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第二章 軍団の誕生
第31話 難破船での一泊
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部屋の準備も整ったのだが、一向に戻る気配が無い。
心配という訳でもないが、一応の様子だけでも知りたくて、もう一度ドローンを飛ばす。
……あら、やだ、やたら女性のヌードばかり、入浴とはちょっと違うが、俺の渡した便利グッズで行水中だ。
それも相当手こづっているようで、時間もかかりそう。
一応フランに声をかけると、今晩は戻れないとのことだ。
別に今の難破船が危険という訳でもないし、最悪ボートもあるからそれならば、無線機でも持たせればよかった。
今からでも遅くないので、何かのついでにでも渡せばいいかと食事について聞いたら、あの液体の携帯食で十分だと追うので、追加を渡すから、誰かよこしてほしいとだけ伝えてドローンを戻した。
水と食料の他に、無線機を渡して緊急の事態にだけは備えておくようにしておく。
せいぜい今から明日朝まで考えても10時間も持てば十分なので、普段使いの無線機を一つ探してきた。
また、ミーシャが騎士二人を連れて戻ってきたので、水と食料の入った箱を渡してボートに積み込む。
その際に、騎士に無線機を渡して使い方を説明する。
はじめは驚いていたが、使い方もそれほど複雑でもないので、すぐに覚え、難破船に着いたら一度無線で、連絡すると約束してもらった。
それから10分と経たずに約束通り連絡が来たので、俺は無線機を持って食堂に向かい自分の食事の準備に取り掛かる。
久しぶりのボッチ飯だ。
そういえば、この世界に来てボッチ飯は一食だけだった。
孤独には慣れているが、今まででも一人での食事ってそんなに機会が無かった。
そういう意味でもミーシャには感謝だな。
一人ボッチ飯を30分くらいかけて準備したのを数分でたいらげ、艦橋に戻る。
一応無線機だけは常に携帯しているので、難破船に危険が迫れば連絡が来るだろうが、心配でもあるので、レーダー監視や付近の目視での監視を行った後に、部屋に戻り一休みだ。
今日は、ゆっくりと寝ても問題は無いだろうが、それでも艦橋傍の海図室で仮眠をとることにした。
4時間ごとにレーダーの監視だけはしたが無駄な作業だったようで、12時間後にフランは難破船から人を連れて戻ってきた。
船に戻るとフランは俺に尋ねてきた。
「守様。あの者たちをこちらに移してもよろしいでしょうか」
「助ける分には反対しないよ。
それで……」
「それでとは?」
「彼ら、あ、彼女たちか。
その彼女たちをどこに運べば良いのだ?」
「え?
私たちと一緒にこの船には……」
「え?
俺は構わないが……彼女たちだっけ、納得しているのかな」
「ええ、昨夜から何度も話し合いました。
私たちは守様が神より授かったという使命を果たすのに協力したいと」
「確かに、あの神様たちからはとんでもないことを言われたような気がするが、とりあえず俺のために用意した船を探すのが最初だと考えているのだが」
「ええ、その船を見つけてから、神からの使命を果たすのですよね」
「使命と言ってもな~、あ、そうだ。
一緒になる分には構わないが、それは全員の希望かな。
もし、一人でもどこかに行きたいというのならば、そこに連れていくことも……」
「いえ、守様。
皆、使徒であり大魔導士でもある守様とご一緒したいと申しております」
え?
いったいフランは昨日からどんな洗脳でもしたのか、心配になってきた。
「そ、そうか……ならば俺からは何も言うまい。
で、すぐにでもみんなをこちらに連れてくるのかな」
「はい、昨日から守様から色々と頂きましたので、身ぎれいにはなっておりますから、すぐに連れてこれます……ですが、」
「ですが?
何??」
「乗船の儀についてですが、私どもの時と同じように何度かに分けませんと……」
「乗船の儀?
なんだ、それは」
「え?
守様に、禊をしていただいたのちに衣服を賜るという……」
何なんだ、それは……あ、シャワー室のことかって、あれって、臭かったからあの時洗っただけで、それは昨日フランたちがやっていたから終わった話ではないのかな。
「昨日、皆を洗い、臭いだけは取りましたが、やはりあのシャワー室で……」
「いや、あれは、なんだ、その……」
流石に一国の王女だった人に向かって、『臭いから洗った』なんて言えるはずもなく、どうしよう。
「確かに、皆を私どもが洗いましたが大魔導士で使徒様であられる守様に対しての儀礼と言いますか……」
「儀礼って……それは無いでしょ。
ただ、あの時は皆海賊船での扱いが良くなかったようで、それで少しでも……」
「ええ、それはよく理解しておりますが、あの時に感じました。
私だけでなく皆も同じだったようです」
「感じた?
いったい何を」
「一切に衣服を付けていない状態で守様に洗っていただいたことで、守様に対して一切に隠し事なく忠誠を誓えるということが」
あ、いや、何それ。
ちょっと怖いというか、重そう。
絶対に、これこじらせている感じで怖いんだけど。
「君たちの思いは理解したけど、ちょっとな……」
「何か問題でも?」
「俺は男だ。
流石に男の体を洗いたくは無いぞ」
「それは問題はありません」
「なんで?
この世界にも男はいたでしょ。
あの難破船にも、男くらいは……そういえば俺の知る限り見なかったな」
「ええ、あの船にはいませんでしたね。
食料と水を持ってさっさと逃げ出していたようですよ。
これだから、男は……ブツブツ」
「逃げ出した。
女子供を置き去りにしてか」
「ええ、子供と言いましても学生の身分ですから幼子はいませんが」
流石に、子供を置き去りにしてッて、それは無いでしょ。
しかも、水も食料もすべて奪ってってもう知れは殺人だよ。
自分たちにも命の危険が迫る状況だということはわかるが、船乗りとしての矜持ってものが無いのか。
本当にとんでもない世界に連れてこられたものだ。
心配という訳でもないが、一応の様子だけでも知りたくて、もう一度ドローンを飛ばす。
……あら、やだ、やたら女性のヌードばかり、入浴とはちょっと違うが、俺の渡した便利グッズで行水中だ。
それも相当手こづっているようで、時間もかかりそう。
一応フランに声をかけると、今晩は戻れないとのことだ。
別に今の難破船が危険という訳でもないし、最悪ボートもあるからそれならば、無線機でも持たせればよかった。
今からでも遅くないので、何かのついでにでも渡せばいいかと食事について聞いたら、あの液体の携帯食で十分だと追うので、追加を渡すから、誰かよこしてほしいとだけ伝えてドローンを戻した。
水と食料の他に、無線機を渡して緊急の事態にだけは備えておくようにしておく。
せいぜい今から明日朝まで考えても10時間も持てば十分なので、普段使いの無線機を一つ探してきた。
また、ミーシャが騎士二人を連れて戻ってきたので、水と食料の入った箱を渡してボートに積み込む。
その際に、騎士に無線機を渡して使い方を説明する。
はじめは驚いていたが、使い方もそれほど複雑でもないので、すぐに覚え、難破船に着いたら一度無線で、連絡すると約束してもらった。
それから10分と経たずに約束通り連絡が来たので、俺は無線機を持って食堂に向かい自分の食事の準備に取り掛かる。
久しぶりのボッチ飯だ。
そういえば、この世界に来てボッチ飯は一食だけだった。
孤独には慣れているが、今まででも一人での食事ってそんなに機会が無かった。
そういう意味でもミーシャには感謝だな。
一人ボッチ飯を30分くらいかけて準備したのを数分でたいらげ、艦橋に戻る。
一応無線機だけは常に携帯しているので、難破船に危険が迫れば連絡が来るだろうが、心配でもあるので、レーダー監視や付近の目視での監視を行った後に、部屋に戻り一休みだ。
今日は、ゆっくりと寝ても問題は無いだろうが、それでも艦橋傍の海図室で仮眠をとることにした。
4時間ごとにレーダーの監視だけはしたが無駄な作業だったようで、12時間後にフランは難破船から人を連れて戻ってきた。
船に戻るとフランは俺に尋ねてきた。
「守様。あの者たちをこちらに移してもよろしいでしょうか」
「助ける分には反対しないよ。
それで……」
「それでとは?」
「彼ら、あ、彼女たちか。
その彼女たちをどこに運べば良いのだ?」
「え?
私たちと一緒にこの船には……」
「え?
俺は構わないが……彼女たちだっけ、納得しているのかな」
「ええ、昨夜から何度も話し合いました。
私たちは守様が神より授かったという使命を果たすのに協力したいと」
「確かに、あの神様たちからはとんでもないことを言われたような気がするが、とりあえず俺のために用意した船を探すのが最初だと考えているのだが」
「ええ、その船を見つけてから、神からの使命を果たすのですよね」
「使命と言ってもな~、あ、そうだ。
一緒になる分には構わないが、それは全員の希望かな。
もし、一人でもどこかに行きたいというのならば、そこに連れていくことも……」
「いえ、守様。
皆、使徒であり大魔導士でもある守様とご一緒したいと申しております」
え?
いったいフランは昨日からどんな洗脳でもしたのか、心配になってきた。
「そ、そうか……ならば俺からは何も言うまい。
で、すぐにでもみんなをこちらに連れてくるのかな」
「はい、昨日から守様から色々と頂きましたので、身ぎれいにはなっておりますから、すぐに連れてこれます……ですが、」
「ですが?
何??」
「乗船の儀についてですが、私どもの時と同じように何度かに分けませんと……」
「乗船の儀?
なんだ、それは」
「え?
守様に、禊をしていただいたのちに衣服を賜るという……」
何なんだ、それは……あ、シャワー室のことかって、あれって、臭かったからあの時洗っただけで、それは昨日フランたちがやっていたから終わった話ではないのかな。
「昨日、皆を洗い、臭いだけは取りましたが、やはりあのシャワー室で……」
「いや、あれは、なんだ、その……」
流石に一国の王女だった人に向かって、『臭いから洗った』なんて言えるはずもなく、どうしよう。
「確かに、皆を私どもが洗いましたが大魔導士で使徒様であられる守様に対しての儀礼と言いますか……」
「儀礼って……それは無いでしょ。
ただ、あの時は皆海賊船での扱いが良くなかったようで、それで少しでも……」
「ええ、それはよく理解しておりますが、あの時に感じました。
私だけでなく皆も同じだったようです」
「感じた?
いったい何を」
「一切に衣服を付けていない状態で守様に洗っていただいたことで、守様に対して一切に隠し事なく忠誠を誓えるということが」
あ、いや、何それ。
ちょっと怖いというか、重そう。
絶対に、これこじらせている感じで怖いんだけど。
「君たちの思いは理解したけど、ちょっとな……」
「何か問題でも?」
「俺は男だ。
流石に男の体を洗いたくは無いぞ」
「それは問題はありません」
「なんで?
この世界にも男はいたでしょ。
あの難破船にも、男くらいは……そういえば俺の知る限り見なかったな」
「ええ、あの船にはいませんでしたね。
食料と水を持ってさっさと逃げ出していたようですよ。
これだから、男は……ブツブツ」
「逃げ出した。
女子供を置き去りにしてか」
「ええ、子供と言いましても学生の身分ですから幼子はいませんが」
流石に、子供を置き去りにしてッて、それは無いでしょ。
しかも、水も食料もすべて奪ってってもう知れは殺人だよ。
自分たちにも命の危険が迫る状況だということはわかるが、船乗りとしての矜持ってものが無いのか。
本当にとんでもない世界に連れてこられたものだ。
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