64 / 81
第四章 建国の準備
第63話 この船のお酒
しおりを挟むなんか今聞いただけでもとんでもない情報ばかりなんですけど。
正直話を聞いているだけで疲れてきたな。
まだ昼前なのだが、酒でも飲んで全てを忘れたくなってきた……あ、この船には酒が積んであった。
ならみんなを昼に誘って酒でも出すか。
もう話し合いも今日は良いよね。
…… 片付けがまだだった。
人を呼べるための最低限しか準備していなかったので、上にある食堂までにそこら中に服が散らばっている筈だ。
俺はミーシャを呼んでとにかく見えない場所に服を片してもらうよう頼んだ。
これから向かう通路と食堂だけでいいので、できそうかな。
「守様。
ここから食堂にはどうやって向かうのですか」
普通ならばこの回から4つ上の階にある食堂にはエレベータを使うが人数が多いので階段で向かうことにした。
前にこの船に乗っていた自衛隊に皆さんもさすがに移動中だったので、階段での移動は少なかったようだ。
片付ける服も少なくて済んだが、食堂にだけは多かった。
それをいちいちたたむのではなく、隣にお部屋にとにかく全部突っ込んでもらい急ぎ準備をしてもらった。
これをコピーした時間帯もよかったのか朝食のバイキングの終了まじかだったようで、食堂にいる人の数も思いのほか少なかったようだ。
まあそれでも相当服は散らばっていたのだが。
それよりも食べかけの食器類だ。
これもとにかくトレーに入れて隠して準備をしてもらう。
一通り片付けが終わったところで、みんなの前に行き食事の提案をしてみる。
「本船でも食事の準備ができるのだがいかがだろうか」
俺が追う言うとフランやケリーたちの目が変わった。
最近では携帯食や付近から採取した者ばかりの食事だったので、前に船で出した食事を思い出したのだろう。
ものすごい食いつきだった。
「守様。
船での食事って……」
「フラン、期待していいぞ。
軍艦と違いこの船はお客様を運ぶ船だ。
尤も豪華客船ほどではないが、それでもいいものは食えると思うから。
皆様もよろしいでしょうか」
全員が納得したようなので、また俺が先頭になって食堂に案内していく。
プロムナードを通り、中央にある階段を上っていく。
「守様。
ここって宮殿なのですか」
サーシャが階段をのぼりながら俺に聞いてきた。
確かに見た目は豪華に見えなくも無いか。
何せじゅうたんが敷きつけられている階段を上っているのだから。
でも、この階段って旅行者などが写真撮影くらいにしか使っていないとか聞いたことがある。
あ、エレベータ混雑時に若者たちは階段で移動することもあるとか聞いたな。
階段を歩いて上がるのもきついかと思われたのだが、この世界では当たり前の話なので、何ら抵抗なく皆は食堂に到着した。
しかし、食堂のあまりの大きさと、明らかに軍艦の食堂との雰囲気の違いによりフラン達も驚いている。
俺はみんなを連れてバイキングの料理が並べられているところまで案内してから、説明を始める。
「皆さま。
良いですか、まずそこの水道で手を洗ってください」
そう言って俺が手本を示す。
いや~ありがたいことにこういう場所の水道って皆非接触タイプなんだよね。
しかもシャボンまでもが勝手に出るタイプ。
俺はまずシャボンを出してから手をこすりその後水を出させる。
その様子に皆驚いている。
「守様」
エルムまでもが声を上げる。
「これも魔道具ですか」
「魔道具……そうだな、俺の世界での魔道具だ。
このように絵の描いてある下に手を出すと泡や水が出てくるので、最初に泡を出して手をこすってからその泡を水で流してくれ。
最後にこのペーパータオルで水を拭てくれればいいよ」
流しは3か所あったので3か所を使ってもらいみんな手を洗ってもらった。
その後はトレーの場所まで来てから一人一人にトレーを俺から手渡したら、またここでも恐縮された。
俺以外では使い方が知らないで、知る俺がするしかないじゃないかと思うのだが、他の者たちにはそんな道理は通らない。
全員が恐縮していた。
もう勘弁してほしい。
その後好きな料理をとってもらおうかと思ったけど知るはずもない料理ばかりなので、俺が適当に渡してテーブルに着かせた。
あ、そうそう、ここに来たのはビールが飲みたかったためだったので、俺は大人の分だけと言ってもフランやミーシャ、それにドーラだの三人だけ以外は皆20歳を超えている。
だが、正直サーシャだけは微妙なんだよな。
年齢だけは先ほど聞いた限り20歳を超えているけど、見た目がJKに酒を出していいものか。
フラン達にも飲ませないので、今回はその4人は別の物を考える。
フルーツジュースでもいいけど、仲間外れともとられるとな~。
俺はあたりを見渡すと、良いものを見つけた。
さすがに車を運ぶ船だけあって、あったよノンアルコールの物が。
確か、日本ではノンアルでも未成年はダメだとかあったけど、この際いいか。
梅酒のノンアルを4人に配った。
ノンアルのビールもあるが、アルコールの無いビールを、ビールを飲んだことのない人に出しても苦いだけだ。
準備ができたので、簡単に説明しながら食事を始めた。
「飲み物なんですが、これは私のいた世界でのお酒です。
アルコールは弱めですが、お酒ですので、20歳未満の方には別の物を出しております」
「あの~」
「ええ、ハイエルフのサーシャさんが20歳を超えていることは先ほど紹介の際にお聞きしておりますが、うちのフラン達と同じものを用意しておりますからご勘弁ください」
俺が『うちの』なんて言うものだからフランは非常にうれしそうにしている。
まあ、機嫌が良いのならば、そのままでもいいか。
「お酒も他の飲み物もお代わりがありますからおっしゃってください。
ではいただきましょう」
俺はまずビールを一気に御飲み干した。
「プハ~」
親父臭いと言われそうだが、本当に久しぶりのビールだ。
もともと酒好きという訳でもないが、それでも社会に少しばかりいたこともあって、それなりには酒を飲んでいた。
俺の飲みっぷりを見ていたドワーフや男性陣がビール口にする。
「少しに苦いが、守様の言われるように酒精が弱いとは思われないが」
「そうですか。
私のいた世界ではこれなんか弱めの酒ですが、いかんせん量が飲めますので、結果的にはしっかりと酔いますね」
「そう言われるのならこれより酒精の強い酒ってあるのですか」
そこから特に男性陣と酒について語りながら昼食を摂った。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
Serendipty~セレンディピティ~リストラから始まったハーレム生活
のらしろ
大衆娯楽
リストラ後に偶然から幸運を引き当ててハーレムを築いていくお話です。
主人公の本郷秀長はある装置メーカーの保守を担当する部署に務めておりましたが昨今の不景気のより希望退職という名のリストラをされました。
今まで職場で一生懸命に頑張ってきていたと自負していたけど他の職場メンバーからは浮いていたようで、職場の総意という伝家の宝刀を抜かれて退職する羽目になりました。
しかし、今まで一生けん目に働いていたことは事実で、そんな彼を評価していた人も少なからずおり、その一人にライバルメーカーの保守部門の課長から誘われて、ライバルメーカー転職したところから物語は始まります。
転職直後に、課長ともども配置転換を命じられて高級クルーザーの販売部署に回されて初の海外出張で産油国の王子と出会い、物語はどんどん普通でない方向に進んでいきます。
その過程で多くの女性と出会い、ハーレムを築いていくお話です。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる