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15.最推しが死にそうなら助けるのは当たり前だろうが!!!!
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私は、そーっと、そーっと……足音を消して、呼吸も小さく近寄っていく……。
もし、違ってもダッシュで逃げる体勢で。
「っ……てぇ……」
草むらに横たわり、小さく聞こえた、刺のある鋭い野性味のあるその声……・。
そのつぶやきで……私は……私は確信した……。
体を起こし……とぼとぼと歩き……近づいていく……。
「っ!誰だ!!!!」
とっさに上半身を起こし、身構えた……その人……彼…………
私の……最推し…………
「彪斗……くん…………。」
私はぽたぽたと涙を流しながら立ち止まり、信じられない。という表情で、彼の名をつぶやく。
「あ?誰だてめぇ……何で俺の名前……つっ……!」
彪斗くん……私の最推し、不知火彪斗くんは、私を睨みつけてそう言いながら苦悶の表情で草むらに顔をうずめた。
「!」
私はハッとする。
公園の街灯で少し見えるだけだが、彪斗くんの体の下には血だまりが出来ていた。
「彪斗くん!!!魔物にやられたの!?怪我!!??大丈夫!!??」
私は泣きながら駆け寄る。
「……あぁ?なん……で……魔物のこと……てめぇ……誰……だ……」
「そんなことはいいから!!今、救急車呼ぶから!!!!」
私はスマホを取り出す。
「やめ……ろ……よぶ……な……」
彪斗くんは私の手を払い、スマホがカシャンと地面を滑る。
あ、そうか……彪斗くんは公には出ちゃいけない存在なんだ……どうしよう……九五さんに……いやでも間に合わない!
「彪斗くん!とりあえず傷口見せて!薬局行って出来る限りの手当出来る物買ってくるから!!!」
私は最推しに会えたのに、最推しの顔面に嬉々とする余裕もなく、いや、最推しに会えた嬉しさと、最推しが死にそうなこの状況に、ぼろぼろと涙を流しながらそう言っていた。
「……いい……ほっとけ……」
しかし、彪斗くんはそんなことを言って立ち上がろうとする。しかし、うめいてまた崩れ落ちる。
「いいから!!!!年上のおばさんの言うことは聞きなさい!!!!」
駆け寄って体を支えると、大声で怒鳴る。
「おば……さん……って、お前……」
「とりあえず、そこのベンチに移動しよう!」
私は重い彪斗くんの腕を肩に回し、支え、引きずるようにすぐそばのベンチに移動させる。
「どこ怪我したの?」
そしてまだぼろぼろと泣きながらもベンチに仰向けに寝た彪斗くんに声をかける。
「……胸……ざっくりやられた……」
そう言われて見た胸は確かに服が破れている。
「服破るよ。」
私は必死で、血まみれの服をビリビリと破く。
みると傷は大きな一本の爪で引っかかれたような物だった。
でも、傷は浅いようだ。
でも、血はドクドクと出ている。
「だい……じょうぶ……だ……傷は……浅い……」
「うん、そうみたいだね。よかった。」
私もほっとする。
「じゃあ私、これから薬局行ってくるから!ここから動かないでね!絶対だよ!!絶対動かないでね!!!」
彪斗くんに向かって、私は泣きながら、必死な形相で言う。
「お前……何で……そこまで……」
彪斗くんが怪訝な顔つきで言う。
私が怪訝な顔つきで即答した。
「最推しが死にそうな状態でいたら助けるのは当たり前でしょう!!!何言ってんの!!!!」
「……さい……おし……?」
「行ってくるよ!おとなしく待っててね!!!」
私は涙を拭いながら立ち上がった。
「へんな……おんな……」
背後で小さくそう聞こえた気がして、乙女ゲーあるある、『変な女』頂いちゃったよ!次は『おもしれー女』か!?と、思いながら、私は薬局へと全力疾走するのだった。
もし、違ってもダッシュで逃げる体勢で。
「っ……てぇ……」
草むらに横たわり、小さく聞こえた、刺のある鋭い野性味のあるその声……・。
そのつぶやきで……私は……私は確信した……。
体を起こし……とぼとぼと歩き……近づいていく……。
「っ!誰だ!!!!」
とっさに上半身を起こし、身構えた……その人……彼…………
私の……最推し…………
「彪斗……くん…………。」
私はぽたぽたと涙を流しながら立ち止まり、信じられない。という表情で、彼の名をつぶやく。
「あ?誰だてめぇ……何で俺の名前……つっ……!」
彪斗くん……私の最推し、不知火彪斗くんは、私を睨みつけてそう言いながら苦悶の表情で草むらに顔をうずめた。
「!」
私はハッとする。
公園の街灯で少し見えるだけだが、彪斗くんの体の下には血だまりが出来ていた。
「彪斗くん!!!魔物にやられたの!?怪我!!??大丈夫!!??」
私は泣きながら駆け寄る。
「……あぁ?なん……で……魔物のこと……てめぇ……誰……だ……」
「そんなことはいいから!!今、救急車呼ぶから!!!!」
私はスマホを取り出す。
「やめ……ろ……よぶ……な……」
彪斗くんは私の手を払い、スマホがカシャンと地面を滑る。
あ、そうか……彪斗くんは公には出ちゃいけない存在なんだ……どうしよう……九五さんに……いやでも間に合わない!
「彪斗くん!とりあえず傷口見せて!薬局行って出来る限りの手当出来る物買ってくるから!!!」
私は最推しに会えたのに、最推しの顔面に嬉々とする余裕もなく、いや、最推しに会えた嬉しさと、最推しが死にそうなこの状況に、ぼろぼろと涙を流しながらそう言っていた。
「……いい……ほっとけ……」
しかし、彪斗くんはそんなことを言って立ち上がろうとする。しかし、うめいてまた崩れ落ちる。
「いいから!!!!年上のおばさんの言うことは聞きなさい!!!!」
駆け寄って体を支えると、大声で怒鳴る。
「おば……さん……って、お前……」
「とりあえず、そこのベンチに移動しよう!」
私は重い彪斗くんの腕を肩に回し、支え、引きずるようにすぐそばのベンチに移動させる。
「どこ怪我したの?」
そしてまだぼろぼろと泣きながらもベンチに仰向けに寝た彪斗くんに声をかける。
「……胸……ざっくりやられた……」
そう言われて見た胸は確かに服が破れている。
「服破るよ。」
私は必死で、血まみれの服をビリビリと破く。
みると傷は大きな一本の爪で引っかかれたような物だった。
でも、傷は浅いようだ。
でも、血はドクドクと出ている。
「だい……じょうぶ……だ……傷は……浅い……」
「うん、そうみたいだね。よかった。」
私もほっとする。
「じゃあ私、これから薬局行ってくるから!ここから動かないでね!絶対だよ!!絶対動かないでね!!!」
彪斗くんに向かって、私は泣きながら、必死な形相で言う。
「お前……何で……そこまで……」
彪斗くんが怪訝な顔つきで言う。
私が怪訝な顔つきで即答した。
「最推しが死にそうな状態でいたら助けるのは当たり前でしょう!!!何言ってんの!!!!」
「……さい……おし……?」
「行ってくるよ!おとなしく待っててね!!!」
私は涙を拭いながら立ち上がった。
「へんな……おんな……」
背後で小さくそう聞こえた気がして、乙女ゲーあるある、『変な女』頂いちゃったよ!次は『おもしれー女』か!?と、思いながら、私は薬局へと全力疾走するのだった。
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