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24.日本での生活が始まる

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「何か、幸さんのことについて聞いているかな」
 俺はダメもとでアプリコットさんに幸さんについての情報を求めた。

「はい、来月入学する高校の手続きに行かれたようです」

「高校については大使館で準備する話になっていたっけ。
 どこかの私学にでも通うのかな。
 私学ならお金でどうにでもできそうだけど」

「はい、大使館側もはじめはいくつかの候補を用意していたようですが、あまり目立つのもまずいとローレン殿下から言われまして、急遽公立校に決めたようです」

「良くそんなことできたな。
 強力な伝でもあったのかな」

「はい、今の都知事ですが経産大臣の時にローレン殿下の口利きでかなり恩を売っていたと聞いております。
 なんでも世界中でエネルギー危機が懸念されていた時期のようで、あの時は日本の陛下より親書までも頂いて感謝されたと聞いております。
 今回は、娘のためにその貸しを使ったようですね」

 何かとんでもない話を聞かされたような気がした。
 話がリストラされたアラフォー社畜には大きすぎて想像すらできそうにない。
 ………
 ちょっと待て、今アプリコットは来月入学と言っていたけど、転入のことかな。

「アプリコットさん。
 今、幸さんの入学と言っていたけど、公立に転入ってかなりハードルが高いような気が…」

「転入ではありませんよ。
 来月初旬にある入学式まで、色々とあるみたいですから、かなりギリギリだと聞いております」

「へ?
 新入学なの」

「ええ、そうですが何か?」

「幸さんは入試などしていなかったでしょ。」

「推薦とか言っていましたけど、幸様はドバイですでに日本の基準での高校に通われておりましたから、その証明書を和訳してお出しするだけで済みました。
 幸様は成績もよかったですから、正直高校での生活に退屈なさるのではと、少し心配もあります」

「へ~、高校中退で日本の高校に新入学だと、周りと年齢が合わずにいじめられないかな」

「え、幸様はまだ15歳のはずですから、周りとは年齢は変わりませんよ。
 スキップですか、そういえば日本ではスキップの制度は無かったですね。
 幸様はスキップでドバイの高校を卒業寸前だったと聞いております。
 ですから、問題はそれ以外でしょうか」

 アプリコットさんの云いたいことは分かる。
 少なくとも俺との関係という秘密を抱えての高校生活だ……ってことはひょっとして、まだJCってことなのか。
 日本基準で考えて、年齢だけならば俺が幸さんの初めてを貰った時ってJCだったてことだよな。
 これって十分に犯罪案件だ。 
 え、俺、JCの処女をその母親と一緒に頂いてしまったとか。 
 どうしよう。
 彼女は自分がJKだと言っていたからてっきり問題ないかと思ったのだが、スキップでJKになることがあるのを俺は知らなかった。
 て、JKでも十分に事案なのだが、それ以上に俺はJCの処女を頂いたことにショックを受けていた。

 アプリコットさんの目は冷たい。
 何を今更って感じかな。

 ショックを隠すためにも仕事を探そうとクルーザーに向かう。

 その日の午後、ホテルに戻ってきた葵さんと幸さんに幸さんの高校入学について聞いてみると、割と感じがよかったとのこと。

 すでに保護者ガイダンスなどは終わっていたようなのだが、今回高校の方で特別に説明会をしてくれたとか。

 自分たちの他に、ガイダンスに参加できなかった保護者など数組が一緒にガイダンスを受けたのだが、高校側もとても丁寧に説明してくれたそうだ。

 入学式は来月4月の7日だそうだが、俺に参加するかと葵さんが聞いてきた。

 え、俺も参加しても良いのか。
 どうも俺も保護者枠に入るそうなので、とりあえず参加の方向で。
 いよいよ俺も子持ちか…なんて感慨にふけりながらもこの後葵さんと幸さんとの一勝負に入る。

 いよいよもって俺は下種になり下げたな。
 子持ちかといったことを考えたすぐそばから、その子供役の幸さんを母親と一緒に頂くなんて、もう人としてあり得ないだろう…と俺の良心は俺に訴えてくるが、俺の持つ業は、そんな良心からの叫びを簡単にスルーして、ただひたすらに本能の赴くままに食べ散らかしていく。

 そんな感じで、日本でも生活が始まった。

 翌日からも、割と忙しく予定が詰まっていく。
 俺はクルーザーの乗員たちの面倒もあるが、それ以上に代理店法人の立ち上げに時間を取られた。

 細かなことは大使館職員の北海さんも協力してもらい、問題なく進んでいくが、代理店事務所を構える場所が、とにかくすごかった。
 現在オープン直前の晴海にある住居との複合双子ビルで、商業棟の方にはホテルまで併設されるとにかく豪華な場所の高級店舗が入る2階の角地にオフィスを構えることになっているとか。

 いったい賃貸料ってどれくらいになるのかと心配になるくらいの場所に、俺は連れていかれ、そこにオフィス兼店舗を構えることになった。
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