転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

rita

文字の大きさ
上 下
13 / 32

13.父のほほえみに七斗エンドを決意するも、まだ見ぬ最推しに心をはせる……くっ!皆に幸せになって欲しい!!!

しおりを挟む
 私がカタカタしながら中腰でそのまま硬直していると、

「ほら!彩衣!帰るよ!!もー!」

 と、鈴ちゃんが引っ張ってくれた、しかし足がうまく動かない。
 足がもつれ……あ、ごめん、鈴ちゃん。

「きゃあ!」
「へぶっ!」

 私は変な声を出して、階段の上から鈴ちゃんに乗りかかる形で鈴ちゃんもろとも階段から落ちた。

「いった~!」
「いたた……。」

 私たち二人は階段から落ち、賽銭箱の横で重なり合いながら苦痛の声を上げていた。
 賽銭箱の横に何か縁あるな。
 と、思っていたら……・

「おやおや、パンツ見えるのはおじさん嬉しいけど、かわいいお嬢さんたちが怪我して傷残るのはおじさん悲しいかな。怪我ない?」

 頭上から……攻略したい!!!なんで攻略不可なの!!!
 と、思っていたイケオジの声がして……私はうつむいたまま黙っていた。
 すると、

「ちょっと!彩衣!いつまで乗ってんのよ!早くどいてよ!」

 鈴ちゃんが怒りの頂点で起き上がろうとしている……。
 私はしぶしぶ……


 いや、見たいんだけど!見たいし話したいんだけどね!


 無理じゃん!無理じゃね?そうでしょ!?


 体を起こし、顔を上げ、九五さん……神薙くんのお父さんで、攻略不可キャラのイケオジキャラを見た。


「あららー、血出てるね二人共。救急箱持ってくるから待っててね。」


 そう言うと、九五さんは笑顔で家の中へとゆったりと去って行った……。


「ひーーーー!!!!!!九五っさん!!!!!イケオジに出会えた!!!!しかも手当!!!手当してもらうとか!!!!!!無理!!!」


 私が立ったまま顔面に手を当て、仰け反りながら叫んでいると。


「ちょっとあんたね!!!わけわかんないこと叫んでないで謝んなさいよ!!!!」


 おっと鈴ちゃんの怒りがMAXだ。やべぇ。
 立ち上がりながらスカートや服の砂をはらいつつ鞄を持ち直して髪を整えている。

 あ、膝から血出てる。


「ごめん!ごめんね、鈴!」


 私はさすがに血を見て申し訳ないことをしたと謝る。

「まったく!おかしいおかしいと思ってたけど、最近のあんたほんとおかしいわ!」
「あ、あはは……まぁ、前からほら、テンション高めのキャラだし……」
「それとこれとは別!」
「すみません……」
「って!あんたも血出てんじゃない!」
「え?両膝と左手の手のひら!あたしより酷いのに何元気にしてんのよ!」
「あー……いや、多分、アドレナリンが大量放出されて……」
「はぁ?」
「まぁ、ほんと……ごめんね……」

 私がしゅんとすると、

「……まぁ、いいけど。あんたがバカやるのは前からだし」

 鈴ちゃんはどうやら許してくれたらしい。

 これに懲りて、もうあまりゲームのことに夢中になるのは控えよう……・。
 いやでも九五さんに会っちゃったら硬直しちゃうだろー。
 それは仕方ないよ。
 うん。

 全然懲りてねぇな、あたし。

 まぁ、これからは人を巻き込むのはやめよう。うん。

 すると、ガラガラという音と共に九五さんが救急箱を持ってやってきた。


 おっふ!九五さん!!!ヤバイ!にやける!!!



「救急箱持ってきたよ~」


 九五さんは軽い感じに救急箱を上げて近づいてくる。


 近づいてくるーーーーーー!!!!!!!


「ほらほら、階段で悪いけど座って」


 私たちが立っていると、九五さんが、座って。と、促してくれる。

「すみません、ほんと」

 鈴と私は座る。

 私は九五さんをガン見していた。


 やべぇ……本物の九五さんだ。


 ゲームの、画面で、何で攻略できないのーーーー!!!!!


 と、ジタバタもがいでた九五さんだ……イケオジ……。


 はぁ……白髪混じりの短髪かっこいい……。

 シワのあるお顔も素敵です!息子さんに少し似てますね!あ、息子さんが似てるのか!

 丸い眼鏡が素敵なんだよな~~~~!!!!神主さんなのに!!!

 そしてなんといっても、あご髭……無精ひげっぽい、短い少し白髪混じりのあご髭が


 た ま ら な い ~~~~~~~~!!!!!!


 ジョリジョリして!!!ジョリジョリして!!!!


 などと思いながらガン見していると、


「で、そっちのお嬢さんはオジサンに何か興味があるのかな?女子高生に手を出すのは少しいけないんだけどな~」


 あっはっは。と、笑いながら鈴の手当をしている九五さんは言う。

 え!?てか鈴手当してもらってんの!?
 え!?

 あ、それより答えなきゃ!

 私は慌てて答える。

「あの……・神薙くんのお父さん……かな?って思って」

 と、咄嗟に嘘をつく。わかってるけど。

「お、七斗知ってんの?同級生?」

 はい、君は終了。と、言いながら今度は私の方へやってくる。

「うわー、君、凄い血だらけだね。大丈夫?」
「え?あ、はい!大丈夫です!」
「……ははは!元気でよろしい!」

 九五さんはそう言って、



 私の


 頭に



 手を



 乗せた。





(おああああああああああああああああああああ!!!!!!)




 必死に叫びだしたいのを堪えて意識を飛ばした。

「じゃあ、膝からやるよ、しみるからねー」

 なんか足に痛み感じてたけどそんなもの意識を飛ばすのに必死でほぼ感じてないも同然だった。


 なんとか心をしずませていたら、私の両膝には、ガーゼがぺたりと貼られていた。

「あとは左手だね」
「あ……はい」

 さっき、マジマジと見ていたせいもあり、時間が経過したおかげもあり、だいぶ私は九五さんに慣れてきた。

 でも間近で見るイケオジマジイケオジ。尊いよー。涙出る。

「で、七斗の同級生?」

 九五さんが聞いてくる。

「あ!はい!同じクラスです!」

 私は慌てて答える。

「へーそうか。あいつ暗いから友達いないだろ」
「え……えーっと」

 私は鈴を見る。

「そんなことないですよ。毎日みんなでお昼ご飯屋上で食べてるみたいですし。」

 あー……鈴、それは……。

「……そう」

 九五さんは少し低い声で返す。

「で!でも、一凛っていう女子と仲いいんですよ!付き合うのも時間の問題かなー。」

 私は慌ててフォローする。

「そうか……仲良くやってんのか……」

 ふっと……九五さんはどこか嬉しそうな表情をした……。


 九五さん……七斗くんのこと心配してるんだな……。


 これは七斗くんエンドに向けて私も頑張るしかないな!


 あ!でも!



 そこで私はまだ見ぬ最推しのことを思い出した……・。



 そう……隠しキャラである最推しこそ、私的に一凛と最も幸せになってほしい彼なのだ……。


 そして私はいつの間にか鈴と一凛を心の中でも呼び捨てで呼んでいる……。
 慣れって恐ろしい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

モブ令嬢は脳筋が嫌い

斯波@ジゼルの錬金飴②発売中
恋愛
イーディスは海のように真っ青な瞳を持つ少年、リガロに一瞬で心を奪われた。彼の婚約者になれるのが嬉しくて「祖父のようになりたい」と夢を語る彼を支えたいと思った。リガロと婚約者になってからの日々は夢のようだった。けれど彼はいつからか全く笑わなくなった。剣を振るい続ける彼を見守ることこそが自分の役目だと思っていたイーディスだったが、彼女の考えは前世の記憶を取り戻したことで一変する。※執筆中のため感想返信までお時間を頂くことがあります。また今後の展開に関わる感想や攻撃的な感想に関しましては返信や掲載を控えさせていただくことがあります。あらかじめご了承ください。

悪役令嬢がでれでれに溺愛されるまでの話

ててて
恋愛
悪役令嬢に転生して、その世界でフラグを折っていたら、ヒロインよりも世界に愛されてしまった感じの話。

クラヴィスの華〜BADエンドが確定している乙女ゲー世界のモブに転生した私が攻略対象から溺愛されているワケ〜

アルト
恋愛
たった一つのトゥルーエンドを除き、どの攻略ルートであってもBADエンドが確定している乙女ゲーム「クラヴィスの華」。 そのゲームの本編にて、攻略対象である王子殿下の婚約者であった公爵令嬢に主人公は転生をしてしまう。 とは言っても、王子殿下の婚約者とはいえ、「クラヴィスの華」では冒頭付近に婚約を破棄され、グラフィックは勿論、声すら割り当てられておらず、名前だけ登場するというモブの中のモブとも言えるご令嬢。 主人公は、己の不幸フラグを叩き折りつつ、BADエンドしかない未来を変えるべく頑張っていたのだが、何故か次第に雲行きが怪しくなって行き────? 「────婚約破棄? 何故俺がお前との婚約を破棄しなきゃいけないんだ? ああ、そうだ。この肩書きも煩わしいな。いっそもう式をあげてしまおうか。ああ、心配はいらない。必要な事は俺が全て────」 「…………(わ、私はどこで間違っちゃったんだろうか)」 これは、どうにかして己の悲惨な末路を変えたい主人公による生存戦略転生記である。

【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、 《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。 しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、 義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった! バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、 前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??  異世界転生:恋愛 ※魔法無し  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

モブはモブらしく生きたいのですっ!

このの
恋愛
公爵令嬢のローゼリアはある日前世の記憶を思い出す そして自分は友人が好きだった乙女ゲームのたった一文しか出てこないモブだと知る! 「私は死にたくない!そして、ヒロインちゃんの恋愛を影から見ていたい!」 死亡フラグを無事折って、身分、容姿を隠し、学園に行こう! そんなモブライフをするはずが…? 「あれ?攻略対象者の皆様、ナゼ私の所に?」 ご都合主義です。初めての投稿なので、修正バンバンします! 感想めっちゃ募集中です! 他の作品も是非見てね!

処理中です...