。何より歩き方は達人の様な歩き方をしていたからな。
な?不自然だろ?」
すごいな、心眼とはまた違う洞察力を持っているんだなこの人は。
「たしかに不自然ですね。ああ、ここにはスラップさんに用があってきたんですよ」
「俺に?」
「はい、イーストのギルドの悪評についてです」
俺ははっきりと言った。
「あぁ、そう言うことか。その話については仕事が終わってからでいいか?夕方くらいになったら終わるからまた来てくれ!」
そう言われて俺は夕方まで待つこととなった。
都市で買い物をしたりして時間を潰したりして夕方になったのでまた関所へ向かった。
関所につくと、スラップさんが俺を待っていたのか手を振ってきたので振り返して合流した。
「いやぁ、悪りぃ悪りぃ、待たせちまったな!はっはっ!」
「いや、全然大丈夫ですよ」
「そうか!ならいいか!
わざわざここまで来てもらって悪いな!関所の近くに兵士が泊まる寮があるんだよ。そこで話をしよう!」
「わかりました」
と言って、その寮まで向かった
・
・
・
「んで、ギルドの悪評についてだったか?」
「はい」
「先に何から説明すればいいんだろうな」
そう言ってイーストの生い立ちの様なものを聞かされた。
話をまとめると。
イーストは迷宮都市ができる前に立ち上げられたギルドで、迷宮都市を作ったギルドの一つらしい。
他にもウェストとノースも迷宮都市を一緒に作ったらしい。
その歴史は古く、迷宮都市と関わりがあるらしい。
イーストとウェスト、ノースで迷宮都市を作り上げ、数年後セントラルやサウスが出来上がって、今の迷宮都市ができた。
そして時間が経つにつれて、セントラルが迷宮都市の行政をする様になり自動的にセントラルが中心となった。
そこからさらに時が経ち三十年ほど前、ある日セントラルがギルドを減らすべきだと訴えてきた。
セントラルは冒険者が多くいても弱い魔物が多く討伐できるだけで、強い魔物を討伐できるのは強い冒険者のみなので冒険者を減らして、その意思を統一する為にも、ギルドを減らすべきだと言った。
それに対して、イースト、ウェスト、ノースは反対した。
当たり前だ。
元々三つのギルドで作り上げたものを減らされるというのも反対だし、多くの冒険者を減らすのにも反対だった。
現在の冒険者の数で魔物との均衡が保たれているのだからギルドを統一して冒険者を減らせばその均衡が崩れかねないからだ。
そう訴えたが、冒険者の質が良ければカバー出来ると言って聞かなかった。
その時は、三つのギルドが反対したので押し切れた。
だがそれでも、セントラルは質重視の冒険者社会を目指していたので、当時のイーストのギルドマスターはセントラルの思想を恐れ、緊急時に使えるように、大量の借金をしてかなり大きい土地を買った。
そして時が経ち、セントラルは減らすことができないのならば、消せばいいと言う考えになったらしく、その矛先はイーストへ向いた。
それは少しずつ広まる噂を用いた。
最初は誰も信じなかったが、流れ続ける噂に徐々にみんなが信じる様になった。
イーストの借金の理由は私腹を肥やす為だなんて言われたりした。
そして今、イーストの信用は地に落ちてしまったそうだ。
さらに、最近魔物の出現が不安定となり、それを好機と思ったセントラルはセントラルにのみ依頼をする様に住民に仕向け、地上の魔物はほとんどセントラルのものとなってしまったらしい。
そのせいで、ウェスト、ノースは大ダメージ。
銅級冒険者は去り、今の状況となったそうだ。
今は借金の返済を今のギルドマスターが受け持っていて。
イーストの冒険者はイーストが買った大きな土地で依頼をこなしているらしい。
なので、信用が地に落ちても物理的には痛くはないらしい。
とのことだった。
つまり、セントラルの野望は達成されそうってことだ。
実質ノースのギルドとウェストのギルドはほぼ人がいない状態なのでじきに潰れるだろう。
イーストの冒険者は殆ど増えることはないので、ほぼ達成している。
悪評について聞こうとしたら思わぬところで話が繋がってしまった。
これからどうすればいいんだろう、俺に出来ることってなんかあんのかな。
とりあえず、明日は迷宮に潜らなきゃだし、来週考えよう。
そう思って、ギルドマスターにお礼を言って普通に帰った。
俺が迷宮都市に来るときに通った関所だった。
俺はギルドマスターの心当たりがある。
俺が初めて迷宮都市に来た時に関所で検問をしている兵士によく笑うおじさんがいた。おそらくその人だろう。
そう思いながら関所を見渡すと、すぐに見つけた。
気配でわかっていたから簡単に見つけられた。
今は休憩中みたいで、関所の休憩所みたいなところに座っていたのでちょっと気配を消して、おじさんの元へ近づいて行った。
俺が休憩所へ入り込みおじさんに後ろから話をかけようとした時
「誰だ!」
とおじさんが叫んだ。
嘘だろだろ。気配完全に消してるぞ。なんで気づいたよ。
「すみません、スラップさんですか?」
「?スラップはたしかに俺だが?っておめぇは前に検問をした事がある冒険者だな。何の用だ?」
すげぇ、顔まで覚えてるのかよ。なんでだろうな。
「その前に、なんで俺に気づいたんだ?…それに俺のことをよく覚えてましたね」
「あぁ、なんだお前、俺を襲いに来た奴じゃねぇのか。
そりゃ、気づくだろ、気配は消えてても体温も感じるし、心臓の音も聞こえたぞ、あまいな!
なんで覚えているのかって言うのは、検問の時にちょっと不自然だったからな!」
警戒を解いたのか調子を戻して話し始めた。
「不自然?どこが?」
「不自然だったぞ。気配や服装は商人の様だし、見たことない細い棒を腰にぶら下げている。何より歩き方は達人の様な歩き方をしていたからな。
な?不自然だろ?」
すごいな、心眼とはまた違う洞察力を持っているんだなこの人は。
「たしかに不自然ですね。ああ、ここにはスラップさんに用があってきたんですよ」
「俺に?」
「はい、イーストのギルドの悪評についてです」
俺ははっきりと言った。
「あぁ、そう言うことか。その話については仕事が終わってからでいいか?夕方くらいになったら終わるからまた来てくれ!」
そう言われて俺は夕方まで待つこととなった。
都市で買い物をしたりして時間を潰したりして夕方になったのでまた関所へ向かった。
関所につくと、スラップさんが俺を待っていたのか手を振ってきたので振り返して合流した。
「いやぁ、悪りぃ悪りぃ、待たせちまったな!はっはっ!」
「いや、全然大丈夫ですよ」
「そうか!ならいいか!
わざわざここまで来てもらって悪いな!関所の近くに兵士が泊まる寮があるんだよ。そこで話をしよう!」
「わかりました」
と言って、その寮まで向かった
・
・
・
「んで、ギルドの悪評についてだったか?」
「はい」
「先に何から説明すればいいんだろうな」
そう言ってイーストの生い立ちの様なものを聞かされた。
話をまとめると。
イーストは迷宮都市ができる前に立ち上げられたギルドで、迷宮都市を作ったギルドの一つらしい。
他にもウェストとノースも迷宮都市を一緒に作ったらしい。
その歴史は古く、迷宮都市と関わりがあるらしい。
イーストとウェスト、ノースで迷宮都市を作り上げ、数年後セントラルやサウスが出来上がって、今の迷宮都市ができた。
そして時間が経つにつれて、セントラルが迷宮都市の行政をする様になり自動的にセントラルが中心となった。
そこからさらに時が経ち三十年ほど前、ある日セントラルがギルドを減らすべきだと訴えてきた。
セントラルは冒険者が多くいても弱い魔物が多く討伐できるだけで、強い魔物を討伐できるのは強い冒険者のみなので冒険者を減らして、その意思を統一する為にも、ギルドを減らすべきだと言った。
それに対して、イースト、ウェスト、ノースは反対した。
当たり前だ。
元々三つのギルドで作り上げたものを減らされるというのも反対だし、多くの冒険者を減らすのにも反対だった。
現在の冒険者の数で魔物との均衡が保たれているのだからギルドを統一して冒険者を減らせばその均衡が崩れかねないからだ。
そう訴えたが、冒険者の質が良ければカバー出来ると言って聞かなかった。
その時は、三つのギルドが反対したので押し切れた。
だがそれでも、セントラルは質重視の冒険者社会を目指していたので、当時のイーストのギルドマスターはセントラルの思想を恐れ、緊急時に使えるように、大量の借金をしてかなり大きい土地を買った。
そして時が経ち、セントラルは減らすことができないのならば、消せばいいと言う考えになったらしく、その矛先はイーストへ向いた。
それは少しずつ広まる噂を用いた。
最初は誰も信じなかったが、流れ続ける噂に徐々にみんなが信じる様になった。
イーストの借金の理由は私腹を肥やす為だなんて言われたりした。
そして今、イーストの信用は地に落ちてしまったそうだ。
さらに、最近魔物の出現が不安定となり、それを好機と思ったセントラルはセントラルにのみ依頼をする様に住民に仕向け、地上の魔物はほとんどセントラルのものとなってしまったらしい。
そのせいで、ウェスト、ノースは大ダメージ。
銅級冒険者は去り、今の状況となったそうだ。
今は借金の返済を今のギルドマスターが受け持っていて。
イーストの冒険者はイーストが買った大きな土地で依頼をこなしているらしい。
なので、信用が地に落ちても物理的には痛くはないらしい。
とのことだった。
つまり、セントラルの野望は達成されそうってことだ。
実質ノースのギルドとウェストのギルドはほぼ人がいない状態なのでじきに潰れるだろう。
イーストの冒険者は殆ど増えることはないので、ほぼ達成している。
悪評について聞こうとしたら思わぬところで話が繋がってしまった。
これからどうすればいいんだろう、俺に出来ることってなんかあんのかな。
とりあえず、明日は迷宮に潜らなきゃだし、来週考えよう。
そう思って、ギルドマスターにお礼を言って普通に帰った。
1
お気に入りに追加
2,801
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
やさしい魔法と君のための物語。
雨色銀水
ファンタジー
これは森の魔法使いと子供の出会いから始まる、出会いと別れと再会の長い物語――。
※第一部「君と過ごしたなもなき季節に」編あらすじ※
かつて罪を犯し、森に幽閉されていた魔法使いはある日、ひとりの子供を拾う。
ぼろぼろで小さな子供は、名前さえも持たず、ずっと長い間孤独に生きてきた。
孤独な魔法使いと幼い子供。二人は不器用ながらも少しずつ心の距離を縮めながら、絆を深めていく。
失ったものを埋めあうように、二人はいつしか家族のようなものになっていき――。
「ただ、抱きしめる。それだけのことができなかったんだ」
雪が溶けて、春が来たら。
また、出会えると信じている。
※第二部「あなたに贈るシフソフィラ」編あらすじ※
王国に仕える『魔法使い』は、ある日、宰相から一つの依頼を受ける。
魔法石の盗難事件――その事件の解決に向け、調査を始める魔法使いと騎士と弟子たち。
調査を続けていた魔法使いは、一つの結末にたどり着くのだが――。
「あなたが大好きですよ、誰よりもね」
結末の先に訪れる破滅と失われた絆。魔法使いはすべてを失い、物語はゼロに戻る。
※第三部「魔法使いの掟とソフィラの願い」編あらすじ※
魔法使いであった少年は罪を犯し、大切な人たちから離れて一つの村へとたどり着いていた。
そこで根を下ろし、時を過ごした少年は青年となり、ひとりの子供と出会う。
獣の耳としっぽを持つ、人ならざる姿の少女――幼い彼女を救うため、青年はかつての師と罪に向き合い、立ち向かっていく。
青年は自分の罪を乗り越え、先の未来をつかみ取れるのか――?
「生きる限り、忘れることなんかできない」
最後に訪れた再会は、奇跡のように涙を降らせる。
第四部「さよならを告げる風の彼方に」編
ヴィルヘルムと魔法使い、そしてかつての英雄『ギルベルト』に捧ぐ物語。
※他サイトにも同時投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる