上 下
42 / 133
豊穣の町(仮)に行く編

10.村のグレードアップ。村人と書いてせんしと読む

しおりを挟む
 次の日の朝。

 いつものように村人に食料を配って、全員が食べ終えたのを確認したので、俺は話を始めた。

 今日から村を開拓することや、村の整備など、グロウと昨日話したことを全部話した。

「…ってことなんだけど、みなさんはどうですか?賛成の人は手を上げてください」

 というと、村人全員が手を挙げた。
 村人みんな変わろうと思っているって事だ。

 全員がやる気だということがわかったので、森開拓兼村人強化組と村整備組に分かれた。
 シシオウが村開拓兼村人強化組で、俺が村整備組だ。
 
 ちなみに村整備組は女性や子供が多い。

 俺とシシオウはすぐに分かれて各々作業に取り掛かった。

「じゃあ、村整備組にはまずは魔法を覚えてもらいます。整備の多くは魔法で済むからです。魔法は生活を便利にするので是非覚えましょう!」

「はい!」

 そう言って、整備組ではまず、自然魔法をメインとして水魔法を教えた。

 流石に一日じゃ覚えないが、簡単な水魔法はみんな使えた。
 心眼で見ている限り整備組は魔力量が多い人が沢山いる。というかみんなが多い。

 あ、食べると力の出る実食べさせてたからだ。

 今日は魔法を初めて使う人がいたので。一日かけて教えたが、明日からは村の整備もするつもりだ。

 魔法を教え終わると、ちょうど森開拓兼強化組。略して開強組が帰ってきた。

 全員がものすごく疲れている。

 そしてシシオウの時空間魔法から大量の動物や魔物が出てきた。

 村人達に狩らせたみたいだ。それにしてもかなりの量がある。どんなスパルタをしたらこんなに狩ってくるんだと思うくらいにある。

 シシオウには後で言っとこう。

 そういえば俺とシシオウって他の人が狩りをしているところとか、戦っているところは見たことがない。

 どこからが厳しい修行なのかわからないな。
 つらそうな顔をしたら、ストップにすればいいか。


 そんなことを考えながら一ヶ月整備、開拓、強化をしていった。

 途中整備から開拓がしたくなった女の子や、開拓から整備したくなった男の子がいたが、順調に全てが進んで、村なのにかなりの技術を持った村ができてしまったかもしれない。

 まずは整備。

 村の道を土から石畳にした。オシャレだから。

 家を木と石で作られた家にした。強そうだから。

 畑を拡大して、作物の貯蔵庫も作った。一応飢饉に備えて。

 井戸を増やした。村が広くなったから。

 いろんな職種の建物を作った。開拓したから。

 これらを無属性魔法で身体を強化して一ヶ月で終わらせた。

 自分で教えたのもなんだが、子供達や若い女性が大きな岩を笑顔で運んでいた時はちょっと焦った。

 次に開拓。

 開拓に関しては結構広げてもらった。

 林だと思っていたが、思ったより木がいっぱいあったので、森よりの林なのかもしれない。名もない森にいたから感覚がわからない。

 開拓している途中にシシオウ達が湖を見つけた。
 水が少し汚れていたのでシシオウが聖気をつかって綺麗にした。
 村人達が湖の中を潜っていると、粘土を発見したらしく、レンガを今製作中だ。
 村の周りには今かなり広いスペースがある。
 開拓しすぎかもしれないが、今後外部とつながり合うことを考えて少し広めにした。

 最後に強化。

 強化についてはいい感じだと思う。

 開拓組は主に無属性魔法と風魔法がかなり精度が上がったし、統率力もかなり高い。
 林の魔物は弱いので、話にならない。林の中で強い部類で、トカゲの魔物のバニユンというやつがいるのだが、村人一人で倒せるくらいだ。

 整備組は、自然魔法、水魔法、火魔法、風魔法、無属性魔法が使える。いずれも戦闘では使っていないので、器用なことはできるが、弱い魔物くらいしか倒せないと思う。
 ただ、すごい器用なのだ。
 自然魔法は作物を育てるときに使うのだが、土に負担をあまりかけない程度に調節して使うことができる。

 一ヶ月でだいぶ逞しくなったので、強化をやめて、新しく部隊を分けてみた。

 新しく生産と管理にを作った。

 生産は、粘土が見つかったことだし、色々作ってもらえればいいなぁーって気持ちでつくった。

 管理は、整備、開拓、生産の中のリーダーが管理という役職にもついて村の方針を決めてもらうって物だ。
 これには話をまとめる人が必要だと思ってグロウを管理のリーダーにした。

 ちなみに整備のリーダーはラルという女性で、家の建造や石畳の貼り付けを得意としている。男っぽいが女性。

 開拓のリーダーはダミルという男性で、戦闘センスがよく、みんなを指揮できるし頭もきれるので、比較的に話しやすい。

 生産のリーダーはモーニという女性だ。裁縫技術と自然魔法がとても上手い。たまに、変なことを言うが、ご愛嬌。

 管理のリーダーはグロウ。開拓の仕事をしていたが、途中でやめさせて時空間魔法を覚えさせた。管理が便利になりそうだから。

 そんな感じで、ブリード村は発展を目指した。

 ゆくゆくはこの村を街にして教会を作りたい。
 俺を含め村人達は教会を見たことがない。だから自分達のスキルについても知らない。

 気になるじゃん!スキル!俺、何持ってんだろ。


 そんなこんなで、半年が過ぎ、ブリード村は発展を続けた。
 レンガ造りは成功して家がレンガにグレードが上がった。そんでもって、家を増やした。これから、外部と繋がりに行くからだ。

 正直、俺がやれることはもうない。
 と言うかこの半年、シシオウも俺も何もしていない。強いて言うならセンスで魔法の本を読んだり、ちょっと素振りをしたくらいで、勝手に村が発展していった。

 やべ、俺どうすればいいんだ。

「ゆうた様、シシオウ様お話がございます」

 どうしようかな考えていると、グロウが話をかけてきた。

「どうしたー?グロウ」

「私は来週、王都へ向かって、村の交易などの話をしてまいります。そこで二つお願いがあります。」

「お願い?」

「はい!お願いでございます」

「お願いとは?」

「まず一つ目は私を村長と認めて欲しいこと。二つ目は交易が成功した暁にはゆうた様とシシオウ様の銅像を村の広場に作らせていただきたいのです!」

 え、グロウは村長じゃなかったの!?
 それに銅像って…ちょっといいかもしれないなぁ…

「えーと、村長のは全然グロウで大丈夫だよ。んで銅像かー、何のために作るの?」

「それは、我らの神であるゆうた様とシシオウ様を讃えるためです!木や粘土でも作ったのですがやはり、大きな銅像を私たちをお救いしてくださった広場に建てるのが私たちの希望なのです」

 あぁ、目の前で神って言われたよ。恥ずかしいな。
 俺は破壊神みたいなお兄さんを知ってるから俺が神なんて言われるのは恥ずかしい。

「まぁ、わかった。作ってもいいよ。シシオウも大丈夫か?」

「ガゥ!」

「作って欲しいだって」

「本当ですか!!はい!ありがとうございます!!」

 そう言って、センスからグロウは飛び出していった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で農業をやろうとしたら雪山に放り出されました。

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたサラリーマンが異世界でスローライフ。 女神からアイテム貰って意気揚々と行った先はまさかの雪山でした。 ※当分主人公以外人は出てきません。3か月は確実に出てきません。 修行パートや縛りゲーが好きな方向けです。湿度や温度管理、土のphや連作、肥料までは加味しません。 雪山設定なので害虫も病気もありません。遺伝子組み換えなんかも出てきません。完璧にご都合主義です。魔法チート有りで本格的な農業ではありません。 更新も不定期になります。 ※小説家になろうと同じ内容を公開してます。 週末にまとめて更新致します。

世界に一人だけの白紙の魔眼 ~全てを映す最強の眼~

かたなかじ
ファンタジー
前世で家族に恵まれなかった山田幸作。 不憫に思った異世界の神が自らの世界に招いてくれる。 そこは剣と魔法と『魔眼』の世界。 与えられたのは特別な魔眼。 求めたのは彼を大事に思ってくれる家族。 異世界でアレクシスとして生を受けた彼は、白紙の魔眼という眼をもって生まれる。 それはなんの力も持たない魔眼だと言われていた。 家族はそれでも彼を劣っているとは思わない。 彼も神を信じ、いつか覚醒する日が来ると信じ眼に魔力を流し続けていく。 数年後、ついに特別な力に目覚めていく。 全ての魔眼を使う白紙の魔眼! ──世界に一人だけの魔眼で最強の道を行く!

異世界で魔法使いとなった俺はネットでお買い物して世界を救う

馬宿
ファンタジー
30歳働き盛り、独身、そろそろ身を固めたいものだが相手もいない そんな俺が電車の中で疲れすぎて死んじゃった!? そしてらとある世界の守護者になる為に第2の人生を歩まなくてはいけなくなった!? 農家育ちの素人童貞の俺が世界を守る為に選ばれた!? 10個も願いがかなえられるらしい! だったら異世界でもネットサーフィンして、お買い物して、農業やって、のんびり暮らしたいものだ 異世界なら何でもありでしょ? ならのんびり生きたいな 小説家になろう!にも掲載しています 何分、書きなれていないので、ご指摘あれば是非ご意見お願いいたします

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

料理の腕が実力主義の世界に転生した(仮)

三園 七詩
ファンタジー
りこは気がつくと森の中にいた。 なぜ自分がそこにいたのか、ここが何処なのか何も覚えていなかった。 覚えているのは自分が「りこ」と言う名前だと言うこととと自分がいたのはこんな森では無いと言うことだけ。 他の記憶はぽっかりと抜けていた。 とりあえず誰か人がいるところに…と動こうとすると自分の体が小さいことに気がついた。 「あれ?自分ってこんなに小さかったっけ?」 思い出そうとするが頭が痛くなりそれ以上考えるなと言われているようだった。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔
ファンタジー
 対向車線からトラックが飛び出してきた。  特に恐怖を感じることも無く、死んだなと。  想像したものを具現化できたら、もっと生産性があがるのにな。あと、女の子でも作って童貞捨てたい。いや。それは流石に生の女の子がいいか。我ながら少しサイコ臭して怖いこと言ったな――。  手から何でも出せるスキルで国を造ったり、無双したりなどの、異世界転生のありがちファンタジー作品です。  王国? 人外の軍勢? 魔王? なんでも来いよ! 力でねじ伏せてやるっ!  感想やお気に入り、しおり等々頂けると幸甚です!    モチベーション上がりますので是非よろしくお願い致します♪  また、本作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨムで公開している作品となります。  小説家になろうの閲覧数は170万。  エブリスタの閲覧数は240万。また、毎日トレンドランキング、ファンタジーランキング30位以内に入っております!  カクヨムの閲覧数は45万。  日頃から読んでくださる方に感謝です!

ある日、近所の少年と異世界に飛ばされて保護者になりました。

トロ猫
ファンタジー
仕事をやめ、なんとなく稼ぎながら暮らしていた白川エマ(39)は、買い物帰りに偶然道端で出会った虐待された少年と共に異世界に飛ばされてしまう。 謎の光に囲まれ、目を開けたら周りは銀世界。 「え?ここどこ?」 コスプレ外国人に急に向けられた剣に戸惑うも一緒に飛ばされた少年を守ろうと走り出すと、ズボンが踝まで落ちてしまう。 ――え? どうして カクヨムにて先行しております。

処理中です...