異世界に迷い込んだ俺は異世界召喚された幼馴染と再会した

たたたかし

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迷宮都市編

15.ギルドマスターと会う。思わぬところでつながった

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 俺はレイラさんから関所までの地図をもらい関所にたどり着いた。

 俺が迷宮都市に来るときに通った関所だった。

 俺はギルドマスターの心当たりがある。

 俺が初めて迷宮都市に来た時に関所で検問をしている兵士によく笑うおじさんがいた。おそらくその人だろう。

 そう思いながら関所を見渡すと、すぐに見つけた。
 気配でわかっていたから簡単に見つけられた。

 今は休憩中みたいで、関所の休憩所みたいなところに座っていたのでちょっと気配を消して、おじさんの元へ近づいて行った。

 俺が休憩所へ入り込みおじさんに後ろから話をかけようとした時

「誰だ!」

 とおじさんが叫んだ。

 嘘だろだろ。気配完全に消してるぞ。なんで気づいたよ。

「すみません、スラップさんですか?」

「?スラップはたしかに俺だが?っておめぇは前に検問をした事がある冒険者だな。何の用だ?」

 すげぇ、顔まで覚えてるのかよ。なんでだろうな。

「その前に、なんで俺に気づいたんだ?…それに俺のことをよく覚えてましたね」

「あぁ、なんだお前、俺を襲いに来た奴じゃねぇのか。
 そりゃ、気づくだろ、気配は消えてても体温も感じるし、心臓の音も聞こえたぞ、あまいな!
 なんで覚えているのかって言うのは、検問の時にちょっと不自然だったからな!」

 警戒を解いたのか調子を戻して話し始めた。

「不自然?どこが?」

「不自然だったぞ。気配や服装は商人の様だし、見たことない細い棒を腰にぶら下げている。何より歩き方は達人の様な歩き方をしていたからな。
 な?不自然だろ?」

 すごいな、心眼とはまた違う洞察力を持っているんだなこの人は。

「たしかに不自然ですね。ああ、ここにはスラップさんに用があってきたんですよ」

「俺に?」

「はい、イーストのギルドの悪評についてです」

 俺ははっきりと言った。

「あぁ、そう言うことか。その話については仕事が終わってからでいいか?夕方くらいになったら終わるからまた来てくれ!」

 そう言われて俺は夕方まで待つこととなった。


 都市で買い物をしたりして時間を潰したりして夕方になったのでまた関所へ向かった。


 関所につくと、スラップさんが俺を待っていたのか手を振ってきたので振り返して合流した。

「いやぁ、悪りぃ悪りぃ、待たせちまったな!はっはっ!」

「いや、全然大丈夫ですよ」

「そうか!ならいいか!
 わざわざここまで来てもらって悪いな!関所の近くに兵士が泊まる寮があるんだよ。そこで話をしよう!」

「わかりました」

 と言って、その寮まで向かった




「んで、ギルドの悪評についてだったか?」

「はい」

「先に何から説明すればいいんだろうな」

 そう言ってイーストの生い立ちの様なものを聞かされた。

 話をまとめると。

 イーストは迷宮都市ができる前に立ち上げられたギルドで、迷宮都市を作ったギルドの一つらしい。
 他にもウェストとノースも迷宮都市を一緒に作ったらしい。

 その歴史は古く、迷宮都市と関わりがあるらしい。

 イーストとウェスト、ノースで迷宮都市を作り上げ、数年後セントラルやサウスが出来上がって、今の迷宮都市ができた。
 そして時間が経つにつれて、セントラルが迷宮都市の行政をする様になり自動的にセントラルが中心となった。

 そこからさらに時が経ち三十年ほど前、ある日セントラルがギルドを減らすべきだと訴えてきた。

 セントラルは冒険者が多くいても弱い魔物が多く討伐できるだけで、強い魔物を討伐できるのは強い冒険者のみなので冒険者を減らして、その意思を統一する為にも、ギルドを減らすべきだと言った。

 それに対して、イースト、ウェスト、ノースは反対した。

 当たり前だ。

 元々三つのギルドで作り上げたものを減らされるというのも反対だし、多くの冒険者を減らすのにも反対だった。
 現在の冒険者の数で魔物との均衡が保たれているのだからギルドを統一して冒険者を減らせばその均衡が崩れかねないからだ。

 そう訴えたが、冒険者の質が良ければカバー出来ると言って聞かなかった。

 その時は、三つのギルドが反対したので押し切れた。

 だがそれでも、セントラルは質重視の冒険者社会を目指していたので、当時のイーストのギルドマスターはセントラルの思想を恐れ、緊急時に使えるように、大量の借金をしてかなり大きい土地を買った。

 そして時が経ち、セントラルは減らすことができないのならば、消せばいいと言う考えになったらしく、その矛先はイーストへ向いた。
 それは少しずつ広まる噂を用いた。

 最初は誰も信じなかったが、流れ続ける噂に徐々にみんなが信じる様になった。
 イーストの借金の理由は私腹を肥やす為だなんて言われたりした。

 そして今、イーストの信用は地に落ちてしまったそうだ。

 さらに、最近魔物の出現が不安定となり、それを好機と思ったセントラルはセントラルにのみ依頼をする様に住民に仕向け、地上の魔物はほとんどセントラルのものとなってしまったらしい。

 そのせいで、ウェスト、ノースは大ダメージ。
 銅級冒険者は去り、今の状況となったそうだ。

 今は借金の返済を今のギルドマスターが受け持っていて。
 イーストの冒険者はイーストが買った大きな土地で依頼をこなしているらしい。
 なので、信用が地に落ちても物理的には痛くはないらしい。

 とのことだった。

 つまり、セントラルの野望は達成されそうってことだ。

 実質ノースのギルドとウェストのギルドはほぼ人がいない状態なのでじきに潰れるだろう。

 イーストの冒険者は殆ど増えることはないので、ほぼ達成している。

 悪評について聞こうとしたら思わぬところで話が繋がってしまった。

 これからどうすればいいんだろう、俺に出来ることってなんかあんのかな。

 とりあえず、明日は迷宮に潜らなきゃだし、来週考えよう。

 そう思って、ギルドマスターにお礼を言って普通に帰った。

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