上 下
52 / 133
迷宮都市編

8.イーストでの一悶着。俺は迷宮探索を楽しみにしてたわけだよ?なのにそう言うことされると流石の俺も怒りがたまるんだよね、本当にふざけてる許…

しおりを挟む
「かぁぁ!!!いい朝だ!!!」

 体が軽い!心も軽い!!ランドセルの名前みたいに軽い!!

 なんてったって今日は!

 迷宮に入れる日だから!!

 まだ日が昇っていないけど!

 時刻は四時半。

 俺は迷宮に行くことが楽しみで早く起きた。目覚まし時計を召喚していたが必要もなかった。

 集合時間まで時間が沢山あるので、トコトコの裏庭に素振りをしに言った。

 ブンッ!

 スパッ!

 スパッ!

 一時間ほど素振りをしたので井戸水を全身に被った。

「くぅー!きもちいい!」

 五時半なので部屋に戻ってすこしくつろいでいた。

 楽しみで待っていると全然時間が経たないので、迷宮についての本を読んで時間を潰した。

 よし!六時二十五分!行くしかねぇ!

 俺は部屋から出て、トコトコの出口に向かった。

「おはよう、ゆうたくん準備はできてるかい?」

 もうシリルさん達は準備が整っていて待たせていたようだった。

「おはようございます!はい!できてます!待たせちゃってごめんなさい」

「いや、全然待ってないから大丈夫だよ」
 シリルさんがそう言うと。

「そうだ!俺たちはつい十分前に来ただけだ!」
 アシルがそう言った。

 いや、結構前からいるじゃん!

「アシルおはよう!今日はよろしくな!」

「サニーもおはよう!」

「おう、よろしくな!ゆうたが使うその刀って言うやつがどんな感じに使うのかがすげー楽しみなんだ!」

「…おはようございます」

 アシルは朝は強いみたいだが、サニーは眠そうだ。

「俺もあまり人に見せたことがないからなぁ。どんな感じに見えてんだろうな。ダサくてもなんも言わないでくれよ!」

「じゃあ、なんも言わなかった時がダサいって事になるな!ははは!」


 そんな会話をしながらイーストへ向かった。

「シリルさん達って、イーストに行くのは初めてですか?」

「僕は一回だけあるよ。アシルとサニアは一度もないかな。
 僕も、他のギルドの様子を見る時に軽く見ただけだから依頼を受けたりするのは初めてかな」

「じゃあ、どんな感じなのかは大体分かるわけですね」

「まあ、一応はね」

 そんな会話をしていたらイーストに着いた。

 相変わらずボロボロだなぁ。と思いながら中へ入った。

「こ、これはすごいね」
 と目が覚めたサニーが言った。

「ギルドというか、酒場って感じだな…酒くせぇ」
 アシルが鼻を抑えながら言った。

 イーストは前来た時と変わらず平常運転だ。
 国家問題やギルド問題だって何もなかったように酒を飲んでみんなが騒いでいる。

「とりあえず受付をしようか」

「そうですね」

 シリルさんと俺はそう話して受付の元へ向かった。

「あの、すみません」

「はい!なんでしょう!って中森様!久しぶりですね!パーティは組めたのでしょうか?」

「レイラさん、お久しぶりです。パーティ組めました。これで迷宮に入れますよ」

「おお!よかったです!前の依頼とっておいてありますよ!」

 そう言って、前受けられなかった依頼書を出してくれた。

「えーっと、それでパーティの方はどちらに?」

「どうも、一応銀級冒険者パーティ『クリマ フォレ』をやってますシリルと申します。こっちがアシルでそっちはサニアです。
 これからイーストでお世話になるのでよろしくお願いします」

「どうも!イースト受付をしているレイラです!シリルさん、アシルさん、サニアさん!よろしくお願いします!
 さっそくですが、依頼の確認をしてもらってもよろしいでしょうか?」

 シリルさんは依頼を確認している。

「…この依頼で大丈夫ですので、この三つを受けます」

「かしこまりました!依頼を受け付けました!気をつけてくださいね」

 そうして俺たちは依頼を受けて外へ出た。

 よし!迷宮に行ける!あぁ、楽しみだ!どんな感じかな。

 なんて考えているとすぐに話をかけられた。

「おう!また会ったな!前もイーストに来てたよな。仲間は見つかったみたいだな!よかったじゃねぇか!」

 ああ、前にイーストで話しかけられたおっさんか。

「そうですね、よかったです。じゃあ失礼します」

「おい、待てよ」

 止められた。

「なんでしょうか?」

「仲間が集まったのって俺のおかげだよな?助けてもらったらお礼をするのは当たり前だろ?」

「えっと、元々あてがいると話したじゃないですか。
 そもそも助けてもらった覚えはないですけど」

「いや、お前が助けてもらったことを覚えているか覚えてないかなんて関係がないんだよ。
 俺が助けたことを覚えているんだからな。
 何のために優しく接してたと思っているんだ。お前はバカなのか?はっは!」

 何だこいつ。めちゃくちゃじゃねぇか。腹立つな。

「あなたが俺に何をして助けたと?」

「あぁ?そんなことはどうでもいいんだよ。俺は助けたんだよ。
 とりあえず、お前のその着ている服、あと持っている金、あとそこのエルフの女だな。
 おっと、そこのエルフの兄ちゃんは手を出すなよ。俺はCクラスの銅級冒険者だ。鉄級のガキを潰すことくらい簡単だぜ?はっは!」

 何言ってんだこのおっさんは。
 そもそも今ここにいる中で一番弱いのはおっさんじゃねぇかよ。

「早く、全部出せよ。まさか四対一で勝てると思っているのか?
 勝てるわけがないだろ?俺の後ろに五人控えているからな。これで六対四だな!はっは!早く女もこい!!」

 ふぅ、怒りよ静まれ。
 心頭を滅却すれば火もまた涼し。
 ふぅ。
 あんま意味ないな。

 そう思って周りを見ると、サニーやシリルさん、アシルは笑っていた。なんだか怖くて怒りが静まってきた。

 ただ怒りは静まっても変わらないことはある。

 こいつは絶対許さない。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)

IXA
ファンタジー
凡そ三十年前、この世界は一変した。 世界各地に次々と現れた天を突く蒼の塔、それとほぼ同時期に発見されたのが、『ダンジョン』と呼ばれる奇妙な空間だ。 不気味で異質、しかしながらダンジョン内で手に入る資源は欲望を刺激し、ダンジョン内で戦い続ける『探索者』と呼ばれる職業すら生まれた。そしていつしか人類は拒否感を拭いきれずも、ダンジョンに依存する生活へ移行していく。 そんなある日、ちっぽけな少女が探索者協会の扉を叩いた。 諸事情により金欠な彼女が探索者となった時、世界の流れは大きく変わっていくこととなる…… 人との出会い、無数に折り重なる悪意、そして隠された真実と絶望。 夢見る少女の戦いの果て、ちっぽけな彼女は一体何を選ぶ? 絶望に、立ち向かえ。

異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー
ファンタジー
 第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)  転生前も、転生後も 俺は不幸だった。  生まれる前は弱視。  生まれ変わり後は盲目。  そんな人生をメルザは救ってくれた。  あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。  あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。  苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。  オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。 最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。 更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。 「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」 様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは? ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。 なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。 今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。 しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。 今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。 とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

処理中です...