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第13話:宇宙の果て
Eパート(7)
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短期間でメインスラスターの制御室に禿頭の大男がたどり着けたのは、レッドノーム号の外を宇宙遊泳してきたからであった。
第一艦橋の非常エアロックを経由して外に出た大男は、数分とかからずに船体後方のスラスターまでたどり着いていた。そんな事が可能だったのも、レッドノーム号が慣性飛行中だったからである。もしデイビッドが船の制御を奪うのがもう少し早く軌道変更を行っていれば、大男はレッドノーム号から置き去りにされて、宇宙の取り残されていただろう。
『メインスラスターを停止すれば、もうレッドノーム号は落ちるだけっすね』
禿頭の大男は全力で軌道修正を行っているメインスラスターを見上げる。
『動きを止めるだけなら、爆弾も必要ないっす』
メインスラスターの制御パネルに向けてサブマシンガンを構えると、大男は引き金を引いた。
ガガガガガガガッ
サブマシンガンから発射された弾丸が制御パネルを蜂の巣にすると、稼働していたメインスラスターは緊急停止してしまった。
『これで、レッドノーム号は火星に墜落…するっすね』
サブマシンガンを撃った反動で、大男は制御パネルと反対側にはじき飛んでいた。大男は役目を終えたサブマシンガンを放り出すと、その場に浮かんでいた。
よく見ると、大男の体には跳弾した銃弾が数発食い込んでいた。銃弾は腹部と胸部に食い込んでおり、このまま放置すれば大男は死んでしまうレベルの負傷であった。
無重力状態の狭い部屋の中でサブマシンガンを撃てば、跳弾の危険性があることは大男にも良く分かっていたが、自分の生死よりも火星への復讐の気持ちが勝っていたのだった。
いやどのみちレッドノーム号が火星に落下すれば、大男は死んでしまっていたのだ。
『火星の連中に一泡吹かせられたっすね…ゴホッ。大佐みたいに死体を動かせたら良かった…す』
大男は口から吐血すると、そのまま動かなくなってしまった。
◇
『メインスラスターが停止したみたいですわ。制御は…復旧には手動で操作する必要があると出てますわ』
第二艦橋で操作を行っていたレイチェルは、レッドノーム号のメインスラスターが停止し、手動で操作する必要があることを告げた。
『くそっ、やりやがったな。制御線の途中で切断されるなら迂回するという手があるが、スラスターの大本の制御器を破壊されたら、実際にスラスターの所まで行かないとどうしようもないぞ!』
端末の中でディビットがコンソールを叩いていた。
『それなら、私が行きますわ』
『レイチェルさん、待つんだ。今から向かって間に合わない』
船内の通路を通ってメインスラスターの制御部にたどり着く頃にはレッドノーム号は地上に落下しているだろう。そして大男のように船外遊泳で向かおうにも、レッドノーム号は既に大気圏の上層部に入っているため、宇宙服で外に出ることは不可能だった。
『では、どうすれば…』
『動けるのは…』
青ざめるレイチェルと黙りこくりディビットだが、
『…ここは、儂の出番だな』
そこにアルテローゼの通信が割り込んだ。
『アルテローゼなら今の状況でもメインスラスターにたどり着くのは容易だな。レイチェル、今迎えに行くぞ』
レイフはすぐに船外に飛び出した。レッドノーム号は大気圏上層部に突入しているため船外を飛ぶのはかなり危険な行為だったが、何とか機体をコントロールして第二艦橋までたどり着くのだった。
『レイチェル、早く搭乗しろ』
『ええ』
第二艦橋から飛び出したレイチェルを右手でキャッチすると、そのまま移動しながらコクピットに彼女を押し込めた。
『急ぐぞ!』
アルテローゼが射出口から飛び出すと、船外は大気との摩擦で熱を帯び始めいてた。また薄いが大気の流れが発生しており、機体を真っ直ぐ飛ばすだけでも一苦労であった。
レオでもアルテローゼは三十秒とかからずメインスラスターの制御部に通じるハッチにたどり着く。
『コクピットからハッチに移る際には気を付けるんだぞ』
『ええ、分かってますわ』
レイチェルは頷くと、コクピットから思い切り良くハッチに飛び込んでいった。
◇
ハッチに飛び込んだレイチェルは、制御室に一直線に向かった。
『アレは?』
レイチェルは制御室に入ると、そこに漂う大男の死体と対面する。死体となっても動き続けたトーゴー大佐と異なり、大男はぴくり共動かなかった。
大男が動かないと気付くと、それを無視してレイチェルは制御パネルに向かった。
『制御パネルは銃で蜂の巣ですわ!』
『…メインスラスターの上部にサブの制御パネルがあるはずだ、其処に向かってくれ』
ディビットの助言したがい、レイチェルはメインスラスターの上部に跳んだ。
第一艦橋の非常エアロックを経由して外に出た大男は、数分とかからずに船体後方のスラスターまでたどり着いていた。そんな事が可能だったのも、レッドノーム号が慣性飛行中だったからである。もしデイビッドが船の制御を奪うのがもう少し早く軌道変更を行っていれば、大男はレッドノーム号から置き去りにされて、宇宙の取り残されていただろう。
『メインスラスターを停止すれば、もうレッドノーム号は落ちるだけっすね』
禿頭の大男は全力で軌道修正を行っているメインスラスターを見上げる。
『動きを止めるだけなら、爆弾も必要ないっす』
メインスラスターの制御パネルに向けてサブマシンガンを構えると、大男は引き金を引いた。
ガガガガガガガッ
サブマシンガンから発射された弾丸が制御パネルを蜂の巣にすると、稼働していたメインスラスターは緊急停止してしまった。
『これで、レッドノーム号は火星に墜落…するっすね』
サブマシンガンを撃った反動で、大男は制御パネルと反対側にはじき飛んでいた。大男は役目を終えたサブマシンガンを放り出すと、その場に浮かんでいた。
よく見ると、大男の体には跳弾した銃弾が数発食い込んでいた。銃弾は腹部と胸部に食い込んでおり、このまま放置すれば大男は死んでしまうレベルの負傷であった。
無重力状態の狭い部屋の中でサブマシンガンを撃てば、跳弾の危険性があることは大男にも良く分かっていたが、自分の生死よりも火星への復讐の気持ちが勝っていたのだった。
いやどのみちレッドノーム号が火星に落下すれば、大男は死んでしまっていたのだ。
『火星の連中に一泡吹かせられたっすね…ゴホッ。大佐みたいに死体を動かせたら良かった…す』
大男は口から吐血すると、そのまま動かなくなってしまった。
◇
『メインスラスターが停止したみたいですわ。制御は…復旧には手動で操作する必要があると出てますわ』
第二艦橋で操作を行っていたレイチェルは、レッドノーム号のメインスラスターが停止し、手動で操作する必要があることを告げた。
『くそっ、やりやがったな。制御線の途中で切断されるなら迂回するという手があるが、スラスターの大本の制御器を破壊されたら、実際にスラスターの所まで行かないとどうしようもないぞ!』
端末の中でディビットがコンソールを叩いていた。
『それなら、私が行きますわ』
『レイチェルさん、待つんだ。今から向かって間に合わない』
船内の通路を通ってメインスラスターの制御部にたどり着く頃にはレッドノーム号は地上に落下しているだろう。そして大男のように船外遊泳で向かおうにも、レッドノーム号は既に大気圏の上層部に入っているため、宇宙服で外に出ることは不可能だった。
『では、どうすれば…』
『動けるのは…』
青ざめるレイチェルと黙りこくりディビットだが、
『…ここは、儂の出番だな』
そこにアルテローゼの通信が割り込んだ。
『アルテローゼなら今の状況でもメインスラスターにたどり着くのは容易だな。レイチェル、今迎えに行くぞ』
レイフはすぐに船外に飛び出した。レッドノーム号は大気圏上層部に突入しているため船外を飛ぶのはかなり危険な行為だったが、何とか機体をコントロールして第二艦橋までたどり着くのだった。
『レイチェル、早く搭乗しろ』
『ええ』
第二艦橋から飛び出したレイチェルを右手でキャッチすると、そのまま移動しながらコクピットに彼女を押し込めた。
『急ぐぞ!』
アルテローゼが射出口から飛び出すと、船外は大気との摩擦で熱を帯び始めいてた。また薄いが大気の流れが発生しており、機体を真っ直ぐ飛ばすだけでも一苦労であった。
レオでもアルテローゼは三十秒とかからずメインスラスターの制御部に通じるハッチにたどり着く。
『コクピットからハッチに移る際には気を付けるんだぞ』
『ええ、分かってますわ』
レイチェルは頷くと、コクピットから思い切り良くハッチに飛び込んでいった。
◇
ハッチに飛び込んだレイチェルは、制御室に一直線に向かった。
『アレは?』
レイチェルは制御室に入ると、そこに漂う大男の死体と対面する。死体となっても動き続けたトーゴー大佐と異なり、大男はぴくり共動かなかった。
大男が動かないと気付くと、それを無視してレイチェルは制御パネルに向かった。
『制御パネルは銃で蜂の巣ですわ!』
『…メインスラスターの上部にサブの制御パネルがあるはずだ、其処に向かってくれ』
ディビットの助言したがい、レイチェルはメインスラスターの上部に跳んだ。
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