上 下
76 / 81
第五章 飛躍のために新たなる挑戦

第75話 攻撃ヘリ

しおりを挟む
「フランを訪ねてくる人たちについては追々考えて行こう。
 基本俺たちは貿易はしていきたいが、他国との戦争にはかかわらない方針で行きたい。
 そんな感じでいいかな」
「それでいいと思います」
 フランは何ら悩みなくそう答えてきた。
 フランが問題なければ他の者たちは問題ない。 
 ほとんど部外者になるからだ。
「それで、守様はこの後如何する予定ですか」
「ああ、今話していて思い出したのだが、明日も巡視艇の方で作業をしていく。
 しかし、湾内から動かすつもりも無いので、みんなは好きにしてくれ」

 翌日のなってから、昨日考えていたヘリについて調べることにした。
 フェリーから巡視艇に乗り換えて、さっそく後部格納庫に向かう。
 ヘリポートに続くシャッターはまだおろしたままで、二機停めてあるヘリに触ってみた。
 急にたくさんの情報が頭の中に無理やり放り込まれたような感じで、激しい頭痛が俺を襲う。
 その場で思わず膝をついてうなってしまった。
 すると最近常に俺と一緒にいるサーシャが俺に駆け寄ってきて、心配そうに声を掛けてきた。
「守様。
 如何しましたか。
 どこかお具合を……」
「ああ、サーシャか。
 大丈夫だ」
「とても大丈夫には見えませんが」
「ああ、俺の権能というか、スキルだな。
 カミサマから頂いたスキルによって、これらの使い方が頭の中に無理やり押し込まれたような感じだな。 
 それにしても、あのカミサマもどうにかしてほしい。
 俺だったからいいようなものだが……それでもか」
 俺でもヘリについての簡単な知識はあったが、もし、俺が子供とは言わないが、全くの文系人間でヘリについて全く常識を持ち合わせていなければ頭がパンクでもしたんじゃないだろうかという感じに知識を放り込まれた。
 さすがに頭がまだ痛いよ。
 それでも、分かったことがある。
 俺の予想通りに、俺でもヘリが使えそうだ。
 でも、ブルの様にケリーたちには教えてることができそうにないな。
 いずれ、パイロットもこの世界の住人を養成でもしていきたいが、いつになることやら。
 でも俺が頭を痛くするだけあって、十分に成果はあった。
 さすがに今の状態でヘリを飛ばしたいとは思わないが、午後くらいまで休めばどうにかなるかな。

 一旦、巡視艇の艦長室に入り、横になって休むことにした。
 すぐにミーシャが温かな紅茶をもって部屋に入って来たので、ありがたく紅茶を頂いた。
 多分、サーシャあたりが心配してミーシャに頼んだのだろう。
 しばらく横になって、昼頃まで休んでから今度は巡視艇にいた当番の騎士たちを連れてもう一度後部格納庫まで行き、シャッターを開けてみんなでヘリを外に出した。
 さすがに人数も少なかったこともあり、外に出したのは攻撃ヘリのコブラだけだが、これはスリムな見た目だが、やたらと武器がついているので思ったほど軽くは無かった。
 良かったよ、これなら俺一人でもどうにかなるかと思ったのだが、騎士の二人に俺とミーシャまで頼んでの作業になった。
 途中からサーシャまで手伝ってくれたのだが、あまり彼女の加勢は意味を感じなかった。
 後で聞いたところではサーシャは強化魔法も使えるし、強化魔法の一種だとか言っていたようなのだが、重量を軽くする魔法も使えるとか。
 魔法を使ってもらえばよかったと、そのことを聞いた時に俺は思った。
 サーシャもそう提案してくれたらよかったのにとも思ったのだが、気が回らなかったのだろうな。
 何せ、だれもが見たことに無い機械だ。
 ブルやパワーショベルなどは最近浜で使っているが、それらも見たことは無かっただろうが、似たようなものはあるらしい。
 この世界にも魔動車だとかがあるらしい。
 だが、ヘリはそれらとは見た目から完全に違うから、どうしていいのか分からなかったらしい。
 それに、サーシャも俺と同様にそんなに重いとも思わなかったとか。
 まあ、そうだよな。
 俺は、とりあえず手伝ってくれたみんなには俺を言ってから、ヘリから離れるように促した。

「これを動かすのだが、周りにいると危ないのでとりあえず端に寄っていてくれ。
 そうだな、この線より近くには寄らないでほしい」
 俺は後部甲板に描かれているいくつかの線のうちで一番外側の線を指してお願いしておいた。
 その場にいた皆は理解してくれたのか、ぞろぞろと端によって行くが誰もがここから離れようとはしていない。
 やはりヘリが珍しいらしく、興味津々と言った感じだ。

 俺は、まずヘリのローターを広げてから、外周を回り簡単にチェックを行ってからコックピットの中に入る。
 スイッチを入れて計器類を確認後にいよいよエンジンをスタートさせると、やはりものすごい音で、周りにいた皆は驚いている。
 浜の方でも何やら騒いでいるようだ。
 これは後で説明しておかないとまずそうだな。
 しかし、俺はとりあえず一度ヘリを飛ばしてみたかったので、そのまま出力を上げていく。

 ヘリはゆっくりとだが、順調に高度を上げて行った。
 甲板から10mも上がれば浜からでもヘリは良く見える。
 さすがに大きな音を立てながらだから浜はちょっとした騒ぎになっていた。
 俺はあまり周りを刺激しないようにゆっくりと高度を上げていき100mくらい上がった段階で、島を一周する進路でヘリを操縦していく。
 どんどん高度を上げてながら速度も上げていく。
 操縦方法は頭の中に無理やり押し込まれたようなもので、操縦は問題なさそうなのだが、いかんせん経験が全くないので、よくわからないというのが今の正直な感想だ。
 だから慎重のうえにも慎重な操縦を心掛けているし、結果的に攻撃ヘリにもかかわらず大人しい操縦になっている。
 高度も計器上で500mを超えている。
 ここまできて俺にも余裕が少し出てきたので、ゆっくりと周りを観察する余裕が生まれてきた。
 この島は巡視艇で一周しているので大きさなどは理解しているつもりだったが、真上から見るとでは今まで持っていた印象とは少し違ってくる。
 もう少しスリムな島だと考えていたのだが、中央付近は十分な幅もあり、結構大きな島のようだ。
 俺が考えるに淡路島位の大きさはあろうかという感じだ。
 それに、ここから見渡す海上では南には島影一つ見えてこないが、逆の北には島なのか陸地の一部なのかよくわからないが、それらしい影が確認できる。
 そのうちそちらの方にも確認が必要だろう。
 今はこのヘリの操縦の習熟が必要だ。
 何せこのヘリは攻撃ヘリなのだ。
 ただ操縦すればいいものでもない。
 敵と対戦するようならば武器も使って攻撃しなければ俺たちは人的において圧倒的不利な状況だけに、有効な使い方をしていかないとまずそうだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

Serendipty~セレンディピティ~リストラから始まったハーレム生活

のらしろ
大衆娯楽
リストラ後に偶然から幸運を引き当ててハーレムを築いていくお話です。  主人公の本郷秀長はある装置メーカーの保守を担当する部署に務めておりましたが昨今の不景気のより希望退職という名のリストラをされました。  今まで職場で一生懸命に頑張ってきていたと自負していたけど他の職場メンバーからは浮いていたようで、職場の総意という伝家の宝刀を抜かれて退職する羽目になりました。  しかし、今まで一生けん目に働いていたことは事実で、そんな彼を評価していた人も少なからずおり、その一人にライバルメーカーの保守部門の課長から誘われて、ライバルメーカー転職したところから物語は始まります。  転職直後に、課長ともども配置転換を命じられて高級クルーザーの販売部署に回されて初の海外出張で産油国の王子と出会い、物語はどんどん普通でない方向に進んでいきます。  その過程で多くの女性と出会い、ハーレムを築いていくお話です。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...