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始まり
0.異世界に迷い込みました
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「え、ここどこ?」
異世界に迷い込んだ俺の最初のセリフがこれだった。
実際あの時の俺は8歳だったし、公園に行く途中の道路から急に薄暗い森にいたわけだし、当時はものすごくパニクっていた気がする。
確かあの時は……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「母さん!夏目と遊びに行ってくる!」
俺はよく、母親同士が仲良くしている家の女の子の八条夏目とよく遊んでいた。
今日は夏目の家に行って、最近俺と一緒にやっているゲームで対戦をする予定だ。
ピンポーン
「俺!俺だよ俺!」
「はーい、ゆうた君ね。開いてるから入ってきていいわよー」
俺はムスッとした顔で八条家に入った。
「ちぇ、おばさんなんで、俺だってわかったんだよ俺しか言ってないしカメラにだって映ってないし」
あの頃の俺は何が楽しかったのかわからないがそんなバカみたいなことをやって楽しいんでいた。
「うふふ、だってゆうた君じゃない、夏目が部屋で待ってるわよ。ほらほら」
おばさんは楽しそうに話をはぐらかして夏目の部屋に案内した。
夏目の部屋に入るとそこには夏目がゲームをしながら俺を笑顔で迎えた夏目がいた。
「ゆうた!昨日はよくもやってくれたわね!」
「よぉ、夏目、昨日ぶりぃ、あのモンスターちゃんと育てたかー?あいつ育ててないと俺には勝てないぜー」
「ちゃんと育てたし!!私の育てたゲロゲロビームちゃんには勝てないから!!」
「相変わらず夏目はネームセンスってやつがないな…」
俺はボソッと呟いた。
ちなみに、俺と夏目がやっているゲームはボックスモンスターと言って。
箱の中にいる自分のモンスターを育てて、他のプレイヤーとバトルしたり、野生のモンスターと戦い箱を使い仲間にするゲームである。
ちなみにプレイヤーからはボクモンだとか箱モンだとか言われている。
それから1時間くらい遊んで3勝2敗。
夏目は結構強くて、負ける時は全部ゲロゲロビームにやられていた。
ネームセンスはものすごくひどいのに、とても強かった。
その後俺たちは休憩していた。
「そういえばさ、一昨日学校で友達に遊び誘われたぜ、3年生になったばっかなのに俺ってばもう友達できちまったよ!ふっふっふ」
「何言ってるの!私だって、1年生からずっと同じクラスの秋ちゃんと仲良いし!もう親友だし!あと花ちゃんとも友達になったし!ふふふ、三河第三小の友達女王とは私の事だ!」
「いや、秋は俺も友達だしそんなことで女王になるなよ。ぷぷっ!」
「笑うなー!もうっ!」
夏目がそっぽ向いてしまった、そんなことは無視して俺は話を進めた。
「それでな、遊びに誘われた奴に夏目と遊ぶから断ったんだよ。そしたら『お前女子と遊んでるのか』って言われてよぉ。
三年生になると女子と遊んじゃいけないんだってよー」
そんなことを言うと夏目の顔色が少しだけ暗くなっていた
「……そうなんだ。じゃあ私ともう遊ばないってこと?」
夏目は俺にそんな事を聞いてきた。
夏目とは生まれた時から一緒といっても過言ではないくらい長い付き合いなので、落ち込んでいて、不安になっているのがわかった俺は、側まで近寄って夏目の肩を叩いた。
「ばかか、そんな事で遊ぶのやめるわけ無いだろ。第一に、ボクモンで俺と戦えるのは夏目くらいだし、それにそいつよりお前の方が信頼してるしな!」
そう言うと、夏目は喜ぶでもなく俯いてさっきと同じように「…そうなんだ」と呟いていた。俯きながらなんか少し笑ってるのが面白くて。ちょっとからかった。
「まず夏目は女子じゃないもんな!はっはっは!!」
「ちょっと!それどう言うこムギュ……」
夏目が一気に顔を上げたので夏目と顔がぶつかってしまった。
痛くなかった。柔らかかった。いや!それどころでは無いなんで柔らかいんだ!これチューじゃねぇか!やばい!てか離れなきゃ!
そうして急いで離れた俺は。気づかないふりをする事にした。
「悪い悪い、冗談だよ冗談。は、はは」
「……」
「……」
「……」
「お茶を取っていきます」
「……うん」
夏目の顔は真っ赤。多分、俺も真っ赤だ
急いでリビングから遠ざかった。俺は顔の火照りを冷ますように、台所でお茶を飲んで。
夏目の分と俺の分のお茶をコップに入れて戻った。もちろんたっぷり時間をかけて。
それから三十分間ぎこちない会話をしていたが、またゲームをしていたら恥ずかしさも薄れた。その時の対戦は全て俺が勝った。
「もう四時だ、そろそろ時間だし、帰るかなー」
と俺が言うと通常に戻った夏目が
「あれもうそんな時間なのね。明日は何して遊ぶ??」
遊ぶ約束はしていないが、いつも通り明日の遊びについて話していた。
「今日は家で遊んだしなー、次は外でなんかやるか?」
「そういえば、新しく和菓子屋さんが近くに出来たらしいよー」
夏目からその話を聞いた瞬間俺はそこに行くと決意した。
何を隠そう、俺は大福が大好物なのだ。あの丸さ、柔らかさ、てか素晴らしい、まじすごい。甘い。
「行くに決まってるだろぉ!」
「ゆうた、ほんと好きね」
夏目に微笑まれた俺は、少し顔が赤くなってしまった。
「……好きだよ。」
「知ってるよ!じゃあいつもの公園に集合ね!明日は土曜日だし。朝八時ね!」
赤くなっているのはバレていないが平気で公園の話をした夏目に少しむかっときた。
「了解。八時は多分店やってないけど公園で遊んでたらすぐだろ」
俺はそう言って玄関まで向かった。
そしてさっきの微笑みの仕返しをしようと考えてついてくる夏目に微笑みながら言ってやった。
「そういえば遊ぶ遊ばないのやつの続きな、俺はどんな時でも夏目と一緒に遊んでやるし夏目が困った時には助けるし、守るよ」
喋ってる途中で俺はものすごく恥ずかしくなりながら言い切ると。夏目は照らされる夕陽よりも真っ赤な顔して小さな声で「うん」と答えた恥ずかしくなって一気に家に駆けて帰った。
そして次の日
俺は道路で荷物を残して消えた。
異世界に迷い込んだ俺の最初のセリフがこれだった。
実際あの時の俺は8歳だったし、公園に行く途中の道路から急に薄暗い森にいたわけだし、当時はものすごくパニクっていた気がする。
確かあの時は……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「母さん!夏目と遊びに行ってくる!」
俺はよく、母親同士が仲良くしている家の女の子の八条夏目とよく遊んでいた。
今日は夏目の家に行って、最近俺と一緒にやっているゲームで対戦をする予定だ。
ピンポーン
「俺!俺だよ俺!」
「はーい、ゆうた君ね。開いてるから入ってきていいわよー」
俺はムスッとした顔で八条家に入った。
「ちぇ、おばさんなんで、俺だってわかったんだよ俺しか言ってないしカメラにだって映ってないし」
あの頃の俺は何が楽しかったのかわからないがそんなバカみたいなことをやって楽しいんでいた。
「うふふ、だってゆうた君じゃない、夏目が部屋で待ってるわよ。ほらほら」
おばさんは楽しそうに話をはぐらかして夏目の部屋に案内した。
夏目の部屋に入るとそこには夏目がゲームをしながら俺を笑顔で迎えた夏目がいた。
「ゆうた!昨日はよくもやってくれたわね!」
「よぉ、夏目、昨日ぶりぃ、あのモンスターちゃんと育てたかー?あいつ育ててないと俺には勝てないぜー」
「ちゃんと育てたし!!私の育てたゲロゲロビームちゃんには勝てないから!!」
「相変わらず夏目はネームセンスってやつがないな…」
俺はボソッと呟いた。
ちなみに、俺と夏目がやっているゲームはボックスモンスターと言って。
箱の中にいる自分のモンスターを育てて、他のプレイヤーとバトルしたり、野生のモンスターと戦い箱を使い仲間にするゲームである。
ちなみにプレイヤーからはボクモンだとか箱モンだとか言われている。
それから1時間くらい遊んで3勝2敗。
夏目は結構強くて、負ける時は全部ゲロゲロビームにやられていた。
ネームセンスはものすごくひどいのに、とても強かった。
その後俺たちは休憩していた。
「そういえばさ、一昨日学校で友達に遊び誘われたぜ、3年生になったばっかなのに俺ってばもう友達できちまったよ!ふっふっふ」
「何言ってるの!私だって、1年生からずっと同じクラスの秋ちゃんと仲良いし!もう親友だし!あと花ちゃんとも友達になったし!ふふふ、三河第三小の友達女王とは私の事だ!」
「いや、秋は俺も友達だしそんなことで女王になるなよ。ぷぷっ!」
「笑うなー!もうっ!」
夏目がそっぽ向いてしまった、そんなことは無視して俺は話を進めた。
「それでな、遊びに誘われた奴に夏目と遊ぶから断ったんだよ。そしたら『お前女子と遊んでるのか』って言われてよぉ。
三年生になると女子と遊んじゃいけないんだってよー」
そんなことを言うと夏目の顔色が少しだけ暗くなっていた
「……そうなんだ。じゃあ私ともう遊ばないってこと?」
夏目は俺にそんな事を聞いてきた。
夏目とは生まれた時から一緒といっても過言ではないくらい長い付き合いなので、落ち込んでいて、不安になっているのがわかった俺は、側まで近寄って夏目の肩を叩いた。
「ばかか、そんな事で遊ぶのやめるわけ無いだろ。第一に、ボクモンで俺と戦えるのは夏目くらいだし、それにそいつよりお前の方が信頼してるしな!」
そう言うと、夏目は喜ぶでもなく俯いてさっきと同じように「…そうなんだ」と呟いていた。俯きながらなんか少し笑ってるのが面白くて。ちょっとからかった。
「まず夏目は女子じゃないもんな!はっはっは!!」
「ちょっと!それどう言うこムギュ……」
夏目が一気に顔を上げたので夏目と顔がぶつかってしまった。
痛くなかった。柔らかかった。いや!それどころでは無いなんで柔らかいんだ!これチューじゃねぇか!やばい!てか離れなきゃ!
そうして急いで離れた俺は。気づかないふりをする事にした。
「悪い悪い、冗談だよ冗談。は、はは」
「……」
「……」
「……」
「お茶を取っていきます」
「……うん」
夏目の顔は真っ赤。多分、俺も真っ赤だ
急いでリビングから遠ざかった。俺は顔の火照りを冷ますように、台所でお茶を飲んで。
夏目の分と俺の分のお茶をコップに入れて戻った。もちろんたっぷり時間をかけて。
それから三十分間ぎこちない会話をしていたが、またゲームをしていたら恥ずかしさも薄れた。その時の対戦は全て俺が勝った。
「もう四時だ、そろそろ時間だし、帰るかなー」
と俺が言うと通常に戻った夏目が
「あれもうそんな時間なのね。明日は何して遊ぶ??」
遊ぶ約束はしていないが、いつも通り明日の遊びについて話していた。
「今日は家で遊んだしなー、次は外でなんかやるか?」
「そういえば、新しく和菓子屋さんが近くに出来たらしいよー」
夏目からその話を聞いた瞬間俺はそこに行くと決意した。
何を隠そう、俺は大福が大好物なのだ。あの丸さ、柔らかさ、てか素晴らしい、まじすごい。甘い。
「行くに決まってるだろぉ!」
「ゆうた、ほんと好きね」
夏目に微笑まれた俺は、少し顔が赤くなってしまった。
「……好きだよ。」
「知ってるよ!じゃあいつもの公園に集合ね!明日は土曜日だし。朝八時ね!」
赤くなっているのはバレていないが平気で公園の話をした夏目に少しむかっときた。
「了解。八時は多分店やってないけど公園で遊んでたらすぐだろ」
俺はそう言って玄関まで向かった。
そしてさっきの微笑みの仕返しをしようと考えてついてくる夏目に微笑みながら言ってやった。
「そういえば遊ぶ遊ばないのやつの続きな、俺はどんな時でも夏目と一緒に遊んでやるし夏目が困った時には助けるし、守るよ」
喋ってる途中で俺はものすごく恥ずかしくなりながら言い切ると。夏目は照らされる夕陽よりも真っ赤な顔して小さな声で「うん」と答えた恥ずかしくなって一気に家に駆けて帰った。
そして次の日
俺は道路で荷物を残して消えた。
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