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9.別荘の主
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船をきちんと船着き場につなぐために舫を船首と船尾の両方から桟橋のクリートに結び付けている間にローレン王子は別荘の中に一人で入っていった。
さすがに王子に雑用を手伝わせるわけにもいかないけど、俺この別荘について全く知らないので、ここに置いて行かれると不安になる。
まあ最悪船の中にいればいいけど、どうしよう。
俺が作業を終えるころに船室から葵さんが出てきた。
「本郷様。
私が中にご案内いたします」
葵さんに連れていかれたのはお屋敷??って感じの別荘だ。
これを別荘と呼んでもいいのかと思うくらいの大きな建物だ。
まあ、葵さんの話ではプライベートビーチに、俺たちがクルーザーを着けた専用の船着き場まである。
それに何より、その専用の船着き場から直接屋敷が見えないようにきれいに手入れされている林の中を抜けての屋敷だ。
屋敷以上に敷地はとんでもないことになっているのだろう。
屋敷の玄関ホールではすでに執事と数名のメイドさんが俺たちを待っていた。
執事さんはまさに映画にでも出てくるような、うん、執事さんって感じの初老のかっこいい人だが、それ以上に驚いたのはメイドさんが全員若いし、何より美人で色気もものすごい。
思わず見とれてクラクラしそうだった。
俺のそばに葵さんがいたので、さすがにみっともないことせずに済んだ。
ひょっとして俺は葵さんに惚れているのかな。
俺の理性はよく頑張ったとほめておこう。
俺たちは執事さんに連れられてそのまま奥の応接室のような場所に連れていかれた。
そこには先にクルーザーを降りていたローレン王子と、その横に見るからにオーラ全開の初老の人がいた。
葵さんの紹介では、ローレン王子の大叔父にあたる人で、この屋敷の主人だそうだ。
彼も当然ブルガン王国の王族で、継承順位も持っているそうだが、その順位はローレン王子よりも低いそうだ。
葵さんの通訳で俺も自己紹介をしておく。
俺の立ち位置がよくわからないが、どうもローレン王子の連れとしてゲストとして扱われる感じのようだ。
俺の立場は豪華クルーザー販売のための試乗の添乗員で日本の大手メーカー『サトネ』の社員だが、ブルガン王国の王族の客人でいいのか俺自身疑問でしかない。
そのあと、少し早めの夕食をご一緒させてもらい、世間話をした後、さらにラウンジまで連れていかれて、酒をふるまわれた。
俺の勤務時間はどこまでなのか。
こういう場合接待扱いでもいいのかちょっと疑問が残るが、遠慮なく酒を貰った。
まあ、食事の時にすでにワインをごちそうになっているのだから、今更感はあるが、日本の様子や、会社の案内など当たり障りにない会話を続け、割と早めにお開きとなるようだ。
まあ、こんなところだから河岸を変えての接待もないだろうが、俺は船にでも戻るのかと思いきや、そのままお屋敷にお泊りだそうだ。
葵さんの話では明日までこちらにご厄介になるのだとかで、俺にも今夜はゆっくりとしてくれと言っていた。
それで、俺の泊まる部屋に連れていかれるのだが、驚いたことに、夕食時から俺の横で給仕をしてくれている美人のメイドさん二人が俺を部屋まで連れて行ってくれるというので、俺は素直に二人の後に続いた。
正直言葉の壁があるので、葵さんと別れるのに不安があったのだが、葵さんは二人とも英語なら会話ができるから安心してほしいと言っていた。
まあ、王族の、しかも海外別荘に努めるメイドさんならば英語くらいは話せるだろうが、俺の方が話せる自信がない。
簡単な英会話ならばかろうじてのレベルだが、部屋までならばと諦めてついていく。
本当は葵さんと別れたくなかったのだが、さすがに同室という訳にもいかないし、妥当なことなのだろう。
それで連れていかれた部屋のだが、屋敷の二階に上がり少し奥に進んだ先にあった。
これまた大きな扉の前まで来て、正直俺はビビった。
はっきり言って扉を見ただけで今夜寝れる気がしない。
多分テレビなどで見たことのある宮殿の部屋のような扉が目の前にある。
その扉をメイドさんは軽々しく開け部屋の中に俺を案内していく。
部屋の中は俺の予想を違えることなく正に御殿といった感じで、絶対にここでは寝ることはできそうにないと確信が持てた。
ここまで俺を案内してくれた美人のメイドは、俺を部屋に入れると帰る……ことなく、俺のことをさらに奥の部屋まで案内していく。
そこは風呂だった。
正確に言うならば脱衣所で、ガラスで仕切られた先には大きな浴槽まである。
大浴場が各部屋についているなんて、どこまでここは贅沢な造りなんだ。
浴槽には満々とお湯が貯められており、さらにはそのためられた浴槽に次から次にと絶えることなくお湯が注がれている。
これが温泉ならば源泉かけ流しってか。
まあいいか。
風呂とは有り難い。
どこまでも贅沢な造りではあるが、ホテルの大浴場では時々似たような風呂に入ったこともあるし、ここだけは気兼ねなく風呂にありつけそうだ。
これが部屋に取り付けられている風呂だと気にしなければの話だが。
さすがに王子に雑用を手伝わせるわけにもいかないけど、俺この別荘について全く知らないので、ここに置いて行かれると不安になる。
まあ最悪船の中にいればいいけど、どうしよう。
俺が作業を終えるころに船室から葵さんが出てきた。
「本郷様。
私が中にご案内いたします」
葵さんに連れていかれたのはお屋敷??って感じの別荘だ。
これを別荘と呼んでもいいのかと思うくらいの大きな建物だ。
まあ、葵さんの話ではプライベートビーチに、俺たちがクルーザーを着けた専用の船着き場まである。
それに何より、その専用の船着き場から直接屋敷が見えないようにきれいに手入れされている林の中を抜けての屋敷だ。
屋敷以上に敷地はとんでもないことになっているのだろう。
屋敷の玄関ホールではすでに執事と数名のメイドさんが俺たちを待っていた。
執事さんはまさに映画にでも出てくるような、うん、執事さんって感じの初老のかっこいい人だが、それ以上に驚いたのはメイドさんが全員若いし、何より美人で色気もものすごい。
思わず見とれてクラクラしそうだった。
俺のそばに葵さんがいたので、さすがにみっともないことせずに済んだ。
ひょっとして俺は葵さんに惚れているのかな。
俺の理性はよく頑張ったとほめておこう。
俺たちは執事さんに連れられてそのまま奥の応接室のような場所に連れていかれた。
そこには先にクルーザーを降りていたローレン王子と、その横に見るからにオーラ全開の初老の人がいた。
葵さんの紹介では、ローレン王子の大叔父にあたる人で、この屋敷の主人だそうだ。
彼も当然ブルガン王国の王族で、継承順位も持っているそうだが、その順位はローレン王子よりも低いそうだ。
葵さんの通訳で俺も自己紹介をしておく。
俺の立ち位置がよくわからないが、どうもローレン王子の連れとしてゲストとして扱われる感じのようだ。
俺の立場は豪華クルーザー販売のための試乗の添乗員で日本の大手メーカー『サトネ』の社員だが、ブルガン王国の王族の客人でいいのか俺自身疑問でしかない。
そのあと、少し早めの夕食をご一緒させてもらい、世間話をした後、さらにラウンジまで連れていかれて、酒をふるまわれた。
俺の勤務時間はどこまでなのか。
こういう場合接待扱いでもいいのかちょっと疑問が残るが、遠慮なく酒を貰った。
まあ、食事の時にすでにワインをごちそうになっているのだから、今更感はあるが、日本の様子や、会社の案内など当たり障りにない会話を続け、割と早めにお開きとなるようだ。
まあ、こんなところだから河岸を変えての接待もないだろうが、俺は船にでも戻るのかと思いきや、そのままお屋敷にお泊りだそうだ。
葵さんの話では明日までこちらにご厄介になるのだとかで、俺にも今夜はゆっくりとしてくれと言っていた。
それで、俺の泊まる部屋に連れていかれるのだが、驚いたことに、夕食時から俺の横で給仕をしてくれている美人のメイドさん二人が俺を部屋まで連れて行ってくれるというので、俺は素直に二人の後に続いた。
正直言葉の壁があるので、葵さんと別れるのに不安があったのだが、葵さんは二人とも英語なら会話ができるから安心してほしいと言っていた。
まあ、王族の、しかも海外別荘に努めるメイドさんならば英語くらいは話せるだろうが、俺の方が話せる自信がない。
簡単な英会話ならばかろうじてのレベルだが、部屋までならばと諦めてついていく。
本当は葵さんと別れたくなかったのだが、さすがに同室という訳にもいかないし、妥当なことなのだろう。
それで連れていかれた部屋のだが、屋敷の二階に上がり少し奥に進んだ先にあった。
これまた大きな扉の前まで来て、正直俺はビビった。
はっきり言って扉を見ただけで今夜寝れる気がしない。
多分テレビなどで見たことのある宮殿の部屋のような扉が目の前にある。
その扉をメイドさんは軽々しく開け部屋の中に俺を案内していく。
部屋の中は俺の予想を違えることなく正に御殿といった感じで、絶対にここでは寝ることはできそうにないと確信が持てた。
ここまで俺を案内してくれた美人のメイドは、俺を部屋に入れると帰る……ことなく、俺のことをさらに奥の部屋まで案内していく。
そこは風呂だった。
正確に言うならば脱衣所で、ガラスで仕切られた先には大きな浴槽まである。
大浴場が各部屋についているなんて、どこまでここは贅沢な造りなんだ。
浴槽には満々とお湯が貯められており、さらにはそのためられた浴槽に次から次にと絶えることなくお湯が注がれている。
これが温泉ならば源泉かけ流しってか。
まあいいか。
風呂とは有り難い。
どこまでも贅沢な造りではあるが、ホテルの大浴場では時々似たような風呂に入ったこともあるし、ここだけは気兼ねなく風呂にありつけそうだ。
これが部屋に取り付けられている風呂だと気にしなければの話だが。
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