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第13話:宇宙の果て
Dパート(7)
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レイチェルの奮戦によりガードロボットが全て破壊され、残されたのはFAHM-002だけだった。
『あれだけの数のガードロボットが足止めにもならないとは…。火星司令部はこんな隠し球を持っていたのか』
FAHM-002から共通回線を通じて、呆れたようなトーゴー大佐の声が届いた。
『残ったのは貴方だけですわ。重機ではアルテローゼに勝てません。大人しく降伏してください!』
右手のレーザー機銃をFAHM-002に向けてレイチェルが降伏を勧告する。
『はは、ここまできてそれはないな。それにFAHM-002でアルテローゼに勝てないとは、見くびられたものだな!』
トーゴー大佐が叫ぶと同時に、FAHM-002は炎を吹き出して突進してきた。
『うっ、速いっ!』
無限軌道による移動とは比べものにならない速度で、FAHM-002は突進してきた。どうやらFAHM-002は宇宙空間でも動けるように改造がなされており、背後に巨大なスラスターが付いているようだった。
レイフは慌ててアルテローゼに回避行動を取らせるが、不意を突かれたためアルテローゼはFAHM-002のアームを避けられそうになかった。
『撃ちますわ!』
レイチェルがレーザー機銃を撃つ。しかしレイチェルはコクピットを狙わず胴体を狙って撃ったため、レーザーはFAHM-002の外殻を溶かしただけに留まった。融合炉の修理を行うことも想定されたFAHM-002は耐熱性に優れた金属外殻を持っており、レーザー機銃では長時間レーザーを照射しないと効果がなかった。
『頑丈すぎますわ』
レイチェルが狙いを関節に移そうとするが、その前にFAHM-002はアルテローゼに肉薄していた。
『捕まえたぞ』
FAHM-002は、アームでアルテローゼの左腕を捕らえると、他のアームでアルテローゼに殴りかかった。FAHM-002は作業機械であるため武装は装備されていないが、アークプラズマ切断機や電気溶接器と言った工作機械がアームの先端に装備されている。それは文字通りの格闘戦においては十分な武器となり得る。
『きゃぁぁああああ――――ッ!』
FAHM-002のアームが、アークプラズマを輝かせながらアルテローゼのコクピットに迫ってくる。モニター越しにそれを見たレイチェルは、悲鳴を上げるとアルテローゼの全操作を手動に切り替えて機体を操縦し始めた。
『レ、レイチェル無茶をするな。儂が制御しない状態で、アルテローゼを動かすのは自殺行為だ!』
調整ができてないアルテローゼはじゃじゃ馬というレベルではなく、レイフが細心の注意で操作する必要があった。人間であるレイチェルにとても操縦できる物ではないと、レイフは慌てて機体制御の主導権を自分に切り替えようとしたのだが、
『(これは!?)』
アルテローゼはアクロバティックな姿勢で上半身をのけぞらせると、FAHM-002の攻撃をよけてしまった。
『(まさか、レイチェルはアルテローゼを操縦しているのか?)』
レイフはレイチェルが無秩序にスティックとペダルを操作していると思っていたが、それは間違いであった。盛大に悲鳴を上げながらも、レイチェルはアルテローゼを正確にコントロールしていた。
『なかなかやるな。しかしその態勢ではこれは避けられまい』
必殺のアークプラズマ切断機を躱されたFAHM-002は、今度は別納での電気溶接器で攻撃を仕掛けてきた。
『!』
しかし、レイチェルはFAHM-002の次の攻撃を予想していたのか、のけぞらせた姿勢から掴まれた手を軸にアルテローゼをぐるりと回転させて避けてしまう。レイチェルは、次々と繰り出される攻撃をFAHM-002とダンスでも踊るように避け続ける。
『(アルテローゼはこんな動きができるのか!)』
アルテローゼのAIであるレイフが思いつかない動きをレイチェルは行う。レイフはAIとはいえ、元はゴーレムマスターという魔法使いであり体術に関しては素人であった。アルテローゼや基地のデータベースからアルテローゼの機体制御の参考になりそうなモーションを学習していたが、それを有効活用できてはいなかった。
しかし、レイチェルはそのデータを使ってまるで自分の体のように…いや人の体を超えた動きをさせてアルテローゼを操っていた。レイフもトーゴー大佐もなまじアルテローゼが人の姿をしているため、その動きを人間の様に考えていた。だが、アルテローゼは機械であり、人間とは異なった動きをすることが可能である。レイチェルの操縦は機械としてのアルテローゼの能力を120%発揮する物だった。
『こいつ、なんて動きをするんだ。いかん、このままではアームが持たんぞ』
アクロバティックな回転運動によって関節が限界を超えてしまったのか、アルテローゼを捕まえていたアームが軋み音を立てる。FAHM-002は何とかアルテローゼの動きを止めようとするが、レイチェルはスラスターを使って回転運動を加速させると、一気にアームを破壊してしまった。
『あれだけの数のガードロボットが足止めにもならないとは…。火星司令部はこんな隠し球を持っていたのか』
FAHM-002から共通回線を通じて、呆れたようなトーゴー大佐の声が届いた。
『残ったのは貴方だけですわ。重機ではアルテローゼに勝てません。大人しく降伏してください!』
右手のレーザー機銃をFAHM-002に向けてレイチェルが降伏を勧告する。
『はは、ここまできてそれはないな。それにFAHM-002でアルテローゼに勝てないとは、見くびられたものだな!』
トーゴー大佐が叫ぶと同時に、FAHM-002は炎を吹き出して突進してきた。
『うっ、速いっ!』
無限軌道による移動とは比べものにならない速度で、FAHM-002は突進してきた。どうやらFAHM-002は宇宙空間でも動けるように改造がなされており、背後に巨大なスラスターが付いているようだった。
レイフは慌ててアルテローゼに回避行動を取らせるが、不意を突かれたためアルテローゼはFAHM-002のアームを避けられそうになかった。
『撃ちますわ!』
レイチェルがレーザー機銃を撃つ。しかしレイチェルはコクピットを狙わず胴体を狙って撃ったため、レーザーはFAHM-002の外殻を溶かしただけに留まった。融合炉の修理を行うことも想定されたFAHM-002は耐熱性に優れた金属外殻を持っており、レーザー機銃では長時間レーザーを照射しないと効果がなかった。
『頑丈すぎますわ』
レイチェルが狙いを関節に移そうとするが、その前にFAHM-002はアルテローゼに肉薄していた。
『捕まえたぞ』
FAHM-002は、アームでアルテローゼの左腕を捕らえると、他のアームでアルテローゼに殴りかかった。FAHM-002は作業機械であるため武装は装備されていないが、アークプラズマ切断機や電気溶接器と言った工作機械がアームの先端に装備されている。それは文字通りの格闘戦においては十分な武器となり得る。
『きゃぁぁああああ――――ッ!』
FAHM-002のアームが、アークプラズマを輝かせながらアルテローゼのコクピットに迫ってくる。モニター越しにそれを見たレイチェルは、悲鳴を上げるとアルテローゼの全操作を手動に切り替えて機体を操縦し始めた。
『レ、レイチェル無茶をするな。儂が制御しない状態で、アルテローゼを動かすのは自殺行為だ!』
調整ができてないアルテローゼはじゃじゃ馬というレベルではなく、レイフが細心の注意で操作する必要があった。人間であるレイチェルにとても操縦できる物ではないと、レイフは慌てて機体制御の主導権を自分に切り替えようとしたのだが、
『(これは!?)』
アルテローゼはアクロバティックな姿勢で上半身をのけぞらせると、FAHM-002の攻撃をよけてしまった。
『(まさか、レイチェルはアルテローゼを操縦しているのか?)』
レイフはレイチェルが無秩序にスティックとペダルを操作していると思っていたが、それは間違いであった。盛大に悲鳴を上げながらも、レイチェルはアルテローゼを正確にコントロールしていた。
『なかなかやるな。しかしその態勢ではこれは避けられまい』
必殺のアークプラズマ切断機を躱されたFAHM-002は、今度は別納での電気溶接器で攻撃を仕掛けてきた。
『!』
しかし、レイチェルはFAHM-002の次の攻撃を予想していたのか、のけぞらせた姿勢から掴まれた手を軸にアルテローゼをぐるりと回転させて避けてしまう。レイチェルは、次々と繰り出される攻撃をFAHM-002とダンスでも踊るように避け続ける。
『(アルテローゼはこんな動きができるのか!)』
アルテローゼのAIであるレイフが思いつかない動きをレイチェルは行う。レイフはAIとはいえ、元はゴーレムマスターという魔法使いであり体術に関しては素人であった。アルテローゼや基地のデータベースからアルテローゼの機体制御の参考になりそうなモーションを学習していたが、それを有効活用できてはいなかった。
しかし、レイチェルはそのデータを使ってまるで自分の体のように…いや人の体を超えた動きをさせてアルテローゼを操っていた。レイフもトーゴー大佐もなまじアルテローゼが人の姿をしているため、その動きを人間の様に考えていた。だが、アルテローゼは機械であり、人間とは異なった動きをすることが可能である。レイチェルの操縦は機械としてのアルテローゼの能力を120%発揮する物だった。
『こいつ、なんて動きをするんだ。いかん、このままではアームが持たんぞ』
アクロバティックな回転運動によって関節が限界を超えてしまったのか、アルテローゼを捕まえていたアームが軋み音を立てる。FAHM-002は何とかアルテローゼの動きを止めようとするが、レイチェルはスラスターを使って回転運動を加速させると、一気にアームを破壊してしまった。
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