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第二章 軍団の誕生
第23話 部屋割り
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「この部屋をフランがこの部屋を使ってほしい」
「え、この部屋を私に……」
「ええ、ちょうど隣に下士官部屋があるので、元のメイドの二人をその部屋に入れるつもりだ。
近くですから、何かと便利だと思う」
「私たちにも部屋を……」
ドーラが驚きの声を上げる。
「ああ、寝床は十分にある。
ミーシャには昨日まで使っていたところより狭くなり、相部屋となるが許してほしい。
何せあそこは俺が使っている部屋だったからな」
「はい、守様。
気にしないでください」
「なら自分たちのための部屋を片付けて、とりあえず今日のところの片づけは終わりにしよう」
「今日のところ??」
「ああ、この船は本来60人乗りだった。
乗員もほぼ定数を載せていたから、全ての片づけを済ませたい。
まあ、急がないから手すきの時にやろうと考えている。
さあ、自分たちの寝床を準備するよ」
「「はい」」
下士官用の部屋は二人の相部屋で、騎士に割り振った一般兵士用の4人部屋よりは少しばかり贅沢にはなるが、兵士部屋に入ってもらう騎士たちには、当直もお願いしようかと考えているので、部屋の利用時間も少なくなるから問題ないと俺は考えている。
それに何よりフランの世話をしてきた元の従者の二人は、フランのそばに置いておきたい。
まあ、彼女たち全員に言えることだが、全くと言って私物を持っていないので、部屋の引っ越しは簡単だ。
追々状況に合わせて部屋割りも変えていくことがあるかもしれない。
とりあえず、今回助けた11名と昨日助けたミーシャを合わせて12名分の寝床の確保が終わった。
「守様、この後は……」
時間は午後4時近くになっていた。
ちょうどいい時間だ。
夕食の準備に取り掛かろう。
説明をしながら慣れない彼女たちにも作業をさせるので、少し余裕をもって夕食の準備に取り掛かる。
「ああ、この後はみんなの食事の準備をしよう。
今度は初めから手伝ってもらうから、覚えてほしい」
そう言って食堂隣の厨房にやってきた。
「ところで海賊に襲われる前の食事はどんな感じだった」
「どんな感じとは」
「誰が食事を作っていたんだ??」
「船には料理をする者がいたので、彼に作ってもらっていましたが、この船で昼に食べた物よりも質素なものですよ」
フランが答えてくれた。
「良いところの出のフランはわかるが、従者だった二人は料理の経験はあるのかな」
「私はって言いましたが、どういう意味なんですか」
「いや、俺の偏見があったのかもしれない。
貴族の子女は自分で料理など作らないと思ったので。
で、それならフランは何か料理を作れるのかな」
「いえ、作ったことがありません」
「そうです、フラン様は厨房にお入りになられる方ではありません」
ドーラがやや怒ったような口調で言ってきた。
「ああ、でもこれからは手分けしないといけないので、できれば覚えてほしいかな。
しれで二人は料理の経験はあるのかな」
「……」
「お屋敷では料理長がいましたし、配膳など食事関連のメイドもおりましたから」
どうもメイドによって仕事が異なるらしかった。
ミーシャもドーラもメイドだったようなのだが、従者と言われているだけあって、フランの秘書のようなことをしていたようだ。
当然料理の経験は無い、配膳すらほとんどしてこなかったらしい。
「だいたい現状はわかった。
では、当分は手抜きをするか」
俺はそう言って、食材の確認を始めた。
この世界に送られる前のこの船は最後の補給地であるハワイからかなりの日数が経過していたこともあり、野菜庫の中にはほとんど新鮮な野菜が無くなっている。
大きな野菜庫がガラガラな状態だ。
まあ、考えなくとも当たり前の話で、今日明日中に横須賀に着こうかというタイミングで、俺は攫われたのだ。
その時の船は補給せずどこまで大丈夫かというと、日持ちする冷凍食品や、保存食を除くとだいぶ寂しいものがあった。
だが、冷食などは十分に積んでいたので、まだ余裕で60人を一月は持たせることができる。
その状態をそのまんま複製されているので、冷食だけは十分にある。
しかも、現状の定員は前の1/6だ。
当分は問題ないが、どこかで補給も視野に入れなければならないな。
その前に大型船を見つけることができれば状況も変わるのだが。
当分は冷食中心で行くしかないが、最近の冷食はサラダまであるから別に生野菜が無くとも関係ないか。
問題があるとすれば献立だな。
一体だれが献立を考えるのかって……俺しかいないか。
俺が考えないと、彼女たちを助け出す前の様に同じ食事ばかりになる。
流石に3~4食を全く同じでは飽きる。
今日の昼とも変えないといけないから、夜は魚を中心に行くか。
日本人の俺が乗ることもあって、地球にいた時の料理主任は冷食にも日本から取り寄せた物をかなり載せていてくれた。
日本食がアメリカでももてはやされたこともあり、けっこう割高だったが無理やり予算を取っていたようだ。
俺が出汁に使われた節もあるが、今はそれに感謝しよう。
煮つけと御飯にみそ汁の組み合わせそれと大根サラダ。
うん、今日はこれに決めた。
全部冷食なので、準備と言ってもほとんどレンチンだ。
サラダは違うが、こっちは真空パックの冷蔵なので、封を切るだけでそのまま食べられる優れものだ。
まず見本を示して、これを作ってもらうが、調理というまでもなく、温めるのがほとんどで、後は盛り付けだ。
「出来そうか?」
「はい、見ているずいぶん簡単に出きそうですが、これ凄いですよね。
お屋敷では料理一つ作るのにも相当料理長が苦労していましたから」
「だろうな。
ここまで便利になったのもつい最近だ。
俺の子供の頃にって、もう言葉も敬語の必要はないよね」
「はい、守様。
そうしていただける方がうれしく思います」
貴族というから気を付けていたけど、俺の部下となるので、いちいち体裁を整える必要が無くなったのが助かる。
なんだかんだと、それでも時間を要したので、準備ができたのは午後6時になってからだ。
この人数ならば当分は全員一緒に食事をとる方が良いだろう。
俺は、フランを連れて艦橋に戻る。
ミーシャとドーラにはお茶の準備をしてもらっている。
「え、この部屋を私に……」
「ええ、ちょうど隣に下士官部屋があるので、元のメイドの二人をその部屋に入れるつもりだ。
近くですから、何かと便利だと思う」
「私たちにも部屋を……」
ドーラが驚きの声を上げる。
「ああ、寝床は十分にある。
ミーシャには昨日まで使っていたところより狭くなり、相部屋となるが許してほしい。
何せあそこは俺が使っている部屋だったからな」
「はい、守様。
気にしないでください」
「なら自分たちのための部屋を片付けて、とりあえず今日のところの片づけは終わりにしよう」
「今日のところ??」
「ああ、この船は本来60人乗りだった。
乗員もほぼ定数を載せていたから、全ての片づけを済ませたい。
まあ、急がないから手すきの時にやろうと考えている。
さあ、自分たちの寝床を準備するよ」
「「はい」」
下士官用の部屋は二人の相部屋で、騎士に割り振った一般兵士用の4人部屋よりは少しばかり贅沢にはなるが、兵士部屋に入ってもらう騎士たちには、当直もお願いしようかと考えているので、部屋の利用時間も少なくなるから問題ないと俺は考えている。
それに何よりフランの世話をしてきた元の従者の二人は、フランのそばに置いておきたい。
まあ、彼女たち全員に言えることだが、全くと言って私物を持っていないので、部屋の引っ越しは簡単だ。
追々状況に合わせて部屋割りも変えていくことがあるかもしれない。
とりあえず、今回助けた11名と昨日助けたミーシャを合わせて12名分の寝床の確保が終わった。
「守様、この後は……」
時間は午後4時近くになっていた。
ちょうどいい時間だ。
夕食の準備に取り掛かろう。
説明をしながら慣れない彼女たちにも作業をさせるので、少し余裕をもって夕食の準備に取り掛かる。
「ああ、この後はみんなの食事の準備をしよう。
今度は初めから手伝ってもらうから、覚えてほしい」
そう言って食堂隣の厨房にやってきた。
「ところで海賊に襲われる前の食事はどんな感じだった」
「どんな感じとは」
「誰が食事を作っていたんだ??」
「船には料理をする者がいたので、彼に作ってもらっていましたが、この船で昼に食べた物よりも質素なものですよ」
フランが答えてくれた。
「良いところの出のフランはわかるが、従者だった二人は料理の経験はあるのかな」
「私はって言いましたが、どういう意味なんですか」
「いや、俺の偏見があったのかもしれない。
貴族の子女は自分で料理など作らないと思ったので。
で、それならフランは何か料理を作れるのかな」
「いえ、作ったことがありません」
「そうです、フラン様は厨房にお入りになられる方ではありません」
ドーラがやや怒ったような口調で言ってきた。
「ああ、でもこれからは手分けしないといけないので、できれば覚えてほしいかな。
しれで二人は料理の経験はあるのかな」
「……」
「お屋敷では料理長がいましたし、配膳など食事関連のメイドもおりましたから」
どうもメイドによって仕事が異なるらしかった。
ミーシャもドーラもメイドだったようなのだが、従者と言われているだけあって、フランの秘書のようなことをしていたようだ。
当然料理の経験は無い、配膳すらほとんどしてこなかったらしい。
「だいたい現状はわかった。
では、当分は手抜きをするか」
俺はそう言って、食材の確認を始めた。
この世界に送られる前のこの船は最後の補給地であるハワイからかなりの日数が経過していたこともあり、野菜庫の中にはほとんど新鮮な野菜が無くなっている。
大きな野菜庫がガラガラな状態だ。
まあ、考えなくとも当たり前の話で、今日明日中に横須賀に着こうかというタイミングで、俺は攫われたのだ。
その時の船は補給せずどこまで大丈夫かというと、日持ちする冷凍食品や、保存食を除くとだいぶ寂しいものがあった。
だが、冷食などは十分に積んでいたので、まだ余裕で60人を一月は持たせることができる。
その状態をそのまんま複製されているので、冷食だけは十分にある。
しかも、現状の定員は前の1/6だ。
当分は問題ないが、どこかで補給も視野に入れなければならないな。
その前に大型船を見つけることができれば状況も変わるのだが。
当分は冷食中心で行くしかないが、最近の冷食はサラダまであるから別に生野菜が無くとも関係ないか。
問題があるとすれば献立だな。
一体だれが献立を考えるのかって……俺しかいないか。
俺が考えないと、彼女たちを助け出す前の様に同じ食事ばかりになる。
流石に3~4食を全く同じでは飽きる。
今日の昼とも変えないといけないから、夜は魚を中心に行くか。
日本人の俺が乗ることもあって、地球にいた時の料理主任は冷食にも日本から取り寄せた物をかなり載せていてくれた。
日本食がアメリカでももてはやされたこともあり、けっこう割高だったが無理やり予算を取っていたようだ。
俺が出汁に使われた節もあるが、今はそれに感謝しよう。
煮つけと御飯にみそ汁の組み合わせそれと大根サラダ。
うん、今日はこれに決めた。
全部冷食なので、準備と言ってもほとんどレンチンだ。
サラダは違うが、こっちは真空パックの冷蔵なので、封を切るだけでそのまま食べられる優れものだ。
まず見本を示して、これを作ってもらうが、調理というまでもなく、温めるのがほとんどで、後は盛り付けだ。
「出来そうか?」
「はい、見ているずいぶん簡単に出きそうですが、これ凄いですよね。
お屋敷では料理一つ作るのにも相当料理長が苦労していましたから」
「だろうな。
ここまで便利になったのもつい最近だ。
俺の子供の頃にって、もう言葉も敬語の必要はないよね」
「はい、守様。
そうしていただける方がうれしく思います」
貴族というから気を付けていたけど、俺の部下となるので、いちいち体裁を整える必要が無くなったのが助かる。
なんだかんだと、それでも時間を要したので、準備ができたのは午後6時になってからだ。
この人数ならば当分は全員一緒に食事をとる方が良いだろう。
俺は、フランを連れて艦橋に戻る。
ミーシャとドーラにはお茶の準備をしてもらっている。
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