ゴーレムマスターの愛した人型兵器

お化け屋敷

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第13話:宇宙の果て

Cパート(4)

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「あれ、ガードロボットがいなくなった? 一体どうしたんだろうね~ガオガオ」

 個室で襲いかかるガードロボットと戦っていたアイラは、突然ガードロボットの姿が見えなくなったことに戸惑っていた。
 そんな時、タイミング良く宇宙服のヘルメットからディビットの声が聞こえた。

『おーい、アイラちゃん大丈夫かい? こっちは片が付いたよ』

「ディビット? 上手くいったみたいだね」

『そうだよ。今から道案内のガードロボットを送るから、その後に付いてこっちに来てくれないか』

 そうディビットが言うと同時にガードロボットが一機アイラの目の前に現れた。一瞬アイラは身構えたが、ガードロボットは大人しくしていた。

「驚いた~。…う~ん、大丈夫みたいだね。ガオガオ、アレに付いていこうか」

《コントロールルームに御案内します》

 ガードロボットはそう言うと、選考して走り出した。アイラとガオガオはそのままガードロボットの後について歩き出した。

 二十分ほど歩いて、アイラとガオガオはコントロールルームと書かれた扉の前までやって来た。そこにはディビットとケイイチがアイラを待っていた。

「アイラちゃん御苦労様」

 ケイイチがアイラの頭をぽんぽんと叩いて撫でる。

「子供扱いする~」

 ケイイチの対応にアイラはほっぺをリスのように膨らませて抗議するが、その姿も子供らしい物である。

「それじゃ、全員そろったしコントロールルームに入りますか」

「誰もいないとは思うけど、念には念を入れないと」

 ディビットとケイイチが銃を取り出す。

「コントロールルームの扉のロックを外してくれ」

《了解しました》

「「お邪魔します」」

 扉が開くと、二人は恐る恐るといった感じで顔を覗かせて、コントロールルームの中を窺った。

「誰もいないね~」

 二人に対し、アイラとガオガオはまるで警戒もせず堂々とコントロールルームに入っていた。

「ちょっ、アイラちゃん」

「大胆過ぎるぜ」

 ディビットとケイイチは慌ててアイラの後を追いかけて、コントロールルームに入っていく。

「誰もいないとなると、ステーションのAIを操っていた奴は逃げ出したか、それとも外部から操られていたのかな~」

 ケイイチは人気が全く感じられないコントロールルームを見回してそう呟いた。

「AIへの対応を見る限り外部からという線はないな。逃げたしたのかな。AI、俺達の他にステーションに人間はいるのか?」

 ディビットはAIに尋ねると。

《現在ステーション内部に存在する人間は、コントロールルームの三名だけです》

 直ぐにAIが返事を返す。

「あの短期間でステーションの外まで逃げ出しただと?」

 ディビットはAIの回答に納得がいかないのか、手を顎に当てて考え込む。

「やっぱり外部からじゃないのか? さっきまでお前AIに命令していたのは誰だ? 外部回線を通じて、レッドノーム号のトーゴー大佐が指示を出していたんじゃないのか?」

《違います。トーゴー大佐ではありません。先ほどまでステーションは外部回線を閉じておりました》

 ケイイチの質問に、AIは否と返答する。

「じゃあ、一体誰がお前AIに命令をしていたんだ」

『それは儂じゃ』

 ディビットの質問に答えたのは、AIではなく別人の声だった。AIの女性の声に対して、しわがれた老人の様な声であった。

「「誰だ?」」

 謎の声に驚いたディビットとケイイチはコントロールルームを見回すが、当然のことながら無人のコントロールルームには三人以外の人影は無かった。

「あ、あそこにいるよ」

 きょろきょろと辺りを見回す二人に対して、虚ろな目・・・・をしたアイラが、コントロールルームの一角を指さした。

「「サーバールームか」」

 二人はシンクロしたかのような走りを見せて、サーバールームに向かうと扉のロックを解除して中を覗き込んだ。
 空調の効いたサーバールームはひんやりとしており、そこには棺桶のようなAIの制御ユニットが三機並べられており、まるで死体置き場モルグのようであった。
 二人はゆだんなく銃を構えていたがもちろん誰もいない。

「誰もいないぞ」

「おい、ここに誰がいるんだ? 人っ子一人居ないぞ」

《…ここに人は存在しません》

 AIからの回答に、ディビットとケイイチは怪訝な顔をする。

「そこ、そこに居るよ」

 背後からアイラの声がする。二人はアイラに目をやり、そして彼女が指さす方向を見ると、それはAIの制御ユニットの一つであった。
 そして二人の見ている前で、棺桶のような制御ユニットから一人の老人の姿が起き上がった。

『このステーションを支配するのは、儂、ジュモーなのだ。貴様らはここから出て行くのだ』

 ざんばら髪の白髪の老人は、薄汚れたローブを着て杖を持ちまるで魔法使いのような姿であった。そして彼の体は透き通っており、人間ではない事を物語っていた。

「「幽霊?」」

 ディビットとケイイチは思わず手を握り合っていた。
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