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第二章 軍団の誕生
第37話 仲間の信用
しおりを挟む夕食まで十分に時間を使って情報を仕入れたのだが、何分丘者たちばかりでで、海に詳しくない者たちばかりだ。
得られる情報もたかが知れている。
それも、中世程度の文化レベルでの教育された者たちならば、自分の専門外などほとんど知らないのが当たり前だ。
義務教育など当然のこと、高等教育でも教養科目など習うはずがない。
本当に、だいたいのことしかわからなかった。
それでも、おおよそのことが分かった。
俺のいた世界で考えると、ほとんど地中海を考えると間違いなさそうだ。
内海と言うには大きすぎるくらいだが、これも俺が向かっていた地中海と考えればだいたい同じようなものらしい。
しかも、政界地図??と思しき地図によるよこの世界の認識はこの地中海もどきの沿海部と、それに続く陸地、この地図にはなかったのだが、陸地の先にも海があるらしく、正にヨーロッパ。
これって、正に俺の好きなナーロッパって感じだ。
詳しくはわからないし、何よりそこら中にとは言わないが、岩礁もある。
海図の無い海域で、岩礁の危険のある航海など俺はしたくは無かったのだが、それしかないからあきらめるしかない。
まあ、人でも増えたことだし、何より水深さえ注意していればどうにかなりそうなので俺は船を進める覚悟を決めた。
後はやることはフランたちを受け入れた時と同じだ。
この船に慣れてもらえば手分けして仕事をしてもらう。
そう、『カミサマ』から頂いたという大型船を探しながら、とりあえずの目標としてハイエルフの姫探しだ。
なんだっけか……プレアデスの姫だとか言ってたな、そんな伝説に連なる姫を探してサーガ―の再現でもさせられそうだが、やることも無いので付き合うことにしている。
うん、俺の好きだったライトノベルの世界だ。
尤も、俺の好きなライトの別と少し違うのが、ちょっかいをかけてきた『カミサマ』が群を抜いてポンコツだけだ。
しかも、ブラック要素満載のようで、『カミサマ』の部下と思しき神様も相当苦労しているようだ。
別に俺は、その神様を助けようとは思わないが、正直もう少し俺たちの手助けは欲しかったところだ。
何もわからん状態では、本当に現地の人に良いように使われて終わりって未来もある。
何より、俺が地球で味わったような企みに巻き込まれてなんてこともある。
今のところはフランたちを信じても良いとは思うが、どうなんだろう。
まずは、彼女たちを信じる所か始めよう。
……
そういえば、昔読んだことのある話で、モサドのことが書かれていたことがあった。
モサドのスパイが結婚する話だったようなのだが、その時にいかにして信じられる人を見つけるかなんてお言うのがあったような気がしたぞ。
なかなか思い出せないが……あ、そうだ。
そうだよ、その本に書かれていたことでは、出会いの状況を考えろというのがあった。
仕組まれた出会いか、絶対に仕組めない出会いかと言うのがあって、その本に書いてあったのが、急な予定を変更して別の飛行機に乗り合わせた時の女性だったとかで大丈夫だとか書いてあった。
そうなれば俺も大丈夫だ。
少なくともフランたちは問題ない。
何せ、最初に助けたミーシャは偶然以外にない。
あ、俺の場合『カミサマ』のちょっかいの可能性もあるか。
だが、『カミサマ』が悪意が無い限りそのケースを除外すると大丈夫になる。
……その『カミサマ』のちょっかいが心配なのだが、流石に俺を裏切るようなイベントは作らないだろう。
もしそうならば、あの『カミサマ』からの依頼の達成は無理だ。
だから、今のところは信じよう。
すでに頂く物を頂いてしまったこともあるし。
まあ、この発想からしてハニートラップ以外にないが、今は無視だ。
この場をいったん解散して、明日に備える。
翌朝、同じように食堂にみんなを集めて朝食を一緒に取り、その後これからについて俺は話した。
「座礁船から救出したこともあり、この船の乗員が増えたので、もう一度みんなの役割について相談したい」
そこからフランやケリー、それにエルムを中心に仕事の分担を話し合った。
騎士や兵士と言っても見習いだったようだが、兵士見習の彼らも併せてケリーに預ける。
当分は体つくりとボートの扱いについての訓練にあたらせる。
魔法使いのエルムと、彼女の学生たちはそのままエルムに預け、操船でも学んでもらおう。
そんな感じで、仕事の役割分担も済ませてやっと座礁船の言ともなった岩礁を離れることができた。
また、前回の拠点まで戻り、そこから自動操船で螺旋状に船を動かしていたらすぐにレーダー画面上に陸地が見えてきた。
「使徒様」
「エルムさんよ。
使徒様は勘弁してくれと言っていたよな」
「変な呼びかけは止めてほしいのですが」
「それを言うならば俺の方だ。
で、何かあったのか」
「ええ、そうでした。
こちらを見てください」
「ありゃ~、これ陸地だな。
この船で近づくのもまずそうだし、一旦離れてから方針を決めるかな」
俺はすぐにAIによる自動操船のスイッチを切って、船をいったん沖に向け船を走らせる。
「ここまでくれば見つからないだろう。
ちょうど昼時でもあるし、船を止めてみんなと昼飯でも食いながら相談だ」
俺は船の推進を止めてからもう一度レーダーを確認して、何もないのを確認後に、艦橋にいるエルムたちも連れて食堂に向かう。
「守様と呼べば良いのですよね」
「ああ、そう呼んでもらえるとうれしいかな」
「守様。
今まで教えていただき、操船と言うのが分かりあっけてまいりましたが、その……艦橋に誰もいないのはまずいのではと思うのですが」
「まずい……確かにまずいな」
「済まぬ。
素人意見で。
だが、守様もまずいと思うのならば誰かしら残した方が……何なら私一人でも」
「ああ、普通ならばまずいと思う。
それはエルムさんが指摘した通りだが、まずは大丈夫だ」
「それは……」
「先ほどまで見ていたレーダーな。
あれに何も映っていなかっただろう」
そこから簡単にレーダーについてエルムを含め魔法使いの見習いたちにも聞こえるように説明をしていく。
おおよそ10kmの範囲で何もいないのを確認済だ。
一応エルムから聞いた範囲では海中には魔物もいるようだが、錚々出会うものでもないらしい。
だがそれすら水中探査でもなかったので、魔物の水中での速度にもよるが少なくとも1時間の猶予はありそうなのだ。
そのあたりについて説明を何度かしているが、なかなか理解が及ばないらしくそういう心配事を持ちかけてくる。
尤もエルムたちが心配しているのは、いわゆる海賊のような無法者らしく海中に住む魔物の類ではない。
まず普通ならば会うことが無いらしく、もし付近に出る情報でも出れば近くの国が率先して討伐隊を繰り出してくるそうで、陸地のそばではまずお目にかからないのだとか。
内海である地中海もどきではここ数年魔物の報告すらないらしい。
流石海洋通称国家であったためそのあたりの情報は専門家でもなくとも知識人と言われる人種には共通の理解らしい。
俺としてはこの船と同じような高速船でもなければ、海中の魔物以外に心配が無いのだが、そのあたりに認識の違いがある。
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