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森に迷い込んだ編

閑話.失う辛さはとても辛い。神様がいるなら返してください

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あの日とても大切な人が居なくなった。

 私は土曜日いつも遊んでいる公園に十分遅刻で到着しようとしていた。

 いつもは十分早く来て「遅いわ!」って言うのが当たり前だったのだけど、
 昨日はあんな笑顔であんなこと言われて寝れるわけがなかった。

 ずっとドキドキしていて、キスしちゃったことを思い出して布団の中にこもってニヤニヤしていたりした。

 ロマンチックでもなんでもない変なキス、むしろ事故だったけど。

 ゆうたも私もあれがファーストキスってことでいいよね!

 そんなことを考えていると、体がとても熱くなっているのがわかった。

「ふふふっ、ずっと一緒にいてくれるんだ。へへへ」

 なんて事考えてて寝れずに遅刻だ。
 そして公園に着く道路の前で見覚えのあるリュックが落ちてた。

「え。これ、ゆうたのだよね」

 それを見た瞬間ものすごく不安になった。リュックには荒らされた後はないしただ落ちているだけ。

「ゆうた!早く出てきて!もうわかるんだから!」

 リュックをもって公園に入ったが公園には誰もいない。遅刻なんてものもありえない。

 だってリュックが落ちてるんだし。

一時間くらいまって、私は震えが止まらなかった。

「ゆうたが死んじゃう!!」
 私は泣きながら家に走って帰った。

「お母さん!!ゆうたが死んじゃう!!」

 そんな私の叫び声を聞いてお母さんが私の元へ走ってきた。

「どうしたの夏目!ゆうた君が死んじゃうって?」

「ゆうたが死んじゃうぅぅ!」

 私は五分くらい同じ言葉を言い続けていたが、お母さんは少し落ち着くまでまってくれた。


 少し落ち着いた頃にお母さんが話をかけてきた。

「ゆうた君が死んじゃうって?何かあったの??」

「うぅ、ぐすっ、、何も、、、なかったの、、うぅ、ゆうたのリュックが道路にあって、何もなくて、ずっと来なくて、まってても来なくて、いないの、、、ぐすっ、」

 私は色んな事を伝えたくて言葉が喉で詰まっていた。早く探さないと。と思っても言葉が出てこない。泣き声にかわって出てきてしまう。
 それでもお母さんはわかってくれたのか。

「ゆうた君がリュックだけ残してどこか行っちゃったの?それじゃあ早く探して見つけないと!私はちょっと電話してるから夏目はそのリュックを調べてもらえる?」

 電話をしたあとすぐにお母さんは外へ出た。

「お母さんちょっと外へ出てくるから夏目は絶対に外へでちゃダメよ!絶対よ!」

 と言っていた。

 私は一人になって家で泣き続けた、声が枯れるまでずっと。

 お母さんはすごく冷静に対応していた、ゆうたの家族への電話。捜索願も出していた。私はリュックの中を見たけど何も変わった様子がなかった。

 探してから一週間は経っていた。
未だに捜索はされているが、何も成果は出なかった。

 誘拐だとしても身代金すら要求しないし、連絡も来ていないので、手がかりが全く掴めなかった。

 私はいつでもゆうたが帰ってきても良いようにふつうに生活するようにしていた。
 ゆうたが帰ってきてやつれた私なんて見られたくないし。

 と言い聞かせて学校にもしっかりいった。
 ただ、毎日目が赤く腫れていて、普通には見られていなかったのかもしれない。

 三週間が経った時にはゆうたの生存は絶望的だと言われた。

 それでも諦めずに捜索は頼んでいた。

そんな時に、ゆうたのお母さんがうちに来て、私に話をかけてきた。

「辛いでしょう、ごめんね、ごめんね」

 そう言って、抱きしめて私を撫でていた。

 私は我慢できず泣いてしまった、それはもう近所が迷惑になるくらいに泣いた。

 一番つらいのはゆうたの両親なのに私のために慰めに来てくれたのだ。

 私は決めた。

 ゆうたを絶対見つけてやる!今ゆうたが困っているなら私がゆうたを助ける!それまでは泣かない。

 と。

 帰り際にゆうたのお母さんが私にゲーム機を渡してくれた。
 ゆうたのゲーム機だ。

 ボクモンが入ったゲーム機だそれを受け取って私は少し涙が出たがぐっと堪えた、泣かない、泣かないって決めたから!

でももし、ゆうたにあえたなら、あいつの服を鼻水と涙でびしょびしょにしてやろう。
 そんでもってちゃんとキスしてまたゲームするんだ。

もし神様がいるのならば、ゆうたを返してください。







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